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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~
修理は出来ませんよ。修理は。
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ガチャ…
「若様、失礼します。」
「お、どうした、ローザ。」
「ご友人のノア様が領に居らしてます。」
「え、そうなのか?
何だ、寄ってくれれば良いのに…」
「どうやら本日は滞在中のドワーフ方に剣の修理依頼に来られたそうですが、修理不可である為、″作り直す″様ですよ。」
「なる程な、ノア君の剣は素材からして一般的なモノと違うからドワーフに頼って来たのだな。」
「はい、そうで御座いますね。
つきましては、若様に『火気使用願い』を頂きたいとの事です。」
「まぁ鍛冶を行うのだから妥当だな。」カッ、カカッ!
スロア領領主のデミ・スロアは、執事のローザを介して届けられた書類にサインをする。
「…それでこちらが『空き地の使用許可書』になります。」スッ…
「ああ、場所の確保ね。」カッ、カカッ!
「で、こちらが『半径100メル以内の立入禁止願い』です。」スッ…
「うん?」カッカッ!
「そしてこちらが『結界発動の許可書』、『護衛人員の配置許可書』で…」スッ…
「なぁローザ。
今から鍛冶をやるんだよな?」
「そうですね。」
「結界とか護衛居る?」
「はぁ?」
「あれ?これ俺が間違ってんのか?」
カッ!!
「おわっ!?」
と、執事のローザと若き領主デミがやり取りを行っていると、突然窓の外が明るくなり、遠くで火柱が上がっていた。
「あっちは確か空き地のある方角…!
何だあの火柱は!?」
「火入れじゃないですか?」
「ねぇ何でローザはそんな冷静でいられる訳!?」バンッ!
通常の火入れとは思えない光景に、若き領主デミは部屋を飛び出していった。
ドワーフ3人から修理不可と言い渡されたノアだが、″作り直す″事なら可能らしい。
しかも『荒鬼神(アラキガミ)』の前身である『阿羅亀噛(アラキガミ)』ですら作成にそれなりの日数が必要だったのにも関わらず、僅か4時間程で製作してくれるとの事だ。
(嘘でしょ…( ̄▽ ̄;))
とノアが思うのも当然の事だが、ドワーフから「勿論条件がある」と言われた。
その条件は以下の通りである。
『・荒鬼神を一度融かさなければならないので、それを可能にする高温の熱源の確保
・その高温を長時間維持出来るだけの素材、又は燃料の確保 』
である。
すると直後、ノアの足下の影からヴァンデイットが。近くの地面から人間形態のグリードが姿を表した。
《私のブレスを更に収束させれば主様の剣を融かす程の温度に達するかと。》
「『時の迷宮』内で足軽兵さん達の刀を作る時にお手伝いしたら熾火(おきび)用の炭を大量に頂いたので、高温を維持出来るかも知れません。」
との事でヴァンデイットはドワーフの指示を受けて熾火用の炭をありったけ敷き詰め始め、3人もそれぞれ準備を開始したのであった。
「ね、ねぇクロラ?
何か色々起こり過ぎて私達頭が混乱してるんだけど、説明して貰って良い?(ハクア)」
「あー…うん…説明出来る範囲でなら良いよ…(クロラ)」
「ノア君の足下から女性が2人出て来たけど…彼女達は…?(ユカリ)」
「えっと、銀髪の美人さんは吸血鬼のヴァンデイットさんで、ノア君の従者さん。
尻尾が生えた黒いドレスの人はグリードさん。見た目は人間だけど、一応契約獣だよ。(クロラ)」
「え?契約獣って…人型の…しかも話せる契約獣なんて聞いた事無いよ…?(ハクア)」
「尻尾生えてるって事は竜人…?
…あれ?でも契約獣として契約出来たっけ…?(ユカリ)」
などと話していると、準備を終えたヴァンデイットがノアと共に皆の元へ戻ってきた。
「あ。ノア君おかえり。」
「ただいま。
取り敢えず何とかなりそうで良かったです。
今武器の要望を伝えてきた所です。」
「要望って…同じ物を作って貰うんじゃないの?」
「うん…そのつもりだったんですが、思いの外欠けたり削れたりしてたので全く同じ物は無理みたいです。
なので直剣と刀を2本ずつ作って貰う事にしました。」
「「「え?直剣と刀を、2本ずつ…?(クロラ、ハクア、ユカリ)」」」
ドワーフの見立てでは荒鬼神全体の2割程が欠け、削れているので、いくらドワーフと言えども全く同じ物に作り直すのは無理であった。
だが元々分厚い刀身であった為、ロングソードの様な直剣なら4本分は作れるとの事だ。
なのでノアの要望で刀と直剣を2本ずつ作って貰う事にしたのである。
「理由としては手数の多さと選択肢を重視した結果ですね。
後は僕の母さんが訓練の時に四刀流で戦ってたのもありますかねぇ。」
「「「よ、四刀流…?(クロラ、ハクア、ユカリ)」」」
ノアの母親である元上級冒険者の【殲滅剣士】のアミスティアは、ノア同様に一対多数を得意とし、4本の剣をお手玉の様に扱い、断続的な攻撃を仕掛けて対象を殲滅する戦闘スタイルである。
そんな母親の戦闘訓練をほぼ毎日受けていたノアは、次第に母親の戦闘スタイルに憧れを持っていたのである。
ボボボボボボボボボボボボボボボボッ!
