ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~中級冒険者試験~

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「…何度も言っているが、一応私は中級冒険者パーティ並みの戦闘力は備わっている故、別に私は警護を頼んだ覚えは無い。
お主達が勝手に着いて来ただけではないか。(ロスト)」

「貴方が良くとも私共としては、はいそうですか、とは行かないのですよ。
貴方は自分が思っている以上の価値ある人なのですからな。(ゴーマン)」


どうやらロスト自身も快く思っていない相手の様である。


「ラインハードさん、ヴァンディットさん、ミダレさん、どうやら僕らはお邪魔みたいだ。
ここは一時解散しましょう。」

「「「は、はい…(ラインハード、ヴァンディット、ミダレ)」」」


場の空気を読んだノアは3人にそう伝えてこの場から離れる様促す。

するとその時


<へへ、あの女(ヴァンディット)、中々良いケツしてんなぁ。>

<俺だったらヒィヒィ言わせてやるぜ、へへっ。>

<ふ…止せ、ロスト殿に聞こえるぞ?(ゴーマン)>

「……っ…」ギュッ…


<聞き耳>を通して聞こえてきたのはゴーマンと、ゴーマンが連れてきた輩の下卑た会話であった。

ヴァンディットも少し聞こえていたのだろう、表情を歪め、ドレスを握り締めていた。 


「…ったく、程度はどうであれ、やっぱ貴族やその取り巻きは糞みてぇな奴が大半みたいだなぁ。」

「ん?そこのガキ、今何と言った?(ゴーマン)」

「ノ、ノア様っ!?(ヴァンディット)」


明らかに怒気が含まれた口調に慌てるヴァンディット。


「自分含め貴族らしからぬ会話が聞こえなかったのか?
耳垢掃除した方が良いぜ、アンタ。」

「おいそこの小僧、今の発言は冗談じゃ済まされないぞ?(ゴーマン)」

「分かり易く言わないと駄目か?
アンタらみたいな連中は居るだけで胸糞悪くなる。
僕らよりか、アンタ達の方がここから去ってくれませんか、貴族様?」


身振り手振りを踏まえ、街の入口を指差す。
ゴーマンはそれを静かに聞いた後、一言だけ


「我ら貴族を侮辱した。許す、殺せ。(ゴーマン)」

「「「「「へぃっ!(輩)」」」」」

「お、おいゴーマン!(ロスト)」

「ノア様っ!(ヴァンディット)」

「あ、あわわ…(ミダレ)」


ゴーマンの号令に素直に応じる輩共。
輩共の表情に迷いは無く、寧ろこれから行うであろう行為に嬉しさすら感じている様子である。


「ロストさん!」

「え?(ロスト)」

サッササッ(アイツら)スッスッ(殴って良い?)

…コクッ。(ロスト)


ノアはロストに確認を取る為、ハンドサインを行う。
ロストはそれを直ぐに理解し頷いてくれた。


「悪く思うなよ、ガキがぁっ!」ボッ!

スッ…ズズズンッ!

「おげぇぁあっ!?」ガクッ…


殴り掛かって来た輩の大振りな拳を最小限の動きで避けたノアは、がら空きになった脇の下、脇腹に肘鉄3発を繰り出して呼吸困難に陥らせた。

打たれた輩は悲鳴を上げつつ膝から崩れ落ち、その場から動けなくなった。


「え?え?(輩)」

(『おい、あの輩、何が起こったのか分かってないみたいだぜ?』)

(つまり取り巻きはその程度という事か…)


たった今行動不能に陥った輩の直ぐ後ろに居た輩は何が起こったのか分からず間抜けな声を上げる。

気付いた頃には懐に大股1歩分まで迫っていた。


「お、わっ!(輩)」ブンッ!

ヒュッ!ズムッ!

「ォゲェッ!」ビチャチャッ!


眼前まで迫られた事で慌てた輩は、腰の入っていない蹴りにも満たない足払いを繰り出して来たので、ノアは跨いで回避した後、鳩尾に抜き手を打ち込む。

あまりの痛打に、輩は胃の中の物を全て体外に吐き出して悶え苦しんだ。


「ッラァッ!」スラッ…

カッ!コッ!キンッ!パキョッ!

