最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第二章:「隠された力」

第13話:エルフの影

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 夜の廃都に、風の音だけが響いていた。
 再生した街灯が静かに光を放ち、広場を淡く照らす。
 リアは焚き火のそばで剣を磨き、蓮は塔の外壁に刻まれた古代文字を写していた。

 そのとき、リアの耳がぴくりと動く。
 風が止んだ。
 代わりに、葉の擦れるような微かな音――。

「……いるな」
「やっぱり気づいたか」
 蓮も気配を察していた。
 塔の屋根、遠くの影。その一角で、かすかに光が瞬いた。月光が弓の先端に反射している。

 次の瞬間、矢が放たれた。
 音もなく走る銀の閃光――リアが跳び、片手で弾き落とす。
「っ……エルフの矢だ!」
「エルフ?」
「間違いない。森の連中の矢は独特なんだ。材質も魔力の流れも違う」

 蓮はすぐさま《リサイクル》で地面の金属片を再構築し、即席の障壁を展開する。
 透明な膜が二人を包み、次の矢が弾かれた。

「なんでエルフが俺たちを狙う?」
「知らない。でも――向こうはちゃんと狙って撃ってる」
 リアは唸るように低く言った。
「敵意、確定だな」



 数分後。
 弓撃が止んだ。代わりに、瓦礫の陰から複数の影が現れる。
 白銀の髪、長い耳、そして冷たい瞳。
 ――エルフの偵察部隊。

 彼らは矢をつがえたまま、蓮たちを囲んだ。
 先頭の女が一歩進み出る。
「人間が、この廃都に何の用だ」
 その声は冷えた刃のように鋭い。

 蓮はゆっくりと手を上げた。
「戦う気はない。俺たちは、この街を直しているだけだ」
「直す? ……この街を?」
「見ればわかるだろ。灯りがついてるのは俺たちの仕業だ」

 女の眉がわずかに動く。
 周囲のエルフたちも、一瞬だけ構えを緩めた。
「……確かに、数百年止まっていたはずの灯が再び灯っている」
「だから、敵じゃない。むしろこの街を守りたい」

 蓮の声は穏やかだが、瞳は真っ直ぐだった。
 その誠実さに、エルフの女はわずかに息をつく。

「……人間にしては珍しい言葉を口にする」
 彼女は弓を下ろした。
「我らは《緑の監視者》、古代遺産を監視する役目を持つ一族。勝手に触れる者を見過ごすわけにはいかぬ」
「監視者……つまり、この街を見張ってたのか」
「この廃都メルディナには“封印”がある。それを解く愚か者が現れぬよう、我らは見張っている」

「封印……」
 蓮の胸がざわついた。
 もしかして、魔導炉のさらに奥に何かがあるのか?



 リアが一歩前に出た。
「なぁ、アンタたち。本気でこの街を“見張る”だけでいいのか?」
「どういう意味だ」
「私たちはここを再生させた。滅びたままでいいなんて、思ってない」
 リアの瞳が強く光る。
「壊れたものを放っておくより、直した方がいい。そうだろ?」

 エルフたちの間に動揺が走る。
 だが、隊長らしき女は沈黙したままリアを見据えていた。
 長い沈黙ののち――
「……貴様たちの行い、報告する必要がある」
「報告? 誰に?」
「森の賢者、セリナ様に」

 蓮とリアは目を見合わせた。
 その名前を聞くのは初めてだ。
「セリナ……?」
「我らの指導者にして、この地の知を継ぐ者。古代文明の研究者だ。お前たちのような“再生者”に興味を持たれるだろう」

 女は背を向けた。
「警戒は解かぬ。だが……無意味な戦いは好まぬ。
 ――明日の夜、森の境界で再び会うがいい」

 そう言い残し、エルフたちは音もなく闇に消えた。



 夜風が通り抜ける。
 リアが息を吐いた。
「ふぅ……生きた心地しなかった」
「俺もだ。けど……“賢者”か」
 蓮は再び塔を見上げる。
 廃都の灯が、月明かりの下で静かに揺れている。

「セリナ。きっと、その人がこの街の秘密を知ってる」
「じゃあ、行くの?」
「ああ。明日、森へ行こう」

 光を取り戻した街の中で、風が柔らかく吹き抜けた。
 新たな出会いが、再生の道をさらに広げようとしていた。
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