ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

聖霊銀(ミスリル)精錬

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~大通り~


「はぁ…(ミダレ)」

「どうしたのですかミダレさん?
溜め息なんか吐いて…(ヴァンディット)」

「なぁヴァンディットさんって【錬金術】以外に医療も齧ってるやん?(ミダレ)」

「最近は調香師も齧ってますよ?(ヴァンディット)」

「あっちはサキュバスっちゃけど、皆みたいにあっちも何か手に職を付けたいなー、なんて考えてて…(ミダレ)」


ノアとラインハードが教会に行っている間、宿に籠っているのも何だったので街を散策中のヴァンディットとミダレ、ミリアの3人。

不意にミダレが溜め息を吐く。
実は最近よく溜め息を吐いている姿を見掛ける事があり、ミリアは少し気掛かりであった。

ミダレはここ最近、自身の適正以外の事にも手を出そうとしている様だが、上手くいかない事に悩んでいるのだとか。

だがヴァンディットは、そのミダレの変化に思い当たる節があったのか、ニンマリと笑みを浮かべる。


「ははぁーん、ミダレさんはノア様の″役に立ちたい″と思ってるのですね?(ヴァンディット)」

「う、うん…
あっちなんかがノア君の力になれる事なんて殆ど無いと思うんだけれども、いつもボロボロになって帰って来たノア君に声を掛ける事しか出来ないのが何かもどかしいと言うか…(ミダレ)」


前日に洞窟の奥で悪霊を祓い、ダンジョン化を阻止したノアが宿に戻った直後、魔力枯渇の影響で脱力状態となり崩れ落ちた。

直ぐに医療の心得があるヴァンディットとクリストフが対処にあたり、ミリアとミダレは不安そうに見守っている事しか出来なかったという。

ノアとの旅を開始してまだ数日であるが、こういった場面をミダレは頻繁に見ている為、殆ど必然的に自分も何かしら力になりたい、と思ったらしい。


「でもあっちはヴァンディットさんみたく【錬金術】や医療に詳しい訳でも無いし、ラインハードさんみたいに機械いじりが出来る訳でも無いし、クリストフさんみたいに戦闘と回復を両立出来る訳でも…(ミダレ)」

どよーん…(落ち込むミダレ)

「あ、あ、あ、元気出して下さいミダレさん!
探せば何か見付かりますって!(ミリア)」


ヴァンディットは【錬金術】に加えて医療にも聡く、ラインハードは機械いじりや【彫金加工】に秀で、片手間に装飾品を拵える事も出来、クリストフは戦闘職から回復まで何でもござれ。

最近旅に同行しているミリアは、商人見習いであり、市場価格や相場を大体把握している為、生産職化しているヴァンディットやラインハードの頼れる仲間となっていた。

別に強いている訳では無いのだが、そう言った面子に囲まれている為、自分も何かしら役立たねば、という気持ちとノアの為が半々といった所であった。


「か、かくなる上は、サキュバスの名の下に、ノア君の夜の相手「「ストップ!ストーップ!」」


混乱したミダレは種族的に正しい判断ではあるか、パーティ内の倫理に引っ掛かりそうな発言をして2人に止められるのであった。





~武器や防具、馬具等を製造、加工するエリアのとある工房~


「ふむ。
場所は確保出来たが、完成まで漕ぎ着けるかのぅ…(バド)」

「そうじゃな。
この街は沼地にある故″火の子″は少ないからなぁ。(ロイ)」

「ん?火の粉?
何だい、鍛治場の火力じゃ聖霊銀(ミスリル)は作れないのかい?(工房の主人)」

「いや、そういう訳では無いんじゃよ。(ルド)」

「「「「「「???」」」」」」


ノアから贈与された霊銀を聖霊銀(ミスリル)へと精錬するべく、工房が立ち並ぶエリアの広いスペースを提供された。

ノアと絡みの多いドワーフではあるが、一般的に考えて遭遇率は比較的少ない。

そんな珍しい種族のドワーフが、これまた珍しい聖霊銀(ミスリル)を精錬すると聞いて街中の職人が押し掛けており、ざっと見回しても50人位は居るだろう。

その中にはちゃっかりラインハードも居たりする。


「…にしても、ぎょーさん押し掛けて来たのう。(ルド)」

「みーんな目で盗みに来よったんじゃ。
良い心掛けじゃ。(バド)」

「何ぞ集まってきて貰って済まないが、儂らでも聖霊銀(ミスリル)を作り出すんは容易では無かぞ!
確率で言えば3割って所じゃ。(ロイ)」

「「「「「ええええっ!?」」」」」


バドの言う通り、街中から集まった職人達はドワーフが疲労する技術の一端を目で盗みにやって来た。


″『ドワーフの技術は、見るだけで熟練度が上がる。』″


と職人達から実しやかに語られる位の物らしく、それらを期待していたのだった。

そんなドワーフ達から″聖霊銀(ミスリル)の精錬は成功率3割″と伝えられ、戦慄が走る。


「えっと、ここの設備が古いからとか道具が足りないとかか…?」

「いやいや。確かに古いが、手入れの行き届いとる良い鍛治場じゃよ。(バド)」

「ほへ…(照)」


「となると、その霊銀の問題か?
提供してくれた者に悪いが、その…品質とか…」

「それも違うな。
霊銀にはそもそも品質というものが″無い″。
言い換えれば、全ての霊銀が最高品という訳じゃ。(ロイ)」

「つーか、そんな代物を樽一杯に得た坊は流石と言うか何と言うか…(ルド)」


「それじゃ、あれか?″酒″が無いからか?」

「「「全く関係無いが、樽一杯に用意してくれると助かる。」」」


ドワーフは何処まで行ってもドワーフなんだと改めて実感するのだった。





「掻い摘まんで説明すると、この街は沼地に囲まれとるじゃろ?
″水の精霊″は″そこら辺にうようよ居るんじゃが、″火の精霊″が少ない。
聖霊銀(ミスリル)を精錬するには″火の精霊″が大量に居らんとならんのじゃ。(バド)」

「「「「「「……は?」」」」」」

「まぁ普通はそう思うじゃろうな…
おぅい、坊!ちょっと来とくれ!(ルド)」


バドの発言にポカンとする職人一同(ラインハード含む)。
その反応が返って来る事を察したルドは、離れた所に居るノアを呼ぶのだった。





「ノア殿、街の職人やドワーフ方は既にノリ気だが、幾らなんでも貰い過ぎだ!
これだけの量(樽一杯)の霊銀があれば一財産になるんだぞ?(シンプソン)」

「そうなんですか?
では教会への献金だと思って下さい。」

「いや、献金にしたって貰い過ぎ…(ソシエール)」

「そもそもこれらの霊銀はこの街の近郊で得たものなので、この街で使用すれば本当の意味での鎮魂になるのでは?」

「ぐぬぬ…(ヒュージャ)」


街の職人達とドワーフはノリノリで聖霊銀(ミスリル)精錬を行っている中、教会関係者であるシンプソンとソシエール、ヒュージャの3人は、霊を視える様にしてくれた上に知らず知らずの内に街を危機から救ってくれたノアから、更に大量の霊銀を贈られた事で酷く申し訳無く思っていた。

出来る事なら霊銀の殆どを持って帰って貰いたい所だが、ノアのモノは言い様な発言に言い返せない3人。

結局


「おぅい、坊!ちょっと来とくれ!(ルド)」


「はーい。
あ、呼ばれたんで行ってきますね。」

「「「あ、あぁ…」」」


押し切られた。
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