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第二章:「隠された力」
第18話:廃都防衛戦
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夜の帳が落ち、風がざわめく。
再生都市メルディナの外縁――黒い森の向こうに、無数の松明の光が揺れていた。
まるで地平線そのものが燃えているように見える。
「来たな……」
蓮がつぶやく。
王国軍の再編部隊――およそ三千。
前回の百人規模の偵察とは違う。
今度は、本格的な“殲滅戦”を仕掛けにきたのだ。
リアが剣を抜き、月光の下で刃を光らせた。
「まさか、こんなに早く本軍が来るとはね」
「予想はしてた。俺たちが“神の加護なし”でこの街を動かした。女神教も王国も、放っておかないさ」
セリナが塔の上から降りてくる。
ローブの裾が風に舞い、冷静な瞳が蓮を見た。
「敵の布陣、すべて確認しました。前線は重装歩兵、後方には破魔砲。そして空には……“聖導騎士団”」
「空軍までか……さすがに派手だな」
蓮は手をかざし、街全体の魔力流路を呼び覚ます。
地面の下で、古代機構が低く唸りを上げる。
《リサイクル発動――都市防衛構造体・全系統接続》
《稼働率:42%……出力上昇中》
廃都の各地に散らばる塔の尖端が光を帯び、空へ向かって青い線を描いた。
その瞬間、メルディナの街は――生きた。
⸻
王国軍の前線。
ガルド隊長が双眼鏡を下ろす。
「古代兵装が……稼働しているだと? あの異端者、どこまで踏み込む気だ」
「隊長、命令を!」
「構わん。女神の名のもとに――突撃だ!」
号令と同時に、地を揺らす足音が鳴り響いた。
数千の兵が突き進み、空からは光の矢が降り注ぐ。
その時――。
メルディナの城壁が開き、金属の咆哮が夜を裂いた。
《防衛兵装群――リビルド・ガーディアン、起動》
崩れていた石像たちが動き出す。
かつて街を守っていた守護像が、《リサイクル》によって再生されたのだ。
青い目を光らせ、巨人たちが前線に立つ。
「な、なんだあれは!?」
「退くな! 神に背く異端者どもを討て!」
兵士たちが矢を放つ。
だが、それはすべて弾かれた。
守護像が腕を振ると、風圧だけで数十人が吹き飛ぶ。
⸻
塔の上で、蓮が両手を広げた。
魔導炉の心臓が鼓動し、街全体に魔力が満ちていく。
「セリナ、左翼の出力を二十上げろ。右の導線はまだ詰まってる」
「了解。再配分開始!」
リアが壁の上から飛び降り、前線に着地した。
「私も行く!」
「気をつけろ、リア!」
「へへっ、心配性だな!」
狼の尾が揺れる。
彼女の双剣が光を帯び、跳ぶたびに敵の鎧を切り裂いた。
人間離れした速さ――それは、まるで風の化身。
「獣人……? なんで人間の味方を!?」
「こいつは私の仲間だ! ――誰も、捨てない。それがあんたらと違うところだ!」
⸻
戦場を照らす青光がさらに強くなる。
蓮の身体が限界に近づくほど、街の機構が拡張されていく。
《都市防衛出力:72%》
《周辺防壁再生率:93%》
崩れた壁が瞬時に再構築され、敵の砲撃痕が塞がる。
まるで、街そのものが“生きている”ようだった。
セリナが風に髪をなびかせながら呟く。
「……この光景、まるで伝承の“再生都市”ね」
「伝承?」
「古代の書にはこう記されています。
“壊れた大地に、再生者現れん。その街は何度壊れようと立ち上がり、神に抗う”」
蓮が息を吐く。
「まさか、自分がその“再生者”になるとはな」
⸻
夜が明け始める頃。
王国軍の陣形はすでに崩壊していた。
残兵は退き、指揮官ガルドは地に膝をつく。
「……馬鹿な……人間ごときが、神の技を超えるなど……」
その前に、蓮が歩み寄る。
「神の技、ね。あんたたちが信じてるのは、“誰かに作られた秩序”だろ。
でも、俺の力は違う。――壊れた秩序を直すためのものだ」
ガルドはその目を見開いた。
その瞳に、ほんの一瞬だけ恐れの色が宿る。
「貴様……何者だ……」
「ただの“人間”だよ」
その言葉を最後に、蓮は背を向けた。
ガルドは立ち上がれず、朝の光に包まれていった。
⸻
戦が終わり、街は再び静寂を取り戻す。
瓦礫の上に座るリアが息をつく。
「……終わった、のか?」
「ああ。けど、これは始まりに過ぎない」
セリナが頷く。
「女神教はこの敗北を“神罰への冒涜”として広めるでしょう。
次は、聖騎士団そのものが動く」
蓮は静かに空を見上げた。
薄雲の向こうで、太陽が昇る。
その光を浴びながら、彼は呟いた。
「――なら、迎え撃つさ。俺たちはもう、誰にも壊させない」
青く輝く街が、彼の決意に呼応するように微かに脈動した。
再生都市メルディナの外縁――黒い森の向こうに、無数の松明の光が揺れていた。
