最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第二章:「隠された力」

第20話:聖教会の介入

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 廃都メルディナの空が、不気味に曇り始めた。
 青かった光の柱が、わずかに震えている。
 蓮は塔の頂上から空を見上げ、眉をひそめた。

「魔力の流れが……乱れてる」
 セリナが隣で頷く。
「はい。これは自然現象ではありません。誰かが“聖属性”の結界を張っています」
「……来たか」

 数日前、王国軍を退けた蓮たちは、街の復旧を急いでいた。
 だが、平穏は長く続かなかった。
 メルディナ周辺の地脈が異常に乱れ、魔物が一斉に消えたのだ。
 その代わりに現れたのは――白銀の軍勢。



 城門の外。
 風を切って聖騎士たちの隊列が進む。
 彼らの甲冑には神の紋章が刻まれ、背には純白のマントがはためいていた。
 先頭に立つ男が、杖を掲げる。

「異端者・篠原蓮。
 貴様は女神の秩序を汚し、禁忌の術を用いて街を蘇らせた。
 その罪、聖教会の名において断罪する」

 名をヴァルス・クライム。
 聖教会の“浄化官”と呼ばれる執行者。
 彼の声が響いた瞬間、空の雲が裂け、光の雨が降り注ぐ。

 リアが剣を構え、牙を見せる。
「うわ、派手だな……あれ全部、魔法かよ」
「ただの見せつけよ」セリナが呟く。「でも、威力は本物です」
「そうだな」蓮が目を細める。「街を守る。――行くぞ」



 塔の中央制御室。
 蓮は魔導炉の核に手を置き、命令を送る。

《リサイクル発動――防衛網再構築》
《都市出力:68%→80%》

 青い光が街の外壁を覆い、再びメルディナが息を吹き返す。
 その光景を見た聖騎士たちは、一瞬たじろいだ。

「神の加護なき力で、ここまで……!」
「恐れるな! あれは悪魔の力だ! 祈りを忘れるな!」

 ヴァルスが杖を振る。
 天から降り注ぐ聖なる光が束となり、街を貫いた。

 轟音と閃光。
 リアが咄嗟に防壁の上に飛び乗り、双剣を交差させる。
「――来るっ!」

 衝撃が防壁を揺らすが、崩れない。
 蓮が息を吐き、掌を地に向けた。

《対象:聖光属性エネルギー》
《解析開始――変換モード:再生媒体》

 光が消え、破壊された地面から芽が伸びた。
 それは緑の草。
 聖なる攻撃が、命の息吹に変わって街を包んだのだ。

「ば、馬鹿な……聖術を……生命に……?」
 ヴァルスの顔が怒りに歪む。
「異端者め! 貴様、女神の祝福を汚すか!」

「祝福?」蓮は冷たく笑った。
「それはお前たちが“そう信じてるだけ”だろ。
 俺から見れば、それはただの“仕組み”だ」



 戦場の中心。
 リアが前線を駆け抜け、聖騎士の隊列を切り裂く。
「こっちは街を壊す気はねえ! 引け!」
「狼の異形が喋るなッ!」

 銀の槍がリアの肩を掠め、血が飛ぶ。
 彼女は舌打ちをして剣を回した。
「痛っ……! くそっ、こいつら容赦ねえな!」
「リア、下がれ!」蓮の声が飛ぶ。
「いや、下がらない!」

 セリナが詠唱を始めた。

《風精霊よ、我に力を――》

 緑の魔法陣が広がり、竜巻が敵陣を薙ぐ。
 だがヴァルスが聖符を投げる。
「“封印の印章”!」

 セリナの術式が弾け、風が消える。
 ヴァルスは静かに笑った。
「エルフの魔術など、神の前では無力だ」

 蓮が一歩踏み出す。
「――じゃあ、神の術をリサイクルしてみせる」

 その言葉と同時に、地面が光った。

《対象:聖印結界》
《分解完了/再構築開始》

 結界の光がねじ曲がり、ヴァルスの足元で爆ぜた。
 聖印が逆流し、彼自身を弾き飛ばす。

「が……ぁっ!?」
 白い法衣が裂け、地面に転がる。
 周囲の聖騎士たちが驚愕に声を失った。



 煙の中から、蓮の声が響く。
「教会も王国も関係ない。俺は“壊れたもの”を直すだけだ。
 お前たちがどれだけ“神”を信じても、俺は――“人”を信じる」

 風が吹き、灰を巻き上げる。
 ヴァルスは苦しげに立ち上がり、歯を食いしばった。
「異端者……貴様の存在、女神の名のもとに裁かれる……!」

 白光が彼の身体を包み、姿が消える。
 転移魔法――退却だ。

 蓮は構えを解き、深く息をついた。
「……やっぱり来たか、“聖教会”。
 次は――本気で来るな」

 セリナが静かに頷く。
「ええ。今の戦いで、彼らも確信しました。
 あなたは“神の枠外”の存在だと」

 リアが血のついた剣を拭いながら笑った。
「でもさ、あいつらよりあんたのほうが“人間”らしいよ」
「そうかもな」蓮は少し笑う。「……だから、負けられない」

 空には、散り残った聖光の粒が漂っていた。
 まるで、これから起こる大嵐の前触れのように――。
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