ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

フラグブレイカー

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~指南書~

大技を放った直後の冒険者達を探してみましょう。
最早定番となったセリフを言い放ったらフラグはビンビンです。



~3組目~


「おおおっ!」ドガァッ!

「「「「やったか!?」」」」

(やってない。)シュピッ!



~指南書~

謎の自信に満ちた冒険者を探してみて下さい、しょうもない死亡フラグを立ててる事が殆どです。



~4組目~

「道すがらの露店8割引きと言う破格の値段で買った伝説上の武器『エクソカリバー』!
コレがあれば敵無しだぜ!」

ペキン。

「あぁっ!?ああああーっ!?」

「クロラさん、ギルド経由でパーティから露店の場所聞き出す様、報告書に書いておいて下さい。」パシュンッ!

「はーい。」φ(..)カキカキ。



~5組目~

「なぁ、噂なんだけど、この間新人冒険者が1人で魔蛸を討伐してたんだってさ。」

「案外魔蛸って強くないんじゃない?」

「なら俺らだけでもいけるべ!」

「「余裕余裕!」」

~間~ 

キシャァアアッ!

「ああああああっ!?」
「無理ぃっ!無理ぃぃぃっ!」
「助けてぇっ!んああっ!ヌルヌルするぅ!」


「全く、噂を真に受けるな、っての。
あと男が気持ち悪い悲鳴上げるな。」パシュンッ!

「うーん…その噂の出所、私知ってるかもなー…」

※後にこのパーティは、中級冒険者パーティ5組の連係により助け出されました。



~指南書(※※加筆)~

信仰心を持つ事は良い事ですが、神様にも出来る事と出来ない事があります。

何でもかんでも神頼みの人には注意しましょう。

尚、助ける際も陰ながらに助けると変に勘違いする者も居るので、そこは注意しましょう。



(何か変に具体的だな…)

~6組目~

「あの、【聖女】ミミシラ…
【盾】の人員が確保出来ませんでしたが大丈夫でしょうか…?」

「それについては致し方ありません、これも試練として捉える事にしましょう。
ですが、必ずや神はお救い下さるハズです。
さぁ"傷の無い魔蛸の眼石"確保に向けて行動を起こしましょう。」

「「はい!」」


~間~

キシャァアッ!

「んやぁああっ!離せっ!離せぇっ!」
「いやぁっ!?触手が絡み付いて逃げられない!」
「お、落ち着くのです!信ずる心を持てば必ず『ニュルンッ!』ひゃんっ!?」


「くっ…見えそうで見えないギリギリの…
じゃない!一刻も早く助けねばっ…!」

「ノア君、見ない様にしてるけど指の隙間からガッツリ見てるよね?」


『ブレイカー』の正体は年頃の男の子である。
法衣から覗く白い柔肌を、見て見ぬ振りを出来るだろうか、いや出来まい。

だがこれに少し妬いたクロラが後に攻めに転じる事になる(フラグ)。






「さ、さて、冗談はここまでにして…」チラ…


『ブレイカー』は周囲を見回して状況を確認する。
先程5組目のパーティを助けたパーティ達の方を見てみるが、全組が魔蛸討伐での疲労が抜けきっておらず、とても【聖女】達を助けられる様には思えない。


「仕方無いか…
クロラさん、今から僕はあの人達を助けに行きますのでここを離れます。」

「え?でもノア君、まだ足が不調なんじゃ…」

「不調なのは右足だけなので、使わずに助け出します。
なに、御心配なさらず。厳しそうならあそこで木を齧っているグリードを呼んで退治をして貰いますから。」

ガシャッ…


そう言ってノアはアイテムボックスから魔装鉄甲を取り出し、片手に荒鬼神を握って歩き始めた。


「ノア君…気を付けてね…?」

「ええ、勿論。」








キシャァアアッ!

