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獣人国編~森の番人~
暦の改変
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「…僕が…人の…?」
〝人だけに限らずさ。
君と一緒に居る2人の獣人もそうだし、君の契約獣として共に旅する龍種の子も含まれるよ。〟
「……。」
〝だが安心して欲しい。今の所、先の状態は皆一様に"明"だ。
その中でも特に顕著なのが彼女だ。〟
「…え?」
知らず知らずの内に人の未来を変えていたと伝えられ、僅かに動揺するノア。
そんなノアを落ち着かせようと、"暦"が1人を例に挙げて説明をしだした。
その例と言うのはクロラであった。
〝彼女の元々の"暦"は非常に不安定で、明滅を繰り返し、先行きが良く分からないモノだった。
両親の手伝いで同郷の者達と共に足並み揃えて冒険者になる事が出来ず、2年の開きがあって漸く冒険者として旅立とうとしたら村の鼻摘み者であったバッツとガッツに目を付けられ、半ば強制的にパーティを組まされてしまった。〟
「……。」
〝夢にまで見た冒険者という新しい道に早速陰が差してしまい、ここで彼女の"暦"は"暗"に傾き出した。
そして知っての通り、彼女は"押し付け"の片棒として君を巻き込んでしまった。
ここで彼女の"暦"は完全に"暗"となり、罪の意識を感じて自死の考えが頭を過る。〟
「……。」
〝だが、ここで君の介入があったのだが、"暦"の上ではまだ"暗"のままだ。
改変の切っ掛けになったのは、君が押し付けられた対象のトドメを刺さなかった事だ。〟
「…え?」
〝完全に仕留めなかった事で、半死半生となった対象に返り討ちに遭い、結果、彼女とバッツ、ガッツは一時的に離別する事になった。
この時、先行きは多少"明"に傾くが、次第に冷静さを取り戻し、完全な孤独となって山を彷徨う事になり"暗"へと転じていた。
その後再び君と邂逅するのだが、ここでも"暦"の改変が行われた。
君、彼女の事野盗と間違えて襲ったんだって?〟
「うぇっ!?何故その事を…」
冒険者生活初日の夜、あの場には商人のジョーとノア、真っ暗闇の中を彷徨っていたクロラしか知らないハズである。
〝"暦"の上ではもう過去の事だからね。
未来の事は見通せなくとも過去の事はしっかり記録という形で残ってるからこれ位訳無いよ。〟
「止めて下さいよ…あれ、僕の中では消したい過去の1つなんですから…」
"森の中を彷徨っていたクロラを襲う。"
字面だけ見れば宜しくない事だが、結果的には良い方向に働いたのだと"暦"は言う。
あの夜、クロラは押し付けを行ってしまった事を悔い、自責の念に駆られながら森を彷徨っていた。
せめて一言でも謝りたかったが、面と向かって会うのはとても怖かった。
だがそんな事を知らないノアは、森を彷徨うクロラを野盗と間違え、有無を言わさず襲い掛かった。
その後、謝りたいと思っていた相手から逆に謝られ、明朝にはごはんまでご馳走になった。
近くの街まで共に同行したりと、終始優しく扱われ、クロラの"暦"は非常に明るく、光輝くモノとなった。
不意に自責の念に駆られる事もあったが、ノアは全く気にする素振りも見せず、いつも通り優しく接してくれた。
再び出会したバッツとガッツからも救ってくれただけでなく、今も騒がしくも楽しく過ごせているパーティ仲間と知り合えたのもそれが切っ掛けである。
〝…とまぁ、君との出会いで彼女は見違える程変わったって話さ。〟
「そんなの只の偶然…」
〝君の従者の吸血鬼ヴァンディット。
彼女は戦争奴隷として狭い商会で悠久の時を過ごすハズだったが、君と言う破天荒な存在に出会い、自らの才能を開花させ精力的に活動する事に。
契約獣の禁忌龍グリード。
君と言う存在無しでは托卵されぬまま、卵の状態で悠久を過ごしていただろう。
機兵中立国の元女王ラインハード。
造り上げた機兵達の願いで再びの生を受けたが、ダンジョンと言う閉鎖空間内で生ける屍として悠久を過ごすハズだった。
"暦"の上では1~2週間出会うのが遅かったら自我を失っていただろうね。
ヒュマノ聖王国の元奴隷ヴァモス、ベレーザ。
