ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~森の番人~

【魔王】討伐

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ボスン。

「うわっぷ!?…ご、ごめんなさい!お怪我は…って、あ、あれ?ノア君!?
何で私の前に…」

「ふふ、クロラさん、ちゃんと前見てないと危ないですよ。」


暦と【魔王】関連の話や、今後の身の振り方等の話を終え、暦は神の住まう場所に戻っていき、再び時間が動き出した。

クロラはノアと別れた直後の事であったが、ノアからすれば約2時間ぶりの対面であった。


「や、やだぁ、ノア君そんなまじまじと顔見ないでよ…」


クロラの暦を聞いたからか、何やら感慨深い物を感じ、思わずクロラの顔をジーっと見詰めてしまったノア。


「おやぁ?先程までグイグイ来てたクロラさんは何処に行ったのですかねぇ?」

「あ、あれは酔ってた(?)からでですね…」


突然の出現に驚いたクロラは、先程まで酔って(?)積極的に攻めていた事などすっかり忘れ、どうやら素に戻ってしまった様だ。




ギュッ。

「へ?」

「…クロラさん…これからもずっと、ずっと大切にしますからね…」

「ふぇっ!?あ、あの、ノア君っ!?
それって…」


ノアは徐にクロラを優しく抱き締める。
暦の事を聞いたノアとしては、これからも優しく接していこう、と言う意味での発言と行動だったのだが


ズルルル…

「ふぉーおーみふぇふふぇへふれふぁふはぁひょーふぇんふぁ。(おーおー見せ付けてくれますなぁ少年は。)(ポーラ)」ムグムグ…

「い、今のってもしかしなくてもプロポーズってやつーぅ?(ロゼ)」

「祝福するよノア君。(ジェイル)」

「アミとレドに良い土産話が出来るな。(マドリック)」

   「あ、私祝詞唱えたげようか?(エスメラルダ)」

「「「坊、おめっとさん。(ドワーフ3人組)」」」ぐびっ。

ズルッ…

「わ、わはーっ!聞きましたかライちゃん(ラインハードの愛称)プロポーズですよ、プロポーズ!(ヴァンディット)」

「勿論だよヴァーちゃん(ヴァンディットの愛称)!うわぁ~ノア君やるぅ~!(ラインハード)」

「え?あ、あれ?」


と、周囲からは完全にプロポーズと取られてしまった。
その後も給仕、踊り子として派遣されてきていたヴァモスとベレーザにも滅茶苦茶祝われた。

ポーラは何と無く気付いていた様だが、悪ノリMAXで終始茶化しまくる事に。

否定するのも何だったのだが、「プロポーズは2人っきりの時に言います!」と、そういう気持ちはありつつ、でも今じゃないと言う意思を伝えて一先ず収まった。

ちなみにヴァモスとベレーザ、クロラ以外は気付いており、理由としては「ムードもへったくれも無いから」らしい。








~同時刻、冒険者ギルド・救護所~

「お~い、ミミシラ~。」

「う、うう…ん…」

「あ、目を覚ましたヨ!」

「良かった、目を覚まさなかったらどうしようかと思ったわヨ。」


冒険者ギルド内にある救護所にて、魔蛸に捕らえられ、一時意識不明に陥っていた【聖女】ミミシラが目を覚ます。

ミミシラが体を休めていたベッドの周囲には3人の男女が心配そうに立っていた。


1人は褐色肌で頭以外を武者鎧で包んだ快活そうな20代の人族の女性。名はアックスレイ。
金髪の長髪をお団子状に纏めていて、そこから覗く肌の至る所に古い刀傷があった。

2人目は銀色の毛並みが美しいこれまた20代位の女性の狼獣人で、名はヴォルフスティ。
軽鎧を身に纏い、十の指には豪奢な指輪が填められていた。

そして3人目は人族の男性で、名はアーク。
短めの金髪で、中々の美丈夫で年齢は18程。
左右の腰と背中に2本ずつロングソードを差し、金の装飾が施された漆黒の鎧を纏っている。


