ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~国交式典・解放・擬似的大氾濫~

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『父さん母さん!』

「ん?何だ?(レドリック)」
「何?ノアちゃん?(アミスティア)」

『ヴァンディットさん、ラインハードさん!』

「は、はい?何で御座いましょう…?(ヴァンディット)」
「何?何?ノア君?(ラインハード)」

『バラスさんにアルキラーさん、その他の【暗殺】の方々!』

「なーに?ノア君?(バラス)」
「どうした?(アルキラー)」

(((((((その他…(その他の【暗殺】達))))))))

「何じゃ何じゃ?急に点呼取り始めたぞ?(バド)」
「恐らく坊が何か閃いたんでねが?(ルド)」
「んだらば武器の準備ばせんとな。(ロイ)」

「えー…でも″アレ″相手にどう立ち回れば良いんだろう…(エスメラルダ)」


巨大なサナギから羽化中である、″造魔核を内蔵されたエボル・バトフライ″を見たノアは、突然周囲で呆然と佇んでいた者達へ次々と声を掛けていく。

上体だけで既に50メルを超える蝶、″エボル・バトフライ″は、翅が引っ掛かりモタついている様子。

ノアは恐らくその隙に作戦を立てているものと思われた。


『傭兵の皆さん!エルグランドさんにツェドさん!
クリストフ…は一旦保留!「へ?」
ドワーフさん方!エスメラルダさん!』

「「「ヨシ来た!」」」
「よーし!頑張るわよー!(エスメラルダ)」


唯一『保留』と言われたつかえるキノコのクリストフがすっとんきょうな声を上げる中、その後も次々に名を上げていく。

そして


『今名前を呼んだ方々!
″即刻獣人国に退避″して下さい!』

「「「「「「「「「え…?」」」」」」」」」

「よし、任せたぞノア。(レドリック)」
「怪我しない様にね、ノアちゃん。(アミスティア)」


名を呼んだ者達に対してノアが告げたのは、立てているモノと思われた立案作戦の参加呼び込み等では無く、″退避勧告″であった。

そんな中でノアの両親であるレドリックとアミスティアの2人は、アッサリと獣人国への帰路に着こうとしていた。





「…ん?と言う事は、私に対しての『保留』と言うのは『残留』という事ですかな…?(クリストフ)」

『うーん…何か漠然とだけど、クリストフは頼りになるんだよね…』


顔は無いのにウキウキした様子が見て取れるクリストフに残留を促すノア。


『だからといって皆さんが戦力にならない、とかそう言う訳では無く、″あの″【魔王】が放ったと思しきデカい蝶に対処出来そうなのが、僕ら(ノア、クリストフ、エルダークラーケン(『殻壁』含む)、グリード)位なので、その上での判断です。』


レドリックとアミスティアがアッサリと身を引いたのは、先程の魔獣化スライムに対して有効打が無かったからだ。

再び″造魔核″絡みのモンスターが現れたとなれば、下手すれば殲滅の邪魔になるのでは、との判断である。

それとノアは、獣人国に両親が居てくれれば万が一獣人国にエボル・バトフライが飛来しても、倒すまではいかなくとも迎撃してくれるハズだ、との考えである。


『『『『バキバキバキバキ…!』』』』ズルリ…


『マズイ!もう翅が出て来た!?
皆さん!思う所はあるでしょうが急いで避難して下さい!
僕らはこのままヤツの所に向かいます!
あぁそれとヴァンディットさん!また約束破っちゃうかも知れません!先に謝っておきます!』

「ほらね!(ヴァンディット)」


純白の身体から延びる銀色混じりの翅が巨大なサナギの中から現れた。
これが普通の蝶の身体構造であれば後は胴体を残すのみなので、飛翔するのも時間の問題と言えた。

とは言え、唐突に退避勧告を宣言された者達からは、さぞ反感を食らうモノと思われた。

のだが


「なぁんが言っちょる!こん防衛戦の頭は坊じゃろ!
なら従うのが道理っつーもンじゃ!(バド)」

「「んだんだ!」」

「言っても無駄だと思うが、無茶だけはするんじゃないぞ!(エルグランド)」

    
と、最初は驚いていたがすんなり受け止めてくれた。

そんな中


「…私の名が上がっていませんでしたが…?(ナサケ)」

『ナサケさんは王都の諜報部員ですから、情報を得ずに引き下がるのは如何ともし難いでしょうから、諜報活動に専念してくれるなら同行して貰って構いません。』

「ふむ、気を遣ってくれて助かるよ。(ナサケ)」


多少なりとも【魔王】が絡んでいる為、何もせずに獣人国に退避しては後々大目玉を食らう事は明白。

なので諜報目的での同行を許したのであった。





『『『バキバキバキバキ…ズルンッ!』』』

『『『『ピキピキピキピキ…!』』』』


『むっ!羽化しきったみたいだ!それに翅が乾く速度が早い!
取り敢えず皆さんヤツの下に向かいましょう!』

「「「おうっ!」」」ダッ!

〔『うむ!』〕ズシンッ!ズシンッ!


半透明の皮膜で形成された巨大なサナギから出てきた″エボル・バトフライ″だが、通常の蝶よりも翅の乾燥が早く、直ぐに飛び立とうとしている様であった。

するとノアが周囲に呼び掛け、残留組等と共に駆けていった。





~サナギの直ぐ近く~


『『『『パキパキ…ピキピキ…』』』』

[フーッ…フーッ…フーッ…オォオオオ…]


「よーし、取り敢えず羽化は成功したみたいだぜセルト。
あの時この″森の番人″を捕らえといて正解だったな。」

「あぁ。このデカい蝶(エボル・バトフライ)は、羽化する際に莫大な魔力を消費する。
それを補う為に″造魔核″を埋め込んだが、それでも解消されなかった。
【魔王】様が長い年月を掛けて溜め込んだ魔力を″羽化″に使う等畏れ多いからな。」


巨大なサナギの側面に機械仕掛けの杭でもって磔にされ、呻き声を上げている森の番人は、萎れ切った枯れ枝の様な体をしており、今にも朽ちてしまいそうであった。

この森の番人は、先日イスケルダが″はっけよいのこった″形態の際に捕獲したモノで、造魔核を内蔵したエボル・バトフライの羽化に用い、『廃都』からの離脱を目的としていた。

その結果、生命の危機に瀕した森の番人が、テリトリーである『廃都』中の森に溜め込んでいた魔力を自身へと流し込み、何とか生き長らえていた。

その代償として【魔王】達の思惑通りエボル・バトフライは羽化し、『廃都』方面の滅びの森が消失。

擬似的大氾濫の発生に繋がったのであった。


「んじゃあ早い所乗り込ん

『『ピコーンッ!』』


″高速で接近する存在を感知!距離は600!
 1体は1時間26分前に接触あり!″


「さっき逃げたヤツか?」

「だろうな。
だが、″1体は″と言ったから複数、そして新手の様だな。」


″高速で接近する存在を感知!距離は500!
情報を更新します!
1体は転移を繰り返して高速で接近!この存在は23分前にイスケルダ様と接触あり!
正体不明の1体は地下を高速で進み、1体は接触のあった存在と並走!
巨大な正体不明の存在は小型の存在約30を引き連れて接近中です!″


「23分前…?あのガキか!」
「待て、巨大な存在とは…?」


ノアの接近を予感して昂り出すイスケルダに対し、″巨大な存在″が気掛かりなセルトが遠方を確認する。


『『『『ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!ズンッ!』』』』


「…一体アレは何だ…?」


セルトの視界には、身長50メルを超える<人化>形態のエルダークラーケンが飛び込んできたのであった。 
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