君が助け、名を授けた事でとても生命力が満ち溢れる様になった。
が、助けていなければヒュマノへの帰路で死ぬ定めであった。
【召喚勇者】のミユキ。
ヒュマノ聖王国の企てで異世界のニホンから強制的に召喚された【勇者】。
"暦"の上では【魔王】の配下シエストラバードの情けでただ1人生かされ、それ以外の者全てを殺された後、自分の無力さと絶望を感じて自害する予定であった。
他にも色々あるが、一先ずこの辺にしておこう。
何が言いたいかと言うと、君には人の運命を変えれるだけの力を持ってると言う事さ。〟
ノアが冒険者生活を開始してから主に改変してきた者達を例に出し、ノアの行いを礼賛する"暦"だが
「"暦"の事については理解しました。
ですが最初あなたが言っていた"使命自体は果たされるが、彼女達ではまず無理だ。"。
これの答えがまだの様ですが?」
〝おや?割とそのままの意味なのですが、まぁ良いでしょう。
当初は彼女を含めた者達に与えられた使命であるが、現段階での彼女達の実力では到底不可能だという事が判明した。
だが君がこの短期間であらゆる者達の"暦"を改変していった結果使命自体は果たされる事が分かったのさ。〟
「ふーん、なら良いじゃないですか。」
〝何を他人事の様に…
その使命を果たすのは今の所君なんだよ?〟
「え?僕?」
〝そ。君。〟
多くの者達の"暦"を改変するという事は、世界そのものの"暦"も改変する事に他ならない。
その結果【聖女】を含めた者達が果たすべき使命と言う名の"暦"がノアが果たすものに改変。
"暦"がノアの所へ赴いたのは、それを伝える為のものでもあったと言う。(回りくどい)
「え~…じゃあ彼女達が受けたと言う使命の内容聞かなきゃならないじゃないですか~…」
〝君露骨に聞きたがらなかったよね…
だから話辛くて話辛くて…〟
【聖女】ミミシラ等が受けた使命を最終的に果たすのが自分だという事が判明し、露骨にしかめっ面をするノア。
だが自分の行いでそう言った"暦"になってしまった以上、その辺りは折れて受け入れる事に。
その為現在"暦"から使命の内容を聞き出す所であった。
「それで、彼女達が受けた使命ってのは何だったんですか?」
〝【魔王】討伐です。〟
「ぶほっ!?」
使命の内容を聞いたノアは思わず噎せてしまった。
〝人だけに限らずさ。
君と一緒に居る2人の獣人もそうだし、君の契約獣として共に旅する龍種の子も含まれるよ。〟
「……。」
〝だが安心して欲しい。今の所、先の状態は皆一様に"明"だ。
その中でも特に顕著なのが彼女だ。〟
「…え?」
知らず知らずの内に人の未来を変えていたと伝えられ、僅かに動揺するノア。
そんなノアを落ち着かせようと、"暦"が1人を例に挙げて説明をしだした。
その例と言うのはクロラであった。
〝彼女の元々の"暦"は非常に不安定で、明滅を繰り返し、先行きが良く分からないモノだった。
両親の手伝いで同郷の者達と共に足並み揃えて冒険者になる事が出来ず、2年の開きがあって漸く冒険者として旅立とうとしたら村の鼻摘み者であったバッツとガッツに目を付けられ、半ば強制的にパーティを組まされてしまった。〟
「……。」
〝夢にまで見た冒険者という新しい道に早速陰が差してしまい、ここで彼女の"暦"は"暗"に傾き出した。
そして知っての通り、彼女は"押し付け"の片棒として君を巻き込んでしまった。
ここで彼女の"暦"は完全に"暗"となり、罪の意識を感じて自死の考えが頭を過る。〟
「……。」
〝だが、ここで君の介入があったのだが、"暦"の上ではまだ"暗"のままだ。
改変の切っ掛けになったのは、君が押し付けられた対象のトドメを刺さなかった事だ。〟
「…え?」
〝完全に仕留めなかった事で、半死半生となった対象に返り討ちに遭い、結果、彼女とバッツ、ガッツは一時的に離別する事になった。
この時、先行きは多少"明"に傾くが、次第に冷静さを取り戻し、完全な孤独となって山を彷徨う事になり"暗"へと転じていた。
その後再び君と邂逅するのだが、ここでも"暦"の改変が行われた。
君、彼女の事野盗と間違えて襲ったんだって?〟
「うぇっ!?何故その事を…」
冒険者生活初日の夜、あの場には商人のジョーとノア、真っ暗闇の中を彷徨っていたクロラしか知らないハズである。
