ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

"神々の恩恵(ベネフィシアル)"

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チッ、チッ、チッ…

「ふむ、間も無く11時間…決戦の時か…
"外なる者"を討ち倒し、我の野望実現の足掛けにしてくれようぞ。」


焼け落ちた天守閣で胡座をかいていた金成は、徐に懐中時計を手にして時間を確認。


ダンッ!

「はぁっ!」


立ち上がった金成は、焼け落ちた天守閣を飛び出し、ノア達の居る城下へと降りて行った。








「皆の者っ!
間も無く戦闘が開始される!
急ぎ持ち場に移動し待機せよ!」

「「「「「「おぅっ!」」」」」」


金成が告げた総力戦開始の時刻まであと僅か。
徐々に緊張感に包まれる中、皆思い思いに時を過ごしていた。

ハナやハウンド、ヴァンディットにラインハードは、11時間という長くも短い時間の間にお世話になった者達へ挨拶に向かっていた。

アークは先程一足早く時雨に挨拶を済ませ、4人に着いていった。

ちなみにではあるが、ずーっと抱いていたアークに対する違和感の正体がこの11時間の間に漸く判明した。

と言っても本格的な調査等はダンジョンを出てからとなるので、一先ずこれから始まる金成との戦闘を無事終える事が先決である。


(この部分については後日の【閑話】で記載する予定です。)


「ノア殿、今日この日の事は決して忘れはしません。
復活した皆と共に再び再戦の機会を与えて下さったあなた様には、感謝してもし切れませぬ。
健闘をお祈り致しますぞ。」

「えぇ。皆さんもご健闘をお祈りします。」


短めに別れの挨拶を済ませた後他の兵同様に持ち場へと駆けて行った。





「さて、皆さんは急ぎヴァンディットさんの影の中へ退避して下さい。」

「ノア君、ご武運を。(ハナ)」
「騎士でありながら共に戦えず申し訳無い…(ハウンド)」
「ノア様、ポーション類の準備、影の使用いつでも大丈夫です。(ヴァンディット)」
「魔装鉄甲の整備は完了してるから徹底的にやっちゃって良いよ。(ラインハード)」

「今回は色々と済まなかった。
何れ助けが必要となる時は力になる事を誓おう。(アーク)」

「まぁ先ずはこの局面をどうにか乗『ドォオン…』…今の音は…
どうやらあちらもやって来た様ですね。
さぁ、皆さん早く!」


アークと話していると、遠くから何かが降り立つ音が響く。その音と共にその場に緊張が走る。

一行へ急ぐ様に促した後、ノアは音のした方向へと体を向けた。







ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…

「これはこれは…一度我々に滅ぼされかけたこの国の方々…今度こそしっかり滅ぼし、我の野望の糧としてあげましょう。
…それと"外なる世界"の少年よ、貴様は今まで相対してきた"外なる者"とは違う存在。
正しく"理の外に居る者"の様だな。」

「何です?時間稼ぎのつもりですか?」


金成はノアの前にやって来るなり何やら語り始めた。


「時間稼ぎなど飛んでもない。
約束の時間まで後3分45秒あるのだ、それまで少しお話ししようじゃないか。」

「…いやに正確ですね。」

「この世界では"時"は特に重要だからな。
一分一秒も無駄には出来ん。」

「なら僕から質問良いですか?」

「何だ?言うてみよ。」

「そんなに"時"が重要なら何故11時間の猶予を与えたのです?
まぁ大方、邪魔な存在の僕らを排除する為、残された1時間ひたすら逃げ回るのが目的か、自身の準備が整うまでの時間稼ぎと言った所ですかね。」

「貴様は"外なる者"だろう?
ならば逃げ回ってこの場を凌いだとて、また出会すやも知れん。
ならば今この場で仕留めておいた方が安心して野望を全う出来ると言うもの。
故に後者が正しいな。」

「それではもう1つ。
さっきから言ってる野望って何なのです?」

「ふむ、死に行く者が理由も知らずに死ぬのは心残りであろう。
良い、教えてやろう。」

「良いのかい。」


金成は妙にサッパリとした気質の様で、先程から言っていた"野望"について語り出した。






ジャラ…

「ん?懐中時計…ですか?」


金成は懐から懐中時計を取り出してノアに見せびらかす。


「あぁ。
だがただの懐中時計ではない。
これは"神々の恩恵(ベネフィシアル)"と呼ばれる導具でな、これに"時"を供物として捧げれば、文字通り"恩恵"を授かる事が出来る。」

