ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

イメージよりも実践派

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(『主は意識していないかも知れないが、″鬼″と名の付くモンスターや種族が俺に対して怯えたり、妙に獣人から懐かれたりするのはこれが原因だったりするな。』)

(ねぇ、そう言うのって一番最初に言っておくものじゃないの…?)


今思えば中に居る鬼神の気配を駄々漏れにしていた訳だから、それに適した種族が畏れを抱くのは当然と言えば当然だろう。

獣人は強者の気配を感じ取りやすい種族の為か、やたら子供の獣人から懐かれたのもそう言った要因があった様だ。


(『俺が貸してるエネルギーを気配や殺気なんかと同じと思って貰ったら大間違いだ。
まずは段階的に…そうだな…水の塊をどうやったら″紙だけ″で封じ込めれるかをイメージしてみると良いんじゃないか?』)

(水の塊を紙だけで、ね。了解した。)


鬼神のオーラ(エネルギー)が無色透明で可視化出来ない物だったら話は別だったが、赤黒く、可視化も可能で鎧の様に体に纏わせて利用出来る為、変幻自在な水と例えるのは言い得て妙であろう。


~以下鬼神視点″((『』))表記の場合ノアにも聞こえていません″~


((『通常状態で20%。
俺の力を100%使用したかったら″俺という存在そのものを内包″する必要がある。
駄々漏れ状態の今のままでは蓋の開いた窯と同義。
内包、封じ込め、閉じ込め、逃げ場が無くなった力を爆発力に変える事が出来れば主に敵は居なくなるだろう。』))


中から外に居るノアを見つめつつそう心の中で呟く鬼神の目は、期待の籠った眼差しをしていた。


(なぁ鬼神、質問良いかな?) 

(『ん?どうしたい主よ。』)

(水の塊の規模を聞きたい。なるべく正確に。)

(『は?んなもんイメージなんだから主の好きな大きさで良いんだよ。』)

(´・ω・`)

(『…桶一杯分がイメージしやすいかな。』)

(分かった!)





((『…まぁ正確な方がイメージしやすいからな。
主は現物を前にした時の頭の回転は早いから、この程度は想定内、想定内。』))

(なぁ鬼神、質問良いかな?)

(『ん?どうしたい主よ。』)

(水の噴出量って大体どの位?)

(『んなもん適当で良いんだよ、イメージなんだから。』)

(´・ω・`)

(『…ほら前に家族3人で南にある温泉街に行った事あったろ?
そこで見た噴出する温泉。あれと同じ位と思って良い。』)

(分かった!なる程ね。)





((『全然進まねぇ…!
そうだった!ウチの主って設定がしっかり決まってないと書き出しから躓くタイプだった…!
村の学舎でいつも作文最後まで残ってたっけ…!
″物事をしっかり把握した上で動きなさい″って言う両親の教えをキッチリ守った結果、こんな所で躓く事になろうとは…!!』))


ちなみに外に居るノアはというと、イメージが分かずに棒立ち状態であった。


(『止め止め!″水″の考え方は止め!
主は今″吸血鬼″だ!自分の血を自由自在に操れる能力を持っていて現在全身から血が噴き出してて命の危機だ!
噴き出す血を操って体の中に戻すイメージを』)

(僕吸血鬼じゃないからそんな事出来ないよ?)

(『イメージだ!っつってんだろ!』)

((『あぁ、そうだった!
主はくそ真面目過ぎるんだ!
こういう時は頭空っぽにして取り敢えず試してみて、そこから試行錯誤して欲しいのに、変に考えすぎて出頭から立ち止まってやがる!』))


ノアと面と向かって話す鬼神だが、心の中では頭を抱えている事だろう。

戦闘面ではトリッキーな立ち回りが多く、アドリブが利きそうなモノだが、それは膨大な戦闘経験から来るモノであるのに対し、技術面では、原理や構造をしっかり理解してからでないと何と無く気持ち悪く感じる為、直ぐに行動に移せないでいた。

