ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

カッパラッテヤッタラット

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~試験街テスタを出て数分のドワーフ組~


「いやー真正面から礼を言われるのは幾つになっても気恥ずかしいものじゃな!(バド)」

「酒1杯奢ってくれりゃええぞ!って言おう思ぅたが、言い出せんかったしな!(ルド)」

「代わりに″礼を言われる程のモノで無い″だぁ?
キッモチワリィ事言いおって!(ロイ)」

「「「がははははっ!」」」


テスタを発ったドワーフ3人組は、先程街の人達から受けた感謝の言葉を思い出しつつノアの居る『ウォルタメ』へ向けて歩を進めていた。


「にしても坊は顔が広いのぅ!
妖精族と言えば″気分屋″、″ワガママ″、″マイペース″だと言うのに、坊の頼み事を聞くとはな!(ルド)」

「何でもあの5人、以前坊と″やらかした″らしいぞ。(バド)」

「なぁる程、これでチャラにする腹積もりじゃな?がははっ!(ロイ)」


相変わらずガハハガハハと笑い合いながら道を進んでいると、『ウォルタメ』と西方へと続く二又の道に差し掛かった。

すると


ガラガラッ!ゴトゴト!ガランガランッ!

「おいおい!何事じゃ!?(ロイ)」
「止まれ止まれぇい!物が荷台から落ちとるし、そんな走りじゃ車軸がイカれちまうぞ!(ルド)」
「酷く慌てた様子じゃな…目が血走っとる。
モンスターにでも襲われたか?(バド)」


西方へと続く道から1台の荷馬車が大きな音を立ててやって来た。
荷馬車には商人1人だけの様で、自ら手綱を握って馬を走らせ、表情を強張らせ、まるで何かから逃げてきたかの様な様子であった。

一先ずドワーフ3人が荷馬車の商人に呼び掛けどうにか停車。

心配していた車軸の確認と、馬の息を整えさせるのと、何やら戦々恐々としていた商人から話を聞く為に一旦荷馬車を降りて貰った。

ちなみに商人は一心不乱だった為か、荷馬車から降りた時に初めて自分が試験街テスタの近くまで荷馬車を走らせていた事に気付いたと言う。





「あーあー、やはり車軸が折れ掛かっちょる。
完全な修理は難しいが、補強位なら出来っど。(ルド)」
「街に着いたら修理して貰うと良え。(ロイ)」

「は、はい、ありがとうございます…」

「んで?
何をあないに急いどったんじゃ?
何ぞモンスターにでも追われとったんか?(バド)」

「い、いえ、モンスター等生易しい。
自らを″【勇者】軍″と名乗る″犯罪者集団″に襲われました…」

「また″【勇者】″を騙る連中が現れたっつー「いえ、どうやら″本物″の様でして…」

「「は…?」」

「…どういう事じゃ?
スマンが、1から説明してくれんか?(バド)」

「は、はい…」


″【勇者】軍″を名乗る集団に襲われたと言う商人は、事のあらましを説明し出した。





彼は今いる場所から4山程離れたとある村に商いで訪れたと言う。
だがその時には既に村に謎の集団が雪崩れ込み、家々に押し入って略奪を行っていたと言う。

当初は野盗集団による襲撃だと思われたのだが、装備の整ったパーティらしき者達も混じっていたと言う。

しかもその中の1人が

「我らは″【勇者】軍″!イグレージャ・オシデンタルの法に則り″【魔王】討伐″に御協力願おう!
我らの行いは国、そして″神″が認めたものだ!
逆らえば容赦しない!」

と村人達に言い回っていたと言う。

村人達は武装した集団″【勇者】軍″に従う事しか出来なかったらしい。


「…その様な無茶苦茶な法、罷り通る訳無いと思い、一部始終を売り物の魔導具に記録したんです…」

″我らは″【勇者】軍″!イグレージャ・オシデンタルの法に則り…″

「なる程な、証拠を残した訳か。良か判断じゃ。(ロイ)」
「…にしても無茶苦茶な物言いじゃわい…(バド)」
「【魔王】をダシに使ったただの略奪じゃなかか。(ルド)」キコキコ…

「…その後記録していたのがバレて追われる羽目に…矢を放たれたり魔法を射たれたりで無我夢中でした…」


商人の乗っていた荷馬車を見てみると、幌が所々裂け、何本か矢が突き立っていた。


「【魔王】出現早々に″【魔王】討伐″を掲げ出した時もトチ狂っとんのか思ったが、何を考えとるんじゃ、あん国は…(ロイ)」

「最近イグレージャ・オシデンタルでは良い噂を聞きませんからな…
そんな時に降って湧いた″【魔王】出現″ですからそれに思いっ切り乗っかったモノだと思われます…」

「だからってやり過ぎじゃなかか…?(ロイ)」


等と【勇者】の故郷であるイグレージャ・オシデンタルの奇行について首を捻っていると、車軸の補強が終わる。


カチンッ!

「っし!一先ず補強は完了した。
じゃがあまり速度を出すんじゃなかど。」

「あ、ありがとうございます。
…私はこれより獣人国へ注意喚起に向かおうと思います…」

「あぁ、その方がええじゃろな。(バド)」


試験街テスタに近い事と、″【勇者】軍″から大分距離を取って落ち着きを取り戻した商人は何度も頭を下げていた。

車軸の補強代をと、金銭を差し出そうとした商人だったが、情報代とトントンで、という事になった。





ガラガラ…

「ふぅむ…何やら面倒事が迫ってきておる様じゃな…(ルド)」
「【勇者】か…確か洗脳されてたんとちゃうんか…?(ロイ)」
「取り敢えず早い所儂らも『ウォルタメ』へと向かおう。
発っとらんかったら坊と合流出来るじゃろ。(バド)」

「「おぅ。」」


商人からの情報をノアへ伝えるべく、ドワーフ3人組は急ぎ『ウォルタメ』へと向かうのであった。





ザスッ!ヂィッ…ィ…ドサッ!

「交尾中の所悪いが駆除させて貰うぞ。
…しかし、カッパラットはここまで精豪なモンスターだったか…?(ザラット)」

「……。」


ノアが畑から逃走するカッパラットに″誘惑香″を仕込み、今この場で一心不乱に交尾真っ最中であったカッパラット達にザラットが奇襲を仕掛けた。

だが雌のカッパラットは精根尽き果て身動きが取れず、雄に至ってはロングソードを突き立てられるまで腰を打ち付けていたのだから恐ろしい限りである。

ザラットはカッパラットの体に付着しているピンク色の物体を視認する。


「…この付着物は君が仕込んだ物か…?(ザラット)」

「あー…はい…
ハナマガリは追跡用、ガラス石手裏剣での出血は避難先、この液体は繁殖地を割り出す為に仕込んだものです。モンスターによっては別々な場合があるので…
…ですが今回はどれも場所が同じでしたので不要でしたがね…」


巣穴の周りを見てみると、血の痕が点々と垂れていたり、ハナマガリ特有の臭気が漂っていた。




カタ…カタカタ…

「お、下から反応が…」

「…この反応はカッパラットの親玉、″カッパラッテヤッタラット″だな。
我々の事を察知してやって来たのだろう。(ザラット)」スラッ…

「…何ですその名前…?」


突然ノア達の立つ地面がカタカタと震えだし、下から何かが迫ってくる反応を感知した。

するとザラットが徐に腰に指していたロングソードを抜くと、肩の位置まで剣を引いてピタリと動きを止めた。

更に


「ノア…と言ったな。
私が合図したら飛び上がってくれないか?(ザラット)」

「良いで「今。」『ダンッ!』」

ズボォアッ!ヂヂヂ『ゾリンッ!』ィッ…

ドチャッ!


不意打ちに近いザラットの声掛けに対応したノアは、その場で跳躍。
直後にノアの直下から巨大なネズミ″カッパラッテヤッタラット″が奇襲を仕掛けてくるが、まるで出現場所が分かっていたかの様に振られたロングソードの一撃が″カッパラッテヤッタラット″の首に叩き込まれ、その一撃でもって首を撥ね飛ばしたのであった。


スタッ!

「お見事。凄いですね、まるで出現場所が分かっていたみたいに。」

「…なに、これは″悲しい誤算″ってヤツだよ。(ザラット)」
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