ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

復興の兆し

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「お、おい…流石の少年でも3対1は厳しいだろう、加勢に行かなくて良いのか…?」

「…なりません。
心苦しいですが、私達が加勢に行ってしまえば彼の【適正】上、却って足手まといになるだけです。」

「それにあなた、奴らの攻撃目で追えているのですか?」

「そ、そりゃあ…」



[ふははははっ!
ぬんっ!ぬんっ!ぬんっ!ぬんっ!ぬんっ!ぬんっ!]

バォッ!ボッ!ボボッ!ババボボッ!

ガガッ!スッ!ババッ!ゴギンッ!ババッ!


暴坊将軍が追加で取り出した大太刀による連撃を、荒鬼神による受け流しと、自前の動体視力で避けるノアの光景を見やる。



「い、今のは8連撃だろう?」

「10連撃です。(ハウンド)」

「惜しい、11連撃よハウンド。(ハナ)」

ズザザッ!

「残念っ!15連撃だっ!(ノア)」

[はっはっはっ!御名答っ!まだまだ行くぞっ!]

ズドンッ!









「…ね?私達が加勢に行っても足手まといになるだけでしょ?
素直にノア君から指示された事を遂行しましょ…(ハナ)」

「「はい…(アーク、ハウンド)」」


どう足掻いても太刀打ち出来ないと言う事をまざまざと思い知らされた3人は、城下の復興に着手する事となった。








「それでお爺さん、城下の復興ってどうすれば良いのでしょうか?」

「は、はい。
それでは手短に行いたいと思いますので、今まで通り私に"時"をお渡し下さいませんでしょうか?」

「えっと…こちらで足りるでしょうか…?」ヂャラ…


ハナは、仕留めた足軽兵から出てきた"時"の詰まったガラス玉数個を老齢の男性に手渡す。


「ふむ…
…何とか"1回分"は可能ですな…それでは始めましょう。」

ガション!チキチキチキ…

ハナから受け取ったガラス玉の数々を自身の胸元に近付けていくと、再び男性の前に文字盤が現れて針がぐるりと一周していく。



ガション!

""時"が一定量に達した事で『復活の兆し』を達成致しました!
今より"農民兵"又は"足軽兵"のどちらかを選択する事が出来ます。
達成ボーナスとして最初に選択したユニットは無償で出現可能です。
どちらを配置致しましょうか?"



再び周辺に聞こえる様にアナウンスが流れたかと思うと、男性の前に半透明の板が現れた。
そこには"農民兵"と"足軽兵"の簡略図が表示されていた。


「うむむ…状況的には直ぐにでも戦力を整えたい所だが、数で言えば"農民兵"、質で言えば"足軽兵"…
うむむ…どちらを選択するべきか…」

「「「「…?(ハナ、ハウンド、アーク、ヴァンディット)」」」」


男性が半透明の板(ウィンドウ)を見てウンウン唸っている光景を、4人は訳も分からずポカンと見詰めている中


「お爺さん、ここは質の高い"足軽兵"を選択しましょう!
細かい設定は分かりませんが、先程ノア君が大部隊を蹴散らした時の"時"がありますので、直ぐにでも実戦可能な者達を結集させた方が懸命かと。」


男性の持つウィンドウを見て何かを察したラインハードが直ぐに助言を出してきた。


「今は敵幹部が出張って来ていると言う事で、追加の大部隊を要請はすれど手を出す事は考え辛いかと。」

「うむ、そうしよう。
余裕が出来次第"農民兵"を出現させ、生産面を確保するべきじゃな。」

ピッ、ピッ、ピピッ!

