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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~万死一生~
『龍衣無双刀・比類無鬼神ノ顕現』&竜征趙無力化
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~少し前・???~
「……ん?何処?ここ…」
『おーい、こっちだこっち。』
《後ろです、後ろ。》
「え?あ、はい。…わ、誰?あなた。」
ノアが長屋から出る少し前、気付けばノアの意識は何も無い真っ白な空間の中にあった。
薄暗い部屋の中から真っ白な空間に場面転換した為目が眩み、殺風景で何も無い為頭が混乱する。
だが背後から『鬼神』の声と″誰か″の声がしたので振り返ると、そのまま変わらず『鬼神』と″誰か″が待っていた。
『何も無い所だが、まぁゆっくりしてけよ。』
「いや、本当に何も無い所…
あ、じゃあちょっと失礼します…」
《取り敢えず最初の質問に答えよう。
私は『大喰(オオグライ)』。
この″荒鬼神ノ化身の中に宿っている能力の源″さ。》
『ほい、ミカン。』
「あ、どうも。」
《あれ?聞いてる?》
誘われるままに『鬼神』と″誰か″の下まで行き三者面談形式で向かい合う形で座る。
目の前に居る″誰か″は、真っ黒いガス状の球体に龍を思わせる口が浮かんでいるだけのシンプルな見た目で、その″誰か″は自身を″荒鬼神ノ化身の中に宿っている能力の源″、【荒鬼神ノ化身専用戦技:起点技】と同じ名の『大喰(オオグライ)』と呼んでいた。
つまり現在ノアの意識があるこの真っ白な空間内は、荒鬼神ノ化身の中という訳である。
《今日ここに来て貰ったのは他でも無い。
この″荒鬼神ノ化身最終派生前の対話″を行おうと思って来て貰ったのさ。》
「″最終派生″…?」
《そうさ。
中に居る私も見てたから分かるけど、こっぴとくやられてるようじゃないかあの″羽虫(竜征趙)″に。
今のままじゃどう足掻いたって奴には勝てやしないのは君が一番良く知っている事だろう?》
「う、うん…」
『大喰』の目的はノアの愛刀荒鬼神ノ化身を最終形に派生させ、竜征趙を討ち倒す事。
その前に所持者であるノアと対話し、色々と擦り合わせを行っておきたかった様だ。
《私の能力は知っての通り″他者から力を奪って所持者の力に変換する事″。
それは今もこれからも変わる事はない。
とは言え、荒鬼神ノ化身を最終形に派生させる場合、″所持者本人からもある程度力を奪わなければならない″んだが…》
「良いよ。何が必要だ?」
《え?早。》
『主は即断即決がウリだからな、こういう時の決断は早いぜ。』
荒鬼神ノ化身の最たるものは何と言ってもその『吸収能力』にある。
これは荒鬼神から荒鬼神ノ化身へ派生する際に、グリードのプラズマレーザーを利用した事から得られた能力である。
今までは他者から、であったが最終派生に至る場合は使用者本人からも力を吸収する必要があると言う。
ならば尚更所持者であるノアと対話をする必要があったと考えたのだろうが、ノアはあっさりとこれを了承してしまった。
《じゃあ幾つか見繕って貰っていくが良いんだな?》
「あぁ構わない。
奴(竜征趙)を倒せるだけの力を得るのなら、それ相応の代償が必要だからな。」
《ふーむ…それじゃあ先ずはこの″【鬼鎧殻】″っつー固有スキルを戴こう。》
「え!?」
《ん?》
「いや…何でも無い。」
《そう?
じゃあ次に″【一神同体】″も貰っちゃおう。》
「あぁ…」
《え?何かあった?》
「い、いや…」
《あ、この『転移の輪』だね?
