ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

次回、ノア予防線を張る。

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現在ミダレ″空腹″58、″喉の乾き″57、″休息″96
ノア″空腹″99、″喉の乾き″99、休息″16



~洋館内の私室~ 


「イワシのアンチョビ(塩漬け)に、固めのパン、チーズとコップ一杯分の水…
お腹は満たせるだろうけどちょっと味気無いな…(小声のノア)」

「多分夜食用か何かなんだろうね…
何も無いよりかは良いと思うっちゃ。(小声のミダレ)」


漆黒の洋館内を探索する2人は、とある部屋へと入る。
どうやらこの館の主が書類整理をする為の部屋なのだろう。

その中にあった机の引き出しから夜食用と思われる食糧の数々が出てきた。
とは言え十分に腹を満たせるモノでも無かった。

一先ずパンでアンチョビ、チーズをサンドして即席のサンドイッチを作成するのだった。

ちなみにアイテムボックス内に食糧自体はあるのだが、当然の様に使用不可となっていた。


ムグムグ…

「ちなみにそれでどれ位回復するの?(小声のノア)」

「えっと…″空腹″が6、″喉の乾き″が25位…(小声のミダレ)」

「え?″喉の乾き″は良いとしても″空腹″が回復しなさ過ぎじゃ…
もしかするとダンジョンの仕様なのかも…(小声のノア)」

「あ、あ、ちゃうんよノア君、あっちの場合″食事″で空腹を満たすのが効率悪いってだけで…(小声のミダレ)」

「え?そうなの?(小声のノア)」


即席の食事を行ったミダレだが、″空腹″が大して回復していない。
何かの間違いか、ダンジョンの仕様かと思われたが、実はミダレに問題があった。


「あ、あっちってサキュバスっちゃろ…?
サキュバスの食事って食べ物でも勿論出来るっちゃけど、一番効率良いのは″精気″なんよ。(小声のミダレ)」

「あ。(小声のノア)」
(『あ。』) 

「あっち達サキュバスは、普通夢を介して他者から″精気″を摂取するもんなんじゃけど、ノア君の場合は″精気″がかなり強いから、近くに居るだけで摂取出来るっちゃよ。(小声のミダレ)」


サキュバスであるミダレと初めて会った時、ノアはまだ力の制御前だった為、オーラと共に″精気″もだだ漏れであった。

それによってミダレはノアの″精気″を過剰に摂取してしまい、急性精気中毒を起こす事があった。

サキュバスという種族は普通、他者の夢に作用して情欲を催す夢を見させ、その時に放出された精気を摂取すると言うが、ノアの場合そんな事せずとも近くに居るだけで摂取可能だとか。

その上


「ノア君の精気って…濃ぉて腹持ち良くって、一度摂取したら病みつきになるんよね…
何て言うっちゃろ…他の人のが薄く…ううん、淡白に感じるって言うか…(小声のミダレ)」

(…これは状況的にヤバいのでは…?)

(『ある意味クリーチャーよりもマズイ展開になりそうだな…』)


恍惚とした表情で自身のお腹をさすりつつノアの精気について語るミダレ。

何と無く先の展開が想像できたノアの背中に冷や汗がツゥーっと流れた気がした。


「ミ、ミダレさん?
それはあくまで″最終手段″として考えておこう?第一は探索して食べ物で回復を図ろうね…?(小声のノア)」

「はっ!…あ、う、うん!勿論っちゃよ。(小声のミダレ)」

(『″はっ!″つったぞ″はっ!″って。』)

(我に返っただけでも良しとしなさい!)


何とは言わないが、″導入″的な流れに向かっていたのをノアが正す。
兎に角優先するのはミダレの″空腹″を満たす事。

少しして即席サンドを平らげたミダレを連れ、ノアは静かに、だが急いで探索を開始するのだった。







~サーバールームの識童子~


カチャカチャ…

〝えーっと、″食糧の出現数:激減″、″食事による回復量:激減″、″空腹速度:5割増″、″クリーチャー感度:極狭″…
にょほほ♪″ダンジョン内に2人っきり、何も起きないハズがなく…″な展開を拝める事になろうとはね~♪
最初からパ◯り目的の奴らと、最初はその気無いのに状況的に、とでは癖への刺さり具合が違うんよね~♪〟


ダンジョンマスターの権限をフルに使い、ノアを(ある意味)危機的状況に追いやる為の操作が着々と進んでいた。

ちなみに識童子は現在、物凄く肌をツヤツヤさせていた。





~んでもって1時間後~


テクテク…

(何で″空腹″の概念があるダンジョンで何処にも食糧が無いんだよぉっ!
キッチンにパンの切れ端位あっても良いだろうよ!)

(『飲み物は大抵あったのにな。』)


あれから1時間が経過し、ノアとミダレは洋館内をぐるぐると歩き回っていた。
主目標である探索は捗り、脱出口と見られる場所は見付からず、目的の食糧も一切見当たらず途方に暮れる。

しかも


(それに途中からおかしいと思ってたけど、全然クリーチャーが来ない!
最初の反応の良さは何処行った!?)

ゲシゲシゲシッ!(壁を何度か蹴る音。)



~その頃のクリーチャー~

〝フーッ…フーッ…(2分置きに休憩中)〟 



(『かくなる上はクリーチャーを殺して外に出て出来るか分からんがギブアップするか、洋館ぶっ壊してでも脱出口を見付けるかしないとな。
でないと…』)

(分かってるって!)


何もかもが見付からず、珍しく焦るノア。
その理由は勿論…


ハーッ…ハ…ハーッ…

「あ、アカンよ、ノア…君…『ハァ…』そんなにイライラしたら『ハァ…』…ク、クリーチャーがキちゃうよ…?
色々と…昂ってるっちゃよね…『ハァ…』
そんな時は『ァ…』少ぉーし精気を抜いてあげると落ち着くし、『フ…』あ、あっちも満たされるし、お互いに『ア…ン』メリットしか無いと…思うんよ…?(ミダレ)」

現在のミダレ″空腹″6(性欲94)、″喉の乾き″99、″休息″92


ノアの後ろでは、頬を紅潮させつつ艶かしい吐息を漏らし、遠回しに精気摂取を促してくるミダレが居た。

″空腹10(性欲90)″を切った辺りから、何故かミダレの目が妖しく光出し、薄らと″ハート″の模様が浮かび上がっていた。

更にノアに無言の訴えをするかの様に、自身の火照った手をノアの手に重ね、時折ネットリと揉み解してくる。

″サキュバスのミダレが迫ってくる″と言うよりか″ノアの性奴隷と化したサキュバスのミダレが迫ってきている″という状況であった。


(マ、マズイよ!マズイって…!)

(『おぅ主、席外してようか?』)

(おいコラ!変な気を遣って逃げようとすんじゃない!)
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