〝"暦"の上ではもう過去の事だからね。
未来の事は見通せなくとも過去の事はしっかり記録という形で残ってるからこれ位訳無いよ。〟
「止めて下さいよ…あれ、僕の中では消したい過去の1つなんですから…」
"森の中を彷徨っていたクロラを襲う。"
字面だけ見れば宜しくない事だが、結果的には良い方向に働いたのだと"暦"は言う。
あの夜、クロラは押し付けを行ってしまった事を悔い、自責の念に駆られながら森を彷徨っていた。
せめて一言でも謝りたかったが、面と向かって会うのはとても怖かった。
だがそんな事を知らないノアは、森を彷徨うクロラを野盗と間違え、有無を言わさず襲い掛かった。
その後、謝りたいと思っていた相手から逆に謝られ、明朝にはごはんまでご馳走になった。
近くの街まで共に同行したりと、終始優しく扱われ、クロラの"暦"は非常に明るく、光輝くモノとなった。
不意に自責の念に駆られる事もあったが、ノアは全く気にする素振りも見せず、いつも通り優しく接してくれた。
再び出会したバッツとガッツからも救ってくれただけでなく、今も騒がしくも楽しく過ごせているパーティ仲間と知り合えたのもそれが切っ掛けである。
〝…とまぁ、君との出会いで彼女は見違える程変わったって話さ。〟
「そんなの只の偶然…」
〝君の従者の吸血鬼ヴァンディット。
彼女は戦争奴隷として狭い商会で悠久の時を過ごすハズだったが、君と言う破天荒な存在に出会い、自らの才能を開花させ精力的に活動する事に。
契約獣の禁忌龍グリード。
君と言う存在無しでは托卵されぬまま、卵の状態で悠久を過ごしていただろう。
機兵中立国の元女王ラインハード。
造り上げた機兵達の願いで再びの生を受けたが、ダンジョンと言う閉鎖空間内で生ける屍として悠久を過ごすハズだった。
"暦"の上では1~2週間出会うのが遅かったら自我を失っていただろうね。
ヒュマノ聖王国の元奴隷ヴァモス、ベレーザ。
君が助け、名を授けた事でとても生命力が満ち溢れる様になった。
が、助けていなければヒュマノへの帰路で死ぬ定めであった。
【召喚勇者】のミユキ。
ヒュマノ聖王国の企てで異世界のニホンから強制的に召喚された【勇者】。
"暦"の上では【魔王】の配下シエストラバードの情けでただ1人生かされ、それ以外の者全てを殺された後、自分の無力さと絶望を感じて自害する予定であった。
他にも色々あるが、一先ずこの辺にしておこう。
何が言いたいかと言うと、君には人の運命を変えれるだけの力を持ってると言う事さ。〟
ノアが冒険者生活を開始してから主に改変してきた者達を例に出し、ノアの行いを礼賛する"暦"だが
「"暦"の事については理解しました。
ですが最初あなたが言っていた"使命自体は果たされるが、彼女達ではまず無理だ。"。
これの答えがまだの様ですが?」
〝おや?割とそのままの意味なのですが、まぁ良いでしょう。
当初は彼女を含めた者達に与えられた使命であるが、現段階での彼女達の実力では到底不可能だという事が判明した。
だが君がこの短期間であらゆる者達の"暦"を改変していった結果使命自体は果たされる事が分かったのさ。〟
「ふーん、なら良いじゃないですか。」
〝何を他人事の様に…
その使命を果たすのは今の所君なんだよ?〟
「え?僕?」
〝そ。君。〟
多くの者達の"暦"を改変するという事は、世界そのものの"暦"も改変する事に他ならない。
その結果【聖女】を含めた者達が果たすべき使命と言う名の"暦"がノアが果たすものに改変。
"暦"がノアの所へ赴いたのは、それを伝える為のものでもあったと言う。(回りくどい)
「え~…じゃあ彼女達が受けたと言う使命の内容聞かなきゃならないじゃないですか~…」
〝君露骨に聞きたがらなかったよね…
だから話辛くて話辛くて…〟
【聖女】ミミシラ等が受けた使命を最終的に果たすのが自分だという事が判明し、露骨にしかめっ面をするノア。
だが自分の行いでそう言った"暦"になってしまった以上、その辺りは折れて受け入れる事に。
その為現在"暦"から使命の内容を聞き出す所であった。
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