ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

デオとガーラの介入

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カース(呪い)武器…有利な効果を持つ魔剣と対を成す様な武器全般を差す。
高品質な材料の中に質の悪い材料を加える事で発現し易い。
所有者に不利な効果を与えるモノが殆どで、1つないし2つ付与される。

<解呪>又はもう1つの要素でカース(呪い)を取り払う事が可能で、その際効果は反転され、準魔剣となる場合がある。

ちなみにカース(呪い)武器を鋳潰して効果を消す事も出来るが、かなりの熟練度を擁す。
その為世間一般ではカース(呪い)武器の効果を消すのは不可能と言われている。



「や、止めだ止め!
こんな案件破棄だ!断るんだノア君!
了承したら金が幾らあっても足りなくなるぞ!(カルル)」

「おーおー、金にがめつい貴族殿は違いますなぁ。
戦力増強が図れれば、結果として命を救う事にも繋がるでしょう。
命を取るか、金を取るか、聡い【鬼神】なら結果は出てる様に思うのですがねぇ。」

「……。」


明らかに場の空気は商人のペースに呑まれつつあり、カルルも冷静さを失い掛けている。

ノアも頭を回転させて何か解決策が無いか模索していると


「うわっ!?何だこりゃ、全部『カース(呪い)武器』じゃねぇか!(デオ)」

「こんだけの数よく揃えたなぁ、これもしかしたらわざと『カース(呪い)武器』となる様に作ってんじゃねぇか?(ガーラ)」

「あ、デオさんガーラさん。」


と、そんな現場にデオとガーラの2人が地面に置かれた武器の数々を眺めて文句を言いながらやって来た。


『ゴッ!ゴッ!』カンッ!(刀をバラす。)

「おいおい見てみろこれ!
レンマード(とある街の名前)製の刀だぜ?
そりゃ見映えだけは良いハズだぜ。(デオ)」

「内部的な面に目を瞑れば大量生産に向いてるからな、あそこ。(ガーラ)」

「おいおいおい!勝手に触るな馬鹿共が!
商談の真っ最中だぞこっちは!」


ズカズカとやって来た2人は徐に武器を手にしてあっという間にバラし、造りを見出す。

そんな2人に怒声を浴びせかける商人。

だが


「おぅオッサン、これアンタが持ってきた奴か。(デオ)」

「そうだ!私の商品だ!」

「ふむ、203本か。
アンタ『武器販売証明書・乙種』持ってんのか?(ガーラ)」

「何だそれは!」

「大量の武器販売を行う際に携帯を命じられている証明書だ。
持ってなければそれだけで罪に問われるもんだぜ?(デオ)」

「な、何っ!?」

『『『『ザワッ…』』』』(兵士達がザワつく。)


徐に証明書の提示を求めるガーラに、慌てる商人。

思いがけない方向からの指摘に、見守る事しか出来なかった兵士達がにわかにザワつき始める。


「いや………な、中!
荷馬車の中にある…ハズだ!待っていろ!」

ダッダッダッ!


商人は今までの余裕の笑みを捨て、慌てた様子で荷馬車に駆けて行き、一心不乱に証明書を探し始める。

捕まるリスクが発生したのだから当たり前と言えば当たり前である。

するとそれを見送った後


「よし坊主、オッサンがあっちに行った隙に手短に話すぞ。
一応俺達の方で『カース(呪い)武器』を鋳潰して効果を消す事が出来る。(デオ)」

「え?そんな事出来るのですか?」

「一般的な技術職なら無理だろうが、お前さんの武器や防具を製作したお陰で熟練度が上がりまくった今の俺らなら容易だ。
その代わり反転効果等無い普通の武器にはなっちまうがな。(ガーラ)」

「おぉ…」パァア…


商人を遠ざけた瞬間早口で今後の話をする2人。
ノアの武具製作で高まった自身の熟練度を以てすればカース(呪い)武器のカース(呪い)を除去出来ると言う。

2人が伝えた事実に光明が見え、思わず笑みが溢れるノアだが


ドカドカドカッ!(駆け足で走る商人。)

