ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

反撃

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「襲う価値も無いってか…
そんなのやってみなけりゃ「ちょっと待った。
相手が見逃してくれてるんだから変に挑発して余計な手間を増やすのは御免被りたいのだが?」


3人の挑発めいた発言に、食って掛かろうとするアークを制止する声が瓦礫の山の中から聞こえてくる。


ガラガラ…

「敵の足軽兵1人倒すのですら手間取る実力しか持ち合わせていないのに、この状況でその挑発は頂けませんね。
この場に居るのがあなただけなら構いませんが、周りにはハナさんや僕の仲間、あなたが躍起になってまで助けたお爺さんが居るんです。
それをあなたの不用意な発言1つでパーにする気ですか?」

[ほっ、感情的になるとはまだまだ若いのぅ。]

〈悪手も悪手だよなぁ。〉

〔ヘッ。〕

「う、うぅ…」


ウンザリ声のノアと他3人にボロクソに言われ、アークは無策での挑発を恥じた。


「それに漸く準備が完了したんです。
圧倒されてる"フリ"までして時間を稼いでいたのに、こんな所で変に手を出されたら溜まったモノじゃない。」

[ほぅ?"フリ"とな?]

〈その言い方だと、わざと我らの攻撃を受けていた様な口振りだが?〉

「えぇ、そのまんまの受け取り方で良いですよ。」

[〈抜かせぇ!〉]ズドンッ!


ノアの挑発めいた発言に、暴坊将軍は大太刀を振り翳し、地均明王は鉄塊の様な拳を構えてノアに迫る。


ガギッ!ガシッ!ドゴゴゴゴゴッ!!!

ボゴッ!ボゴゴゴッ…ズズン…

[ぬぅ!?]
〈何だと!?〉


ノアは素手で大太刀と拳を受け止め、脛の辺りまで埋まる程押し込まれたが、5メル程後退した所でピタリと動きを止めるのだった。

その異様さに暴坊将軍と地均明王は露骨な動揺を示す。


[ぬんっ!おおっ!おおおおおおっ!]ズズ…

〈ふんっ!くそっ!ビクともしねぇ!〉ぐぐぐ…


2人は力を籠めて押し込むが、徐々に押し返されていく。


ビキッ…ビキキ…[な、何…!?]

メリメリ…グチュル…〈がっ…あぐぁっ!?〉


ノアの指が大太刀に食い込み、刃が徐々に悲鳴の如き音を立て、地均明王の中指辺りで押さえていた手が皮膚を突き破り、骨に達していた。

するとノアから赤黒いオーラが吹き出し


『そんじゃ好き勝手暴れさせて貰うぞあーるじぃ…』

「あぁ頼むよ鬼神。
演技とはいえボコスカ殴られるのには少し疲れた。皆の護衛にまわるよ。」

『了解、素のステータスでも闇蜘蛛位なら対処出来るだろ?』

「まぁね。」


ノアは【一神同体】を発動し、鬼神と分離。
ハナ達の居る方に歩を進める。


(〔"闇蜘蛛位なら対処出来る"だぁ?
さっきまで避けるだけで精一杯だったじゃねぇか!
出来るもんならやってみやが…っ!?〕)

ジッ…


影の中を進む闇蜘蛛は、完全に気配を消した上で皆の元に向かうノアへ奇襲を仕掛けようとしたが、闇蜘蛛が現れようとしていた場所には既にノアの視線が止まっていた。


(〔な、何故俺が出てくる場所を「どうしたんです?仕掛けてこないのですか?」

(〔っ…!?〕)


ノアは近くの焼け落ちた家屋に視線を向けて殺気を放つ。


「たかだか気配を消した程度で良い気になるなよ?
気配が分からないなら別の手段で割り出しゃ良いだけだ。」

(〔…っ…〕)ニヤ…


ノアが何かしらのスキルを用いて闇蜘蛛を感知しているのは確か。
だが影の中に居る闇蜘蛛はニヤリと笑い


シュバッ!

「!?」

〔ヒョウッ!〕ボファッ!


突如影の中から飛び出した闇蜘蛛が周囲に黒いモヤを拡散させる。


ズズズ…

「ん?…目が…」


黒いモヤがノアに触れると、ノアの目が漆黒に染まり、目が見えなくなってしまった。

トッ

(〔視覚だけじゃねぇ!
聴覚に嗅覚、味覚に触覚に至る五感全てを封じるモヤだ!
これで貴様も終わりだ!ヒェヒャァッ!〕)

ヒュボッ!


