ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

はい、私が潰しました。

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グルル♪

「あ、本当にハグしたら森に帰ってった…」

「変わった生態を持つモンスターもおるのですなぁ…(クリストフ)」

「毛がモフモフのフカフカでしたねー。(ヴァンディット)」
「はい…気持ち良かったです…(ミリア)」
「あの触り心地でギュッと出来へんちゃ、辛いわぁ…(ミダレ)」

「ふっふっふ…その辺私はしっかり堪能させて貰いましたよ。(ホクホク顔のラインハード)」


道の真ん中で通せん坊していたフリーハ・グマに各々ハグをし終えると、フリーハ・グマは満足げに森へ帰っていった。

ボディにクラーケン素材を使用しているラインハードは、怪我を気にせず抱き締めた所、フリーハ・グマも思いっ切り抱き締めてきて双方満足した様子であった。

すると一行より先んじてフリーハ・グマに抱き付き、少し離れた所で見ていた商人が近付いてきた。


「変わった生態のモンスターだろう?
あれは元々雌に対する求愛行動の一種で、良い毛並みを持つ雄程雌にモテるのさ。
だから雄は毛並みを清潔かつ心地良く整えたら、雌にアタックする前に人里に下りてきて、ああやって不特定多数の者達の前に立ち塞がって具合を確かめて貰うんだと。」

「「「「「「へー。」」」」」」

「フリーハ・グマは知能が高いから、相手が自分の毛並みを気に入ったかどうかをちゃんと見て判断し、自身を付けたら雌の下に向かうのさ。
だが相手は熊だ。強く抱き締められると嬉しくなって強く抱き締め返してくるから、そこは注意が必要だがね。」

「博識ですね。(ヴァンディット)」

「いやいや、フリーハ・グマの体毛を商いとして扱っているので、これ位は身に付きますよ。
…っと、自己紹介がまだでしたな。
私はマグワイト、西に店を構える商人で、主に毛皮等を取り扱っております。
それであなた方は…(マグワイト)」


(『クリストフにを見ながら』)


「…旅芸人の方々ですかな…?(マグワイト)」

「はっはっは、御冗談を。(クリストフ)」

「よーし、クリストフ。
話がややこしくなるから少し下がっててくれ。」


商人マグワイトは、ノア達一行を視認してから今に至るまでの間、殆どクリストフしか見ていなかったのである。

まぁ人間サイズのエリンギが歩いていれば、誰だってそうなるだろう。





「なる程、同じクランのメンバー方でしたか。
冒険者パーティとして見るのは難しく、見目麗しいお嬢様方のお忍び旅行にしては護衛が少なく、目立つ方(クリストフ)も居りましたので、中々見当が付きませんでしたな。(マグワイト)」

「確かにこのクランは見目麗しいお嬢様達が多いですからね。」

「もう、2人共口が上手なんですから。(ヴァンディット)」


良く喋る商人のマグワイトの言う通り、銀髪と白い肌が特徴の美吸血鬼のヴァンディットと、マシンボディで快活な少女モードなラインハード、健康的な小麦色の肌を晒し、種族的な妖艶さを漂わせるサキュバスのミダレ。

少年の様な短目の髪だが、顔立ちでハッキリと美女に育つだろうと思わせる商人見習いのミリア。

それに対してノアとクリストフだけでは、確かに一見しただけでは冒険者パーティとも貴族の外遊とも思えず、何の集まりだか分かり辛いだろう。


「それはそうと、あなた方も此方へ逃げてきたのですか?(マグワイト)」

「ん?逃げ?」

「えっ!?御存知無いですか?
昨日北にある村を【勇者】軍が襲い、南下して来ていると聞きましたが…?(マグワイト)」


と、今まで陽気に喋っていたマグワイトが真剣な表情となり、ノアへと投げ掛けてきた。

商人のマグワイトは、西方から南下しつつ『アンテイカー』方面に逃げてきたらしく、【勇者】軍のその後を知らない様であった。

序でに言うなら、目の前に居るのがその【勇者】軍を潰した【鬼神】のノアである事に気付いていない様子であった。


「あぁ、心配しなくて大丈夫ですよ。
村を襲っていた【勇者】軍は制圧されて、南下してきていたのも全員捕まり(潰し)ました。」

「ぜ、全員!?
確か500人位居たと聞いたが…?(マグワイト)」

「そうですね、正確にはウォルタメ付近に居た300人、村を襲っていた100人、その後方に居た200人を昨日の深夜には全員制圧して今日の朝方には各国に連行されていきましたよ。」

「やけに詳しいですね、出来ればもう少し詳しく知りたいのだが良いかな…?(マグワイト)」

「取り敢えず先に進みながらにしましょう。
暗くなる前には『アンテイカー』に到着したいので。」

「あ、あぁ、そうですね。(マグワイト)」


まさか【勇者】軍を潰した張本人が目の前に居るとも知らず、商人のマグワイトはノア一行と共に『アンテイカー』へと向かうのであった。





~ドワーフの国『フェレイロ』から5キロメル離れた海上にある『南獄大陸』・縦坑~


【ふむ、廃坑と聞いたが、中々に希少金属が残存しているではないか。
銅が残っているのは嬉しいものだ。
上手く行けば″荷電粒子砲″製造も夢では無いな。
良いか兵達よ!鉱石の類は漏らさず回収せよ。】

[[[[[[ギギギギッ!]]]]]]

【ふむ、旧型よりも性能は劣るかも知れんが、これで武器製造は可能になるな。
出来れば質の高い鉄が欲しいものだが…それは追々考えるか。
『蟻竜兵スプラドルダート』、兵の増産はどうだ?】

[ガガギギギッ!]

【総勢314体か…
自動化出来ないのは何とも歯痒いが致仕方ないか。焦る必要は無い、″餌場″の拡大と共に順次増やしていけ。】

[ギッ!]


【魔王】アクロスは、拠点とする縦坑内で現状の洗い出しと兵の増産を行っていた。
採れる鉱石は少量ではあるものの、アクロスの心配事は兵の方であった。

アクロスは『造魔核』によって造り出した兵隊蟻『蟻竜兵スプラドルダート』に指示を出し、作業を続けさせるのだった。

と、そこに


スタッ!

「アクロス様、ご報告したい事が御座います。(アリス)」

【何だい?】


【魔王】アクロスの下に配下のアリスがやって来た。





【はぁ?″【勇者】軍″?】

「はい…
この世界の【勇者】の故郷、イグレージャ・オシデンタルで挙兵を宣言したとか…
ただ、無茶苦茶な法を発して各地で被害が出ているとか…(アリス)」 

【何処の世界でも最初期の行動は似通っているモノだな…
安心しろアリス、直ぐに此方に危害が及ぶ事は無い。
人間と言う生き物は、″追い込まれてケツに火が付かない限りは己の欲に従う生き物″だ。
アリスが報告しに来た″その無茶苦茶な法″も我々には何ら影響の無いモノだろう?】

「はい。(アリス)」

【なら大丈夫だ、気にするだけ無駄というモノさ。】


【魔王】アクロスはそれだけ言うと、本当に気にしていないかの様に、縦坑の調査を再開するのであった。
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