最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第四章:「大陸統一戦争」

第65話:戦場のリサイクラー

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⸻風が止んでいた。
黒嵐が消えた後の空は、あまりに静かで、残酷なほどに青かった。

蓮はその青を見上げながら、無言で手の中の“残骸”を見つめていた。
焦げた鎧片。
それは、さっきまで戦場で倒れていた兵士のもの。

リアが歩み寄る。
「……まだ、戦えるの?」

「戦いは終わった。でも、ここで止まるわけにはいかない。」

蓮の周囲には、無数の死体が転がっていた。
王国兵、魔族兵――区別なく、皆が命を落としていた。

セリナが口を開く。
「この数では、埋葬すら間に合いませんね。」

「埋めるのは簡単だ。でも――」蓮の声が静かに揺れた。
「俺は“再生”のスキルを持っている。なら、ただ埋めるだけじゃなく……“繋げる”こともできるはずだ。」

リアの表情が硬くなる。
「まさか……死者を、蘇らせるの?」

蓮は頷かなかった。
ただ、掌に魔力を集める。
「《リサイクル・ドライブ》――魂回路起動。」

⸻光が広がる。
戦場のあちこちに転がる武具や血痕が、わずかに震えた。
空気が変わり、砂の上から淡い光の粒が立ち上がる。

「やめなさい、蓮。」
セリナが制止する。
「その術は、自然の摂理を越える。命を“使い回す”ことになるのですよ。」

「分かってる。でも……俺はもう見たくないんだ。
 “壊れるために生まれる命”なんて、もうごめんだ。」

リアが眉をひそめた。
「……蓮。」

「彼らの魂を、束ねるんだ。新しい命の形として。」

蓮の声は淡々としていたが、その奥に滲む痛みは深かった。
セリナが目を伏せる。
「……あなたは優しすぎる。」

蓮は苦く笑った。
「優しさで救えるなら、もう誰も死なないさ。」



魔法陣が展開される。
地面に刻まれた複雑な紋様が輝き、戦場全体を包み込んだ。

《リサイクル・ドライブ・EX――生命循環型構成式》

風が吹く。
血の匂いが薄れ、光の粒がひとつ、またひとつと形を持つ。

兵士たちが――立ち上がった。

リアが息を呑む。
「な……これって……」

セリナも震える声で呟く。
「死者の……再生?」

兵士たちの瞳は空虚ではなかった。
だが、生者でもなかった。
彼らは静かに立ち、武器を拾い上げた。

「命令を。」
無機質な声が響く。

蓮は一瞬、言葉を失った。
「……お前たちは、まだ戦いたいのか。」

誰も答えない。
ただ、立ち尽くしている。

リアが蓮の腕を掴んだ。
「こんなの、違うよ。
 あんたがやりたかった“再生”は、こんなことじゃない!」

蓮は彼女を見た。
そして、微かに笑った。
「違うな。これは……俺が選んだ現実だ。」

リアが叫ぶ。
「ふざけんな! こんなの、死者を利用してるだけだ!」

「違う。利用じゃない。“再利用”だ。
 彼らの命の残滓が、まだ世界に残ってる。
 なら、使わなきゃ――意味がない。」

セリナが小さく首を振る。
「蓮、それは危険です。あなたの魂までも……削れます。」

蓮の額に汗が滲む。
「分かってる。それでもやる。」



風が止む。
戦場の中心で、蓮は膝をついた。
背後では、再生兵たちが一斉に武器を掲げる。

リアが泣きそうな声で呟いた。
「蓮……もうやめてよ……あんた、壊れちまうよ……。」

「壊れてもいい。」蓮の声はかすれていた。
「誰も捨てないって、決めたから。」

セリナがそっと近づき、膝をつく。
「……あなたがその言葉を言うたびに、胸が痛くなります。
 けれど、あなたの“再生”は、確かに人の希望になっている。」

蓮は静かに息を吐いた。
「……そうだといいな。」



夜。
戦場に静寂が戻る。
再生兵たちは光の粒になり、風に消えていった。

リアが肩をすくめる。
「結局……あの人たち、また眠ったのかな。」

「そうだ。けど、もう二度と“使い捨て”にはならない。
 彼らは世界の一部として、巡る。」

セリナが小さく微笑んだ。
「“死者の再生”――あなたのスキルは、もう神域に近いですね。」

蓮は空を見上げた。
「神なんていらない。俺たちが“繋がる”世界を作るだけだ。」

リアが笑った。
「うん……蓮らしいや。」



その頃――
遠く聖都ルミナでは、女神教会の大司祭が報告を受けていた。

「“死者を蘇らせた”だと?」

「はい。すでに数百体規模で。もはや一個軍に匹敵します。」

「……篠原蓮。
 貴様の“再生”は、神の領域を侵している。」

司祭の瞳が冷たく光る。
「神に背く者には、粛清を――。」



夜空の下、蓮は焚き火の前で小さく呟いた。
「……俺は、間違っていない。
 そう言い聞かせなきゃ、立っていられないんだ。」

リアが眠たげな声で答える。
「大丈夫だよ、蓮。あたしたちがついてる。」

セリナがそっと微笑んだ。
「誰も捨てない――それがあなたの罪であり、救いでもありますね。」

蓮は静かに頷いた。
「……それでも構わない。俺は、全部背負う。」

⸻夜が更けていく。
そして次なる波乱――“裏切りの王”が、動き出そうとしていた。
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