ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

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~ヒュマノ聖王国・中央広場~ 


バキバキッ!ガララ…

「どうだ?金目の物はあったか?」

「殆ど何処も未達って感じだ。
″選別″を本格的に開始しなきゃならんな。」

「なら【鑑定】に掛けて″洗脳レベル別″に″選別″を行ってくれ。
子供は″1~3″、大人は″3~5″って所だろう。
軽ければ″施設″で済むが、重けりゃ…」 

「そこから先は俺達の預かり知らぬ所だ、俺達は俺達の仕事を全うするだけだ。」

「「「「っす。」」」」


″解体″作業に戻ろうとする男達だが、その後ろから


ドカドカッ!

「退いた退いた退いた!
【鑑定】と解呪系【上級魔法使い】、急げ!」


王城に踏み込んでいった先行班からの要請で、待機していた【鑑定】と【上級魔法使い】が城の中へと入っていく。


「何だ?城ん中で何か見付けたのか?」

「10年程前に死去したとされていた前王のツェド・ガーランドが監禁されてたんだとよ。」

「え!?ちょ、嘘だろ!
100歳は優に越えているだろう?」

「その上『隷属の首輪』と同様の拘束具を首や手足に着けられてたらしい。
それで解呪系【上級魔法使い】が駆け込んでったんだと。」

「…マジかよ…」





~王城・最上階の居室~


コォオオオ…

「…【鑑定】か?
まぁ10年位前に死んだハズの爺が居ったら【鑑定】するわな。(ツェド)」

「ど、どうだ?レイラ。この人は前王で間違いないか…?」

「…間違いない…この人は紛れもなくヒュマノ聖王国以前の旧スパルディアの王、ツェド・ガーランド本人よ…
拘束具でステータスは著しく弱体化しているけど、健康状態は良好よ…」

「この間の嵐であばら家同然になったが、野鳥も舞い込んできやすくなったから食糧には困らんかった。
拘束されとるが、体を鍛える分には自由は利くがな。カッカッカッ。(ツェド)」

「「「……っ…」」」


100歳を越え、老齢も老齢なハズのツェド・ガーランドだが、快活そうに笑う彼に対し、居室に踏み込んだ者達は困惑していた。

外に居る奴隷達以上の拘束具を着けられた前王が、何故この部屋で監禁されているのだろうかと頭を悩ませていた。


「のぅ、1つ聞いても良いか?
子供の元奴隷達は元気にしとるか?(ツェド)」

「「え!?」」

「あ、いや、実はこの間、この国で大規模な神隠しがあって…」


と、ヒュマノ聖王国から子供獣人奴隷が消失した事件は、世間一般では『神隠し』と抽象的な表現で公表されている。

世間では「絶対誰かが助け出した」と思われており、「でもヒュマノよりはマシ」として誰も追求していないのが現状である。

当事国となったヒュマノは、事件が発生した翌日には元奴隷達に制圧され、神隠しの真相を知る由も無く、それは居室にて監禁されていたツェドも同様だと思われていた。




「あー、待て待て。
この間1000人規模でこの国に侵入してきて子供達を何処ぞに連れていったじゃろ?
その子達が元気で暮らせているかどうかを聞いとるんじゃ。(ツェド)」

「「「っ!?」」」


ヒュマノに暮らす貴族達は救出作戦はバレていないものの、ツェドは何故か作戦の事を知っていて、より困惑する一同。

すると


ストッ。

「どうやら彼は既に知っている様です。
変に隠し立てするのも何なのでこの際話してしまいましょう。」

「「「うわっ!?」」」

「…その黒装束…王都の諜報部員じゃな?
何じゃ、王都も絡んどるんか。(ツェド)」


あばら家同然となった居室の天井の穴から黒装束の人物、王都の諜報部員ナサケが降り立った。


「えぇ、ですが私はあくまで裏方。
主導で行われたのは別の者ですが…(ナサケ)」

「主導したのはこの間の赤黒い奴だな?
期間が空いたつい最近、滅びの森でドンパチやっとった奴と気配が同じじゃて、王都の特殊部隊とかでは無く一介の冒険者じゃろ?
それも若くて相当な手練れの。(ツェド)」