君が外でピュンピュン好き勝手縦横無尽に飛び回れるのは。》
「う、うん…」
《じゃもーらい。》
「ふぇぇ…
それは僕の力じゃなくてアイテムだよ…?」
《何か問題でも?》
(『早速折れ掛けてるじゃねぇか。
…しゃーない、助け船を出してやるか。』)
吸収するノアの力の選別を開始したのだが、『大喰』が挙げていく名がどれも有用な固有スキルであったり有用な装備であった為、思わずノアの口から弱気な悲鳴が上がっていく。
″力を奪う=力を失う″
と考えている節がある様なので、『鬼神』が気に掛けて注釈を入れてくれた。
『なぁ主?
勘違いしてるかもしれないが、『大喰』が力を奪ったからといって、その力を完全に失う訳じゃ無ぇぞ?』
「え!?違うの!?」
《そうだよー。》
『『バリッ!ボリッ!』』い殻】
「あぁっ!もう食ってる!?」
既に『大喰』の中に【鬼鎧殻】の固有スキルが飲み込まれ、吸収されている最中であった。
《このままじゃ取り回しし辛いから、私の中に一度吸収して再構築するだけさ。》
「な~んだ、それならドンドン食べちゃってよ。」
(『調子の良い奴だな。』)
呆れる『鬼神』。
《さて、本来なら″君そのものを吸収したい″所だけど…》
「え…?何それ恐い…」
『まぁ最後まで聞けって。』
《君は日頃から流血沙汰が多い様で、必要な量は疾うに満たしているから免除で良いよ。》
「よ、良かった…」
『良か無ぇけど良かったな。』
この手の力を得る際、代償として自身の命を捧げたり、得手を封じられたりあるだろうが、日常的に流血事の多いノアは荒鬼神ノ化身を介して血を吸収していた為、これらは免除された。良かったねノア君。
《それじゃあ最後に…》
『『キュィンッ!』』(荒鬼神ノ化身出現)
「あ、僕の剣。」
ノアの力やノア自身(血)を吸収した後、三者間にノアの愛刀荒鬼神ノ化身が出現。
『『『パキィイインッ!!』』』
『『『シュゥウウン…』』』
瞬く間に砕け散ったかと思えば『大喰』の中に光の粒子となって吸収されていった。
『『ぐばぁっ!』』(『大喰』の口が開く)
「おわっ。」
『お?』
『『『キュィイイイン…』』』(『大喰』の口内から光球が出現)
「…光の…球?」
《″それ″が私の中に吸収され、再構築した新たな″力″です。
それに触れる事で貴方の中に宿り、貴方自身が″力の鞘″となる事で完成となります。》
「″力の鞘″…ね。」
『『『ズ…』』』(光球に触れる)
ノアは『大喰』から促されるまま光球に触れ、力を宿す事に。
『『『パキィイインッ!』』』
「わっ!?(アリッサ)」
「わっ!?(スカーレット)」
「おわっ!?(ゼーヴィス)」
〔だわさ!?〕
光球に触れた途端、今まで居た真っ白な空間から先程まで居た長屋のとある一室に場面が転換。
腰に提げていた荒鬼神ノ化身や柄の付け根に装着していた『転移の輪』が同時に砕け、僅かな残骸を残すばかりとなった。
近くに居たアリッサやその学友、ケット・シーのステラはその際の音に驚き、混乱している様子であったが、それに触れる事無くノアは光球に触れた際のポーズのまま固まっていた。
何せ再構築された新たな力の説明が、一気に頭の中に流れ込んで来たからであった。
『『『パラパラパラ…』』』
〔わ、わ!わ!坊や大丈夫なのだわさ!?
