ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
987 / 1,124
ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

恐怖のかくかくしかじか

しおりを挟む
~ヴァリエンテ領内~ 


「やっほー、ノアちゃん遅かったじゃない。(アミスティア)」

「どうした?イグレージャ・オシデンタルで″道草″でも食ってたか?(レドリック)」

「や、やぁノア君、獣人国振り…(ジョー)」

『『オロオロ…(ラーベとラベルタ)』』

「ヒィ…ヒィ…(美幸)」
「ハァ…ハァ…(悠)」

「「情報量。(突っ込むノアとクリストフ)」」


身分証明を終え、門を潜りヴァリエンテ領内に入って暫し、噴水のある広場に見知った気配が集まっていたのでそちらに向かってみると、前述した様に既に両親のアミスティアとレドリックが到着していた。

その足下には、居候中のハズの美幸と悠が息を切らした状態で転がっていた。
大方良い機会だから序でに連れて来たのだろう。

そこまではまだ分かる。そこからが謎だった。

何せ、レドリックの肩には何故か大商人のジョーが担がれており、その周りでは護衛兼従業員のルーシー姉妹が困惑した表情でオロオロとしていた。


「…色々聞きたい事があるけど一先ずそれらは置いておこう…
皆『真っ直ぐ』来たんだってね、そりゃ早い訳だ…」 

「当たり前じゃない。
最短最速で目的地に着くのが1番効率が良いのは百も承知でしょ?(アミスティア)」

「俺としてはもう少しのんびり来るつもりだったが、アミスティアが張り切っているものだから俺もそのノリで付いて行ったのさ。(レドリック)」

「ヒィ…ヒィ…(美幸)」
「ハァ…ハァ…(悠)」

「…こっちの2人は…?」

「「訓練のついで。」」

「ついでだったのね…南無…」

「ヒィ…ヒィ…(美幸)」
「ハァ…ハァ…(悠)」


ついでで連れてこられた2人は、『真っ直ぐ』来た為心底疲れきっているのか、ノアからの言葉に全く反応出来ていなかった。





「…それでジョーさんは何故ここに…?
…と言うか、状況的に見て何故捕まったのです?」

「いやはや、この様な往来では話辛い事だからそれはまた追々…
それよりもレドリック殿に下ろす様に言ってくれないか…?こちらから言っても聞く耳を持ってくれないのだよ…(ジョー)」

「だそうだけど父さん、下ろしてあげたら?」


未だレドリックの肩に担がれているジョーから懇願される形で説得を行ってみるノア。

すると


「ノア、ジョーが″かくかくしかじか″なのは知ってるか?(レドリック)」

「「「ん?(ジョー、ルーシー姉妹)」」」

「″かくかくしかじか″の事?」

「あぁそうだ。(レドリック)」

「だったら知ってるよ、勿論彼女達も″しかじか″だって事もね。」

「なら話が早い。(レドリック)」

「あ、あの2人共?一体何の話を…?(ジョー)」


急に″かくかくしかじか″で会話を始めた2人に、ジョーは混乱する。

2人の中では通じているが、勿論ジョーには何のこっちゃな様子。


「実はコイツな、″かくかくしかじか″で最近″かくかくしかじか″なんだ。
にも関わらず何度も″しかじって″るから連れてきたって訳。(レドリック)」

「あらら…それで…」

「レドリックの″かくかくしかじか″所か私の″しかじか″も″しかって″来たからデリカシー無いのよね、ジョーって。(アミスティア)」

「ちょ、何か造語が混じってきてませんか!?(ジョー)」


「だからこの歳で嫁の貰い手無いんだ、コイツ。(ボソッとレドリック)」
「隠してるけど3回縁談があって全部断られてるのよね…(ボソッとアミスティア)」
「やめたげなよ…(ボソッとノア)」


「急に鋭利なナイフで刺してきましたね!
と言うか何故その話を知ってる!?(ジョー)」


「まぁとにかく″かくかくしかじか″あって″しかじった″から連れてきたんだね?」

「そう、だから″処刑″。(レドリック)」
「″処刑″、″処刑″♪(アミスティア)」
「ごめんジョーさん、擁護出来ないよ。」

「何をどう話したら″処刑″に繋がるんです!?
離して!解放して下さいって!(ジョー)」


ザックリ説明すると、ジョー扮する【諜報】のナサケ達が美幸や悠の監視ついでにアミスティアとレドリックの家の周りを彷徨いていたのだが、ずっと監視される事に嫌気が差し、いっその事捕まえてしまおうと考えたらしい。

処刑については、長年の付き合いから来るノリである。





カッカッ…

「…まさかこれ程早くお越しになるとは思ってもみなかった…
御三方(ノア一家)とは獣人国振りであったな。(ルルイエ)」

「ルルイエ伯爵様の頼みですもの、断れないわ。(アミスティア)」

「昔色々と世話になったからな、″何処かの誰か″と違ってな。(レドリック)」

「ふぐ…(下ろして貰えたジョー)」

「ドンマイ、ジョーさん。」


少しの間茶番を繰り広げていると、広場の奥から杖を突いた老齢だが体躯のがっしりした男性が兵士数人とカルルを連れてやってきた。

ヴァリエンテ領の領主であり、此度の大氾濫を前にしてノア一家に協力を求めてきたヴァリエンテ・ルルイエ伯爵であった。


「…ルルイエさん、もしかしてその杖は…」

「はっはっは、歳は取りたくないモノだ。
獣人国での大氾濫がまだ尾を引いている。
少し前までならこの様な怪我、立ち所に癒えていたというのにな。(ルルイエ)」


杖を突いて歩いてきたヴァリエンテ・ルルイエ伯爵の両靴には金属製の補助器具が取り付けられ、それで何とか歩けていられる状態であった。


「我が領の前哨戦のつもりで挑んだと言うのに、それが元で領内の問題に取り組めんとは、全く駄目な領主であるな、儂は。(ルルイエ)」

「父上…(カルル)」

「笑えない冗談は年寄りの始まりですぞ。
ルルイエ殿はまだまだ若い。今回は俺達に任せて療養に努めて下さいな。(レドリック)」

「あぁ、そうさせて貰う。
可能な限り援助はさせて貰う。何なりと申し付けてくれ。(ルルイエ)」


ルルイエの自虐に、カルルや周りの兵士の表情が曇る。
近しい間柄故、冗談と捉えるのが難しくなってきたのだろう、レドリックの言い回しを聞いて落ち込んでいた心を奮い立たせる様に努める者もちらほら居た。





「一先ずノアのクランの者達とミユキやユウ達は、宿を取って各々自由に過ごすと良い。
俺らはある程度情報は得ているが、もう少し詳しい所を知りたい。
ルルイエ殿、各種情報提供の方願えますかな?(レドリック)」

「あぁ勿論だ。(ルルイエ)」

「私は″街の状況″を知りたい所だから少し回ってくるわ。
ノアちゃんも一緒に。付き添いで誰か兵士さんが居ると良いのだけど…(アミスティア)」

「わ、私が付きましょう。(カルル)」


出会いの挨拶も早々に、レドリックが温度を取って各々情報収集を開始。
早速大氾濫に向けての準備に取り掛かるのだった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...