ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

村へ帰還

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~ウォルタメ・早朝~


チュンチュン…チチチ…

「…とまぁ、 その後″色々″あって今に至ると言う訳さ。『ピチョン。』う~っ沁みるっ…」

「なぁんでそこまでスラスラ話とって急に濁すんじゃ?(バド)」
「まぁ坊の言う″色々″は本当に″色々″じゃからなぁ…(ルド)」
「まぁ追及せんでおいたるわ。(ロイ)」


ヴァンディット製目薬を差しながら事の顛末を話すノア。

【勇者】軍第9・10部隊を制圧した後、後方待機していた者達と合流した以降の話を大幅に端折った事で、ドワーフ3人組が引っ掛かるも、それ以上の追及は無かった。

それはノアとしても助かる事であった。

何せ″極秘裏な調査″が必要な案件に発展する為、おいそれと他人に話す事が出来ないからである。





簡単にその後の経緯を話そう。

【勇者】軍第9・10部隊を引き連れ、ディオ・ゾネス隊と合流。
更に南下して捕虜となった【勇者】軍第5・6・7・8部隊と各国から集まった『賞金稼ぎ(バウンティハンター)』や兵士が待機する村へと戻る。



待機組から当然の様に驚かれたが、気にせず【勇者】軍第9・10部隊の捕虜を引き渡す。
その際に彼等の罪状を聞いてみた所、″重要施設の破壊″で、依頼は″イグレージャ・オシデンタル(【勇者】の故郷)″からであった。



そこでノアは、その場のリーダー的ポジションを担っていた『リンド』と言う王都よりやや北にある国の騎士スヴィエトに″裏を探ってくれ″とダメ元で願い出る事にした。



意外にもスヴィエトは了承してくれたが、交換条件として″ノア(その時はノアール)の素性″を要求された。

まぁそりゃそうだろうと思う。
その日初めて会い、【勇者】軍を蹴散らしたとは言え、素性が知れない者(『たまてばこ』で姿を変え、【鑑定】も出来ない。)の頼みを素直に聞く程バカではない。



元々【勇者】軍に対しての身バレ(ヴァンディットやミダレ等に対する厄介事)を恐れていた為に行ったモノであり、その心配がなくなった今、隠す必要も無いので、ノアとクリストフは変装を解除。
正体を明かす事にした。



まず元の姿を見て『ドラーヴァ』と『リンド』の数名とパルディック・ロスト伯私設傭兵部隊のゾネス、騎士団長が驚愕の表情をし、″【鬼神】のノア″だと名を名乗るとその場に居た全員に波及していった。

ちなみに【勇者】軍の中には「当たってたのか…」と肩を落とす者も居たとか。



その後数名の【鑑定】に見て貰い、冒険者カードも合わせて正真正銘″【鬼神】のノア″であると判断。

直後、イグレージャ・オシデンタルへの裏取りに『ドラーヴァ』と『リンド』から2名名乗りを挙げてきた。この者達はノアが正体を明かした時にいの一番に気付いた者達である。

正体を晒してみるモノだな。
とその時は短絡的に考えていたが、後々話を聞いてみると、その者達は全員ヒュマノ聖王国から子供獣人を救い出す作戦に参加してくれた【諜報】の者達であった。



「口止め料兼報酬の数百万ガルは払い過ぎだ、もう一働きさせて貰う。」との事だった。



諸々の調査指示を出し、一行から足早に去る事にした。
帰還方向が同じだった為、パルディック・ロスト伯私設傭兵部隊と騎士団と共にウォルタメへの帰路に着く事にした。

ちなみに捕虜となった【勇者】軍第5~8部隊はいざ知らず、ドラグナとビスマス率いる【勇者】軍第9・10部隊は一度『リンド』の方へ移送して収監するとの事らしい。

そして現在に至る。





ペラ…

「うむ、確かに嘆願書の方は受け取りました。
パルディック・ロスト伯に願い出て定期巡回して頂く様に致そう。」

「あぁ良かった…ありがとうございますねぇ騎士様。(アレイ)」

「なに、彼(ノア)からの口利きが無ければ、最低3ヶ月は掛かっていたハズだ。
礼なら彼に言うと良い。」


カッパラットの大量出現によって農作物に被害が出た事に対する嘆願書をパルディック・ロスト伯の騎士へと渡すウォルタメ宿場のおばちゃんアレイ。

受け取りは成され、早ければ2週間程で巡回が行われる事になるらしい。


「いやぁ…。
昨日この村に訪れた坊やが【鬼神】のノアで、村にとっての問題を解決してくれただけでなく、500人規模の侵略行為まで解決してくれたなんて未だに信じられないよ…(アレイ)」

「我々は離れた所に居たのだが、【鬼神】の二つ名は伊達では無いと思える素晴らしいモノであった。」


今更だが、ノア達がウォルタメに訪れて漸く1日である。

村人達は起こった出来事の濃さに現実味が無く、騎士達もあまりの早期解決っぷりにまだ思考が追い付いていない様であった。


「…まぁ、最も感謝しなきゃならないのは…(アレイ)」


アレイはチラリと村の共用井戸の方に立つ1人の人物を見やる。


「″娘婿のケツをぶっ叩いてくれた″事、かしらねぇ。(アレイ)」





バシャアッ!(水浴び。)

「ザラットさん、僕も水貰って良いですか?」

「む?あぁ勿論。
好きなだけ使ってくれ。(ザラット)」


村の共用井戸では、ザラットが頭から水を被り、ボサボサだった頭髪を整えていた。

ノアから声を掛けられたザラットは、初対面の時と打って変わり、快活そうな口調で、目の下にあったクマは無くなっており、まるで別人であった。


「その後、奥さんと息子さんとは如何ですか?」

「ははは…君が戦ってくれていると言うのに夜通し語り合っていたさ。
…息子からは「おさけくさいのはヤ!」と言われたり、「ボサボサあたまがへびみたい!」等と言われてしまった。
…妻からは「これからはいつでも会えるのだから、もう思い詰めないで。」と小言を言われてしまったよ。(ザラット)」


ザラットは苦笑いでありながらも楽しそうに話していた。

ノアによって死線を擬似的に越えた事で、普通では見えないモノが見える様になった為、亡くなった家族にも会える様になった。

ノアにとっては少し煩わしい事ではあるが、ザラットにとっては良い方向に繋がった為、ノアは心の中で安堵していた。


 「そうですよ、父親はシャンとしている方が子供としても嬉しいものですから。」

「ははは、気を付けるとするよ。
…っと、そうだ、妻が君と話したいそうだ。
後で時間を作ってくれないだろうか?(ザラット)」

「え?エミさんが僕にですか?」
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