ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

ネズミ狩り

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~スイカの一大産地『ウォルタメ』・宿場『メラオ』~


『『『『『ゴトッ!』』』』』

「はいお待ちどう様、ウチの宿特製の『″南瓜″のシチュー』よ。」

「「「「ありがとうございます、頂きまーす。」」」」


山を通って目的の村である『ウォルタメ』に到着した一行は、村に入って直ぐの所にある宿場で腹拵えに寄った。

宿場と言ってはいるが、カウンターに行けばギルドの様に依頼を受けられたり、食事だけの利用も可であった。

早朝と言う事もあって、ノア達よりも先に訪れていた冒険者や、これから農作業を行う前の腹拵えに訪れる者達が居た。

スイカの一大産地という事で、この時期になると農作業者と冒険者が大体半々となるモノだが、今年は海洋種と言う新種族が現れ、獣人国ではそのダンジョンが開放された事もあって、9:1にも満たない数の新人冒険者が逗留していた。

それ程までの冒険者しか居なかった為かノア達が訪れた頃には、この村では″ある事件″が起こった後であった。

その″事件″によってノアは肩を落としている所であった。


「頂きまぁす…」ムグ…

「いやー残念だったねぇ坊や。
昨日の夜にカッパラットの群れが現れてスイカの大半を掻っ払って行っちゃったのよ。」

「出荷分は足りそうなのだけど、お客さんに出せるだけの余裕が無いのさ。分かってくれ…」


どうやら前日の夜、『ウォルタメ』にカッパラットの群れが襲撃してきて、スイカを掻っ払っていったとの事だった。

村に住む住人や少ない新人冒険者、農業従事者等が尽力して追っ払ったが、夜分という事もあり、畑に生っていた大半のスイカを掻っ払って何処かへと持ち去って行ったらしい。

そこにスイカを求めて意気揚々とノアがやって来て露骨に肩を落とし、スイカの代わりに同じ瓜科である南瓜のシチューを食しているのであった。

南瓜を真横に切り開き、中の果肉をくり貫いた残りを器としているもので、1人前でも中々のボリュームがあった。


「先日滅びの森でモンスターが溢れたでしょ?
もしかしたらそれが原因で各地に居たカッパラットがこっちの方にやって来たかも知れないのよ。」


と、宿場のおばちゃんがそう考察していた。

するとノアの隣に座っていたミダレが


「でもおかしいっちゃね。
昨日『エレメンタル・フェアリーズ』っちゅうめぇっちゃ強ぉ冒険者さんが居ったのに気付かんなかったのかなぁ?(ミダレ)」

「多分彼女達の魔力反応を感知して範囲外の山にでも逃げていたんだろう。
その内の十数体が昨日のアレだったんだと思うよ。」

「でしょうなぁ…(クリストフ)」


前日に『エレメンタル・フェアリーズ』によって仕留められた10体のカッパラットは、『ウォルタメ』から一時的に避難していた群れの一部なのでは、と考察する。


「この村に逗留していた新人冒険者パーティ何組かに依頼を出したけど、元々のすばしっこさから良い報告は聞かない。」

「…君達は冒険者パーティには見えないけど、もし良かったらカッパラット退治に協力してくれないかしら…?」


宿場のおばちゃんがノア達一行を見てそう思うのも無理はなく、冒険者らしい格好なのはノアだけで、ヴァンディットはドレス姿、ラインハードはワンピース姿の美少女で、ミダレはローブ姿ではあるが、帯刀していないので冒険者には見えず、ミリアはアイテムボックスを腰に付けた旅人同然で、クリストフに至っては初見でモンスターにしか見えず、村に入る時にも一悶着あった。

