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第三章:「クラスメイトとの再会」
第38話:同盟の影
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風が乾いていた。
メルディナの空に広がる雲は薄く、遠い地平の彼方まで光が届いている。
蓮が魔王都ヴェルザードから帰還して三日が経っていた。
街は平穏を取り戻しているように見えたが、その裏で確実に“変化”が起きつつあった。
修復された街の外壁の上で、リアが双剣を磨いている。
「……で? 魔王はどんな奴だったんだ?」
蓮は苦笑した。「話の通じる“王”だったよ。少なくとも、勇者よりは理性的だ。」
「へぇ。魔王って聞いてたから、もっとドロドロしてるのかと思ってた。」
「ドロドロはしてたけどな。中身は……人間とそう変わらない。」
セリナが側に歩み寄る。
「つまり、“敵”ではないと?」
「現時点では、な。」
蓮は魔王から渡された黒い指輪を取り出す。
光にかざすと、魔力の波紋が淡く揺れた。
「ルディアスはこう言ってた。
『世界を縛る女神の鎖を断つためなら、人間とも手を組む』ってな。」
リアは顎を引いて唸る。
「女神の鎖、ねぇ……。あの教会が信じてるやつ?」
「そうだ。あいつらが“神の加護”と呼ぶものの正体は、制御の枷だ。」
セリナが小さく頷いた。
「私も感じていました。
スキルや魔法の根源に、“意志”のような干渉があると。」
蓮は視線を空に向ける。
「俺たちは気づかないまま、何かに操られてきたのかもしれない。
それを断ち切るためには、人間でも魔族でもない“第三の立場”が必要なんだ。」
「つまり――あんた自身が“勢力”になるってわけか。」
リアが剣を鞘に収め、にやりと笑う。
「やっと面白くなってきたじゃねぇか。」
⸻
その日、蓮は廃都の中央にある旧王城跡で、各地の独立勢力の代表を招集した。
獣人族の長、傭兵団の頭、放浪商人ギルドの代表、そして反王国派の士官たち。
かつて敵対していた者たちが、一堂に会するのは初めてだった。
「皆、よく来てくれた。」
蓮の声が静かに響く。
「俺は篠原蓮。元は勇者パーティの落ちこぼれだ。
だが――今は、“壊れた世界”を直す者としてここに立っている。」
ざわめきが起きる。
彼らはそれぞれが戦争に疲れ、国に見捨てられた者たちだ。
誰もが、今の世界に疑問を抱いている。
「我々は国も種族も違う。
だが、共通の敵がいる――“人を操る神”。
あの女神の加護は祝福じゃない。魂を縛る呪いだ。」
「証拠は?」傭兵団の男が腕を組んで言う。
蓮は無言で、懐から古びた金属片を取り出した。
「これは、女神教会の聖遺物だった“加護装置”の一部だ。
解析の結果、魔力を吸収して中枢へ送る仕組みが見つかった。」
セリナが続ける。
「つまり、信仰は“エネルギー供給”として利用されているのです。」
場の空気が一気に変わる。
リアが一歩前に出て叫んだ。
「だからこそ、あたしたちはもう騙されねぇ!
種族も立場も関係ない。自由のために、立ち上がる時なんだよ!」
沈黙ののち、ひとりの獣人の長がうなずいた。
「……お前の言葉、嫌いじゃねぇ。」
次々に、他の代表者たちが同意を示す。
蓮は拳を握った。
「なら――ここに“再生連合”を立ち上げる。
人でも魔でもない、“壊れたものを直す者”たちの連合だ。」
⸻
その夜。
城跡の天井が抜けた大広間で、炎が焚かれた。
代表者たちが円陣を組み、契約の儀を交わす。
血と光の魔法陣が交錯し、新たな旗が掲げられた。
黒地に銀の輪。
それは《リサイクル》を象徴する、再生の印。
リアが笑う。「いいね。あたしたちの旗って感じだ。」
セリナも微笑む。「“再生同盟”……名に相応しい誓いです。」
蓮は小さくうなずいた。
「この旗の下で、誰も捨てない世界を作る。」
風が吹く。
焔が揺れ、夜空の星を映した。
やがてその輝きは、メルディナ全土を照らすように広がっていく。
⸻
会議が終わり、人々が去ったあと。
セリナが静かに蓮に近づいた。
「あなた、本当に“魔王と同じ理”を歩むつもりですか?」
「いや、違う。
ルディアスは“破壊からの自由”を求めている。
俺は、“再生による自由”を求めている。」
「……似て非なる理、ですか。」
「そうだ。でも、最終的に交わるかもしれない。
だからこそ――備えておく。」
蓮は炎の残光を見つめた。
「いずれ、神も魔も、全部壊れていく。
それでも俺は、そのあとに残るものを直してやる。」
セリナの瞳が柔らかく揺れた。
「あなたの道は、孤独ですね。」
「慣れてるさ。
でも――今はもう、ひとりじゃない。」
リアの笑い声が遠くから聞こえた。
「おーい! 蓮ー! 飯できたぞー!」
蓮は小さく笑い、炎に背を向けた。
「孤独の終わり、か……悪くない言葉だな。」
⸻
翌朝。
再生連合の旗が、初めてメルディナの中央塔に掲げられた。
風がそれを大きくはためかせる。
その瞬間――誰もが“新しい時代の始まり”を感じていた。
かつて追放された一人の少年が、
いまや“世界を再生する旗”を掲げていた。
メルディナの空に広がる雲は薄く、遠い地平の彼方まで光が届いている。
蓮が魔王都ヴェルザードから帰還して三日が経っていた。
街は平穏を取り戻しているように見えたが、その裏で確実に“変化”が起きつつあった。
修復された街の外壁の上で、リアが双剣を磨いている。
「……で? 魔王はどんな奴だったんだ?」
蓮は苦笑した。「話の通じる“王”だったよ。少なくとも、勇者よりは理性的だ。」
「へぇ。魔王って聞いてたから、もっとドロドロしてるのかと思ってた。」
「ドロドロはしてたけどな。中身は……人間とそう変わらない。」
セリナが側に歩み寄る。
「つまり、“敵”ではないと?」
「現時点では、な。」
蓮は魔王から渡された黒い指輪を取り出す。
光にかざすと、魔力の波紋が淡く揺れた。
「ルディアスはこう言ってた。
『世界を縛る女神の鎖を断つためなら、人間とも手を組む』ってな。」
リアは顎を引いて唸る。
「女神の鎖、ねぇ……。あの教会が信じてるやつ?」
「そうだ。あいつらが“神の加護”と呼ぶものの正体は、制御の枷だ。」
セリナが小さく頷いた。
「私も感じていました。
スキルや魔法の根源に、“意志”のような干渉があると。」
蓮は視線を空に向ける。
「俺たちは気づかないまま、何かに操られてきたのかもしれない。
それを断ち切るためには、人間でも魔族でもない“第三の立場”が必要なんだ。」
「つまり――あんた自身が“勢力”になるってわけか。」
リアが剣を鞘に収め、にやりと笑う。
「やっと面白くなってきたじゃねぇか。」
⸻
その日、蓮は廃都の中央にある旧王城跡で、各地の独立勢力の代表を招集した。
獣人族の長、傭兵団の頭、放浪商人ギルドの代表、そして反王国派の士官たち。
かつて敵対していた者たちが、一堂に会するのは初めてだった。
「皆、よく来てくれた。」
蓮の声が静かに響く。
「俺は篠原蓮。元は勇者パーティの落ちこぼれだ。
だが――今は、“壊れた世界”を直す者としてここに立っている。」
ざわめきが起きる。
彼らはそれぞれが戦争に疲れ、国に見捨てられた者たちだ。
誰もが、今の世界に疑問を抱いている。
「我々は国も種族も違う。
だが、共通の敵がいる――“人を操る神”。
あの女神の加護は祝福じゃない。魂を縛る呪いだ。」
「証拠は?」傭兵団の男が腕を組んで言う。
蓮は無言で、懐から古びた金属片を取り出した。
「これは、女神教会の聖遺物だった“加護装置”の一部だ。
解析の結果、魔力を吸収して中枢へ送る仕組みが見つかった。」
セリナが続ける。
「つまり、信仰は“エネルギー供給”として利用されているのです。」
場の空気が一気に変わる。
リアが一歩前に出て叫んだ。
「だからこそ、あたしたちはもう騙されねぇ!
種族も立場も関係ない。自由のために、立ち上がる時なんだよ!」
沈黙ののち、ひとりの獣人の長がうなずいた。
「……お前の言葉、嫌いじゃねぇ。」
次々に、他の代表者たちが同意を示す。
蓮は拳を握った。
「なら――ここに“再生連合”を立ち上げる。
人でも魔でもない、“壊れたものを直す者”たちの連合だ。」
⸻
その夜。
城跡の天井が抜けた大広間で、炎が焚かれた。
代表者たちが円陣を組み、契約の儀を交わす。
血と光の魔法陣が交錯し、新たな旗が掲げられた。
黒地に銀の輪。
それは《リサイクル》を象徴する、再生の印。
リアが笑う。「いいね。あたしたちの旗って感じだ。」
セリナも微笑む。「“再生同盟”……名に相応しい誓いです。」
蓮は小さくうなずいた。
「この旗の下で、誰も捨てない世界を作る。」
風が吹く。
焔が揺れ、夜空の星を映した。
やがてその輝きは、メルディナ全土を照らすように広がっていく。
⸻
会議が終わり、人々が去ったあと。
セリナが静かに蓮に近づいた。
「あなた、本当に“魔王と同じ理”を歩むつもりですか?」
「いや、違う。
ルディアスは“破壊からの自由”を求めている。
俺は、“再生による自由”を求めている。」
「……似て非なる理、ですか。」
「そうだ。でも、最終的に交わるかもしれない。
だからこそ――備えておく。」
蓮は炎の残光を見つめた。
「いずれ、神も魔も、全部壊れていく。
それでも俺は、そのあとに残るものを直してやる。」
セリナの瞳が柔らかく揺れた。
「あなたの道は、孤独ですね。」
「慣れてるさ。
でも――今はもう、ひとりじゃない。」
リアの笑い声が遠くから聞こえた。
「おーい! 蓮ー! 飯できたぞー!」
蓮は小さく笑い、炎に背を向けた。
「孤独の終わり、か……悪くない言葉だな。」
⸻
翌朝。
再生連合の旗が、初めてメルディナの中央塔に掲げられた。
風がそれを大きくはためかせる。
その瞬間――誰もが“新しい時代の始まり”を感じていた。
かつて追放された一人の少年が、
いまや“世界を再生する旗”を掲げていた。
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