「お、始まったな。」
少ししてグリードが破損した荒鬼神へ向けて炎を吐き始めた。
ボボボボッ…シュゴォオオオオオッ!
オレンジ色の炎が徐々に青色に変化し、音も激しい物に変化。
シュゴォオオッ…シュピィイイイイイッ!
更に収束させていき、グリードが日頃よく放つプラズマレーザーに変化。
でもまだ荒鬼神に変化は無いが、下に敷き詰められている熾火用の炭は既に赤々とした色になっている。
ィイイイイッ…ィイ″イ″イ″イ″ッ!
グリードは更に出力を上げているのだろう、音が更に激しいモノになり、太陽を直視しているかの様に視界が真っ白に染まる。
離れた場所に居る一行は目が眩んだのか、目を反らして顔を伏せていた。
「…し、…ぞ!後は…に…せい!」
イ″イ″イ″ッ…フシュッ。
凄まじい噴射音に紛れてドワーフの声が響く。
その直後ブレスの音が終息していったので、どうやら目標の温度に達したらしく、グリードの足下には真っ白く光り輝いている荒鬼神が鎮座していた。
ザッザッザッ…シュゥウウウ…
《主様、目標の温度に達した様なので、後はドワーフの方々が引き継ぐそうです。》
「うん、お疲れ様。
…口から煙出てるけど大丈夫?」
グリードは口から煙を立ち昇らせつつノアの下にやって来た。
奥ではドワーフ3人組が嬉々としてハンマーやトングを取り出して作業を開始し出した。
今回短いですがここまでで。
「若様、失礼します。」
「お、どうした、ローザ。」
「ご友人のノア様が領に居らしてます。」
「え、そうなのか?
何だ、寄ってくれれば良いのに…」
「どうやら本日は滞在中のドワーフ方に剣の修理依頼に来られたそうですが、修理不可である為、″作り直す″様ですよ。」
「なる程な、ノア君の剣は素材からして一般的なモノと違うからドワーフに頼って来たのだな。」
「はい、そうで御座いますね。
つきましては、若様に『火気使用願い』を頂きたいとの事です。」
「まぁ鍛冶を行うのだから妥当だな。」カッ、カカッ!
スロア領領主のデミ・スロアは、執事のローザを介して届けられた書類にサインをする。
「…それでこちらが『空き地の使用許可書』になります。」スッ…
「ああ、場所の確保ね。」カッ、カカッ!
「で、こちらが『半径100メル以内の立入禁止願い』です。」スッ…
「うん?」カッカッ!
「そしてこちらが『結界発動の許可書』、『護衛人員の配置許可書』で…」スッ…
「なぁローザ。
今から鍛冶をやるんだよな?」
「そうですね。」
「結界とか護衛居る?」
「はぁ?」
「あれ?これ俺が間違ってんのか?」
カッ!!
「おわっ!?」
と、執事のローザと若き領主デミがやり取りを行っていると、突然窓の外が明るくなり、遠くで火柱が上がっていた。
「あっちは確か空き地のある方角…!
何だあの火柱は!?」
「火入れじゃないですか?」
「ねぇ何でローザはそんな冷静でいられる訳!?」バンッ!
