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第4話
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翌朝、ライトはいつもより少し早く目を覚ました。
身体の痛みはまだ残っているが、昨日のような重さはなかった。
窓を開けると、街に差し込む朝の光が部屋に流れ込む。
(今日は……ギルドに行く日だ)
そう思うと胸の奥がわずかに熱くなった。
ここまで生き残れたのだから、次に進まないといけない。
何より、この街で生きていくためにはギルド登録が必要だった。
風に揺れる草の香りが残る窓辺から離れ、顔を洗い、軽く身支度を整える。
「……行こう」
小さく呟いて、ライトは宿を出た。
レグナの朝は賑やかだった。
露店が店を開け、パンの香りが通りに漂い、鍛冶場から金属を打つ音が遠くから聞こえる。
そんな街並みの中を歩いていくと、ひとつの建物が目に留まった。
茶色い木の看板に、冒険者ギルドの紋章が描かれている。
(ここが……)
入口は大きくはないが、人の出入りが多く、活気があった。
ライトが扉を開くと、受付カウンターの奥から明るい声が響いた。
「いらっしゃいませ。冒険者登録をご希望ですか?」
声の主は、ふわりとした栗色の髪を肩で揺らす少女だった。
黒い制服の胸元には、小さな名札がついている。
ミィナ。
その名前が、ライトの目に入る。
「はい。登録をお願いしたいです」
「はい! ようこそレグナ支部へ!」
ミィナはぱっと花が咲くような笑顔を見せた。
初対面の相手に向ける笑顔にしては、驚くほど柔らかい。
「まずはお名前を伺ってもいいですか?」
「ライトです」
「ライトさんですね。はい、こちらが登録用紙になります。
スキルや得意分野などを書いていただければ大丈夫ですよ」
「……スキルは《超記録》です」
「《超記録》……聞いたことのないスキルですね」
「つい最近……進化したもので」
ミィナは興味深そうに目を丸くした。
「進化、ですか。珍しいです! ライトさん、きっとすごい冒険者になりますね!」
「そんな……まだ全然です」
照れくさくて、思わず目をそらした。
だがミィナは笑顔を崩さず、丁寧に登録作業を進めてくれた。
「はい、これで登録完了です! 今日からライトさんは正式にギルドの冒険者ですよ」
「ありがとうございます」
ミィナの明るさに励まされるように、胸の奥が軽くなった。
「ライト。お前が新人か?」
背後から聞こえた声に振り返ると、そこには二人の男が立っていた。
一人は精悍な顔つきで肩幅の広い戦士。
もう一人は長い槍を手にした黒髪の青年で、表情は落ち着いている。
「俺はガルド。こっちが相棒のセインだ」
「よろしく」
セインが軽く頭を下げる。
「昨日、生還したって噂が流れてる。最深部から這い上がってきたってな」
「……そうですね。なんとか」
「はは、やるじゃねぇか。普通なら死んでるぞ」
ガルドは豪快に笑い、ライトの肩を軽く叩いた。
痛みで思わず顔が歪む。
「おっと、悪い悪い。だが本当にすげぇよ。
最深部で置き去りにされたって話も聞いたが……よく生きて帰ってきたな」
ミィナが心配そうにライトを見てくる。
「ライトさん、大変だったんですね……」
「もう……終わったことです」
ライトはなるべく穏やかに言った。
本心ではまだ整理しきれていない。
けれど、ここで話すべきことではないと思った。
「そうか……強いな、お前」
ガルドが静かに言う。
その言い方に嘘がなく、ライトの胸が少しだけ温かくなった。
「さて、ガルドさん。ライトさんにおすすめの依頼、ありますか?」
ミィナが話を切り替えるように訊ねた。
「そうだな……まずは軽いのからでいいだろ。
薬草採取か、街外れの小型魔獣の討伐かあたりだな」
「無理しない方がいいですよ、ライトさん」
「……薬草採取にします」
「了解です!」
ミィナがにこりと微笑む。
「今日は天気もいいですし、外は気持ちいいと思いますよ」
「はい。行ってみます」
手渡された依頼書を確かめ、ライトはギルドを後にした。
街を抜けて草原へ向かう道は、明るく風が気持ちよかった。
昨日の恐怖と痛みを思い出しながらも、ライトの足取りは前へ向かっている。
(ここから……俺の冒険が始まる)
そう思うと胸の奥に、小さな火が灯ったように温かくなる。
草原に足を踏み入れると、風が服を揺らす。
その風の音がまるで「頑張れ」と言ってくれているようで、ライトは少しだけ微笑んだ。