「おい!何をコソコソと話している!
聞こえていたぞ!鋳潰すだと!?絶対にさせんぞ、『契約の魔導具』に規約として追加してやる!」


「ああ!唯一の希望が…」

(『コイツ<地獄耳>持ってねぇか?』)

「チッ、地獄耳が。(デオ)」

「しかもちゃんと『武器販売証明書・乙種』を持ってやがる。
これじゃあしょっぴけねぇな。(ガーラ)」


荷馬車から慌てて飛び出して来た商人の手にはしっかりと『武器販売証明書・乙種』が握られていた。

その上デオとガーラからの提案も聞かれ、『契約の魔導具』内に追記される始末となってしまった。


「糞っ!目を離したらこれだ!
だがコレでもう安心だ!譲渡した武器の形を変えてみろ?
莫大な違約金を払わせてやる!」

「じゃあ次は『武器所持責任者証明書』を…(ガーラ)」

「黙れぃ!
良いか?私は裏の者達に顔が広いのだ!
これ以上ゴネて時間を延ばしてみろ!
やはり【鬼神】も人の命よりも自身の金を優先する卑怯者と、汚点となり得る噂を立てられたく無ければ<解呪>を受けるのだな!」


と、時間稼ぎも効かず、既に脅迫となった物言いで圧を加える商人。

このまま解呪ガチャをしなければならないのか、と思われたが


「ちなみにその『解呪の指輪』、それ本当に<解呪>出来るのですか?
そんなに確率が低いハズなのに、何故さっきは1発で上手く<解呪>出来たのでしょう?」

「何だ!?私を疑うのか?
これは指輪に微量の″『聖霊銀(ミスリル)』″を使った正真正銘の『解呪の指輪』だ!
<解呪>に加えて″<浄化>″の効果も持ち合わせる鑑定証付きの一品だぞ!
確率操作を疑っているのだろうが無駄な事だ!」

「ん?」

(『ん?』)

「「ん?どうした坊主?」」


自身の手に填められた『解呪の指輪』と、その鑑定証をノアに突き出す商人だが、ノアと鬼神が気になったのはそこではない。


「…『聖霊銀(ミスリル)』?」

「そうだ!」

「『聖霊銀(ミスリル)』って、あの『聖霊銀(ミスリル)』?」

「それ以外に何がある!」


ごく最近非常に聞き馴染みの出来た言葉が聞こえてきたので思わず聞き返すノア。

もしノアの知ってる『聖霊銀(ミスリル)』と商人の言う『聖霊銀(ミスリル)』が違うものかも知れないが、どうやら合っていた様子。


「さぁそろそろ決め手貰おうか!
人の命を取るか金を取るか(解呪ガチャやるかあらぬ噂を立てるか)!」


決断を迫る商人。
ビシッと指を突き付けて言い放つ。




「あ、2分時間下さい。」

「んぁ?2分?
それで何が出来ると…まぁ良いでしょう。」

「それじゃデオさんとガーラさん、ちょっとコッチ。」

「「ん?」」


商人から2分だけ席を外す許可を受けたノアは、カース(呪い)武器を手にし、デオとガーラの2人を誘って森林エリアの方に向かっていったのだった。





~2分後~


ウ,ヒッヒッヒッヒ…!(デオの笑い声)
ダハハハハハ…!(ガーラの笑い声)

「…何だこの下品な笑い声は…
お、戻ってきた。
さぁ【鬼神】、返答を聞こうじゃ…」


「あ、<解呪>やらなくて大丈夫です。」


「そうだろうそうだろう、その言葉が聞きたかった。
さて価格だが1回10…はぁっ!?やらない!?
予定と違うぞ、これじゃあ…
っ、やはり貴様も金の亡じ『スッ…』


と、見事なノリツッコミを決めた商人に、徐に武器を手渡すノア。


パシッ!

「ん何だ一体っ!
これが何の……な、何ぃっ!?」


ノアから手渡された武器を見た商人が目をひん剥き、そのまま固まってしまった。

何故なら


『当たらずの弓→″違わぬの弓″
品質:7  耐久値:100

命中率に難のある弓

命中率補正2割減→″命中率補正2割増・命中時貫通力(大)″。』
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