すると鬼神はヤケだ、とばかりに禁じ手を使う事にした。


(『じゃあ…あれだ!
何てこったい!主と恋仲にある嬢ちゃん達が何かの手違いで鬼人族になっちまった!
解放状態の主に近付けば発狂してしまうかも知れん!
そうならない為にもオーラの放出を止めなければならん!』)

ズズ…ズ…

(…あ、そう言う事…)

(『これは上手くいくんかいっ!』)


先程までうんともすんともオーラの放出を抑えられなかったノアだが、2人を引き合いに出した途端オーラの放出が幾分抑えられた。


(『へ、へへ、主の事だ、嬢ちゃん達を結び付ければ上手く転がってくれると信じてたぜ…
頭で理解出来ずとも身体では、ってヤツだな…』)

(色々と誤解されそうだからその言い方止めて…)


オーラの放出はある程度抑えられたとはいえ、まだ鬼神が思い描く水準には遠く及ばない。
だが大きく前進した事も事実であり、″この路線″で行けばオーラの封じ込みは案外簡単だと鬼神は確信した。


((『…考えろ…方向性は間違いない…
足掛かりとして嬢ちゃん達は上出来だがまだ決め手に欠ける…
″詰め″の細かな調整に必要不可欠な″相手(女)″が必要だ…ジョーん所の鬼っ娘でも良いが、奴等は″慣れてる″から有効では無い…
何処かに良い素材が居ないものか…』))

(…黙ってるけど、何か物凄く良からぬ事考えてない…?)


見た目赤黒いノアが険しい表情で顎に手を当ててウンウン唸っている。
これはだれがどう見ても良からぬ事を考えている様にしか思えないだろう。

そうして少し考えた後、鬼神の脳裏に手頃な相手を思い付き、直ぐに行動を開始した。


(『主、悪いが少し外すぜ?』)

(え?良いけど、何すんの?)

(『まぁ良いから俺に任せとけって。【一神同体】、っと。』)

ズズズ…


一応ノアから承諾を得てからノアの体から鬼神が飛び出してきた。


「あ、何か出て来て…あらやだ懐かしいわね。(アミスティア)」

「お、面と向かっては久し振りだな、鬼神。(レドリック)」

『よ。積もる話もあるが、今ちょっと思い付いた事があったんで少し外すぜ?』ダンッ!

「「行ってら。(レドリックとアミスティア)」」

「???」


そう言って鬼神を見送る両親達。
ノアは展開について行けずに混乱していた。

なのでノアの中で初対面のハズの両親と鬼神が既知の仲であった事にも反応が出来なかったのだった。





「…何か急に静かになっちゃったね…。(クロラ)」
「終わったのかしら…(ポーラ)」

「他の冒険者達は参考にならないからって帰っちゃったし、私達も戻る?(ハクア)」

「それか皆で一狩り行っとく?(ユカリ)」

『悪いがその前に頼まれ事を聞いてくんないかな?』

「「「「え?」」」」

ズダンッ!


クロラとポーラ、同郷の友人2人の前に赤黒いノアである鬼神が降り立った。
少し離れた場所に居たジョーの護衛兼従業員のルーシー姉妹は、途端に背筋を伸ばして固まっていた。


ズズズ…

「「ひ、ひぇええ…(ハクアとユカリ)」」

「た、頼まれ事って何でしょう鬼神さん…(クロラ)」

『そう畏まるなよ嬢ちゃん。
頼まれ事ってのは、人を呼んできて欲しいだけだ。』

「だ、誰をですか…?(クロラ)」

『ほら、アイツだアイツ。
″サキュバスのミダレ″って娘を呼んできてくれ、今の主には奴が必要だ。』

「え…(クロラ)」ズキ…

(その言い方は誤解を生んじゃうよ、鬼神さん…?(ポーラ))
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