ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

完成待ちの雑談

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ガンゴンガガンゴンッガンッ!

ガンガンッ!ガガンガンッ!


熱々に熱せられた荒鬼神をドワーフ3人が叩き始めて早10分。
ノアの要望である直剣と刀の形が既に見えており、 鍛冶に関しては全くのド素人であるノアからしても異常な早さで仕上がっていっているのが分かる。

ドワーフ3人は、手に数千度にもなる荒鬼神を持ち、大量の汗をかいているがその表情は非常に晴れやかである。


「はっはっは!コイツはええ武器じゃった様じゃな!」

「え?」

「鍛冶を生業にしておるとな、得物に触れただけで今までどんな戦いをしてきたか分かるもんなんじゃが、坊の武器からはそういったモノが感じ取れん。
ワシらにとって想像出来ぬ戦闘を繰り広げてきたお前さんだからこそじゃな。」

「それにこの武器は今までよりも良い武器になるじゃろう。
何せ″龍の息吹き″を受けたんじゃ!店売りの剣でも魔剣に早変わりじゃぞ!」

「え?そうなんですか?」


ドワーフ達の話では、基本的に″竜″や″龍″に関する素材を使用すれば、品質所か武器としての格が上がるらしく、非常に重宝されると言う。

なので西の方角にある竜種系ダンジョン『ドラガオ』にはひっきり無しに冒険者が訪れているらしい。

但し素材を使えば必ずしも強力な武器になる訳では無く、土台となる武器自体も″竜″や″龍″の力に耐えられるだけの業物を必要とするし、素材の品質や量も関係する。

御守り程度であれば″竜″や″龍″の体毛数本で事足りるが、剣に使用するとなれば、最低でも新鮮な鱗や牙が武器の重量の半分以上必要になる。


今回の場合、グリードのブレスで荒鬼神を融かした為、品質、量共に最高レベルである。

はてさて、一体どんな仕上がりになる事やら…







「…いやはや…火柱が上がった時には肝が冷えたが、漸く俺の知ってる鍛冶場らしくなったな…」

「あ、デミさん。
すいません、場所を貸して頂いて…」

「いや、これ位訳無いさ。
隣接する獣人国と友好関係を結べたし、岩塩の場所貸しやらで領内は潤ってきた。
君には感謝しか無いよ…」

「僕はそこまでの事をしたつもりはありません。デミさんの頑張りがあったからでしょう。」

「ふ、君は相変わらずだな。」


自身の住まう館から立ち昇る火柱を見て慌てて駆けてきた若き領主のデミだが、取り敢えずの危険が無い事を確認し、安堵してノアと会話する事にした。


「それにしてもまだ″アレ″から数日しか経っていないのに子供達は大分元気になりましたね。」

「あぁ。領内で暮らす者達も驚いていたし、パーティの皆も「狩りが追い付かない」と嬉しい悲鳴を上げていたよ。。
だが心の問題を解決するのには、まだ時間が掛かりそうだがね…」

「あぁ…そうでしょうね…」


ノアは先程の出来事を思い出す。
見た目的に獣人国に居る獣人の子供達と変わらないが、時折見せる表情に少し陰りがある。

デミの話では、夜になると発作的に泣き出す子や、暗い場所だと不安がって寝られない子が居ると言う。

だが、子供達の中でも年長の子供グループが協力し合い、直ぐに対応している為、大きな騒ぎにならないらしい。

これは奴隷だった時に、うるさくするとヒュマノの連中に罰を与えられてしまうからだ、という事を年長組の子供から言われたのだという。


「心の問題もそうだが、彼らにはキチンとした教育も施さなければならない。
今はまだ難しいが、何れはこの地に彼等の為の教育の場、学校の様な物を建てようと思っている。」

「良いと思いますよ。
もし僕にも手伝える事あればいつでもどうぞ。」








ガンガンゴッガンッ!