「「「……っ!?」」」

「…やはり貴方は相変わらず恐ろしい…
故に分からない。何故貴方程のキレ者が「待て待て待て、頼むから儂の質問に答えてから質問してくれんか?
子供達は元気にしとるんか?(ツェド)」


救出作戦の時にノアの中に居た鬼神と会っているツェドは、主導していたのが鬼神(ノア)である事、素性は冒険者である事、そして相当な手練れである事を看破していた。(まぁそれ位は簡単に想像出来るだろうが。)

ナサケ自身、王都の諜報部員としての歴が長くキレ者として知られるツェドが何故ヒュマノの居室で拘束具を付けられ監禁されていたのか気になったが、それよりもツェドが子供達の安否を気に掛けていた為、返答する事に。


「その前に、もしそれを知ってどうするのです?
ここから抜け出して連れ戻したり、我々の仕業であると世間に公表するのですか?(ナサケ)」

「ちゃうわい。
こんな掃き溜めの様な環境よりも良い暮らしが出来とるのかが知りたいだけじゃ。
監禁されていたとは言え、元はこの国の王じゃったんじゃ。大切な存在が虐げられ、飢えに苦しんでおったら死んでも死にきれんわい。(ツェド)」

「そうですか…なら…(ナサケ)」


そこからナサケはツェドに子供達のその後や安否、近々の状況を知り得る限り伝える事に。
流石に隣領のスロア領に匿って貰っている事は伝えなかったが、それでも情報を聞いたツェドの表情はドンドンと柔らかなモノへと変化していった。





「…そうか、重傷者こそ居ったが今では全員快方に向かっておるか…。(ツェド)」

「元々獣人は治癒能力に長けていますからね、今では肉もバクバクと食べれる程回復していますよ。(ナサケ)」

「おい、まさか肉ばかり食わせとらんじゃろうな?穀物も食わせたらんと栄養が偏って「と、取り敢えずその『隷属の首輪』を外しちゃいましょうお爺さん。幾ら快活そうにしてても肉体の影響は大きいでしょうし…」ん?あぁ、そうじゃな…(ツェド)」


子供獣人達への栄養講座が始まりそうだったので、居室に訪れた解呪系の【上級魔法使い】が話に割って入り『隷属の首輪』解呪を薦めてきた。

すると


「あ、ちょっと待った。
解呪するなら全身に掛けず、ピンポイントで首と手足に掛けとくれ。
儂の体に施した″封印″まで解呪されてしまうからな。(ツェド)」

「「「「″封印″?」」」」

「ほれ『グイッ。』これじゃよ。
体に入れ墨の様なモノがあるじゃろ?
これが解かれると困るでの、解呪には細心の注意を払って頼むぞ?(ツェド)」

「は、はい。(【上級魔法使い】)」


ツェドが襟を引っ張って服の内側を見せると、老齢とは思えない胸板に炎の様な入れ墨が入っていた。


「…すいません、これは一体何の″封印″ですか?(ナサケ)」

「逆にこっちから聞きたいんじゃが、お主はどこまで″この国″の事を知っておる。
ここにお主達が居ると言う事は、他にも人員が城に入り動き回っとるのじゃろ?
上はここまでじゃが、″下″は何処まで探っておるのじゃ?(ツェド)」

「″下″、ですか?
地下2階の古びた牢や祭壇等はありましたが…(ナサケ)」

「なる程な。
つまりそこから下には誰も入っとらんと言う訳じゃな。(ツェド)」

「「「「え…!?」」」」ザワッ…


ツェドの反応からすると、王城の地下には何かある様子。


「意味深な事を言うて何やら企てておると思われても癪じゃから言ってしまうが、この城の地下、お主達が探し出した地下2階よりも更に下に『巨大な召喚陣』がある。(ツェド)」

「ま、まさか異世界から【勇者】を喚び出した時に使ったものか…!?」

「急くな若いの、まだ続きがある。(ツェド)」


ヒュマノ聖王国は【召喚勇者】であるミユキの召喚を世間に大々的に公表したものの、その召喚方法までは依然として分かっていなかった。

世界的に禁止されている禁術である為、もしその召喚方法が広く世間に知られれば悪用されるのは必至。
故に見付け出したら即抹消しなければならないのだ。


「本題はそこでは無い。
更にその下には『廃都』に通じる長い隠し通路があり、そこにこの″封印の正体″が居るんじゃよ。(ツェド)」
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