6 / 47
6 厩番
しおりを挟む
それ以来シャルリンテは、スーリに手紙を託すような事は止めた。
好きになった相手には、スーリを通さず怖くても自分からぶつかった。
そして、シャルリンテは告白する相手全員に、見事なまでに振られた。
どの男も皆、告白すると嫌そうな顔をして、すぐに断る。
それを繰り返しているうちに、だんだんと心も傷つかなくなっていた。
容姿を鏡に映してみても、どこが男に嫌われるポイントなのか分からなかった。
自分よりも地味な顔だちの女中ですら、恋人がいるのを何度も目撃していた…。
毎朝、鏡の前でスーリに身支度を手伝ってもらうたび、隣に立つスーリと比べ、自分は醜女だな…とは感じていた。
さらさらとした金髪を腰まで垂らしたスーリは、眠たいはずの朝でも、美しく微笑んでいた。
そのスーリに、からまった剛毛をブラッシングしてもらう時などは、自分はなんて醜いんだろう…野犬みたいだわ…とも思っていた。
父王に似た、気の強そうな茶色の瞳…。
骨格や、肌と唇は、遠い記憶にある亡くなった母に似ている…ような気がする。
頭を見ると金のメッシュが入った茶色の髪の上に、王女の印が入ったティアラが載っていた。
そして気が付く。
敗因は、王女の証である金メッシュの髪とティアラだと…。
さっそくティアラを机の上に置き、一番地味なドレスに着替え、女中のように布で頭を覆った。
そしてその恰好で中庭を、無駄にぶらぶらする…。
すると早速、男に声を掛けられた。
「…あんた、王宮の女中かい?俺は新しく厩番として採用されて来た者なんだけれど…。ここは広いから…。厩舎がどこにあるのか教えてくれないか?」
気軽に男に話しかけられたのが嬉しくて、シャルリンテは二つ返事で厩番を案内する。
年も近そうな、その青年は爽やかで美形とまではいかないが、まぁまぁ格好よかった。
ダークブラウンの髪、黒い瞳…。
男らしく背も高い。
シャルリンテは厩舎まで案内し、邪魔をしないように隅っこの藁の上に座って、男が働くのを見ていた。
そして、無意識のうちにポツリと呟いた。
「──どうやったら、あなたみたいな人と付き合えるのかしら…」
「えっ…?」
シャルリンテはしまったと思った。
男に振られ過ぎて、若い男とみればすぐに恋愛対象としてカウントしてしまう…。
男に飢えているのを自白してしまったようで、恥ずかしかった。
けれど、すぐに思い直す。
いつも間を置かずに、振られるのだ。
今回も…。
「…別にいいぜ?あんた…なかなか可愛いし」
「!!」
シャルリンテは、思いがけないその言葉に、思わず立ち上がる。
そしてバランスを崩し、藁の上に倒れ込んだ。
「…ハハハッ…何やってんだよ。名はなんと言うんだ?俺は、ルイ。…ほら」
そう言って手を伸ばし、助け起こそうとした男は、藁の上で乱れた格好のまま顔を赤くしているシャルリンテを見て興が乗る。
「…あんた、遊び慣れてそうだし…ここで…する?」
「…??……何を…?」
「何って…。カマトトぶるなよ…」
顔を近づけて来た男を見て、昔、乳母から聞かされた「男性との性行為について」を、思い出した。
そして「一回始めた、その行為を男性は止められないから用心しろ」と、その時シャルリンテは教えられていた…。
シャルリンテは、すっくと立ちあがって男に言った。
「心の…準備をして夜に来るから…!その時に、ぜひ、お手合わせをしていただきたい!!」
大きな声でそう言い放ったシャルリンテは、ポカンとしている男を残して、脱兎のごとく王宮の中へと逃げ帰った。
好きになった相手には、スーリを通さず怖くても自分からぶつかった。
そして、シャルリンテは告白する相手全員に、見事なまでに振られた。
どの男も皆、告白すると嫌そうな顔をして、すぐに断る。
それを繰り返しているうちに、だんだんと心も傷つかなくなっていた。
容姿を鏡に映してみても、どこが男に嫌われるポイントなのか分からなかった。
自分よりも地味な顔だちの女中ですら、恋人がいるのを何度も目撃していた…。
毎朝、鏡の前でスーリに身支度を手伝ってもらうたび、隣に立つスーリと比べ、自分は醜女だな…とは感じていた。
さらさらとした金髪を腰まで垂らしたスーリは、眠たいはずの朝でも、美しく微笑んでいた。
そのスーリに、からまった剛毛をブラッシングしてもらう時などは、自分はなんて醜いんだろう…野犬みたいだわ…とも思っていた。
父王に似た、気の強そうな茶色の瞳…。
骨格や、肌と唇は、遠い記憶にある亡くなった母に似ている…ような気がする。
頭を見ると金のメッシュが入った茶色の髪の上に、王女の印が入ったティアラが載っていた。
そして気が付く。
敗因は、王女の証である金メッシュの髪とティアラだと…。
さっそくティアラを机の上に置き、一番地味なドレスに着替え、女中のように布で頭を覆った。
そしてその恰好で中庭を、無駄にぶらぶらする…。
すると早速、男に声を掛けられた。
「…あんた、王宮の女中かい?俺は新しく厩番として採用されて来た者なんだけれど…。ここは広いから…。厩舎がどこにあるのか教えてくれないか?」
気軽に男に話しかけられたのが嬉しくて、シャルリンテは二つ返事で厩番を案内する。
年も近そうな、その青年は爽やかで美形とまではいかないが、まぁまぁ格好よかった。
ダークブラウンの髪、黒い瞳…。
男らしく背も高い。
シャルリンテは厩舎まで案内し、邪魔をしないように隅っこの藁の上に座って、男が働くのを見ていた。
そして、無意識のうちにポツリと呟いた。
「──どうやったら、あなたみたいな人と付き合えるのかしら…」
「えっ…?」
シャルリンテはしまったと思った。
男に振られ過ぎて、若い男とみればすぐに恋愛対象としてカウントしてしまう…。
男に飢えているのを自白してしまったようで、恥ずかしかった。
けれど、すぐに思い直す。
いつも間を置かずに、振られるのだ。
今回も…。
「…別にいいぜ?あんた…なかなか可愛いし」
「!!」
シャルリンテは、思いがけないその言葉に、思わず立ち上がる。
そしてバランスを崩し、藁の上に倒れ込んだ。
「…ハハハッ…何やってんだよ。名はなんと言うんだ?俺は、ルイ。…ほら」
そう言って手を伸ばし、助け起こそうとした男は、藁の上で乱れた格好のまま顔を赤くしているシャルリンテを見て興が乗る。
「…あんた、遊び慣れてそうだし…ここで…する?」
「…??……何を…?」
「何って…。カマトトぶるなよ…」
顔を近づけて来た男を見て、昔、乳母から聞かされた「男性との性行為について」を、思い出した。
そして「一回始めた、その行為を男性は止められないから用心しろ」と、その時シャルリンテは教えられていた…。
シャルリンテは、すっくと立ちあがって男に言った。
「心の…準備をして夜に来るから…!その時に、ぜひ、お手合わせをしていただきたい!!」
大きな声でそう言い放ったシャルリンテは、ポカンとしている男を残して、脱兎のごとく王宮の中へと逃げ帰った。
18
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる