ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

お願い事

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~獣人国の北方にある街道~


『『『ざわざわ…』』』

「ほら、キビキビ歩け!列を乱すんじゃない!」
「魔力封印の手枷、弱体化の効果切れの確認を怠るなよ!」
「不振な行動を起こしたら只じゃおかないぞ!」


「ねぇねぇ、何の大軍なのこれ?(リファイア)」

「おわっ!妖精族とは珍しい。
いやね、この列は″捕まった【勇者】軍″なのさ。
その数推定500人。
南にある村を襲い、駆け付けた者達によって制圧されたんだと。」

「へぇ~、鎧の造りからして2、3ヶ国位で編成されてるみたいだけど、かなりの大捕物になったわねぇ。(エレクトラ)」

「だが聞いて驚くなよ嬢ちゃん達、彼等は捕縛と連行をしているだけで、″制圧は殆ど【鬼神】″が行ったらしいんだ。」

「「「「え?(『エレメンタルフェアリーズ一同』)」」」」


妖精族のみで組まれたパーティ『エレメンタルフェアリーズ』の4人がエルフの森に向かっている最中、街道を進む大軍を目撃。
特に最重要と思われる者は鋼鉄製の牢馬車に入れられていた。

4人は近くに居た商人に列・車列の正体を聞いてみると、【鬼神】によって制圧された【勇者】軍であると判明した。


「アルバラストの『野盗200人殺し』に続いて『【勇者】軍500人潰し』と来た。」

「また彼の武勇伝が1つ増えたって話だ。」

「へ、へぇ…(フリージア)」
「相変わらずね…ノア君…(ウィンディア)」
「数日前に会ってから何がどうなってそうなったのよ…(リファイア)」

「ホント彼って話題に事欠かないわよね…
この間会った時は何故か″子供と女性の幽霊″を引き連れてたし…(エレクトラ)」

「確かに…″憑かれて″いたけど″呪われてる訳では無かった″からスルーしたけど…(ウィンディア)」

「こっちが″視えてる″のを察して″シーッ!″のポーズしてきたけど、結局何だったのかしらね。(フリージア)」

「まぁ何れ会えそうだし、その時にでも聞いてみましょ。(リファイア)」

「「「そだね。」」」





~ウォルタメ~


「ノア様~、ノア様~?
あれれ?何処行っちゃったのでしょう…(ヴァンディット)」


ノアに目薬を処方したヴァンディットが調子の程を聞こうとしたのだが、ノアの姿が見えずあちこちをキョロキョロと見回しながら探していた。

その隣では





「話とは一体何でしょう?
何か困った事でもありましたか?」

「いえいえ、私の故郷を守ってくれた事と、旦那とお話が出来る様にしてくれた事の感謝をお伝えしたかったのと、何も言わずに″憑いて″来てしまった事の御詫びをしようと思いまして。(エミ)」

「あー…あの時に言ってたのって″付いて来た″じゃなくて″憑いて来た″だったんですね…
いや、特に謝って貰う様な事では無いので気にしなくても良いですよ。」



~タイトル:『手合わせ』より抜粋~


「でも昨日頼りになる方が来たので、勝手ながらついて来たんです。
お陰で安全にこの村に辿り着けました。(エミ)」

「それは良かった。」



「当初私とユーが試験街テスタに居たのは、故郷と移住した旦那の下に帰ろうとしてたのですが、この子が山に棲むモンスターを怖がってたからなんです。(エミ)」

「もんすたぁこぁい。(ユー)」


エミが抱き抱えている男の子ユーがイヤイヤ顔で訴え掛けている。


「何度か街を訪れた冒険者さんの後に付いて行こうと思ったのですが、それでもユーが怖がってたんです。
ただ、【鬼神】さんには珍しく安心して近付いていったので、故郷に帰るなら今しか無いと思って憑いて行っちゃいました。
ごめんなさいね。(エミ)」

「ごめんなさぁい。(ユー)」

「ははは、気にしてないよ。」


エミが頭を下げると、それに倣ってユーも頭を下げる。
ノアはそんな2人に笑みを浮かべていた。


「お知り合いの妖精さん達は私達の存在に気付いていたみたいですけど、スルーしてくれて助かりました。(エミ)」

「あー、だから色々と聞いてきてたんだな…」

(『まぁ″また何かに巻き込まれてるなー″位に考えてたんだろうぜ。』)
    


~タイトル:『妖精=大玉スイカ1個分』より抜粋~


「「「「ねぇ君、最近何かあった?」」」」

「え?何ですか、突然。」


別れようとしたノアに『エレメンタル・フェアリーズ』の4人が呼び止めてきた。


「寧ろ何も無かった時はありませんでしたよ?」

「ん…まぁそうよね、君の事だし…(エレクトラ)」





「それで、御詫びと御礼を兼ねてなのですが…(エミ)」

「あ、いえいえ、御詫び等気にせず…」

「おれーイヤ…?(ユー)」

「うっ…い、頂きます。」

「はい、ありがとうございます。(エミ)」


流石に死者から御礼を頂くのはどうかと思ったが、子供から困り顔で言われたら受け取らざるを得ないだろう。


「私からの御礼は″スキル<浄化>の伝授″になります。(エミ)」

「え?″<浄化>の伝授″?
″<浄化>″って神職じゃないと取得出来ないのではないですか?」



<浄化>…主に神職の適正を持つ者が取得出来るスキル。
用途は多岐に渡り、対アンデットモンスターへの対抗手段、呪いの解除、土壌汚染の浄化等にも応用出来る為、引く手数多である。

だが、一定以上の信心が無いと取得出来ない為、取得率は意外と低い。



スキルの伝授…スキル取得者からスキルを受け継がせる事が可能。
だが、対象者に相応の基盤が必要な為、何でもかんでも受け継がせる事は出来ない。



「私は元々近くの教会で【修道女(シスター)】をやっていたので<浄化>を取得していたんです。
それに、何故だかあなたからは神聖な物を感じます。
もしかして【鬼神】と言う二つ名でも神性って帯びるのでしょうかね。(エミ)」

「さ、さぁ…」

(『恐らくだが″暦″と繋がりがあるから、かも知れないな。』)

(かもね。)


勿論【鬼神】と言う二つ名が付けられたからノア自身に神性を帯びたのでは無く、鬼神の言う通り″暦″等の神々と関わりを持った事で<浄化>を取得出来るだけの基盤が出来たのである。


「それと【鬼神】さんはこの後はどちらに向かわれますか?(エミ)」

「いや、特に決めてなくて、取り敢えず南に向かっている感じですね…」

『リィン…』

「それであれば、個人的なお願いになってしまうのですけど、このベル…『鎮魂の振鈴』を南にある教会に届けて頂けませんでしょうか…?
その教会から支給された物なのですが、死した身ではもう無用の長物です。
神父様も心配しているでしょうから、可能であれば…(エミ)」

「分かりました、引き受けましょう。」


エミが差し出したのは、壊れ掛けの『鎮魂の振鈴』と言うベルで、エミは生前【修道女(シスター)】として近隣の村々を回り、死者の魂やアンデットモンスターの討伐等を請け負っていたらしい。

ノアはエミからの頼み事を二つ返事で受けるのだった。


「何から何までありがとうございました。
それでは<浄化>の伝授を致しますね。(エミ)」
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