武器が砕けちゃったのだわさ!?何が起こったのだわ
(ステラさん、落ち着いて。)
〔だわさ?〕
(俺、行ってくるよ。)
〔だ、だわさ…?〕
ステラは今発生した状況について行けず、あたふたする中、ノアは落ち着いた様子で踵を返して外へと向かう。
「ノ、ノア君何処へ…?(アリッサ)」
「″終わらせてくる″。」
「「「え?」」」
~現在・第47波(飛竜×500)出現直後~
「さぁ行くぞ。
『龍衣無双刀・比類無鬼神ノ顕現(リョウイムソウトウ・ヒルイナキカミノケンゲン)』。」
『『『『ジャラリ…』』』』(虚空から両刃の湾曲した得物が出現)
[む、″鞭″…?(エル)]
ノアの手には、いつの間にか鞭の様に撓った長物が握られていた。
だがこれは鞭とは明らかに違い、両刃の装飾が施されており、通称『蛇腹剣』と言われる物でこの世界には本来無い代物である。
が、竜征趙によって召喚された飛竜×500を前に、ノア自身が理想とする形状の得物が具現化されたのである。
だがノアに起こった変化はこれだけに留まらず
『『『ビキビキビキビキ…』』』(『蛇腹剣』を持つ右手から全身に龍鱗が展開)
『『『ズズズ…』』』(髪は灰色に。鋭い爪、牙が生える)
「おぉおオオオ…】
ズロン…(腰の辺りから身の丈3倍程の龍尾が伸びる)
[[ノ、ノア様…?]]
『『ガションッ!』』
【オ″ォオ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″ッ!】
『『『バギュゥウウウンッ!』』』(飛翔)
[[きゃあっ!?]]
ノアの変貌にエルとアールの2人が恐れ戦く中、全身鎧(フルプレートアーマー)の様に全身に龍鱗を纏い、まるで龍人そのものになったノアが地面を踏み砕く程の脚力で大きく飛翔。
ぐんぐんと高度を上げていき、召喚された飛竜×500体に突っ込んでいった。
『『『ゲェエァアアアアアアアアアアアアアアアッ!』』』(迫る飛竜の大群)
ジャラ…『『ギュンッ!』』(手にした『蛇腹剣』を恐ろしい速度で振るう)
『『『『『『『『ゾリッ!』』』』』』』』(一振りで周囲の飛竜50体単位で両断)
『『『『ゲギャギャギャギャッ!』』』』
『バシュッ!』ゾッ!『バシュッ!』ドッ!『バシュッ!』ズドッ!『バシュッ!』ブチッ!『バシュッ!』ドズッ!『バシュッ!』ボギッ!『バシュッ!』ブジュッ!『バシュッ!』ズッ!『バシュッ!』ドッ!『バシュッ!』ズシュッ!『バシュッ!』
一振りで飛竜の大群を薙ぎ払うも、上空からは次々にノアを目指し飛来してくる。
するとノアの姿が一瞬掻き消えたかと思えば近くまで迫っていた飛竜の下に到達し一撃で致命傷を与え、次なる飛竜に転移。
手に持つ『蛇腹剣』、鋭い爪による貫手、龍尾の刺突、恐ろしい腕力による破壊行為。
それは高度が上がり、時間経過と共に最適化されていき、飛竜の処理は格段に上がっていく。
その速度があまりにも速く、目で追うのがやっとである為、遠目から見た者からすれば、降下する飛竜の大群の中を黒い閃光が走り天へと駆け昇る代わりに、すれ違った飛竜は絶命してボトボトと地面に落下していく光景が広がっていた事だろう。
500体もいたハズの飛竜は瞬く間に数を減らしていった。
飛竜の残りが50体程に、氷の牢獄から半身程姿を現している竜征趙との距離が200メル程にまで縮まった所で竜征趙は次なる手を打って来た。
『ギュンッ!』『ギュンッ!』(竜征趙の左右に巨大な召喚陣が出現)
『『ゴガガガガガガガガガガガガガッ!』』(左右の召喚陣から巨大モンスター出現)
~第48波~
・鎧王富獄蟲×2
(『奴も形振り構ってられねぇみたいだな!
やったれ主!』)
【勿論っ!】
フシュ…(『蛇腹剣』消滅)
『『『ズズズ…』』』(新たな刀剣出現)
大氾濫中最悪のモンスターである鎧王富獄蟲がこのタイミングで2体も出現。
1体だけでも厄介な上、この高度から地表に落下すれば衝撃波で甚大な被害が出る事であろう。
これに対してノアは先程出現させた『蛇腹剣』を霧散させ新たな得物を虚空から出現させた。
ゴリ…ン…(長大で巨大な鉈出現)
ノアが片手で取り扱ってはいるが、刃の長さが20メルもあり、厚さも人1人分はあろう長大で巨大な鉈の様な剣が姿を現した。
それはノアの母アミスティアが扱っていた『断罪の剣(アポカリプス)』を彷彿とさせる様な見た目をしていた。
グガゴガガガグァアアアアッ!(鎧王富獄蟲の咆哮)
【オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″ラ″ァア″ア″ア″ッ!】
『『ガギュィ『『ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリッ!!!』』(金属質の衝突音&岩盤の様な甲殻を割って進む刀身)
オ″ゴゴゴゴ『ゴリゴリッ!』ゴゴゴゴゴ…
『『ゾリンッ!』』(両断)
【ゥル″ァア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!】
先程は『鬼神』の力で以て討伐した鎧王富獄蟲を、『龍衣無双刀・比類無鬼神ノ顕現(鉈形態)』で文字通り一刀両断。
真っ二つにされた鎧王富獄蟲は、当たり前だが即絶命し力無く眼下に落下していく。
ガガッ!?(2体目の鎧王富獄蟲)
【邪魔だぁっ!】
『バシュッ!』
『『ガギュィ『『ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリッ!!!』』(転移&振り戻しの勢いで断ち斬る)
あっという間に同族が即死した事に驚きの咆哮を上げる鎧王富獄蟲だが、飛行能力等持ち合わせてはいないので鎧王富獄蟲に残された選択はノアを退けるか殺されるしか無かった。
そのまま1体目の鎧王富獄蟲同様巨大な鉈を叩き込まれ、為す術無く両断されるのだった。
『『ゾリンッ!』』(両断)
【ッシ!
グリードォ!それが地表に落ちる前に″呑み込め″!頼んだぞ!】
~直下~
『『『ドゴォッ!』』』
グルルォアアアアアアアアアアアッ!(25メルサイズのグリード出現)
[[きゃっ!?]]
《畏まりましたわ主様!》
『『ガコッ!』』(顎を外す音)
ノアから指示を受けたグリードは直下から出現。
通常の25メル形態に変化しつつ顎を外して真っ二つになった鎧王富獄蟲の亡骸を大口を開けて迎え撃つ。
~上空~
オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″ッ!!!(竜征趙の咆哮)
『『ギュンッ!』』『ギュンッ!』『ギュンッ!』『ギュンッ!』『ギュンッ!』『『ギュンッ!』』『ギュンッ!』『ギュンッ!』(召喚陣複数展開)
(『急げ主!次の群れを出現させるつもりだぞ!』)
【分かってらい!】
『バシュッ!』(転移)
鎧王富獄蟲2体の即殺、グリードの一定範囲内の侵入を受けて竜征趙は咆哮を上げながら莫大な魔力を用いて次なるモンスターを召喚しようと準備に入っていた。
周囲には30もの召喚陣が展開され、召喚が成されれば夥しい量のモンスターが出現するのは必至であった。
『バシュッ!』(転移)
【インヴェルノ!離れろ!】
〔ぬっ!?
…っぉおおおおおおおおっ!〕
『『グボッ!』』『ズボッ!』(幾本もの棘から体を引き抜く)
竜征趙に肉薄したノアは、背中の棘に串刺しになっていた四季龍インヴェルノへ退避を促す。
四季龍インヴェルノは無理矢理体を捩り棘から体を引き抜くと逃げる様に避難していった。
オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″…
バヂッ!バヂバヂッ!ヂヂッ!(竜征趙雷撃発射態勢)
召喚陣の複数展開に加え、竜征趙の主力攻撃であった雷撃の発射態勢に入り、直ぐにでも放たれようとしていた。
そんな竜征趙に対し
【さっさと攻撃すりゃ良いものを!
俺に張り付かれた段階でお前は終わりだ!
″お前だけは″、だがな!
