ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

秘策

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『『ブゥンッ!』』ボボッ!

バシッ!ゴィンッ!ギュババッ!

ガシッ!ギュババッ!

ガガンッ!ゴガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!


槍2本を出現させたレドリックは即座に発射。
内1本を掴み取り、もう1本は蹴り返しつつ高速でぶん回して攻撃を開始。

蹴り返されたレドリックは槍を掴み取ると、ノア同様にぶん回して迎撃を開始した。


『『『『『『ブゥンッ!』』』』』』

ズドッ!ボッ!ズドドッ!ボボボッ!ボヒュッ!

ゴガッ!バチッ!ガガンッ!バチチッ!ゴガンッ! 

「ほぅ、この猛攻を凌ぐか。やるじゃん。(レドリック)」エルフの

「凌がなきゃ『ボボッ!』死んじゃうからね!『ゴガッ!』つか父さん『バチッ!』【弓】でしょ!?『ゴガッ!』何で槍射ってくるのさ!『ボボッ!』」


断続的に放ってくる槍による猛攻を槍で迎撃するノアは、レドリックに対して愚痴を吐く。


「この槍か?
前にどっかの貴族に喧嘩売られた時に、腹の虫が収まらなかったから兵舎にあった矢や槍等の兵装を根刮ぎ″ストック″してきたんだ。(レドリック)」

「『ボヒュッ!』それは略奪って言うんです!『ガガッ!』じゃあそこで死んでるダックス憤怒に突き刺さってるバリスタは!?『ゴガッ!』」


ノアは、発射される槍を弾きつつ、流れバリスタによって殺されたダックス憤怒の死骸を指差す。


「あれはモンスターの大群に攻め入られている砦を防衛してやったのに、報酬を出し渋った領主から″快く″頂いて″ストック″した物「それを略奪って言うんですー!『ガガッ!』」


ちなみに銛(もり)は、以前暴走した蜥蜴人(リザードマン)の群れを討伐した時にドロップした物で、巨木は以前巨人族と交流を図った後に餞別として貰った物だそうだ。
巨人族からしてみれば、巨木も矢として扱うらしい。


「だからって今この場で『ボボッ!』使わなくたって良いでしょ?」

「矢は射った後はせいぜいナイフ程度にしか使い道は無い。
巨木は遮蔽物や盾、槍や銛(もり)は攻撃や防御に転用出来る。
つまりノアにはそれらを駆使しなければ俺達でも″手に余る所まで成長した″って言いたいんだよ!(レドリック)」

「え…?」ドキッ…


思いがけないレドリックからの評価に、思わず心が揺さぶられるノア。




「隙あり。(レドリック)」ボッ!

「『ガゴッ!』へぶっ!?」


レドリックの言葉を噛み締めようとしていたノアの顎を、レドリックが放った槍の石突きによる一撃が襲った。


「こらー、訓練中だぞ、気を抜くんじゃないぞノア。(レドリック)」

「うごごご…今のは見逃してよ…
滅多に無い父さんからの褒め言葉を噛み締めさせてよぅ!」


強かに顎を強打したノアは、顎を擦りつつレドリックからの愛のムチに愚痴を溢すのであった。





「で?何か良い案は浮かんだか?(レドリック)」

「?何の話?」

「おいおい…当初の目的を忘れたのか?
ここで訓練をやるキッカケとなったのは、式典での御前試合に備えての事だったろう?
だからわざわざ場所を用意してやったんじゃないか。
″必殺技″の1つや2つ思い付いたか、って聞いてんだ。(レドリック)」

「″必殺技″って…
『ズズズ…』この状態がある意味必殺技みたいなものだし…』


ノアは赤黒いオーラを立ち昇らせ、目を赤黒く染める。
何度もこの状態になっているからか、今では最初期程の疲労感は無く、瞬時に変身可能。
鬼神曰く″馴染んできた″らしい。


「攻撃力は爆発的に上がるけど素手のみの【鎧袖一贖】。
攻撃力はそのままに、速度と擬似的な回復効果を得る【一鬼呵成】。
中にいる鬼神を外に出して共闘出来る【一神同体】。
後はこの『スラッ…』荒鬼神ノ化身の能力が必殺技と言えば必殺技になるのかなぁ…」

「ふーん。(レドリック)」

「まぁこれらを駆使しても御前試合の対戦相手と勝負になるかどうか分からないし、これ以上の強化は見込めないと思うよ。」

(『そんな事無いぞ?』)

「へー…え?」

「ん?どうしたんだ?(レドリック)」


現在でも十二分に強いノアではあるが、御前試合の相手であるクラーケン相手ではどうにも火力不足感が否めない。

いつもの様に立ち回り、最終的には荒鬼神ノ化身の能力を解放してどうにかする予定であった。

が、中に居る鬼神から火力不足を補える秘策がある様で、その場で相談会が開催された。

流石のレドリックもこの時ばかりは攻撃の手を止め、息子の動向を見守る事にした。





ガサガサ…

「レドー、急に静かになったけどどうしたの?
殺っちゃった?(アミスティア)」

「殺らん殺らん。
ノア(の中)が何か御前試合の秘策を思い付いたんだとさ。(アミスティア)」

「ふーん。(アミスティア)」


旗印の所で一休みしていたアミスティアが2人の下へとやって来た。
軽い口調で物騒な発言がサラッと出てくる辺りこの2人も中々なモノである。


「…え?そんな事で良いの?」

(『そんな事って…これ結構大変な事なんだぞ?』)


ぶつぶつと鬼神と話し込んでいたノアが口を開いたかと思うと、どうやら当の本人にとって割と簡単そうな策だった様子。


「一体中で何を話してたんだ?(レドリック)」
「秘策とかって聞いたけど、何を思い付いたのかしら?(アミスティア)」

「…えっとね…
『ズズズ…』この状態…オーラを体中から立ち昇らせて眼が赤黒く染まってる状態が第一形態だとしたら、″オーラの放出を止めて内に留める″事で第二形態へと移行出来る。
って言ってた。』


普段ノアが力の根源である鬼神から力を借りている時はオーラを全身から立ち昇らせているが、その状態は″穴が空きまくっている風船を膨らませる為に息を吐き続けている状態″に等しく、全ての行動に対するエネルギー効率が悪い状態なのだと鬼神は言う。

オーラの放出を制御して内に留める事が可能になれば、今まで放出させていた分の無駄なエネルギーを使用可能になる為、全体的なステータスアップに繋がるのだと言う。


「なる程、確かに一理あるな。(レドリック)」

「試しにやってみたら良いんじゃないかしら?
聞く限りだと殺気を抑えるやり方と何ら変わらなそうだし。(アミスティア)」

『そうだね、やってみるよ。』


そう言ってノアは目を瞑ってオーラの放出を抑える事に集中し出した。





ズズズ…

『…あれ?』

「「何も変化無いぞ?(レドリック)」わよ?(アミスティア)」

(『そりゃ俺が貸してる力は膨大だからな。
ちょっとやそっとで制御出来ると思ったら大間違いだぞ?』)
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