「"恩恵"?」

「あぁ。
まぁそれに関しては追々身をもって体験して貰うとして、簡潔に我の野望を述べよう。
我の野望は"時と言う概念を突破し、【神】と呼ばれる存在へと成る事"d『ズバァッ!』a…あれ?」


金成が言い切る前に荒鬼神を抜いたノアが首を撥ね飛ばす。
超速の抜刀であった為、金成は反応出来ないまま首が宙を舞う。


「どうせそんなこったろうと思いましたよ。
"時を供物として捧げれば"の辺りで嫌な匂いがプンプンしましたしね。」


ノアは宙を舞う首を見つつそう言い放つ。
そして更に


ザッ!ゾッ!ドバババッ!


撥ね飛ばした後にも関わらず言葉を発した首目掛けて斬撃を飛ばして木っ端微塵とした。

のだが


ガチンッ!チキチキチキチキ…

ギュルルルルル…


「…高速再生!?
…と言うより、"時間が戻ってる"と言った方が良いのか…?」


懐中時計から音が鳴り、中の秒針が動くと、木っ端微塵となっていた金成の頭部が逆再生の様に復元されていく。

そして最終的には胴体と繋がり、元通りとなったのである。


「…全く、人が説明していると言うのに…
だが説明の手間が省けたな。
今の逆再生も、導具"神々の恩恵(ベネフィシアル)"から授けられた"恩恵"の1つである。
この導具へ段階的に"時"を捧げれば"恩恵"をこの身に宿す事が出来るのだ。」

「要するに、この国の人達を殺して得た"時"をその導具に捧げようとしたが、僕らに邪魔された、と言う訳ですね?」

「まぁ簡単に言えばそう言う事だ。
この国の連中から奪った"時"では僅かに足らなかった故、残存する兵を"時"に還元し、導具に捧げようとしたが、その兵すらも貴様らに倒され、必要分が足りない状態なのだよ。」

「つまり今のアンタは不完全な状態と言うわけですか。
別にアンタが【神】になろうが知った事では無いが、やり方が悪かったな。
これ以上この国の人達を殺させやしませんよ。」


そう言って再び荒鬼神を構え直すノア。


「そう、今の私は不完全な状態。
あともう少しで5段階中、4段目の"恩恵"を得られる所だったのに…
だが"時"を得る方法は他にも『ズブッ!』あるのだよ!」

「!?」


突如金成は、自身の胸に手首まで腕を突き入れだした。
突然の行動に反応が遅れたノアは何も出来ずにいた。


ズグッ…ズヌヌ…

「先程の問いの答えだが、実は理由がもう1つある!
我の"時"を"1時間だけ"残し、それ以外の"時"を全て"神々の恩恵(ベネフィシアル)"に注ぎ込めば4段階目の"恩恵"を授かる事が出来るのだよ!」

ドンッ!

「させるかぁっ!」


金成の策略を食い止めるべく、ノアは超速で斬り掛かる。




「"減速(ディザ・セレラッセオン"。」

ズゥウ…

「っ!?」


目にも止まらぬ速さで接近を図っていたノアだが、小走り程度の速度まで低下する。


「現段階では5秒程しか効果を持続出来んが、5秒あれば十分だ。」

グボッ!


金成が腕を抜くと、"時"が詰まった掌サイズのガラス球が握られていた。


「さぁ"神々の恩恵(ベネフィシアル)"よ!
我に"恩恵"を授けよ!」

ガチンッ!チキチキチキチキ…

ガコンッ!


金成の持つ"神々の恩恵(ベネフィシアル)"と"時"の詰まったガラス球が接触すると、金成の背後に巨大な文字盤が出現し、辺りは光に包まれた。








[くっくっく…
"また"お主と戦えるとは思わなかったぞ!金成様!
再びの生に感謝致す!]

〈先程は屈辱的敗退を期したからなぁ、今度は慎重にやらせて貰うぜ…〉

〔クケケケ…〕

「…おいおい、嘘だろ…」


目が眩む程の光が収まると、ノアの前方には金成以外に先程倒したハズの暴坊将軍、地均明王、闇蜘蛛に加え、足軽兵が少なくとも500人程が犇めきあっていた。
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