″召喚権の発動!最上位種『骸鏖峰嶽蟲(ガイオウフガクムシ)』を召喚しやがれ″!】
鎧王富獄蟲を討伐した際に獲得した最上位種『骸鏖峰嶽蟲(ガイオウフガクムシ)』への召喚権を竜征趙と肉薄したこのタイミングで発動するのだった。
「……ん?何処?ここ…」
『おーい、こっちだこっち。』
《後ろです、後ろ。》
「え?あ、はい。…わ、誰?あなた。」
ノアが長屋から出る少し前、気付けばノアの意識は何も無い真っ白な空間の中にあった。
薄暗い部屋の中から真っ白な空間に場面転換した為目が眩み、殺風景で何も無い為頭が混乱する。
だが背後から『鬼神』の声と″誰か″の声がしたので振り返ると、そのまま変わらず『鬼神』と″誰か″が待っていた。
『何も無い所だが、まぁゆっくりしてけよ。』
「いや、本当に何も無い所…
あ、じゃあちょっと失礼します…」
《取り敢えず最初の質問に答えよう。
私は『大喰(オオグライ)』。
この″荒鬼神ノ化身の中に宿っている能力の源″さ。》
『ほい、ミカン。』
「あ、どうも。」
《あれ?聞いてる?》
誘われるままに『鬼神』と″誰か″の下まで行き三者面談形式で向かい合う形で座る。
目の前に居る″誰か″は、真っ黒いガス状の球体に龍を思わせる口が浮かんでいるだけのシンプルな見た目で、その″誰か″は自身を″荒鬼神ノ化身の中に宿っている能力の源″、【荒鬼神ノ化身専用戦技:起点技】と同じ名の『大喰(オオグライ)』と呼んでいた。
つまり現在ノアの意識があるこの真っ白な空間内は、荒鬼神ノ化身の中という訳である。
《今日ここに来て貰ったのは他でも無い。
この″荒鬼神ノ化身最終派生前の対話″を行おうと思って来て貰ったのさ。》
「″最終派生″…?」
《そうさ。
中に居る私も見てたから分かるけど、こっぴとくやられてるようじゃないかあの″羽虫(竜征趙)″に。
今のままじゃどう足掻いたって奴には勝てやしないのは君が一番良く知っている事だろう?》
「う、うん…」
『大喰』の目的はノアの愛刀荒鬼神ノ化身を最終形に派生させ、竜征趙を討ち倒す事。
その前に所持者であるノアと対話し、色々と擦り合わせを行っておきたかった様だ。
《私の能力は知っての通り″他者から力を奪って所持者の力に変換する事″。
それは今もこれからも変わる事はない。
とは言え、荒鬼神ノ化身を最終形に派生させる場合、″所持者本人からもある程度力を奪わなければならない″んだが…》
「良いよ。何が必要だ?」
《え?早。》
『主は即断即決がウリだからな、こういう時の決断は早いぜ。』
荒鬼神ノ化身の最たるものは何と言ってもその『吸収能力』にある。
これは荒鬼神から荒鬼神ノ化身へ派生する際に、グリードのプラズマレーザーを利用した事から得られた能力である。
今までは他者から、であったが最終派生に至る場合は使用者本人からも力を吸収する必要があると言う。
ならば尚更所持者であるノアと対話をする必要があったと考えたのだろうが、ノアはあっさりとこれを了承してしまった。
《じゃあ幾つか見繕って貰っていくが良いんだな?》
「あぁ構わない。
奴(竜征趙)を倒せるだけの力を得るのなら、それ相応の代償が必要だからな。」
《ふーむ…それじゃあ先ずはこの″【鬼鎧殻】″っつー固有スキルを戴こう。》
「え!?」
《ん?》
「いや…何でも無い。」
《そう?
じゃあ次に″【一神同体】″も貰っちゃおう。》
「あぁ…」
《え?何かあった?》
「い、いや…」
《あ、この『転移の輪』だね?
君が外でピュンピュン好き勝手縦横無尽に飛び回れるのは。》
「う、うん…」
《じゃもーらい。》
「ふぇぇ…
それは僕の力じゃなくてアイテムだよ…?」
《何か問題でも?》
(『早速折れ掛けてるじゃねぇか。
…しゃーない、助け船を出してやるか。』)
吸収するノアの力の選別を開始したのだが、『大喰』が挙げていく名がどれも有用な固有スキルであったり有用な装備であった為、思わずノアの口から弱気な悲鳴が上がっていく。
″力を奪う=力を失う″
と考えている節がある様なので、『鬼神』が気に掛けて注釈を入れてくれた。
『なぁ主?