「よし。まずは薬草を探そう」
新しい人生が、確かに動き始めていた。
身体の痛みはまだ残っているが、昨日のような重さはなかった。
窓を開けると、街に差し込む朝の光が部屋に流れ込む。
(今日は……ギルドに行く日だ)
そう思うと胸の奥がわずかに熱くなった。
ここまで生き残れたのだから、次に進まないといけない。
何より、この街で生きていくためにはギルド登録が必要だった。
風に揺れる草の香りが残る窓辺から離れ、顔を洗い、軽く身支度を整える。
「……行こう」
小さく呟いて、ライトは宿を出た。
レグナの朝は賑やかだった。
露店が店を開け、パンの香りが通りに漂い、鍛冶場から金属を打つ音が遠くから聞こえる。
そんな街並みの中を歩いていくと、ひとつの建物が目に留まった。
茶色い木の看板に、冒険者ギルドの紋章が描かれている。
(ここが……)
入口は大きくはないが、人の出入りが多く、活気があった。
ライトが扉を開くと、受付カウンターの奥から明るい声が響いた。
「いらっしゃいませ。冒険者登録をご希望ですか?」
声の主は、ふわりとした栗色の髪を肩で揺らす少女だった。
黒い制服の胸元には、小さな名札がついている。
ミィナ。
その名前が、ライトの目に入る。
「はい。登録をお願いしたいです」
「はい! ようこそレグナ支部へ!」
ミィナはぱっと花が咲くような笑顔を見せた。
初対面の相手に向ける笑顔にしては、驚くほど柔らかい。
「まずはお名前を伺ってもいいですか?」
「ライトです」
「ライトさんですね。はい、こちらが登録用紙になります。
スキルや得意分野などを書いていただければ大丈夫ですよ」
「……スキルは《超記録》です」
「《超記録》……聞いたことのないスキルですね」
「つい最近……進化したもので」
ミィナは興味深そうに目を丸くした。
「進化、ですか。珍しいです! ライトさん、きっとすごい冒険者になりますね!」
「そんな……まだ全然です」
照れくさくて、思わず目をそらした。
だがミィナは笑顔を崩さず、丁寧に登録作業を進めてくれた。
「はい、これで登録完了です! 今日からライトさんは正式にギルドの冒険者ですよ」
「ありがとうございます」
ミィナの明るさに励まされるように、胸の奥が軽くなった。
「ライト。お前が新人か?」
背後から聞こえた声に振り返ると、そこには二人の男が立っていた。
一人は精悍な顔つきで肩幅の広い戦士。
もう一人は長い槍を手にした黒髪の青年で、表情は落ち着いている。
「俺はガルド。こっちが相棒のセインだ」
「よろしく」
セインが軽く頭を下げる。
「昨日、生還したって噂が流れてる。最深部から這い上がってきたってな」
「……そうですね。なんとか」
「はは、やるじゃねぇか。普通なら死んでるぞ」
ガルドは豪快に笑い、ライトの肩を軽く叩いた。
痛みで思わず顔が歪む。
「おっと、悪い悪い。だが本当にすげぇよ。
最深部で置き去りにされたって話も聞いたが……よく生きて帰ってきたな」
ミィナが心配そうにライトを見てくる。
「ライトさん、大変だったんですね……」
「もう……終わったことです」
ライトはなるべく穏やかに言った。
本心ではまだ整理しきれていない。
けれど、ここで話すべきことではないと思った。
「そうか……強いな、お前」
ガルドが静かに言う。
その言い方に嘘がなく、ライトの胸が少しだけ温かくなった。
「さて、ガルドさん。ライトさんにおすすめの依頼、ありますか?」
ミィナが話を切り替えるように訊ねた。
「そうだな……まずは軽いのからでいいだろ。
薬草採取か、街外れの小型魔獣の討伐かあたりだな」
「無理しない方がいいですよ、ライトさん」
「……薬草採取にします」
「了解です!」
ミィナがにこりと微笑む。
「今日は天気もいいですし、外は気持ちいいと思いますよ」
「はい。行ってみます」
手渡された依頼書を確かめ、ライトはギルドを後にした。
街を抜けて草原へ向かう道は、明るく風が気持ちよかった。
昨日の恐怖と痛みを思い出しながらも、ライトの足取りは前へ向かっている。
(ここから……俺の冒険が始まる)
そう思うと胸の奥に、小さな火が灯ったように温かくなる。
草原に足を踏み入れると、風が服を揺らす。
その風の音がまるで「頑張れ」と言ってくれているようで、ライトは少しだけ微笑んだ。
「よし。まずは薬草を探そう」
新しい人生が、確かに動き始めていた。
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