ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
909 / 1,117
取り敢えず南へ編

ミダレに色々と起きますし、起こします。

しおりを挟む
~その頃アンテイカーの工房では~


カィン!カィン!カィン!(バドが剣を打つ。)

カッカッカッカッカッ!(ラインハードが指示された装飾を作成。)

トカカッ!カカッ!(ロイが刀身に空けられた穴に装飾を嵌め込む。)

タパパッ…『『ジュワァア…』』(ルドが刀身に特殊な液体を掛けて刀身と装飾を一体化させる。)

「よっしゃ、出来たぞ神父。
お主専用の剣、『鎮魂歌(レクイエム)』じゃ。
大事に扱うんじゃぞ?(バド)」

「お、おお…何と美しい…(シンプソン)」



『鎮魂歌(レクイエム)』…ドワーフとラインハードとの共同で造られたグラディウスと言う剣。
刀身には幾つか穴が空けられており、そこに聖霊銀(ミスリル)製の装飾を施されている。

剣を振る際そこに空気が流れ、浄化作用が付与された音色が発生する。
勿論悪霊やアンデットに対する効果は絶大である。



「…意外です…
てっきり聖霊銀(ミスリル)のインゴット全部使って武器を作成すると思っていたのに、3人分の装飾で使ったの一欠片にも満たないんですね…(ミリア)」

「そりゃあの。
聖霊銀(ミスリル)そのもので武器を造っても強度が無く、直ぐに使い物にならなくなっからな。(ロイ)」

「それにこれだけ少量でもちゃあんと聖霊銀(ミスリル)はしかと効力を発揮すんじゃぞ。(ルド)」


商人見習い(メルカドール)のミリアは教会関係者への刀剣製作を1から見続け、ドワーフの技術を見て目を養っていた。

ミリアは聖霊銀(ミスリル)が極少量しか使われていない事に驚いていたが、その理由はバドが教えてくれた。


「ちなみに商人見習いの嬢ちゃん、聖霊銀(ミスリル)インゴット1本の市場価格知っとっか?(バド)」

「え?…いや、資料を漁ってみたのですが聖霊銀(ミスリル)に関する情報が殆ど無くて…(ミリア)」

「まぁそうじゃろうな。
聖霊銀(ミスリル)が少量市場に出回るだけでも一騒ぎある代物じゃ。
インゴットとなると大騒ぎになるぞ。
嬢ちゃんちとインゴットを持ってみぃ。(バド)」


そう言ってバドはミリアに聖霊銀(ミスリル)インゴットを手渡す。


「それ1本で″十ウン億″すっど。(バド)」

「でぇえ″え″え″え″え″え″っ!?(ミリア)」


バドから額を伝えられたミリアは全身から汗を噴き出し、女の子らしからぬ絶叫を上げていた。


ヒェエエエエエ…(ミリアの叫び。)

「ノア君と一緒に居ると、不定期に凄まじい物と出会すよね…(ラインハード)」

「慣れましょう…(ヴァンディット)」


額が重過ぎたミリアは、その後懇願気味に手の上の聖霊銀(ミスリル)を取り除いて貰っていた。


「そういえばノア君とミダレちゃん、帰ってくるの遅いね。(ラインハード)」
 
「そうですね。(ヴァンディット)」

「まぁ『幽閉霊』ってダンジョン、名前はおどろおどろしいけどデートスポットとして有名だから結構長居してるんだと思いますよ?(ソシエール)」

「あらあら。(ヴァンディット)」
「まぁまぁ。(ラインハード)」

「親睦が深まっていると良いですな。(クリストフ)」





~『幽閉霊』内~


「ノア君…焦らさんといてぇな…『ハァ…』ウチ、お腹ペコペコでおかしくなりそうなんよ…『フ…ゥ…』
ずっとノア君の(精気)が欲しくて欲しくて堪らんき、『ハァ…』助けるつもりで…なぁ…?(ミダレ)」

「う、ううう…」


親睦所かそれ以上に深い関係になりそうな状況に、ノアはどうにか事態が好転しないものか思考を巡らせるが、時間を掛ければ掛ける程ミダレの艶かしさと甘えが増し、今現在ノアの腕に絡み付いて懇願してきていた。




「…そ、そうだよね…
ミダレさんにとって今の状況は″空腹″故のモノ。
やましい事なんて何一つ無いよね。
いやあるまい!」

(『誰に言ってんだ?主。』)


遂に色々と折れたノアが自分に言い聞かせるかの様に予防線を口にし出す。

確かに食事=性欲に近いモノを持つサキュバス故、ノアの言い分は正しい。


ズズズ…(右手首の力の制御を解除。)


そこでノアは力の制御を一部(右手)解除。
つまりそこを通じて精気をミダレに与える様だ。


「あはっ、やっとその気になってくれたっちゃね?(ミダレ)」

(『何か性格変わってないか?この娘っ子…』)

「そ、そんな事無いよ…ね?ミダレさ「だーめ、あっちの事はこれから″ミダレ″って呼んで?」…はい…」

(『やっぱ変わってんな。
いつもよりぐいぐい来るしな。』)


ノアが力の制御を一部解除した瞬間、妖しく光っていたミダレの目がより一層妖しく光り、″ハート″模様の双眸がノアを見据える。

いつもより口調が砕け、態度も積極的である。
そんなミダレの変化に気圧されるノアであったが、力の制御を解除した右手を濡れた瞳で待つミダレの顔へとゆっくり近付けていった。


ぴとっ…スリスリ…

「あ、はぁ…ん、スゴい精気…
ずっと…ずっとコレが欲しかったっちゃ…(ミダレ)」

(これは食事、これは食事、これは食事…)


ノアの手が振れると愛おしそうに顔を擦り付けるミダレ。
まるで主人が撫でる手に気持ち良さそうな反応を示す飼い犬の様であった。

それだけならまだ良かったのだが


チュッ、チュピッ…(ノアの右手にキス。)

「ちょ、ちょおい!ミダレェッ!?」

(『ここに居るのが俺らだけで良かったな…
こんな絵面、他の嬢ちゃん達に見せたら間違いなく誤解されっからな。』)


ノアの手に頬擦りするだけに止まらず、口付けをするミダレ。
この後、貪る様に吸ったり舐めたりするのだが、当人達の事を考えてここは省略させて貰う。

この状況を見られてなくて良かったなぁ、と言う鬼神だが、とある1人の人物にバッチリと見られているとは露程も思っていなかった。



~サーバールームの識童子~


〝ほほっ!うほほっ!貪る様に味わうねぇ!
少年君は我慢している様だけど、何処まで理性が持つかなぁっ!
…あれ?サキュバスが″男性の右手に口付け″するのって何か意味が無かったっけかなぁ…
…まぁ良いか、今はこの状況を見逃さない様にしないとねぇ~♪〟


何か意味ありげな事を呟く識童子だが、外に居るノアの目の前では、それに関連した不可思議な事象が発生していたのであった。




ペロペロチュッチュッ…(ミダレがノアの右手を舐めたりキスしたり。)

「ふ…ふぬぬ…」

(…ねぇ鬼神…?)
(『…あぁ…』)

右手に感じるくすぐったい感覚に耐えつつ、ノアと鬼神はミダレの直ぐ近くで発生している不可思議な事象に困惑していた。


『『『ふよふよ…』』』(毛むくじゃらの″何か″が浮遊。) 


((『え?この″毛玉″何…?』))
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...