ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

解呪ガチャ

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((『せ、せっこ…』))

「どうだ、見付けたか?
それが″タダ″の理由だ、説明文はちゃんと見ないとだめだぞ?けけけ。」


武器説明欄の一番端っこ、そこに書かれた『カース(呪い)武器』の文字。
それが武器商人が提示した″タダ″の理由らしい。

しょーもない隠しかたにノアと中に居る鬼神が呆然としていると


「おい何だこの表記の仕方は!?
気付けない様に露骨に隠しているじゃないか!(ルルイエ)」

「カ、『カース(呪い)武器』!?
…これも、あれも…全部そうじゃないか!?
これで契約成立だと?詐欺じゃないか!(カルル)」


と、一部始終を見ていたルルイエとカルルが文句を言ってきた。
まぁ当たり前と言えば当たり前な話ではあるが。


「こんな代物を送り付けて…
大氾濫を控えている事は知っていたハズだろう!
実際にこれらの武器を使用してここに居る者達が危険に晒されるとは思わないのか!?(カルル)」


カルルが怒声混じりに武器商人を訴えるが、武器商人はここに来て本性を露にするのだった。


「くっくっく、私は武器を提供するだけが仕事だ、その後の事等知らん。
だったら最初から私を通さなければ良かっただろう?
各所に設けられている関所を掻い潜ってやって来た怪しさ満点の奴をなぁ。」

「くっ…
兵達よ、この者を捕えろ!(ルルイエ)」

「「「は!」」」

「待ちな、契約が完了するまでに私を捕まえちまうと契約の魔導具が邪魔立てを認識して【鬼神】が痛い目を見る事になるぜ?」

「「「「何っ!?」」」」


武器商人の男は指に填めた契約の魔導具を見せつつ、捕縛に向けて近寄ってきた兵士達を牽制する。

契約が成立してしまった段階で自身の身の安全が保証された様なモノなので、商人は余裕の表情である。


「大方私がここで何かやらかしたら捕縛するつもりだった様だが、アンタらが私をここに入れた時点で契約の成立は確実だったんだよ。けけけ。」

「「「「く…」」」」


ルルイエ達の計らいでここに訪れ、勝手に武器を広げ、横柄な態度を取っていれば誰かしら近付いてくるもの。

今回は【鬼神】であったが、少しでも意欲を見せれば契約が成立してしまう為、商人の言う通りここに来た時点で商人側の勝利であったと言える。


「…と、邪魔が入って話が逸れちまったな。
契約成立に伴っての説明がまだだったな、耳かっぽじって良く聞けよ?
ここからの″選択″は【鬼神】、アンタが決めるんだからな。」

「″選択″?」

「そもそも契約は成立したが、これらの武器がタダである事に変わりは無い。
謂わばこっちの利益は″0″だ。
そこのガキが詐欺だ詐欺だと言ってるが、利益が生まれていないのに詐欺も糞も無ぇだろ。」

「な…(カルル)」


商人の言う通り、商人側がタダで武器を提供している以上利益等発生しておらず、輸送費等の面を考えれば商人側がマイナスである。

今の段階では商人側の利益となる要素が見当たらない様に思われた。


「まぁカルルさん、取り敢えず話を聞こうじゃないですか。
それを聞いてから対策を考えましょう。」

「む…(カルル)」

「けけけ、【鬼神】の方が大人な考え方ですな。」

「くっ…(カルル)」


商人の話を黙って聞いていたノアは一先ず説明を聞く事にした。





「【鬼神】さんよ、アンタは此度の大氾濫解決の要として呼ばれた。
謂わば″責任者″、ここに暮らす物達の″命を預かる″者としての一面もある訳だ、違うか?」

「そうだな。」

「【鬼神】の数々の戦績はよーく耳にしている。誰よりも先頭に立ち、自身の命を削ってまで他者の命を守るその姿勢。
これに関して私は尊敬している。本当だぞ?」

「……。」

「だが今回それを″利用″させて貰う。
【鬼神】、″命の対価に金を払えるか″?」

「…?どういう事だ。」

「聞いてるぞ?
どうやら此度の大氾濫に際し、掛かる費用の大半を出資していると。
その辺で街としての機能を持たせる為に休みなく働く元奴隷…今後はここの住人となる者達も【鬼神】が資金を出して呼び寄せたと。」

「耳が良いんだな。」

「その歳で金の使い方を良く分かっている。
最近の新人冒険者に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい位だ。」

「前置きは良い、さっさと用件を話せ。」

「けけけ、怒んな怒んな。
私がここにある『カース(呪い)武器』を持ってきたのには理由がちゃーんとある。
『カース(呪い)武器』は″使用者に不利となる効果″が付与されてしまった武器の事だ。
所有者である私ならその効果を見れるが、その鉄の剣の場合、″筋力2割低減″という最悪な代物だ。
だが品質は7、耐久値はしっかり100ある新品。
効果の問題が解消されれば普通に使える代物ではある。
つまり…」

「つまり″効果の問題を解消する手段″を持っている。金を払えば、って事か?」

「はっはっは、正解だ。話が早くて助かるぜ。」


当初ノアは武器商人が『カース(呪い)武器』を持ってきたのは、使用者にとって利益とならない代物であるから、厄介払いとして持ち込んだモノだと思っていた。

だがこの武器商人は『カース(呪い)武器』を金を産み出す商品として、敢えて持ち込んだモノであった。


スッ…(徐に手を突き出す。)

「私の指に填められている指輪の1つに、『カース(呪い)武器』に付与されてしまった効果を解消する能力を持つ物がある。
『解呪の指輪』と言って、これで武器を小突けば<解呪>が発動し、″効果が反転″される。」

「″効果が反転″…?」

「そのままの意味だ、″負の効果″が″正の効果″に。″筋力2割低減″が″筋力2割増″に。」


コツンッ!(徐に鉄の剣を小突く。)

『『『キュォンッ!』』』(鉄の剣が淡く光る。)


「こんな風にだ、確認してみろ。」

「……。」


商人は指に填められていた指輪の1つ『解呪の指輪』を鉄の剣に接触させ実演して見せる。



『鉄の剣
品質:7  耐久値:100

ごく一般的な鉄の剣

使用者の筋力2割低減→″筋力2割増″。』



「…なる程、確かにアンタが言ってる事は正しい様だ。
つまりこれら全てに<解呪>を施し、戦力増強を図ってやるから金を払えと?」

「それもそうだがまだ説明が残っている。
この『解呪の指輪』は品質的な問題で効果の発動がマチマチでな、1回で<解呪>するかも知れないし、10回で<解呪>するかも知れない。
これは指輪を作った職人の匙加減だがな、けけけ。」

「……。」


商人が填めている『解呪の指輪』、<解呪>の成功率は後の調査で約3割だったらしく、1回で成功するかどうかは神のみぞ知る所であった。

こういった案件は近年増えているらしく、被害を受けた異世界人からの言葉を引用してこう呼ばれていると言う。

″解呪ガチャ″と。
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