害は無いと説明し終わったら終わったで、″大道芸の方ですか?″と言われる始末であった。


ゴックン。

「ふぅ…
宿場のご主人、この村と周辺の地図、廃屋や空き家等の情報があれば教えて貰いたいのですが…」

「…!分かった。ランダ、地図を。」

「分かったわ。」


ミダレが南瓜のシチューを3口目頬張ったタイミングで、既に完食したノアが宿場の主人に色々と訪ねる。

逗留していた新人冒険者達がどうだったかは知らないが、質問の内容から何かを感じ取った宿場の主人は奥さん(おばちゃん)に言って周辺の地図を持ってこさせる。




「おいおい、止めといた方が良いぜ?
俺達のパーティが夜通し駆除に回ったが、10匹も捕まえられなかったんだ。」

「兎に角すばしっこいの何のって…やってられないわよ…」

「見た所パーティメンバーはそんなに動けそうに見えないが…と言うか子供と人ですら無いのも居るが…?」


近くの席に座っていた3人組のパーティが行動を開始しようとしたノアを諌めようとする。
中にはヴァンディットやミダレを引き合いに出して不安視する声を上げる者も居るが


「この人達はパーティではなくクランメンバー。実働隊は僕1人だ。
クリストフ、少し留守にする間皆を頼むよ?」

「了解しました。(クリストフ)」

「「「え、えぇ…」」」


頭数はそれなりに揃っていたと言うのに、実働隊がノアただ1人だと聞き、先程指摘してきた冒険者パーティも思わず黙り込んでしまったのだった。





~『ウォルタメ』内にある雑貨店~


「えーっと、″鉄の矢″を100本とロープを100メル分、あと″ガラス石手裏剣″を20本。
お、″ハナマガリ″が常備されているとは珍しい。
これは3束下さい。」

「は、はいはい只今。
こんなに買い込んでどうするんだい僕?」

「カッパラットの討伐をお願いされたのでその準備です。」

「あんれまぁそれはまた殊勝なこって。
ウチの若ぇモンでも捕らえる事が難しかったんだ、頑張ってくりゃーね。」


村の中には武器屋や工房等が無かったので、老齢の店主が営んでいた雑貨店に入った所、日常品と一緒くたに弓矢やショートソード等の最低限の武器と、″ガラス石手裏剣″や″ダガーナイフ″等の変わり種武器が置いてあったのでそれらも買い込んでおいた。





「あ、竹が生えてる。
すいませんが少し頂いても良いですか?」

「あぁ、良いよぉ。
寧ろそろそろ間引こうと思っていたから丁度良かったわ。」


という事で雑貨店の隣に生えていた竹を数本頂く事となった。


「ヴァンディットさん、『シャキンッ!カッ!カッ!カッ!』ミダレさんの″誘惑香が染み込んだ獣脂″を『パコッ!』この竹の1/3の所まで入れてきてくれませんか?」

「あぁ、アレですね?
少々お待ちを。(ヴァンディット)」


竹の節を狙って刀を振るって斬り倒し、簡易的な竹筒を3本作ったノアは次にヴァンディットに言って″誘惑香″を調達してきて貰う。


「さて…『シュルルル…ピンッ!ブチッ!』と。」


次にノアは購入したロープを両手で広げ、ある程度の長さにした後、次々に千切って短めのロープをドンドン作っていく。


「…ロープってあんな簡単に千切れたっけ…?」
「いや…」

「″ハナマガリ″ってあれだろ?すげぇ臭い薬草の…」
「あぁ。ネズミ避けに使ってたがあの坊主どうするんだ?」
「てか手際良すぎだろ、ものの5分位で色々と準備を整えちまったぞ。」


先程の冒険者パーティや、農業従事者等がノアの行動を興味津々な様子で眺めていた。

皆、ノアの行動がどういった意図で行っているかは分からないものの、あまりの手際の良さに感嘆の声を上げていたのだった。


スチャ。(荒鬼神ノ化身の状態確認。)
チャキ。(ダガーナイフを腰に数本差す。)
トプ…(″誘惑香の獣脂″入りの竹筒に矢を挿入。)
ズボッ!(″ハナマガリ″入りの竹筒に矢を挿入。)
グルグル。(腕にロープ2本を巻き付ける。)

「よし、準備完了。
それじゃ、ちょっくら行きましょうか。」
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