最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第二章:「隠された力」

第12話:目覚める魔導炉

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 廃都の中心にそびえる塔は、空を突くように高かった。
 だが近づいてみると、その巨体は崩れ、表面には無数の亀裂が走っていた。
 かつてこの都市を支えていた“心臓部”――《魔導炉》。
 蓮はその存在を確信していた。

「ここだな。街全体の魔力がここに集まってる」
 塔を見上げながら蓮が言うと、リアが眉をひそめる。
「なんか……嫌な空気だ。獣の本能が警告してる」
「暴走した魔力がまだ残ってるのかもな。でも、避けて通れない」

 二人は瓦礫を踏み越え、暗い回廊を進む。
 壁に触れると、かすかに魔力の流れが感じられた。
 止まっているはずの機構が、微かに“呼吸”している。

「この街……生きてるな」
「それを、もう一度“動かす”んだ」
 蓮の瞳には決意の光が宿っていた。



 塔の最深部にたどり着くと、巨大な空間が広がっていた。
 中央には、半ば崩れた球体の装置が静かに鎮座している。
 それが――《古代魔導炉》。

 リアが息を呑む。
「でっけぇ……これが、街の心臓?」
「そうだ。けど今は止まってる。……ずっとな」

 蓮は炉の表面に手を置いた。
 ひんやりとした金属の感触。
 その奥から、微かな鼓動のような反応が返ってくる。

《対象確認:古代魔導炉コアユニット》
《稼働状態:停止》
《再起動条件――構造修復/魔力供給》

「修復すれば……動くかもしれない」
「動かすの? でも暴走したら……!」
「大丈夫。出力は最小でやる。街を壊すためじゃない。もう一度、息を吹き返させるためだ」

 リアが短く息を吐く。
「……わかった。信じるよ」



 蓮は荷袋から、これまで修復してきた古代部品を取り出した。
 街路灯の導路、噴水の音響核、結界基盤――。
 それらはすべて、この塔と繋がる“部位”だ。
 ひとつずつ、《リサイクル》で再構築した部品を炉に組み込み、流路を繋いでいく。

《リサイクル発動》
《対象:外郭導路》
《再構築――成功》

 光が走り、崩れていた外殻がゆっくりと再生していく。
 続いて、内部へと魔力を注ぎ込む。

《魔力供給開始》
《出力1%》

 低いうなり音が響く。
 長い眠りから覚めた獣のように、炉が微かに震えた。

「動いてる……!」
 リアの声が震える。
 炉の表面の文様が次々と光を帯び、回転を始めた。
 それは街全体に広がる魔導回路を通じて、各地へと伝わっていく。

 ――次の瞬間。

 塔の天井を貫いて、まぶしい光が空へと放たれた。
 街のあちこちで、壊れていた街路灯が一斉に灯る。
 崩れた壁の文様が再び輝き、噴水が音を取り戻した。

「……戻った……!」
 リアが涙を浮かべ、顔を上げた。
 かつての栄光が、ほんの少しだけ蘇った瞬間だった。



 蓮は静かに炉から手を離した。
 再起動は成功したが、全機能を復活させたわけではない。
 それでも、街は再び息をしている。

「……お前の力で、街が生き返ったんだな」
 リアが笑う。
「俺の力じゃないさ。街が、自分で立ち上がったんだ」
「それでも、あんたがいなきゃ無理だった」
「……そうかもな」

 蓮は塔の外に出て、広場を見渡した。
 光が流れ、風が優しく吹き抜ける。
 静寂だった廃都が、確かに“生きている”。



 そのとき、リアが耳を動かした。
「……誰か、いる」
 蓮も気づく。
 遠くの屋根の上に、一瞬だけ光が反射した。
 銀の装具のようなものが月光を受けて光ったのだ。

「見張られてる?」
「多分な。気づかれてる」
「敵?」
「……わからない。でも、警戒しておこう」

 風が吹き、砂が舞う。
 街の灯りがゆらめきながら、静かに夜を照らしていた。



 こうして――
 蓮は《廃都メルディナ》の再生に成功した。
 人々が忘れた古代の街は、再びその心臓を動かし始めたのだ。
 その名は、いつしか旅人たちの間でこう呼ばれるようになる。

 **“再生の街”**と。
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