闇蜘蛛はノアの首目掛けてその鋭い爪を突き放つ。


ガッ!ガギッ!

(〔ッ!?〕)


が、五感を潰されているハズのノアによって、寸での所で爪を掴まれてしまった。


〔なぁっ!?何故だ!?何も感じ取れるハズが「たかだか五感を潰した程度で良い気になるなよ?
良く見えてるぞ?アンタの纏っている黒いモヤの本体が、なぁっ!」

『『ビキンッ!』』『『ドズゥッ!』』

〔ヒュゴォオオッ!?〕


漆黒に染まった目で闇蜘蛛を睨み付けたノアは、<刃断ち>を発動して鋭い爪をへし折り、<渾身>を乗せて闇蜘蛛の両肩に深々と突き刺した。


「これで終わりだ。」ギュルッ!

ドヂュッ!〔ヒュッ…〕ズシャ!


闇蜘蛛の目の前で前宙したノアは、突き刺した爪に<渾身>を乗せた踵落としを打ち込み、闇蜘蛛の心臓を破壊。

闇蜘蛛は短い悲鳴を上げた後倒れ、動かなくなった。


"闇蜘蛛を討伐、報酬として"80分"と"眩ましの面"を獲得しました。〟


ボシュゥウッ!


闇蜘蛛が息絶え、黒いモヤが霧散すると、中から枯れ枝の様な四肢の老人の体があった。


ガララ…チャリ…


ノアは"時"の詰まったガラス玉と報酬の面を拾うと、一行の元へと歩いて行った。









『あっちは早々にケリが着いた様だな。
そんじゃこっちもさっさと済ますとしようや。』


ノアの方をチラリと見た鬼神は笑みを浮かべ、目の前で力の限りを尽くして押し込もうとしている暴坊将軍と地均明王に声を掛ける。


([な、何じゃこの得体の知れない殺気は…
今まで戦ったどんな者よりも強く、恐怖すら覚えるとは…!])

(〈召喚?変身?
その類いとは根本からして違う…!
俺が本気で押し込んでいるのにピクリとも動きやしない…!〉)


2人は鬼神を前にし、驚きのあまり声を上げる事すら出来ずにいた。


『返事が聞こえないな。
そんなら勝手に始めるぞ?』

ヒュッ!

ドゴォッ![うぉっ!?] ダカカッ!


暴坊将軍の側面に強い衝撃が走る。
馬上に居る暴坊将軍は慌てて手綱を引き、体勢を調える。

一体どんな攻撃をされたのか一瞬理解出来なかったが、答えは直ぐに判明した。

何故なら、地均明王の中指の骨を柄に見立て、武器として振るっていた鬼神がそこに立っていたからである。


〔おご…ぁあ…〕

[明王…おぬ『そぅら!もう一丁っ!』

ゴギンッ![うぐぉあっ!?]


地均明王の巨体が軽々と宙を舞い、凄まじい速度で馬に騎乗している暴坊将軍ごと叩き付けられた。


カッ!ボトッ!ボト…


馬上に居る暴坊将軍は大きく体勢を崩し、右の手綱を放して落ち掛け、叩き付けられた地均明王はその衝撃で己の歯が数本砕けて辺りに飛散した。


〈まっ、待っひぇ!待『ドゴォアッ!』

ドザッ![うぬぅっ!?]


地均明王から制止の声が上がるが、聞く耳持たずの鬼神が再び暴坊将軍に地均明王を叩き付けると、遂に落馬。




ヒヒィイン"ッ!ダンッ!


主である暴坊将軍を守る為か、地均明王の返り血を浴びた重装甲の馬が大きく跳躍し、鬼神に迫る。

だが


『身軽になった上でその行動は悪手だろう?』

ボッ!

『『バァンッ!』』ドガァッ!!


半死半生の地均明王を高速で振り、迫り来る重装甲馬に叩き付けると、水気のある破裂音の後、近くの焼け落ちた家屋に突っ込んだ。


ヒヒ…ィ…ヒン…

『そこで大人しくしてろ。
向かってくる様なら今度は馬刺しにするぞ。
…って、あぁ…"こっち"は持たなかったか…
さて暴坊将軍、貴様は【鬼神】の名に恥じない戦いをご所望だったな。
正真正銘の"鬼神"が相手してやる。
さぁ死合おうじゃないか。』


"地均明王を討伐、報酬として"150分"を獲得しました。〟
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