「ぐ…『ギリッ…』くふっ…『ギリリッ…』」

「かふっ…『ミシッ…』…ぅあ…」

「ササリ…『ギリリ…』ミフィ…」


魔蛸の長くに捕らわれ、締め付けられ、呼吸もままならない3人は、なす術が無いと言った様子である。


「お、おい…顔色がどんどん悪くなっていってるぞ…」

「助けにいくぞ!」

…シュッ

「おい待てさっき見ただろ!
数パーティで挑んで何とか倒せた相手に単騎で挑むなんざ、余計に被害増やすだけだ!」

…バシュッ

「だからといって見過ごせるか!
あんな奴、俺1人で倒して…」

ズシャンッ!

「「「うえっ!?」」」


荒鬼神を用いて連続転移して移動してきた仮面姿のノアは、今正に救出しに向かおうとしていた冒険者の下に降り立った。


「気概は良いですが、今この場で新たなフラグを立てるのはお止め下さい。
これも依頼の一環なのであの方達は僕の方で助けましょう。」

「え?あ、あぁ…
だが君は一体何者なんだ…?」

「僕はノ………『ブレイカー』だ。」

「「「あ、はい。」」」


あくまでも現在のノアは『ブレイカー』として立ち回っている為、設定を遵守する事を忘れてはならない。


ギリリ…

「ひぅうっ…!」


「おっと、こうしてはいられない。
申し訳ありませんが先を急ぎますよ!『ブォンッ!』っと!」

バシュッ!


荒鬼神を魔蛸目掛けてぶん投げたノアは、即座に転移を開始。

キシャァアアッ!バギンッ!

バシュッ!ガショッ!ガションッ!

向かって来る荒鬼神空いている触手で叩き弾いた魔蛸だが、宙を舞う荒鬼神に魔装鉄甲を装着中のノアが転移してきた。


ギシャァアアッ!バシュゥウッ!

ガションッ!「オラァッ!」ドパァッ!!


転移してきたノアに対し、魔蛸は水の塊を発射してきた。
ほぼ同時に魔装鉄甲の装着を完了させたノアは、ブースター機構を動作させ、魔蛸へ向け加速しつつ巨腕を振るい、水の塊を突破した。


ガギッ!ズブゥッ!

ギュゥウウウウッ!


勢いそのままに魔蛸の頭部に接近したノアは、鉄甲の恐るべき握力を用いて巨腕の図太い指を表皮に食い込ませて貼り付き、腕を振り上げて力を籠め始めた。


ギィイイイイイイッ!!ビョルンッ!ビョルルンッ!

ドサッ!「キャンッ!?」
ドッ!「ぐっ!?」
ドドッ!「あぅっ!?」


明らかな脅威に慌てた魔蛸は、手にしていた女性達から絡み付かせていた触手を解き、ノアを引き剥がそうと絡み付かせに掛かる。

拘束から解放された女性達は悲鳴を上げつつ地面に倒れ伏す。


「シッ!」ドボォッ!

ギャァアアアアアアアッ!?


ノアは<渾身>を発動させ、振り上げた巨腕を魔蛸の眼球に叩き込んだ。

明確な悲鳴を上げて暴れ狂う魔蛸を余所に、ノアは叩き込んだ拳の先にあるハズの物を探っていた。


(お、あった。)

ガッ!

ギッ、ィイイイイッ!?


ノアが目当ての物を掴んだ途端、魔蛸は更に暴れだして引き剥がそうとしてきた。

大体察したと思うが、ノアが掴んだ物は魔蛸の"脳"である。


グヂュッ!!

ギッ…!?ズルルル…ズズン…


拳を握り込むと共に魔蛸は短く悲鳴を上げ、絡み付かせていた触手からも力が抜けて崩れ落ちていった。


「「「「「………」」」」」


接敵開始から僅か10秒程での討伐劇に、辺りは静まり返っていた。


「…あ、あなたは…神の御使い様で御座いますか…?」

「いや?あなたが立てた死亡フラグをへし折りに来た『ブレイカー』です。」

「あ…左様で…」ガクッ…


魔蛸に捉えられていた女性は、何故か残念そうな反応をした後力無く気絶してしまった。
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