ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

真面目にやろう。

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【獣化】…獣人族であれば誰しもか持っているモノで、一時的に獣となり、自身が持つステータスを飛躍的に上昇させる種族固有のスキル。

だが種族によって上昇するステータスは違い、兎人族であれば聴覚と跳躍力が。
犬人族であれば攻撃力と走力、嗅覚が飛躍的に上昇する。



『グルルルルル…』


″『おおおっとぉっ!?ヴァモス君が【獣化】を行った様です!
確か狼の場合、攻撃力と速度上昇、威圧力が上昇するハズです!
これで2人に痛手を与える事が出来るのでしょうかぁっ!』″


「【獣化】、か。
まぁそう来るだろうな。(ゴフゥ)」

「ステータス上昇と言ってもたかが知れている。それよりも早い所決着を着けよう。
あの状態は負担が大きいからな。(ゴファン)」

「だな。(ゴフゥ)」


2人が言う様に、【獣化】は自身のステータスを飛躍的に上昇させるモノだが、その分体に掛かる負担はそれなりなモノでもある。

それを鑑みた2人は狼の姿となったヴァモスに向かって歩みを始めた。


パァンッ! 

「っ!?(ゴフゥ)」
「っ!(ゴファン)」バッ!


突如目の前で破裂音がしたかと思えば、狼の姿となったヴァモスがその場から姿を消した。

だがゴファンの視界の端に青白い光の筋が僅かに映った事で、咄嗟に左腕を顔の側面に構え出す。


バチィッ!

『チッ…』

「っぶねぇ!(ゴフゥ)」

(おいおいどうなってやがる…
ステータス上昇率がバグってんのか?
上昇所か倍加してる様に見えるぞ!?(ゴファン))


防御の構えを取ったハズであるが、それを僅かに突破する程の強い衝撃を受ける。
氷衣纏雷状態と【獣化】を行ったとは言え、ステータスの上昇値は大した事は無いと高を括っていた2人は面を食らうのであった。


パァンッ!パパァンッ! 

((更に加速した!?))


たった今行った攻撃が防がれ、更に加速するヴァモス。
と言っても完全な姿は見せず、地面から上がる僅かな砂埃と氷衣纏雷の光の帯が僅かに見える程度であった為、ゴフゥとゴファンには臨機応変な対応が求められた。


パ!

(…背後…音…【獣化】状態で繰り出せるとすれば体当たりか噛み付き位だが…(ゴフゥ))


【獣化】はステータスが飛躍的に上昇する変わりに戦闘力が落ちると言われている。
何故なら獣と化している為拳が握れず、関節の動き的に蹴りも容易ではない。

魔法なら幾分マシではあるが、それでも全体的な戦闘力は落ちる。

ヴァモスも例外では無く、狼形態となった為、繰り出される攻撃方法は大体絞られていくのである。


ボッ!


音と反応で、背後から体当たりを仕掛けてくると踏んだゴフゥは、迫るヴァモス目掛けて後ろ回し蹴りを繰り出した。




ヒュオッ…

「あれ?『パシッ!』ぬがっ!?
『ビシャァアッ!』ぶっ!?(ゴフゥ)」


そこには狼形態のヴァモスでは無く、【獣化】を解除したヴァモスの姿があった。

ゴフゥの後ろ回し蹴りは空を切り、代わりに腰を切ったヴァモスの尻尾がゴフゥの顔を叩き、瞬間的に目潰しを行う。
それだけに留まらず、ヴァモスは氷衣纏雷状態な上、<渾身>を乗せた後ろ回し蹴りをゴフゥの顔面に叩き込んだ。

端から見ればカウンターを叩き込まれた様なモノである。
幾ら頑強な犀獣人とは言え、顔面に食らえばかなりのダメージである。


「ぐっ…ンナロ!(ゴフゥ)」ブォンッ!

バチンッ!


顔面に蹴りを食らい、地面に倒れ込みそうになりながらもゴフゥは追加で蹴りを放つが、既にヴァモスはその場から離脱していた。


バチチッ!