「ふぅ、大体こんなものかのぅ。
…にしても坊よ、一体お前さんは何と戦ったんじゃ?」

「んだぁなぁ。
阿羅亀の素材は人間界では破壊不可と言われちょる位強固な物だ。
フリアダビアん時やこの前の番人時ですら傷付かんかったのに…」

「そう言えばそうね。(ポーラ)」
「確かにー。(ロゼ)」
「昨日までは何とも無かったから『時の迷宮』行った後だよね?(クロラ)」

「実際に叩き斬られた俺からしても、何やって壊れたのか興味があるな。(デミ)」

「別に教えても良いけど、結構突拍子も無い事だよ…?」

「常に突拍子も無い人が身近に居るから今更何とも思わないわよ。(ポーラ)」

どぬっ。「ぐえっ。」


皆が思っていた事を代表してポーラが言いつつ、杖で脇腹を刺されたノアは、『時の迷宮』であった事を皆に話すのであった。








「『見た事の無いエリア』、『転送装置』、『魔界の生物』…ねぇ…確かに突拍子も無い話だわね。(ポーラ)」

「魔界って本当にあるのか…
本の中でしか聞いた事無かったからてっきり創作の物かと思ってたぞ…(ジェイル)」

「あ、でも『時の迷宮』内って別の世界と繋がってるって言うし、私達の暮らす世界には魔界は無いんじゃ…(クロラ)」

「いや、魔界ならこの世界にも存在するぞ。」

「「「「「「え!?」」」」」」


声のした方を見ると、そこには汗を拭っている最中のバドが立っていた。
隣にはルドとロイが居り、手には冷めた刀や直剣を持ち、調整やら刃の具合を見ていた。


「なる程のぅ、魔界の生物なら阿羅亀製の得物を削るなぞ容易い事じゃの。
″こちら側″に来る事なぞ滅多に無いから頭ん中から抜けとったわい。(バド)」

「んだぁなぁ。
好き好んで″こちら側″に来る奇特な者なぞ居らなんだからなぁ。(ルド)」

「んだんだ。(ロイ)」


ドワーフ3人組によると、魔界へ行くには″ゲート″と言う物を通らなければならず、その″ゲート″は世界各地に点々とあるにはあるらしい。

しかもその全てが過酷な場所にあるのだとか。


「ワシらは南にある『ボルカオ』っつー火山の麓に故郷があっての。
その火山の噴火口、更にマグマの海を潜った底に″ゲート″がある。
魔界の生物なら余裕で突破するモノも居るじゃろうが、まぁほぼほぼ″こちら側″には来んじゃろう。(バド)」

「何故来ないって分かるんですか?(ハクア)」

「″こちら側″は魔界の生物にとって魔素が薄過ぎるんじゃ。
″こちら側″に長時間居ようモンなら体から魔素がドンドンと抜けて動けなくなってしまうのじゃ。(バド)」

(あれ?…という事は…)

「もしかして戦わずに放っといたら、勝手に自滅してたって事ですか?」

「端的に言えばそうじゃが、坊の場合戦わに、増える一方じゃったから、選択の余地は元より無かったと言えるのぅ。(バド)」

「ふむむ…」ペチン。


「何てこったい。」と言いたげな様子のノアは、顔を叩いて天を仰ぐ。

ふと隣を見ると、クロラがノアの顔を覗き込んでいた。


「ノア君また大変な事に巻き込まれてたんだ。」

「えぇまぁ…
でも毎度の事ですが、別に狙った訳じゃありませんよ?」

「ふふ、知ってる。
でも少し気を付けて欲しいな。
そんなんじゃノア君、長生き出来ないよ?」

「…長生き…か…そうですね…」


言葉に詰まってしまったノアは、思わずふんわりとした返答を返す事しか出来なかった。
その際、僅かに目を泳がせた後に目を逸らしてしまったからだろうか、いつもと違うノアの反応に違和感を感じるクロラ。


「…え…ノアく『ジャキンッ!』「よぅし坊!待たせたのぅ、出来たぞぃ!」

「え?もう!?
あ、ホントだ!いつの間にか鞘まで作ってある!?」


クロラとノアの話に割って入るかの様に、バドが完成を告げる大声を上げた。
それを聞いたノアはそそくさとドワーフの方に駆けていくのであった。
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