「"傷の無い魔蛸の眼石"調達を任せていたミミシラが返り討ちに遭ったって報せが入って来たもんだから西方に居たんだが、皆一緒に転移してきたんだ。」

「それで?"傷の無い魔蛸の眼石"は手に入ったのか?」

「あ、いえ、それはまだ…」


ミミシラが目覚めるなり、体調の心配よりも素材の心配をする一行。


「何故だ?ミミシラの中域魔法で一掃すれば良いだけの話だろう?」

「いえ、でも周囲には他の冒険者が数多く居ましたので…」

「あのなぁミミシラ…
俺達は"【勇者】パーティ"だぜ?
そこら辺の冒険者が多少怪我しようが巻き添えで死のうが気にする事無い、って国のお偉いさんも言ってただろ?」

「そ、それはそうですが【聖女】としては…」

ガシッ!

「俺達には"【魔王】討伐"と言う使命があるんだ、それまでは我慢して国のお偉いさんの言う通りにしようじゃないか。」

「で、ですが…」


人族の男性アークが何やら説得している様だが、ミミシラの反応は悪い。

すると


「ミミシラ、俺の目を見ろ。」ズズズ…

「…え?あっ!?はぁあぁあっ!?」


アークの目が金色に輝き、その双眸で見詰められたミミシラが悲鳴の様な物を上げて身を強張らせた。

トサッ…

その後ミミシラの体から力が抜け、ぐったりと項垂れた。


「おいミミシラ、さっさと起きろ。」

むくり…

「…はい、アーク…申し訳アリ『ビチィッ!』……ッ!」


目から生気が抜けたミミシラが起き上がり、謝罪の言葉を述べ様とした所で平手打ちを食らわせた。


ガシッ!

「おいミミシラ…何べん言ったら分かんだ、アークって言うな、アーク"様"だろうがっ…!」

「…ハイ…申し訳ありまセン、アーク様…」


ミミシラの顎を掴んで無理矢理顔を持ち上げたアークは、怒りで顔を歪ませながらミミシラに言い聞かせる。


「チッ!気は小せぇくせに<精神耐性>が高ぇせいで俺の<魅了>がまだ完全には効いてねぇか…
お前らみたく適当に"ヤって"<隷属>させられれば簡単なのによ!」


後ろに立つアックスレイとヴォルフスティを見て嘆息するアーク。
    
2人の目を見るとどちらも目に生気は無い。


「処女性を失うと【聖女】としてはやっていけねぇとか面倒臭ぇ女だなぁミミシラはよっ!」

「申し訳ありまセン…」

「…しっかし、どうしたもんか…
"傷の無い魔蛸の眼石"は俺の強化にも必須の素材…
俺じゃあ力の制御が上手くいかねぇから"傷無し"は到底無理だし…」


顎に手をやったアークが素材入手の事に関して思案していると、背後に居たアックスレイがミミシラの元へやって来て


「…そう言えばミミシラ、あなたは誰かに助けられたと報告を受けましタガ、何と言う者でしたカ?」

「お!アックスレイ良い事思い付くじゃん!
そいつに<魅了>掛けて捕って来させりゃ良いんじゃん!
流石俺の<隷属>第1号!」


アークは手をポンと叩き、一気に表情を明るくさせる。

対して目に生気の無いミミシラは不安そうな表情をしていた。


「私達を助けたのは『ブレイカー』と名乗るとてもお強い方でシタ。
他の冒険者達がレイドを組んで倒していた魔蛸をものの1分程で討伐していたかなりの強者デス。
もしかするとアーク様以上の強『ガシッ!』」

「うるせぇ、パーティのリーダーは【勇者】アーク様だぞ!
お前ぇの当てになら無い見解なんざ聞きたかねぇよ!」


ミミシラの言葉を遮る様に胸ぐらを掴んで黙らせたアークは、吐き捨てる様にそう言うとアックスレイとヴォルフスティを連れ立って救護所から出ていく。


「んじゃ明朝その『ブレイカー』とか言う奴ん所行くぞ。
遅れんじゃねぇぞ?」

「ハイ…」
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