勘違いしてるかもしれないが、『大喰』が力を奪ったからといって、その力を完全に失う訳じゃ無ぇぞ?』
「え!?違うの!?」
《そうだよー。》
『『バリッ!ボリッ!』』い殻】
「あぁっ!もう食ってる!?」
既に『大喰』の中に【鬼鎧殻】の固有スキルが飲み込まれ、吸収されている最中であった。
《このままじゃ取り回しし辛いから、私の中に一度吸収して再構築するだけさ。》
「な~んだ、それならドンドン食べちゃってよ。」
(『調子の良い奴だな。』)
呆れる『鬼神』。
《さて、本来なら″君そのものを吸収したい″所だけど…》
「え…?何それ恐い…」
『まぁ最後まで聞けって。』
《君は日頃から流血沙汰が多い様で、必要な量は疾うに満たしているから免除で良いよ。》
「よ、良かった…」
『良か無ぇけど良かったな。』
この手の力を得る際、代償として自身の命を捧げたり、得手を封じられたりあるだろうが、日常的に流血事の多いノアは荒鬼神ノ化身を介して血を吸収していた為、これらは免除された。良かったねノア君。
《それじゃあ最後に…》
『『キュィンッ!』』(荒鬼神ノ化身出現)
「あ、僕の剣。」
ノアの力やノア自身(血)を吸収した後、三者間にノアの愛刀荒鬼神ノ化身が出現。
『『『パキィイインッ!!』』』
『『『シュゥウウン…』』』
瞬く間に砕け散ったかと思えば『大喰』の中に光の粒子となって吸収されていった。
『『ぐばぁっ!』』(『大喰』の口が開く)
「おわっ。」
『お?』
『『『キュィイイイン…』』』(『大喰』の口内から光球が出現)
「…光の…球?」
《″それ″が私の中に吸収され、再構築した新たな″力″です。
それに触れる事で貴方の中に宿り、貴方自身が″力の鞘″となる事で完成となります。》
「″力の鞘″…ね。」
『『『ズ…』』』(光球に触れる)
ノアは『大喰』から促されるまま光球に触れ、力を宿す事に。
『『『パキィイインッ!』』』
「わっ!?(アリッサ)」
「わっ!?(スカーレット)」
「おわっ!?(ゼーヴィス)」
〔だわさ!?〕
光球に触れた途端、今まで居た真っ白な空間から先程まで居た長屋のとある一室に場面が転換。
腰に提げていた荒鬼神ノ化身や柄の付け根に装着していた『転移の輪』が同時に砕け、僅かな残骸を残すばかりとなった。
近くに居たアリッサやその学友、ケット・シーのステラはその際の音に驚き、混乱している様子であったが、それに触れる事無くノアは光球に触れた際のポーズのまま固まっていた。
何せ再構築された新たな力の説明が、一気に頭の中に流れ込んで来たからであった。
『『『パラパラパラ…』』』
〔わ、わ!わ!坊や大丈夫なのだわさ!?
武器が砕けちゃったのだわさ!?何が起こったのだわ
(ステラさん、落ち着いて。)
〔だわさ?〕
(俺、行ってくるよ。)
〔だ、だわさ…?〕
ステラは今発生した状況について行けず、あたふたする中、ノアは落ち着いた様子で踵を返して外へと向かう。
「ノ、ノア君何処へ…?(アリッサ)」
「″終わらせてくる″。」
「「「え?」」」
~現在・第47波(飛竜×500)出現直後~
「さぁ行くぞ。
『龍衣無双刀・比類無鬼神ノ顕現(リョウイムソウトウ・ヒルイナキカミノケンゲン)』。」
『『『『ジャラリ…』』』』(虚空から両刃の湾曲した得物が出現)
[む、″鞭″…?(エル)]
ノアの手には、いつの間にか鞭の様に撓った長物が握られていた。
だがこれは鞭とは明らかに違い、両刃の装飾が施されており、通称『蛇腹剣』と言われる物でこの世界には本来無い代物である。
が、竜征趙によって召喚された飛竜×500を前に、ノア自身が理想とする形状の得物が具現化されたのである。
だがノアに起こった変化はこれだけに留まらず
『『『ビキビキビキビキ…』』』(『蛇腹剣』を持つ右手から全身に龍鱗が展開)
『『『ズズズ…』』』(髪は灰色に。鋭い爪、牙が生える)
「おぉおオオオ…】
ズロン…(腰の辺りから身の丈3倍程の龍尾が伸びる)
[[ノ、ノア様…?]]
