ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

『槍サーの姫君』改め『ネプトゥリオ』

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「に、人魚さんの着ているドレスは龍宮城製ですか!?」

「えぇ。
ただ、一見するとヒラヒラとしたドレスにしか見えませんが、万が一戦闘に入っても大丈夫な様に、鎧としての機能も御座いますわ。(セレイア)」

「え?ちょっと端から見たら防御力がある様には…」

「このままですとそうですわね。
実際にお見せしましょう。<人化>。(セレイア)」

スタッ!


再び<人化>を発動したセレイアの尾びれは徐々に人の足へと変化していき、そのまま地面に降り立った。


「<ドライ>。(セレイア)」パキパキパキパキ…

「「「「「おおおおおおーっ!(一同)」」」」」


セレイアがスキルを発動すると薄紅色のドレスが徐々に肌に張り付いて行き、露出箇所を覆っていく。

ドレスの裾が徐々に硬化していき下半身を守る装甲板の様な物が形成されていく。

一見すると肌に張り付き、動きを阻害している様に思われるが、腕や足を曲げ伸ばしすると伸縮しているのでかなりの柔軟性がある様だ。


「そして最後に…『フォルター・ジ・バルターリオ』。(セレイア)」

ジャキンッ!シャキシャキシャキン!ズラァアッ…

「「「「「おおおおおおーっ!(一同)」」」」」


何やら呪文の様なモノを唱えると、肘や膝、踵から鋭利な刃物の様な突起が飛び出し、腕からは伸縮性のある鞭と刃物が合体したかの様な武器が出現した。


「解除。<人化>。(セレイア)」シュゥウウウウ…


大通りで武装状態なのもなんなので、セレイアは直ぐに武装を解除し、元のドレス姿と<人化>状態となった。


「す、凄ぇえー!
ね、ねぇねぇ次の質問しても良いかな!?」
「「あ、私も私も!」」
「人魚のお姉さんの好み教えて!」
「龍宮城への行き方を…」
「な、何か稀少な素材の情報を…」

「こらー!1度に何個も聞くなぁー!
今日は馴らしで来てるつってんでしょー!(ヤン)」


まだ聞きたい事が色々ある様だが、本日は馴らしで来ている為、流石にヤンが止めに入る。

それを受けて変に熱くなっていた街の人々は冷静さを取り戻した。


「一応今日から国交樹立式典までの間、朝昼晩全てで海洋種の人達が来るんだし、慌てないの。分かった?(ヤン)」

「「「「「「はーい!すいませんでしたー。(一同)」」」」」」


と、初の来訪直後にこんな事で悪い印象を持たれても何なので、皆素直に応じるのであった。





「それじゃあね、ノア君。
私これから獣人国をセレイアさんと一緒に回ってるからまたね。」

「えぇ、また。
そういえばすみません、王都で何れ連れていくと約束したのにすっぽかしちゃって…
もし『槍サーの姫君』さん達に会ったら伝えて下さい。」

「ふふ、今となっては気にしてないよ。
ノア君のお友達のジョーさんと一緒に行けたからねー。
それと私達、『槍サーの姫君』から『ネプトゥリオ』ってパーティ名に変える事にしたの。(ヤン)」

「『ネプトゥリオ』…良いパーティ名じゃないですか。」

「うん、前のは色々と誤解されそうなパーティ名だったし、変えるには丁度良い転機だったしね。(ヤン)」


そう言ってノアにピースサインをした『ネプトゥリオ』のヤンは、セレイアと共に通りを進んでいった。





~獣人国で国交樹立宣言が行われる数日前の早朝~


シタタタタッ!

「レドさん朝刊でーす!」ポイっ。

「毎朝どーも。」パシッ。


チーターの獣人が営んでいる新聞配達員からぶん投げられた新聞を受け取るノアの父親レドリック。


ガサガサ…

「なになに…『ヒュマノ聖王国に大嵐強襲によって数々の悪行が白日の下に』『ヒュマノ聖王国自滅へのカウントダウン』『約10年前から独自通貨の金比率を操作か』『現段階で数百億』『国際的に禁止されてる物品を数多く所有』か…
獣人国と戦争云々ぬかしてたが、こりゃ確かに勝手に自滅していきそうだな…」


羊皮紙製の新聞の隅々までヒュマノ聖王国がこれまでに行ってきた悪行がビッシリと記されていた。
それらの記事を読んだレドリックは呆れて嘆息していた。


「…あの国はあの日から狂っちまったからな…」





「おはようレド。もしかして待ってたの?」

「んにゃ。
終わったのは感知してたからアミが帰ってくるのはそろそろだと思ってたよ。
俺がこうして外に居るのは朝刊を読んでたからだ。」

「あらそうだったの。
わ、何かとんでもない事になってるみたいね。」

「漸く長年のツケが回ってきたって所だな。
自滅してくれんなら何処の国にも迷惑掛かんなくて済むからな。特に獣人国とか。
…それよりも、肩に担いでる″泥の塊″はミユキで良いんだよな?」


ノアの母親であるアミスティアの肩には泥塗れのミユキが担がれていた。
何故か死体の様にピクリとも動かない。


「えぇ、そうよ。
『襲撃4週目』だったから、私自ら強襲しに行ったの。
500発位は私の剣を凌いでたんだけど、あからさまな隙にまんまと引っ掛かっちゃって、そこで万事休す。
1番気が抜ける朝方を狙ったから時間にしたら30分位ね。」

「そうか…1時間持たなかったか…
聞いておくが本気は出していないんだろう?」

「勿論よ。
剣は1本しか使ってないし、体術何かも使ってないわ。」

「まぁ【勇者】とは言え、普通の女の子だったらこんなモノだろう…
取り敢えず風呂に入れてやって朝ごはんにしよう。」

「そうね。」


泥塗れのミユキを担いだアミスティアは風呂に、レドリックはアミスティアの代わりに朝ご飯を作りに台所へ向かうのであった。




ムグムグ…

「はぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~…
また何も出来ずに『襲撃』が終わっちゃったぁ~…」

「何だそんな事で落ち込んでいるのか。
アミの話では、剣戟を500発凌いだらしいじゃないか。
それだけ出来れば大したもんだよ。」

「無我夢中でどう凌いだか自分でも覚えていませんよぉ!
1ヶ月も特訓して貰ったのだからせめて反撃位はするのがセオリーってモノじゃないですか、普通!」


悲痛な叫びを上げる【勇者】ミユキであるが、それに対してアミスティアとレドリックはと言うと


「「いや、元から1ヶ月程度でミユキちゃんが強くなるなんてこれっぽっちも思ってなかったし。」」ムグムグ…

「うぇええっ!?」


そう呟きつつ朝ご飯のシチューを頬張る2人。


「1ヶ月すればノアと同じ様な強さを手に入れられる、と思ったのならそれは大きな間違いだ。
ノアと君とでは覚悟が違うからね。」

「ミユキちゃんにはこの1ヶ月で″スタミナ上げ″と″速さに慣れる″事を重視して貰ったの。」   
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