まるで地平線そのものが燃えているように見える。
「来たな……」
蓮がつぶやく。
王国軍の再編部隊――およそ三千。
前回の百人規模の偵察とは違う。
今度は、本格的な“殲滅戦”を仕掛けにきたのだ。
リアが剣を抜き、月光の下で刃を光らせた。
「まさか、こんなに早く本軍が来るとはね」
「予想はしてた。俺たちが“神の加護なし”でこの街を動かした。女神教も王国も、放っておかないさ」
セリナが塔の上から降りてくる。
ローブの裾が風に舞い、冷静な瞳が蓮を見た。
「敵の布陣、すべて確認しました。前線は重装歩兵、後方には破魔砲。そして空には……“聖導騎士団”」
「空軍までか……さすがに派手だな」
蓮は手をかざし、街全体の魔力流路を呼び覚ます。
地面の下で、古代機構が低く唸りを上げる。
《リサイクル発動――都市防衛構造体・全系統接続》
《稼働率:42%……出力上昇中》
廃都の各地に散らばる塔の尖端が光を帯び、空へ向かって青い線を描いた。
その瞬間、メルディナの街は――生きた。
⸻
王国軍の前線。
ガルド隊長が双眼鏡を下ろす。
「古代兵装が……稼働しているだと? あの異端者、どこまで踏み込む気だ」
「隊長、命令を!」
「構わん。女神の名のもとに――突撃だ!」
号令と同時に、地を揺らす足音が鳴り響いた。
数千の兵が突き進み、空からは光の矢が降り注ぐ。
その時――。
メルディナの城壁が開き、金属の咆哮が夜を裂いた。
《防衛兵装群――リビルド・ガーディアン、起動》
崩れていた石像たちが動き出す。
かつて街を守っていた守護像が、《リサイクル》によって再生されたのだ。
青い目を光らせ、巨人たちが前線に立つ。
「な、なんだあれは!?」
「退くな! 神に背く異端者どもを討て!」
兵士たちが矢を放つ。
だが、それはすべて弾かれた。
守護像が腕を振ると、風圧だけで数十人が吹き飛ぶ。
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塔の上で、蓮が両手を広げた。
魔導炉の心臓が鼓動し、街全体に魔力が満ちていく。
「セリナ、左翼の出力を二十上げろ。右の導線はまだ詰まってる」
「了解。再配分開始!」
リアが壁の上から飛び降り、前線に着地した。
「私も行く!」
「気をつけろ、リア!」
「へへっ、心配性だな!」
狼の尾が揺れる。
彼女の双剣が光を帯び、跳ぶたびに敵の鎧を切り裂いた。
人間離れした速さ――それは、まるで風の化身。
「獣人……? なんで人間の味方を!?」
「こいつは私の仲間だ! ――誰も、捨てない。それがあんたらと違うところだ!」
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戦場を照らす青光がさらに強くなる。
蓮の身体が限界に近づくほど、街の機構が拡張されていく。
《都市防衛出力:72%》
《周辺防壁再生率:93%》
崩れた壁が瞬時に再構築され、敵の砲撃痕が塞がる。
まるで、街そのものが“生きている”ようだった。
セリナが風に髪をなびかせながら呟く。
「……この光景、まるで伝承の“再生都市”ね」
「伝承?」
「古代の書にはこう記されています。
“壊れた大地に、再生者現れん。その街は何度壊れようと立ち上がり、神に抗う”」
蓮が息を吐く。
「まさか、自分がその“再生者”になるとはな」
⸻
夜が明け始める頃。
王国軍の陣形はすでに崩壊していた。
残兵は退き、指揮官ガルドは地に膝をつく。
「……馬鹿な……人間ごときが、神の技を超えるなど……」
その前に、蓮が歩み寄る。
「神の技、ね。あんたたちが信じてるのは、“誰かに作られた秩序”だろ。
でも、俺の力は違う。――壊れた秩序を直すためのものだ」
ガルドはその目を見開いた。
その瞳に、ほんの一瞬だけ恐れの色が宿る。
「貴様……何者だ……」
「ただの“人間”だよ」
その言葉を最後に、蓮は背を向けた。
ガルドは立ち上がれず、朝の光に包まれていった。
⸻
戦が終わり、街は再び静寂を取り戻す。
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「……終わった、のか?」
「ああ。けど、これは始まりに過ぎない」
セリナが頷く。
「女神教はこの敗北を“神罰への冒涜”として広めるでしょう。
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蓮は静かに空を見上げた。
薄雲の向こうで、太陽が昇る。
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「――なら、迎え撃つさ。俺たちはもう、誰にも壊させない」
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