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第四章:「大陸統一戦争」
第61話:砂の帝国
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⸻砂嵐が吹き荒れていた。
熱風が頬を刺し、視界を覆う砂の帳が太陽を飲み込んでいく。
サルバード砂帝国――大陸南部に広がる不毛の地に築かれた、巨大な要塞国家。
王国アルゼリアの同盟国であり、女神教会の庇護下にある最後の軍事国家でもある。
蓮たちは、聖都ルミナを離れて十日目、ついにその国境へとたどり着いた。
「……砂ばっかりだな。」
リアが額の汗を拭いながら呟く。
「水が恋しくなるよ。」
「この国では、水は“神の恵み”として取引されているんです。」
セリナが淡々と答える。
「飲料も農業も、全て神殿が独占。人々はその代償に“命”を差し出しているとか。」
リアが顔をしかめた。
「それって……奴隷ってことじゃん。」
蓮は砂の向こうを見つめた。
「そうだ。
ここでは、祈りと犠牲が通貨だ。
そして“異端者”は、砂に埋められる。」
その言葉に、リアの表情が曇る。
彼女は、かつて迫害を受けた獣人の村の光景を思い出していた。
セリナが口を開く。
「蓮さん、もし戦うことになれば、相手は王国直属の兵だけではありません。
砂帝国は旧文明の“機械兵器”を保持していると言われています。」
「旧文明……?」
蓮の目がわずかに光る。
「なるほど。ならば――壊す必要はないな。」
リアが眉を上げる。
「え?どういう意味?」
「壊すんじゃなく、“再利用”する。」
蓮の口元に、わずかな笑みが浮かんだ。
「砂の中に眠る機械は、まだ動ける。
なら、それを目覚めさせるだけだ。」
⸻
砂の都《アダマス》は、まるで骨のように白い都市だった。
塔と壁は全て石灰岩で作られ、昼は太陽光を反射し、夜は冷たく輝く。
だが、その美しさの裏には恐怖があった。
街の中心では“供儀”が行われ、人々が女神の名のもとに命を差し出していた。
「見て、蓮……!」
リアが指差す先、石台の上に数人の民が跪いていた。
神官たちが砂に聖水を注ぎながら詠唱する。
「神よ、この地を清めたまえ……罪を再利用し、新しき命を。」
蓮の表情が一瞬だけ歪んだ。
その言葉。
“再利用”――まるで彼の力を嘲るように、歪んだ意味で使われていた。
「……皮肉だな。」
「蓮?」
「“再生”を語りながら、殺してる。」
彼はゆっくりと腰の剣に触れた。
「この国は、女神の残滓そのものだ。」
その瞬間、遠くから号令が響いた。
「侵入者を捕らえよ!」
砂の壁の上、帝国兵が数十人、銃型の魔導兵器を構えている。
その背後では、金色の鎧を纏った将軍が冷たく見下ろしていた。
「リサイクルの異端者、篠原蓮。貴様の存在はこの地に不要だ。」
セリナが低く呟く。
「あれが……砂帝国の総司令、グラディウス将軍です。」
蓮は静かに前へ進む。
「不要、か。なら証明してみせろよ。
壊れた世界にも、再び“使い道”があるってことを。」
⸻戦端が開かれた。
砲撃が砂を抉り、爆風が地を裂く。
砂上に広がる炎の中、蓮は目を閉じた。
「《リサイクル・ドライブ》――環境再構築。」
爆煙の中から、金属の軋む音が響く。
崩れた旧文明の遺跡、その奥で、錆びた機械がひとつ、またひとつと起動を始めた。
「動け……“古き兵器”たち。」
地の底から唸り声のような音が響き、砂を突き破って巨大な機械兵が立ち上がる。
その装甲は錆びているが、蓮の光によって再構築され、黄金に輝いた。
リアが叫ぶ。