『グルルル…』


2人から少し離れた場所まで移動し終えると、既にヴァモスは狼形態に戻っており、隙を見逃すまいと睨み付けていた。


″『おおおおっ!目にも止まらぬ攻防!
ここに来てゴフゥが膝を付いた!
つまり子持ち筋肉ダルマ(ゴフゥの事)にとって相当な一撃だったと見て取れます!』″


「ちっ、酷ぇ言われようだな…
で?ダメージの方はどうだ?(ゴファン)」

「あー…今のは効いたぜ…
【獣化】を加速に使い、俺達の防御を突破する程の攻撃力まで持ってきやがった…
【鬼神】と一定期間居ただけあってテクニカルな戦法を取ってきやがる…(ゴフゥ)」

『グルルルルルォアッ!』

バキュゥンッ!


尻餅を付くゴフゥを他所に、ヴァモスは咆哮を上げつつ再び高速移動を開始した。


「さて、どうやらヴァモス君の方は本気を出してきた様だが?…(ゴフゥ)」

「なら俺達も真面目にならんとな。
本気で来ている相手に失礼だ。(ゴファン)」

『『ポゥ…』』ざわわ…




今更であるが彼等は【波動拳士】。
試合開始直後から適正の力、スキル等を一切使用せず、己の地力で戦ってきた。

だがヴァモスの一撃を受けて火が着いた2人は、いよいよ以て【波動拳士】としての力とスキルを存分に振るう事にした。

そんな2人の体は淡く光出し、靡かせていた金髪が逆立ち始める。
じわりじわりと彼等から殺気が立ち始めたのであった。





バチッ!バチチッ!

(2人の雰囲気が明らかに変わった…
体にオーラ(?)の様な物を纏っているけどあれは『ヒュッ!』一た『ドゥンッ!』

『グギャ…カッ…!?』


2人の動向を観察していたヴァモスだったが、<縮地>で瞬時に接近して来たゴフゥの掌底が右の脇腹に突き刺さる。

ヴァモスは2人から一切目を逸らしておらず、感知系スキルは全て発動していたのにも関わらず全く反応出来なかったのであった。

この一撃の威力はカなりのモノで、ヴァモスの体が地面から僅かに浮く程である。


「ふぬんっ!(ゴファン)」ギュンッ!

『カッ、カハ…!?』


直後、ゴフゥが打ち込んだ手を腰の辺りまで引き戻し僅かに静止したかと思うと、その手に光の塊の様な物が現出した。

ヴァモスはそれを見て回避行動を取ろうとしたが、地に足が着いていない為回避が敵わなかった。


「ハァッ!」ゴバァアッ!

『グォアアアアッ!?』


光の塊を懐目掛けて発射されたヴァモスは、全身に強い衝撃を受け、そのまま闘技場の端まで吹き飛ばされてしまった。


ォォオ…ドガッ!

『ガフッ!』バシュゥッ!

「かっ…げふっ…」


闘技場端の観客席との仕切りに体を強く叩き付けたヴァモスは【獣化】が解除され、その場で踞ってしまった。


「「「「「「「「オオオオオオッ!(観客)」」」」」」」」


″『で、出ましたぁっ!
これが超犀野人2の必殺技″波動弾″!
自身が持つ″気″を光弾に変換して発射すると言うトンデモ技ぁっ!
全身くまなく衝撃が伝播する為、激痛に苛まれる事必至!
しぶとく食い下がってきた歴代の対戦者ですらコレを食らってしまって立ち上がった者は居ません!』″


「が…ぁぁあ…っ…」


実況が説明の間もヴァモスの全身には、反復された激痛の嵐が断続的に襲ってきていた。

立つ事も、息をする事もままならず、ただもがき苦しむ事しか出来なかった。


ザッザッザツ…

「この技は発動に少し時間が掛かる故相手を浮かせたタイミング以外発動を控えているんだ。
″片手分″とは言え中々効くだろう?
取り敢えずこれでさっきのカウンター蹴りの分はチャラだな。(ゴフゥ)」

「アホ、やり過ぎだ。
″片手分″所か″指2本分″で良かったぞ。(ゴファン)」

「スマンスマン、あまりに良いものを食らったのでつい、な。(ゴフゥ)」


踞まるヴァモスの前でケラケラと笑うゴフゥ。
余程さっきの攻撃が効いたのだろう。


「でだ、ヴァモス君。
この辺で負けを認めて貰えないだろうか?(ゴフゥ)」

「は…っ…あ…」

「俺達には痛ぶる趣味は無いし、どちらにしろ今の君は身動き1つ取れないのだ。
良い提案だと思うがどうだろう?(ゴファン)」
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