通常の火入れとは思えない光景に、若き領主デミは部屋を飛び出していった。
ドワーフ3人から修理不可と言い渡されたノアだが、″作り直す″事なら可能らしい。
しかも『荒鬼神(アラキガミ)』の前身である『阿羅亀噛(アラキガミ)』ですら作成にそれなりの日数が必要だったのにも関わらず、僅か4時間程で製作してくれるとの事だ。
(嘘でしょ…( ̄▽ ̄;))
とノアが思うのも当然の事だが、ドワーフから「勿論条件がある」と言われた。
その条件は以下の通りである。
『・荒鬼神を一度融かさなければならないので、それを可能にする高温の熱源の確保
・その高温を長時間維持出来るだけの素材、又は燃料の確保 』
である。
すると直後、ノアの足下の影からヴァンデイットが。近くの地面から人間形態のグリードが姿を表した。
《私のブレスを更に収束させれば主様の剣を融かす程の温度に達するかと。》
「『時の迷宮』内で足軽兵さん達の刀を作る時にお手伝いしたら熾火(おきび)用の炭を大量に頂いたので、高温を維持出来るかも知れません。」
との事でヴァンデイットはドワーフの指示を受けて熾火用の炭をありったけ敷き詰め始め、3人もそれぞれ準備を開始したのであった。
「ね、ねぇクロラ?
何か色々起こり過ぎて私達頭が混乱してるんだけど、説明して貰って良い?(ハクア)」
「あー…うん…説明出来る範囲でなら良いよ…(クロラ)」
「ノア君の足下から女性が2人出て来たけど…彼女達は…?(ユカリ)」
「えっと、銀髪の美人さんは吸血鬼のヴァンデイットさんで、ノア君の従者さん。
尻尾が生えた黒いドレスの人はグリードさん。見た目は人間だけど、一応契約獣だよ。(クロラ)」
「え?契約獣って…人型の…しかも話せる契約獣なんて聞いた事無いよ…?(ハクア)」
「尻尾生えてるって事は竜人…?
…あれ?でも契約獣として契約出来たっけ…?(ユカリ)」
などと話していると、準備を終えたヴァンデイットがノアと共に皆の元へ戻ってきた。
「あ。ノア君おかえり。」
「ただいま。
取り敢えず何とかなりそうで良かったです。
今武器の要望を伝えてきた所です。」
「要望って…同じ物を作って貰うんじゃないの?」
「うん…そのつもりだったんですが、思いの外欠けたり削れたりしてたので全く同じ物は無理みたいです。
なので直剣と刀を2本ずつ作って貰う事にしました。」
「「「え?直剣と刀を、2本ずつ…?(クロラ、ハクア、ユカリ)」」」
ドワーフの見立てでは荒鬼神全体の2割程が欠け、削れているので、いくらドワーフと言えども全く同じ物に作り直すのは無理であった。
だが元々分厚い刀身であった為、ロングソードの様な直剣なら4本分は作れるとの事だ。
なのでノアの要望で刀と直剣を2本ずつ作って貰う事にしたのである。
「理由としては手数の多さと選択肢を重視した結果ですね。
後は僕の母さんが訓練の時に四刀流で戦ってたのもありますかねぇ。」
「「「よ、四刀流…?(クロラ、ハクア、ユカリ)」」」
ノアの母親である元上級冒険者の【殲滅剣士】のアミスティアは、ノア同様に一対多数を得意とし、4本の剣をお手玉の様に扱い、断続的な攻撃を仕掛けて対象を殲滅する戦闘スタイルである。
そんな母親の戦闘訓練をほぼ毎日受けていたノアは、次第に母親の戦闘スタイルに憧れを持っていたのである。
ボボボボボボボボボボボボボボボボッ!
「お、始まったな。」
少ししてグリードが破損した荒鬼神へ向けて炎を吐き始めた。
ボボボボッ…シュゴォオオオオオッ!
オレンジ色の炎が徐々に青色に変化し、音も激しい物に変化。
シュゴォオオッ…シュピィイイイイイッ!
更に収束させていき、グリードが日頃よく放つプラズマレーザーに変化。
でもまだ荒鬼神に変化は無いが、下に敷き詰められている熾火用の炭は既に赤々とした色になっている。
ィイイイイッ…ィイ″イ″イ″イ″ッ!
グリードは更に出力を上げているのだろう、音が更に激しいモノになり、太陽を直視しているかの様に視界が真っ白に染まる。
離れた場所に居る一行は目が眩んだのか、目を反らして顔を伏せていた。
「…し、…ぞ!後は…に…せい!」
イ″イ″イ″ッ…フシュッ。
凄まじい噴射音に紛れてドワーフの声が響く。
その直後ブレスの音が終息していったので、どうやら目標の温度に達したらしく、グリードの足下には真っ白く光り輝いている荒鬼神が鎮座していた。
ザッザッザッ…シュゥウウウ…
《主様、目標の温度に達した様なので、後はドワーフの方々が引き継ぐそうです。》
「うん、お疲れ様。
…口から煙出てるけど大丈夫?」
グリードは口から煙を立ち昇らせつつノアの下にやって来た。
奥ではドワーフ3人組が嬉々としてハンマーやトングを取り出して作業を開始し出した。
今回短いですがここまでで。
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