『『ガションッ!』』
【オ″ォオ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″ッ!】
『『『バギュゥウウウンッ!』』』(飛翔)
[[きゃあっ!?]]
ノアの変貌にエルとアールの2人が恐れ戦く中、全身鎧(フルプレートアーマー)の様に全身に龍鱗を纏い、まるで龍人そのものになったノアが地面を踏み砕く程の脚力で大きく飛翔。
ぐんぐんと高度を上げていき、召喚された飛竜×500体に突っ込んでいった。
『『『ゲェエァアアアアアアアアアアアアアアアッ!』』』(迫る飛竜の大群)
ジャラ…『『ギュンッ!』』(手にした『蛇腹剣』を恐ろしい速度で振るう)
『『『『『『『『ゾリッ!』』』』』』』』(一振りで周囲の飛竜50体単位で両断)
『『『『ゲギャギャギャギャッ!』』』』
『バシュッ!』ゾッ!『バシュッ!』ドッ!『バシュッ!』ズドッ!『バシュッ!』ブチッ!『バシュッ!』ドズッ!『バシュッ!』ボギッ!『バシュッ!』ブジュッ!『バシュッ!』ズッ!『バシュッ!』ドッ!『バシュッ!』ズシュッ!『バシュッ!』
一振りで飛竜の大群を薙ぎ払うも、上空からは次々にノアを目指し飛来してくる。
するとノアの姿が一瞬掻き消えたかと思えば近くまで迫っていた飛竜の下に到達し一撃で致命傷を与え、次なる飛竜に転移。
手に持つ『蛇腹剣』、鋭い爪による貫手、龍尾の刺突、恐ろしい腕力による破壊行為。
それは高度が上がり、時間経過と共に最適化されていき、飛竜の処理は格段に上がっていく。
その速度があまりにも速く、目で追うのがやっとである為、遠目から見た者からすれば、降下する飛竜の大群の中を黒い閃光が走り天へと駆け昇る代わりに、すれ違った飛竜は絶命してボトボトと地面に落下していく光景が広がっていた事だろう。
500体もいたハズの飛竜は瞬く間に数を減らしていった。
飛竜の残りが50体程に、氷の牢獄から半身程姿を現している竜征趙との距離が200メル程にまで縮まった所で竜征趙は次なる手を打って来た。
『ギュンッ!』『ギュンッ!』(竜征趙の左右に巨大な召喚陣が出現)
『『ゴガガガガガガガガガガガガガッ!』』(左右の召喚陣から巨大モンスター出現)
~第48波~
・鎧王富獄蟲×2
(『奴も形振り構ってられねぇみたいだな!