「な、なにあれ!?」
「旧文明の遺産。“再利用された過去”だ。」
グラディウス将軍が目を見開く。
「馬鹿な……失われた兵器群が、なぜ動く!?」
蓮は静かに告げた。
「神に見捨てられた過去も、俺が拾う。」
⸻砂嵐の中、戦場が動いた。
帝国兵の放つ弾丸は、再生兵器の装甲に弾かれ、反撃の光線が地を焼く。
爆発と砂塵の嵐の中、リアが獣化しながら前線を切り開く。
「これが、“再生”の戦い方だッ!」
セリナが詠唱を重ね、空中に古代の魔法陣を展開。
再生された兵器群に魔力の指令を送り、蓮の動きと同期させた。
蓮が指を鳴らす。
「目標――帝国砲台群、制圧開始。」
砂丘の奥に並ぶ巨大な砲台が、次々と反転する。
帝国兵の砲台が、今度は自軍を狙って火を吹いた。
「なっ……裏切り!? 違う、制御が――!」
蓮は呟く。
「制御じゃない。“選択”だ。」
「“壊されるだけの機械”に、再び目的を与えただけだ。」
⸻轟音。
戦場を覆う砂嵐の奥、炎が夜を切り裂く。
グラディウス将軍が叫びながら突撃してくる。
「異端者ァァァッ!」
その一撃を、蓮は正面から受け止めた。
砂が巻き上がり、視界が光で塗り潰される。
「……壊すことしか知らない奴に、世界は救えない。」
《リサイクル・ドライブ》の光が炸裂した。
将軍の鎧が砕け散り、炎に呑まれる。
静寂が戻る。
リアが息を吐く。
「……終わった?」
蓮は頷き、崩れ落ちた砦を見上げた。
「終わりじゃない。
ただ、“砂の呪い”が解けただけだ。」
セリナがそっと微笑む。
「なら、次に救うのは――この国の人々ですね。」
蓮は頷き、砂の地平線を見た。
遠く、燃えるような夕日が沈んでいく。
「行こう。
この国にも、まだ“再利用できる未来”がある。」
⸻
夜。
砂の中で、古代兵器の残骸が微かに光を放っていた。
それはまるで、砂に埋もれた希望の種のようだった。
熱風が頬を刺し、視界を覆う砂の帳が太陽を飲み込んでいく。
サルバード砂帝国――大陸南部に広がる不毛の地に築かれた、巨大な要塞国家。
王国アルゼリアの同盟国であり、女神教会の庇護下にある最後の軍事国家でもある。
蓮たちは、聖都ルミナを離れて十日目、ついにその国境へとたどり着いた。
「……砂ばっかりだな。」
リアが額の汗を拭いながら呟く。
「水が恋しくなるよ。」
「この国では、水は“神の恵み”として取引されているんです。」
セリナが淡々と答える。
「飲料も農業も、全て神殿が独占。人々はその代償に“命”を差し出しているとか。」
リアが顔をしかめた。
「それって……奴隷ってことじゃん。」
蓮は砂の向こうを見つめた。
「そうだ。
ここでは、祈りと犠牲が通貨だ。
そして“異端者”は、砂に埋められる。」
その言葉に、リアの表情が曇る。
彼女は、かつて迫害を受けた獣人の村の光景を思い出していた。
セリナが口を開く。
「蓮さん、もし戦うことになれば、相手は王国直属の兵だけではありません。
砂帝国は旧文明の“機械兵器”を保持していると言われています。」
「旧文明……?」
蓮の目がわずかに光る。
「なるほど。ならば――壊す必要はないな。」
リアが眉を上げる。
「え?どういう意味?」
「壊すんじゃなく、“再利用”する。」
蓮の口元に、わずかな笑みが浮かんだ。
「砂の中に眠る機械は、まだ動ける。
なら、それを目覚めさせるだけだ。」
⸻
砂の都《アダマス》は、まるで骨のように白い都市だった。
塔と壁は全て石灰岩で作られ、昼は太陽光を反射し、夜は冷たく輝く。
だが、その美しさの裏には恐怖があった。
街の中心では“供儀”が行われ、人々が女神の名のもとに命を差し出していた。
「見て、蓮……!」
リアが指差す先、石台の上に数人の民が跪いていた。
神官たちが砂に聖水を注ぎながら詠唱する。
「神よ、この地を清めたまえ……罪を再利用し、新しき命を。」
蓮の表情が一瞬だけ歪んだ。
その言葉。
“再利用”――まるで彼の力を嘲るように、歪んだ意味で使われていた。
「……皮肉だな。」
「蓮?」
「“再生”を語りながら、殺してる。」
彼はゆっくりと腰の剣に触れた。
「この国は、女神の残滓そのものだ。」
その瞬間、遠くから号令が響いた。
「侵入者を捕らえよ!」
砂の壁の上、帝国兵が数十人、銃型の魔導兵器を構えている。
その背後では、金色の鎧を纏った将軍が冷たく見下ろしていた。
「リサイクルの異端者、篠原蓮。貴様の存在はこの地に不要だ。」
セリナが低く呟く。
「あれが……砂帝国の総司令、グラディウス将軍です。」
蓮は静かに前へ進む。
「不要、か。なら証明してみせろよ。
壊れた世界にも、再び“使い道”があるってことを。」
⸻戦端が開かれた。
砲撃が砂を抉り、爆風が地を裂く。
砂上に広がる炎の中、蓮は目を閉じた。
「《リサイクル・ドライブ》――環境再構築。」
爆煙の中から、金属の軋む音が響く。
崩れた旧文明の遺跡、その奥で、錆びた機械がひとつ、またひとつと起動を始めた。
「動け……“古き兵器”たち。」
地の底から唸り声のような音が響き、砂を突き破って巨大な機械兵が立ち上がる。
その装甲は錆びているが、蓮の光によって再構築され、黄金に輝いた。
リアが叫ぶ。
「な、なにあれ!?」
「旧文明の遺産。“再利用された過去”だ。」
グラディウス将軍が目を見開く。
「馬鹿な……失われた兵器群が、なぜ動く!?」
蓮は静かに告げた。
「神に見捨てられた過去も、俺が拾う。」
⸻砂嵐の中、戦場が動いた。
帝国兵の放つ弾丸は、再生兵器の装甲に弾かれ、反撃の光線が地を焼く。
爆発と砂塵の嵐の中、リアが獣化しながら前線を切り開く。
「これが、“再生”の戦い方だッ!」
セリナが詠唱を重ね、空中に古代の魔法陣を展開。
再生された兵器群に魔力の指令を送り、蓮の動きと同期させた。
蓮が指を鳴らす。
「目標――帝国砲台群、制圧開始。」
砂丘の奥に並ぶ巨大な砲台が、次々と反転する。
帝国兵の砲台が、今度は自軍を狙って火を吹いた。
「なっ……裏切り!? 違う、制御が――!」
蓮は呟く。
「制御じゃない。“選択”だ。」
「“壊されるだけの機械”に、再び目的を与えただけだ。」
⸻轟音。
戦場を覆う砂嵐の奥、炎が夜を切り裂く。
グラディウス将軍が叫びながら突撃してくる。
「異端者ァァァッ!」
その一撃を、蓮は正面から受け止めた。
砂が巻き上がり、視界が光で塗り潰される。
「……壊すことしか知らない奴に、世界は救えない。」
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将軍の鎧が砕け散り、炎に呑まれる。
静寂が戻る。
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「……終わった?」
蓮は頷き、崩れ落ちた砦を見上げた。
「終わりじゃない。
ただ、“砂の呪い”が解けただけだ。」
セリナがそっと微笑む。
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蓮は頷き、砂の地平線を見た。
遠く、燃えるような夕日が沈んでいく。
「行こう。
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