「よし、これでどうじゃな。」


男性がウィンドウにある"足軽兵"の項目で数度操作をすると、何やら決定したのか項目が光り、"決定"の文字が現れた。

すると


ズズズ…カタカタカタ…

「「「「!?」」」」


一行の後方にある焼け落ちた家屋の下から土台や柱、壁が次々に現れ、ものの数秒で家屋が完成した。


""足軽兵・兵舎"が完成致しました。
"兵舎"からは、30秒毎に3ユニット、上限は300ユニットまで出現します。"


「「「「?????」」」」


とアナウンスが流れるが、未だハナ、ハウンド、アーク、ヴァンディットの4人は理解が出来ずに困惑の表情をしていた。


「助言をありがとう、お嬢ちゃん。」

「いえいえ、私も現役の頃は今出ていたウィンドウの様な物を使って兵達を配置したりしていましたので。」


ラインハードが機兵中立国で女王をやっていた時と似た技術を用いていた為、直ぐに理解が及んだ様子。

と、そんな事を話していると、完成した兵舎からガシャガシャと言う音が聞こえ


ガラッ!

「「「足軽兵、参集致しました!」」」


と、兵舎から刀を帯刀した足軽兵と、槍を装備した槍兵と、弓を装備した弓兵が現れた。

するとその中の1人が


「と、殿っ!?よくぞ御無事で!」

「え?(ハナ)」
「ん?(アーク)」
「殿?(ハウンド)」
「こちらのお爺さんが…ですか?(ヴァンディット)」


足軽兵が発した言葉に理解が追い付いていない様だが、残りの足軽兵も


「殿っ!また生きて会えるとは…!」
「殿!息災で何よりです!」


と、喜びを露にしていた。


「私もまた生きてお主達に相見えるとは思ってもみなかった。
それもこれも皆、ここに居られる方々と、彼処で勇猛果敢に戦っておる少年のお陰じゃよ。」


殿と呼ばれた老齢の男性も、足軽兵達に会えて喜びに目頭を熱くしていた。

だが、直ぐに表情を真剣な物に変えて一行に向き直る。


「皆様、改めて御紹介をさせて貰います。
私はこの辺りを治めております"時雨"と申し、皆からは"殿"と呼ばれております。
今見て頂いた通り、この世界では"時"を用いて兵や民を生み出す事が可能。
普通は生きとし生ける物から"時"を頂き、己の糧にするモノですが、時羽軍はそんな我らから強奪しに参ったので御座います。」


頭を深々と下げながらそう説明する時雨。
するとその説明に付け足しするかの様に時羽軍の暴坊将軍がやって来て


ガガッ!

[そう言う事だ!
この世は"時"が全て!この地は"時"の生産に長けていた故に我ら時羽軍が丸ごとかっ攫いにやって来たと言う訳よ!]

ズズン!

〈近場にこれ程条件の良い土地があるのだ、奪い取るのは必然と言えよう?〉

シュタッ!

〔クケケ!〕


地均明王と闇蜘蛛も集まってそう宣う。
そこにアークが割って入る。


「さ、さっき女子供に手を上げるのは気が引けると言っていたじゃないか!?
だったら何故こんな事を…」

[ふははははっ!確かに気が引けるぞぅ!
だがこれも我らが生きる為じゃ。
お主は自身の生き死にに関わる事になってもそんな綺麗事を貫き通せる自信があるのかぁ?]

〈それにこの世界での生死は外に比べれば幾分軽い。
生き残りが居れば新たな生者を産み出す事も出来る故、片っ端から殺してもそこまで心は痛まらん。
まぁその生き残りが何処ぞで街を興してくれればまた奪いに行くがね。〉

〔ヒヒヒ…〕

[じゃが安心せい!主らは襲わん!
何てったってお主らを襲っても"旨味"が無いからのぅ。]

「は?」


暴坊将軍の言う"旨味"に反応するハナ。


["時"も落とさんし、見るからに弱い。
唯一時羽様の脅威となり得るのはそこの少年位じゃしの。]


暴坊将軍は、後方にある瓦礫の山を見てそう告げ、続けて地均明王が


〈この世の者達が死んだとて砕けて霧散するだけだが、外なる者達はその場に残り、誰かが処理せねば悪臭を漂わせ続けるだろう?
旨味も無く、処理の面倒な者を誰が相手にするか。〉 


何らかの矜持で"襲わない"と思っていたが、"襲う価値も無い"と言う理由であった。
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