8 / 47
8 王宮からの脱出
しおりを挟む
「シャルリンテ様!」
ぼーっとスーリとの過去を回想していたシャルリンテは、スーリの声でハッと現実に戻される。
スーリはシャルリンテの頬を軽くペチリと叩いた。
シャルリンテはびっくりして、スーリの顔を見た。
「たっ…叩いたわね?!むち打ちの刑をくらわしてやる!覚悟なさい!!」
「…何度も覚悟しましたが、あなたは実際にむち打ちの刑を下した事はないし、今はそれどころじゃない。早く逃げますよ?!」
「何でよ?…朝まで凌辱するんでしょ?私の刑は、明日施行されるのが決まっているんだし、魔力は一ミリも残ってないからどうせ逃げ切れない…」
そう言うシャルリンテを無視しながら、スーリは慣れた手つきで上着を羽織らせ、帽子を被せた。
「…おそらく、数時間もしないうちに、あなたは牢屋に入れられ、荒くれ者達にもっと犯された後、火あぶりにされます…。属国のお飾りの新王の意見など、無いに等しいのだから…」
「…だとしても、何でスーリが私と一緒に逃げるの?あなた、残れば?シーセントの残党兵と、この国の軍部が起こした革命ですもの。今や、あなたがこのカリストの新王なのでしょう?あなたに危険はないじゃない」
スーリは、イライラしながらシャルリンテに言った。
「その話は…ここを出た後にでもしましょう。本当に時間がないんです。強い魔力を逃げた先で使うと、場所を特定されてしまうから…これがこの国で使える、最後の瞬間移動です…。全ての力を込めて、一番遠くまで飛ばしますから、私から離れないで…。離れてしまえば、今日が、今生で会える最後の日となってしまう…」
「それって、あなたにとっては最良の日じゃない?私と一緒に逃げようだなんて、死神を連れて歩くような…」
スーリは、この期に及んでも、まだ憎まれ口を叩いているシャルリンテを、有無を言わさず固く抱きしめ、自分のマントに包んだ。
そしてスーリが目を閉じた瞬間、二人は一瞬にして消えた。
消えるのと同時に、新しく宰相になった男が、大勢の衛兵と共に部屋になだれ込んで来た。
誰もいないシャルリンテの部屋を見て、宰相は吐き捨てるように言った。
「…ふざけた真似を!シーセントのクソ王子がっ…!!」
ぼーっとスーリとの過去を回想していたシャルリンテは、スーリの声でハッと現実に戻される。
スーリはシャルリンテの頬を軽くペチリと叩いた。
シャルリンテはびっくりして、スーリの顔を見た。
「たっ…叩いたわね?!むち打ちの刑をくらわしてやる!覚悟なさい!!」
「…何度も覚悟しましたが、あなたは実際にむち打ちの刑を下した事はないし、今はそれどころじゃない。早く逃げますよ?!」
「何でよ?…朝まで凌辱するんでしょ?私の刑は、明日施行されるのが決まっているんだし、魔力は一ミリも残ってないからどうせ逃げ切れない…」
そう言うシャルリンテを無視しながら、スーリは慣れた手つきで上着を羽織らせ、帽子を被せた。
「…おそらく、数時間もしないうちに、あなたは牢屋に入れられ、荒くれ者達にもっと犯された後、火あぶりにされます…。属国のお飾りの新王の意見など、無いに等しいのだから…」
「…だとしても、何でスーリが私と一緒に逃げるの?あなた、残れば?シーセントの残党兵と、この国の軍部が起こした革命ですもの。今や、あなたがこのカリストの新王なのでしょう?あなたに危険はないじゃない」
スーリは、イライラしながらシャルリンテに言った。
「その話は…ここを出た後にでもしましょう。本当に時間がないんです。強い魔力を逃げた先で使うと、場所を特定されてしまうから…これがこの国で使える、最後の瞬間移動です…。全ての力を込めて、一番遠くまで飛ばしますから、私から離れないで…。離れてしまえば、今日が、今生で会える最後の日となってしまう…」
「それって、あなたにとっては最良の日じゃない?私と一緒に逃げようだなんて、死神を連れて歩くような…」
スーリは、この期に及んでも、まだ憎まれ口を叩いているシャルリンテを、有無を言わさず固く抱きしめ、自分のマントに包んだ。
そしてスーリが目を閉じた瞬間、二人は一瞬にして消えた。
消えるのと同時に、新しく宰相になった男が、大勢の衛兵と共に部屋になだれ込んで来た。
誰もいないシャルリンテの部屋を見て、宰相は吐き捨てるように言った。
「…ふざけた真似を!シーセントのクソ王子がっ…!!」
18
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる