ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
807 / 1,124
獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

謎は深まるばかり

しおりを挟む
パルディック・ロスト…元々貴族の出では無かったのだが、10年程前から斬新な食品を開発。
それにより莫大な利益と数多くの雇用を産み出し、一般人ではあったが貴族の仲間入りを果たす。
奇妙、奇天烈な物を求め、日々放浪の旅に出ているが、現在でも3ヶ月に1品の割合で新商品を開発し、悉く売り上げを伸ばしている為、誰も文句を言わない。



黒髪パッツンの少女『黒羽(クロハ)』…パルディック・ロスト伯爵の護衛兼諜報員(と言う名の市場調査員)。年齢は12才の戦争孤児。
系列の屋台等の飲食店の調査に日々励んでいる。
ちなみにいつも一緒に居る赤羽(アカバ)とは姉妹関係ではない。


赤髪パッツンの少女『赤羽(アカバ)』…同上。
ちなみに黒羽(クロハ)とは姉妹関係ではない。



ザクッ!

「うむ…漁師町では魚の鱗や骨を素揚げしてツマミとして振る舞う所もあるが、身ごと揚げるのも良いモノだな。
鱗がサクサクでまるで衣の様…
なる程、『クチグチグチグジ』の薄い鱗ならではの食感か…
ふむ…魚粉製造に回してる分をこれに回せば、雇用が…ブツブツ…
おっと、つい夢中になってしまったね。(ロスト)」

「いえ、お気に為さらず…
というか、僕が目覚めるのを待っていたとは思いませんでしたよ…」

「ヴァンディットさんに聞いたんだ、数日中には目覚めるかも、とね。」

「そういえば、ヴァンディットさんとは商会に居た時からの仲なんでしたよね?」

「あぁ。彼女を見付けてから幾度か商会に寄ってよく他愛の無い会話をしたもんだ。
たまに事業の相談に乗ってくれた事もあるのさ。(ロスト)」


元々ヴァンディットは、商人のジョーの紹介で奴隷商会から買って主従関係を結ぶ事となった。

パルディック・ロストとはその前からの仲らしく、今でも顔を合わせれば親しげに会話をするという。


ムグムグ…

「今だから言うが、ジョー殿に働き掛けてヴァンディットさんと君を引き合わせたのは私なんだ。(ロスト)」

(『え?』)

「え?そうなんですか?」

「あぁ、当時からゴーマンが悪巧みを含んだ表情で彼女を見ていたからね。
変な事になる前に君の様な者と一緒に居た方が良いだろう、と思ってね。(ロスト)」

「あ、そういう…
つまり″僕″って名指しで指名した訳じ「いや、名指しで指名したよ。(ロスト)」

「へ?」
(『へ?』)

「当時の口振りそのままで言うなら、″最近頭角を現してきている『ノアール』…?『ノア』…?とか言う少年が居るだろう?彼にヴァンディットさんを任せてみるのも良いのではないでしょうか?″
ってね。(ロスト)」

「へ、へぇ~…」

(『やべ…このおっさんが何者か、本当に分かんなくなってきたぜ…』)


当時ノアがヴァンディットと出会ったのはアルバラストでの大立回りで『野盗200人殺し』という通り名が一気に広まった時期である。

その直後に商会に赴いてヴァンディットと行動を共にする事になったので、少なくとも最初期のオードゥス編辺りからノアの事を知っていた事になる。


「…パルディックさん…あの…」

「…この話はここまでにしましょう。
正直私も″何処まで口に出して良いか探り探り″なモノでね…
もし良かったら南方に私の領があるので来てくれると嬉しいな。(ロスト)」


話を中断したパルディック・ロストは、そう言いつつ『クチグチグチグジ』の素揚げを美味しそうに食べている黒羽と赤羽の方へと歩を進める。


「…では機会があればお邪魔させて頂きます。」

「えぇ、楽しみにしていますとも。
それと今回は本当にお疲れ様でした。(ロスト)」


一緒に居た黒羽と赤羽は、ノアに軽く会釈してその場を去っていった。
後で聞いた話だが、パルディック・ロストはそのまま自領へと帰っていったらしく、本当にノアに一声掛けていくだけだったらしかった。





「ふぅむ…何か謎だけが深まっちゃったなぁ…」

(『…だな。
″何処まで口に出して良いか…″か…
下手に口走れない、もしくは話すと誰かに不都合がある、とかか?
それにしちゃ口調は落ち着いてるから、脅されてると言った類いのモノではなさそうだな…』)


ノアは腰に手を当てて鬼神と共に考察するが、特に何が浮かぶでも無かったので、一先ず考えるのは後回しにした。

そんな感じでボーッと突っ立っていると


ムグムグ…

「何ぞ話は終わったんか?(バド)」
「坊が貴族と話しとるとは珍しいのぅ…『クピッ…』(ルド)」

「うーん…僕も正直よく分かってないんだけどね…」

「『パリパリ…』何じゃそりゃ。(ロイ)」


酒瓶片手に呑兵衛のドワーフ3人組がやって来た。
ノアとパルディック・ロストが話している間、ミリアの面倒を見てくれたり、いつものガハハ笑いの声量を抑えてくれたりと、少し気を遣ってくれていた。


トテテテ…

「っと、少し話し込んじゃってゴメンねミリア君。」

「いえ。それにしても凄いですね、パルディック・ロスト伯爵とお知り合いなんて…(ミリア)」

「うーん…あちらさんは僕の事を知ってるみたいだけど、僕の方は全然接点が無いから不思議でしょうがないんだよねぇ…」


商人見習い(メルカドール)のミリア曰く、パルディック・ロストは物腰柔らかな性格とは裏腹に、交遊関係に関しては付かず離れずを保つらしい。

食品関係で財を成したからか、情報漏洩には人一倍気を使っているらしい。
にも関わらず、ノアとは分け隔てなく話していた為、ミリアにしてみれば不思議でしょうがないと言う。

なのでノアは「間に共通の知り合い・従者であるヴァンディットさんが居るからだろう」と考察する事にした。





クピピ…

「やっほーノア君。
ミリアちゃん、だっけぇ?良い子ねその子ぉ。
大人しくって、べんきょー熱心でぇ。
『商人見習い(メルカドール)』なんらってぇ?(酔いどれエスメラルダ)」

モワァッ…

「酒臭っ!
…もぅ、酔いすぎですってエスメラルダさん。
それとミリア君は中性的な顔立ちですけど男の子なんですからね?」

「嘘おっしゃい、エスメラルダおねーさんの目は誤魔化へまへんよぉー?(エスメラルダ)」

「うっわ、悪酔いしてるよ…
ミリア君、あぁなったエルフに近付いちゃダメですからね?」

「は、はい…(ミリア)」


ドワーフ3人組以上に酒精の匂いを漂わせ、ドワーフ3人組以上に酔っているエスメラルダからミリアを守る為、自分を盾にするノア。


「あー!信じへ無いんらぁ!
らっはら確かめてみなはいよぉ。(エスメラルダ)」

『ガシッ。』

「え?」

『ほよん。』

「…え?(ミリア)」


酔いどれエスメラルダに手を掴まれたノアは、そのまま為すがままにミリアの胸元へと誘われた。

手に僅かな柔らかさを感じて少し固まった後、右手をパー、左手をグーにして直ぐに行動を開始した。


『バチィンッ!』

「ひぃっ!?(ミリア)」

「『ゴィンッ!』ふぎゃあっ!?(エスメラルダ)」


その日、通りには痛々しい破裂音と、鈍い音と共に尻尾を踏まれたかの様なエルフの悲鳴が響いたと言う。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...