ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
690 / 1,124
獣人国編~御前試合の代表決め~

人の口に戸は立てられない

しおりを挟む
~冒険者ギルド・受付カウンター待機列~


ガヤガヤ…

「ねぇ、今更なんだけど、父さんも母さんも冒険者を引退してるんだよね?
って事はクランから除名されてるんじゃないの?」

「え?俺達、別に引退してないぞ。(レドリック)」

「え?」

「俺とアミのクランは指名依頼が結構来るんだが、対象モンスターや規模によってはクランメンバーでも対処が難しい場合がある。
そう言った案件が来た時に俺達が対処しなきゃならんから引退はしてない。(レドリック)」

「え?じゃあ、たまーに家を留守にしてるなー、って時は指名依頼請けてたって事?」

「そう言う事。
ほら、この間依頼内容と報酬が合ってなくて、ツェイ領の貴族とケンカしたって話(※)あっただろ?
それもその流れの一部だ。(レドリック)」 


※タイトル『レドリックとアミスティアの交渉術』の話。


「はい、次の方どうぞ。
あ、ノア君じゃないですか、今日はどうなされました?(受付嬢)」


と、ノアに自身の事を教えていると、前に居た別の冒険者の対応が終わりノアとレドリックを呼び込む。

するとレドリックは懐から丸い枠の中に十字の飾りが付いた印章を取り出してカウンターに置く。


「クラン『極大射程』リーダーのレドリックだ。
息子の訓練に、″滅びの森″の一画を間借りしたいんだが、更地にしても問題が無い場所は無いかな?(レドリック)」

「へ?(受付嬢)」

「は?(周囲の冒険者)」
「え?(周囲の冒険者)」
「あ?(周囲の冒険者)」
「はぁ?(周囲の冒険者)」


依頼の受注でも報告でも無く、″場所の間借り″という、恐らく受付係を始めて初となる要請に、受付嬢は素頓狂な声を上げる。

そんな要請を聞くのは初めてだったのだろう、周囲に居る冒険者達も一様に素頓狂な声を上げつつ2人の方を向く。

するとカウンターの奥から、岩の様な頑強さと3メルを越える巨躯の亀人、冒険者ギルド長のガラパゴがのしのしと歩いてやって来た。


のっしのっし…

「【鬼神】と【神出弓士】の2人が揃ってギルドに訪れたもんだから何事かと思ったが…
″滅びの森″の間借り?広さと期間は?(ガラパゴ)」

「半径300メル、3日3晩貸してくれると嬉しいんだが。(レドリック)」

「…ならお誂え向きな場所があるぜ。
先日の″森の番人″出現を受け、森の範囲を縮小、若しくは現状維持に止めよう、というお達しがお上の方から上がってきた。(ガラパゴ)」

「まぁ″森の番人″にとって、森の拡大はそのまんま脅威度に繋がるからな。
妥当な判断だと思うぜ。(レドリック)」

バサッ…

「…で、だ。
獣人国を出て正面に見える″滅びの森″を1時間程南下した所に、森と森との切れ間がある。
大体100メル程離れてはいるが、2ヶ月もすれば接続されると予想されている。
それ故、伐採措置の最有力候補となっている。そこだったら更地にして貰っても構わん。(ガラパゴ)」


ガラパゴがカウンターに周辺の地図を広げ、間借り出来そうな場所を指し示す。

森の範囲が徐々に拡大されているからだろうか、地図に描かれている森の外縁部が所々書き足されていた。

その森を辿っていくと端っこの方に切れ間があり、直ぐにまた森が描かれていた。

縮尺的に鑑みても切れ間は僅かなもので、ガラパゴの言う期間よりも早く接続されるものと思われた。


「獣人国から距離的に離れているし、出現するモンスターにも多少の変化があるから冒険者もあまり近寄らんだろう。(ガラパゴ)」

「よし、そこにしよう。
間借りの開始は明日の明朝から、っつー事で。(レドリック )」

ガサッ…

「了解。
じゃあ専用の用紙に2人のサイン頼む。
記入するのはココとココと…(ガラパゴ)」





「おい聞いたか?【鬼神】が御前試合に向けて特訓をするらしいぞ?(冒険者)」

「聞いた聞いた、森の南端だろ?
あの辺りって出現モンスターが少し違うからあんま近寄んないんだよな。(冒険者)」

「つーか特訓って1人でやるのか?(冒険者)」

「両親とやる、って言ってたぞ?
しかもあの【神出弓士】、【殲滅剣士】と。(冒険者)」

「え?あの【鬼神】とあの2人って親子だったん!?(冒険者)」

「通りで強い訳だな…(冒険者)」

「ふむ、その特訓とやら…興味があるな…(クラン『真の勇者』メンバー)」

「「「「「「…確かに…(冒険者達)」」」」」」

「我ら『真の勇者』のメンバーに加わるやも知れん者の特訓とやら、見届けてやるのも道理というものだな。(クラン『真の勇者』メンバー)」

(((((((何だ、コイツら…(冒険者達))))))))


と、ノアが″滅びの森″で訓練を行うという話は、冒険者から冒険者へと伝播。
数時間後にはしょうもない連中の耳にまで入っていった。







~早朝~

チュン、チュンチュン…

「昨日はよく寝れたかしら?(アミスティア)」

「うん、訓練前はしっかり寝とかないと持たないからね。」

「…にしてもギルマス、何が″冒険者もあまり近寄らんだろう。″だ、早朝だってのにまぁまぁ纏まった数の冒険者が居るじゃないか。(レドリック)」

(…僕の勘が言っている…何処からか聞き付けた人達がここにやって来ているに違いない…)


早朝だというのに、周囲を見渡せばざっと数えただけで20を越えるパーティが″滅びの森″周辺を彷徨いていた。


「お、あの辺りだな。
そんじゃ、まぁ『ザスッ!』目印を立ててっと…(レドリック)」

「『ビュンッ!』『ザスッ!』はいはーい。(アミスティア)」

「『ボッ!ボボッ!』っと…」


三人は冒険者ギルドから持ってきていた旗を次々に地面に突き刺していく。
これは″ここから先進入禁止″を意味する目印である。

それを見た周囲の冒険者達は、その旗付近で立ち止まり、ノア達の方を眺めていた。

そこから更に数分歩いていると、前日にガラパゴが伝えた通り、森と森との切れ間に到着した。


「そういえば、ここら辺って出現モンスターが獣人国近くのモノと少し違うんだよね?
何が居るの?」

「大半は変わりないが、ここから更に南下した所に『廃都』があるから、ヘンテコなモンスターがたまーにやって来る、って感じだ。
えーっと確か…(レドリック)」



~たまーに出現するモンスター一覧~

・ランペイジ・スカル・クロコダイル
・魔雲天ゴリラ(マウンテンゴリラ)
・ビリビリビー
・ゴールデン・レイドリーパー
・はっけよいのこった



「まぁたまーにしか現れないモンスターだから別に名前覚えなくても良いわよ。(アミスティア)」

(…何だろう、勘だけど出てきそうな予感がする…)


※出てきます。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...