「へぇぁあああああっ!?(輩)」


とうとう剣を抜いてきた為、<刃断ち>を連続発動して剣を3等分に削り、手刀で手首を外す。

輩は情けない声を上げてその場に蹲った。


「な、何をしている!相手はたかがガキ1人だ!2人で掛かればどうとでもなるだろう、この木偶の坊が!(ゴーマン)」


サラッと残りの輩を貶しつつ檄を飛ばすゴーマン。


「ファイアナックルッ!(輩)」ゴッ!
「アイシクルスピアッ!(輩)」ボッ!


言ってしまえば炎のパンチと氷の槍による突き攻撃であるが、大した脅威ではない。


ガシッ!「ぬっ!?(輩)」
ガキッ!「ぅおっ!?(輩)」


炎のパンチは片手で、氷の槍の穂先を片足で抑えているだけなのだが、どちらもピクリとも動かない。

炎に晒されてはいるものの<熱耐性>がある為問題は無い。


ギリリ…「ぬぐぐっ…」ズシャ…

ヒュパッ!ガコッ!「ぅぎっ!?」ドッ!


受け止めた拳に力を掛けて輩を跪かせつつ氷の槍に足を引っ掛け、武器を奪いつつ輩の顎にヒットさせて地面に倒れ伏した。


「特にアンタら2人はタダじゃおかないぞ?
人の従者に卑しい目向けやがって!
″ヒィヒィ″言わすだぁ?
アンタらを″ヒィヒィ″言わせてやるよ!」

『『ガッ!』』『『ギュゥウウッ!』』

「「ぃぎゃぁああああっ!
ひっ、ひぃい!痛いぃいいっ!?(輩)」」


屈強そうな輩2人の鍛え抜かれた腹筋を掴み、皮膚の上から内臓を掴むと、2人は悲鳴を上げてもがき苦しんだ。

『『メリメリメリメリ…』』

「た、頼む!ゆ、許し!許しへっ!?(輩)」
「お、俺らはそこのゴーマンとか言う貴族にか、金で雇われただけだぁっ!(輩)」

「だからって人の従者に下卑た気を起こしてんじゃねぇっ!」

『『ブンッ!』』『『ドザザザッ!』』


皮膚の上から内臓を掴んだまま10メル後方にぶん投げる。
輩2人は強かに石畳に滑り込むと、腹を抱えたまま揉んどり打った。

この間僅か30秒にも満たない短い時間であった。

そのままノアは悠然とゴーマンの方まで歩みを進めて言い放つ。


「この程度で大事な大事な貴族様の警護?笑わせるね。
″殺せ″″行け!″だけの簡単な指示飛ばすだけなら子供でも十分だ。
アンタが出張ったお陰で不要な争いが発生してしまった。アンタ、現場向いてないよ?」

「こンの…そこらのゴロツキ数人を屠った程度で粋がりおって…
パルディック家を相手にこんな事をしてどうなるか分かっているのか…?(ゴーマン)」

「いや、勝手に着いてきて勝手に騒ぎを起こしたのはお前であろう?
私の監督不行届けもある故、訴えられれば応じるつもりだが、お前の雇ったゴロツキが事を起こしたのだ、十分に責任はあるぞ?(ロスト)」

「なっ!?(ゴーマン)」


と、ロストからも突き放されてしまうゴーマン。すると苦し紛れか


「お、おい貴様っ!私をゴーマン男爵と知っての狼藉かっ!名を名乗れ!(ゴーマン)」

(『ガキ→小僧と来て貴様か。
最初よりは大分マシになったから次は″貴方様″かな?』)

「…そういえばヴァンディットさん、男爵ってどれ位偉いの?」

「え…?えっと、伯爵より2つ下で騎士よりも上の位になります…(ヴァンディット)」

「ふーん…」ガサガサ…

「おい!聞いているのか貴様!
名を名乗れと「はい。今日中級冒険者になりましたノアです。これで良いですか?」


ノアは懐からクリスタルブルーの冒険者カードを取り出してゴーマンに突き出した。
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