やったれ主!』)
【勿論っ!】
フシュ…(『蛇腹剣』消滅)
『『『ズズズ…』』』(新たな刀剣出現)
大氾濫中最悪のモンスターである鎧王富獄蟲がこのタイミングで2体も出現。
1体だけでも厄介な上、この高度から地表に落下すれば衝撃波で甚大な被害が出る事であろう。
これに対してノアは先程出現させた『蛇腹剣』を霧散させ新たな得物を虚空から出現させた。
ゴリ…ン…(長大で巨大な鉈出現)
ノアが片手で取り扱ってはいるが、刃の長さが20メルもあり、厚さも人1人分はあろう長大で巨大な鉈の様な剣が姿を現した。
それはノアの母アミスティアが扱っていた『断罪の剣(アポカリプス)』を彷彿とさせる様な見た目をしていた。
グガゴガガガグァアアアアッ!(鎧王富獄蟲の咆哮)
【オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″ラ″ァア″ア″ア″ッ!】
『『ガギュィ『『ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリッ!!!』』(金属質の衝突音&岩盤の様な甲殻を割って進む刀身)
オ″ゴゴゴゴ『ゴリゴリッ!』ゴゴゴゴゴ…
『『ゾリンッ!』』(両断)
【ゥル″ァア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!】
先程は『鬼神』の力で以て討伐した鎧王富獄蟲を、『龍衣無双刀・比類無鬼神ノ顕現(鉈形態)』で文字通り一刀両断。
真っ二つにされた鎧王富獄蟲は、当たり前だが即絶命し力無く眼下に落下していく。
ガガッ!?(2体目の鎧王富獄蟲)
【邪魔だぁっ!】
『バシュッ!』
『『ガギュィ『『ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリッ!!!』』(転移&振り戻しの勢いで断ち斬る)
あっという間に同族が即死した事に驚きの咆哮を上げる鎧王富獄蟲だが、飛行能力等持ち合わせてはいないので鎧王富獄蟲に残された選択はノアを退けるか殺されるしか無かった。
そのまま1体目の鎧王富獄蟲同様巨大な鉈を叩き込まれ、為す術無く両断されるのだった。
『『ゾリンッ!』』(両断)
【ッシ!
グリードォ!それが地表に落ちる前に″呑み込め″!頼んだぞ!】
~直下~
『『『ドゴォッ!』』』
グルルォアアアアアアアアアアアッ!(25メルサイズのグリード出現)
[[きゃっ!?]]
《畏まりましたわ主様!》
『『ガコッ!』』(顎を外す音)
ノアから指示を受けたグリードは直下から出現。
通常の25メル形態に変化しつつ顎を外して真っ二つになった鎧王富獄蟲の亡骸を大口を開けて迎え撃つ。
~上空~
オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″ッ!!!(竜征趙の咆哮)
『『ギュンッ!』』『ギュンッ!』『ギュンッ!』『ギュンッ!』『ギュンッ!』『『ギュンッ!』』『ギュンッ!』『ギュンッ!』(召喚陣複数展開)
(『急げ主!次の群れを出現させるつもりだぞ!』)
【分かってらい!】
『バシュッ!』(転移)
鎧王富獄蟲2体の即殺、グリードの一定範囲内の侵入を受けて竜征趙は咆哮を上げながら莫大な魔力を用いて次なるモンスターを召喚しようと準備に入っていた。
周囲には30もの召喚陣が展開され、召喚が成されれば夥しい量のモンスターが出現するのは必至であった。
『バシュッ!』(転移)
【インヴェルノ!離れろ!】
〔ぬっ!?
…っぉおおおおおおおおっ!〕
『『グボッ!』』『ズボッ!』(幾本もの棘から体を引き抜く)
竜征趙に肉薄したノアは、背中の棘に串刺しになっていた四季龍インヴェルノへ退避を促す。
四季龍インヴェルノは無理矢理体を捩り棘から体を引き抜くと逃げる様に避難していった。
オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″オ″…
バヂッ!バヂバヂッ!ヂヂッ!(竜征趙雷撃発射態勢)
召喚陣の複数展開に加え、竜征趙の主力攻撃であった雷撃の発射態勢に入り、直ぐにでも放たれようとしていた。
そんな竜征趙に対し
【さっさと攻撃すりゃ良いものを!
俺に張り付かれた段階でお前は終わりだ!
″お前だけは″、だがな!
″召喚権の発動!最上位種『骸鏖峰嶽蟲(ガイオウフガクムシ)』を召喚しやがれ″!】
鎧王富獄蟲を討伐した際に獲得した最上位種『骸鏖峰嶽蟲(ガイオウフガクムシ)』への召喚権を竜征趙と肉薄したこのタイミングで発動するのだった。
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