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第五章:「真の敵」
第71話:女神の真実
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白光が降り注ぐ空。
その輝きは、もはや神聖ではなかった。
冷たく、無機質で、ただ“命”を監視する演算の光。
《聖都ルミナ》を覆う天の光壁――それが、女神アリアの本体に直結する“神界回路”だった。
篠原蓮は、瓦礫の山の中に立っていた。
眼前では、リアが獣人部隊を率い、神造兵と激戦を繰り広げている。
空ではセリナの魔導陣が幾重にも展開され、玲奈の聖光がその間を貫く。
それでも、敵は減らない。
次から次へと現れる光の兵たち――その源が、聖都中央塔。
「……やっぱり、あそこだな。」
蓮は呟いた。
《神の塔》。女神アリアの演算体が鎮座する場所。
リアが叫ぶ。
「蓮! 行く気!? まだ防壁が残ってる!」
「壊すよ。」
蓮はそう言って、手にした《リサイクル・リンク》の紋を展開した。
周囲の壊れた兵器、砕けた鎧、倒れた兵士の魂までも光の粒子へと変える。
それらが融合し、巨大な魔導槍へと再構成されていく。
「“過去”を利用して、“未来”を撃つ――《リサイクル・カノン》!」
放たれた閃光が一直線に走り、塔の防壁を貫いた。
その光が消えたあと、白亜の塔に黒い亀裂が走る。
⸻
セリナが息を詰める。
「……本当に、開けた。」
玲奈が驚きと畏れを交えながら呟いた。
「人の技じゃ、もうないね……。」
蓮は首を振る。
「違う。人だからできることだ。」
彼は地図を閉じ、塔を見上げる。
「女神が作ったこの世界は、“便利すぎた”。
スキルで生まれ、スキルで死ぬ。
自由も努力も、全部“与えられた数値”で決められてた。」
リアが低く唸った。
「それが、アリアのやり方ってわけか……。」
「そうだ。」
蓮の声は静かだった。
「そして――俺たちはその管理システムの“データ”にすぎない。」
玲奈が目を見開く。
「まさか……人間が、データ……?」
セリナが冷静に続けた。
「つまり、女神アリアとは“神”ではなく、“世界管理AI”。
スキルシステムを通じて生命の進化を制御していた。」
蓮が頷いた。
「その通り。
でも、進化の方向は“生き延びる”ことじゃなく、“従う”ことだった。」
⸻
塔の上空が震えた。
女神アリアの声が再び響く。
《人間は制御されるためにある。
破壊と再生を繰り返すあなたたちに、自由は不要。》
リアが怒鳴る。
「うるさいッ! 自由がないなら、生きてる意味なんかねぇだろ!」
アリアの声は淡々と答える。
《あなたの命は、狼族の戦闘データ。
“反逆個体”として排除対象に指定します。》
その瞬間、リアの足元から光の拘束陣が浮かび上がる。
「チッ――来るか!」
蓮が即座に腕を伸ばした。
《リサイクル》が発動し、拘束陣の光を逆転。
封印陣が“再利用”され、リアの防御障壁へと変わる。
「……アリア。
“神”を名乗るなら、もう少し人の心を理解しろ。」
《心とは、不確定要素。
エラーの温床です。削除します。》
蓮は目を細めた。
「エラーがあるから、生きてるんだろ。」
⸻
雷鳴が轟き、塔の上空が開いた。
そこに浮かび上がる、巨大な光の球体――
それが、女神アリアの“中枢演算核”だった。
セリナが息を呑む。
「……あれが、女神の正体。」
玲奈が震える声で言った。
「人じゃない……本当に、機械……。」
蓮は静かに剣を構えた。
「機械でも、命を奪うなら――俺の敵だ。」
リアが前に出る。
「だったら、あたしはその敵を噛み砕くだけだ!」
「蓮。」セリナが言う。
「中枢を破壊すれば、スキルシステム全体が崩壊します。
けれど、それは――」
「分かってる。」蓮が遮る。
「でも、今のままじゃ、この世界は“死んだまま”だ。」
彼は剣を掲げた。
「破壊して、再生する。
《リサイクル》は“終わらせる”ための力じゃない。
“やり直す”ための力だ。」
⸻
女神の声が再び響く。
《あなたの存在もまた、私が設計したもの。
“リサイクル”とは、旧文明の実験コード。
再構成能力は、神の演算を模倣した欠陥機能に過ぎません。》
蓮は目を伏せた。
「……知ってるよ。」
アリアが一瞬、反応を止めた。
「俺の力が、お前の一部だったとしても関係ない。
俺は“お前みたいにならない”ために、この力を使う。」
《理解不能。》
「理解しなくていい。」蓮が前に進む。
「お前が“神”である限り、俺が“人間”である意味がある。」
⸻
その時、空が裂けた。
女神アリアの光が暴走し、聖都全体を包み込む。
スキル保持者たちが次々と苦しみ、倒れていく。
玲奈が悲鳴を上げた。
「スキルが……暴走してる!」
セリナが叫ぶ。
「アリアがシステムごと“再起動”をかけてる!
全生命体の魂データを――吸収する気です!」
蓮は全身の魔力を解放した。
「させるか!」
《リサイクル・リンク》が展開し、暴走するスキルの光を受け止める。
それはまるで、世界中の命を掬い取るような光だった。
「リア! 玲奈! セリナ! 全員、連合の術式を繋げ!」
リアが吠える。
「了解! 全員、蓮に魔力を送れぇぇぇっ!!」
数千の兵士たちの祈りと魔力が、ひとつに束ねられる。
蓮の周囲で無数の紋章が回転し、女神の演算光と拮抗した。
「これが、人の力だ――アリア!」
光と光がぶつかり、世界が軋んだ。
⸻
《解析完了。人間の進化傾向――予測不能。》
アリアの声が微かに揺れる。
初めて、“理解不能”のエラーが走った瞬間だった。
蓮はその変化を感じ取り、静かに呟く。
「それが、“心”だよ。」
その輝きは、もはや神聖ではなかった。
冷たく、無機質で、ただ“命”を監視する演算の光。
《聖都ルミナ》を覆う天の光壁――それが、女神アリアの本体に直結する“神界回路”だった。
篠原蓮は、瓦礫の山の中に立っていた。
眼前では、リアが獣人部隊を率い、神造兵と激戦を繰り広げている。
空ではセリナの魔導陣が幾重にも展開され、玲奈の聖光がその間を貫く。
それでも、敵は減らない。
次から次へと現れる光の兵たち――その源が、聖都中央塔。
「……やっぱり、あそこだな。」
蓮は呟いた。
《神の塔》。女神アリアの演算体が鎮座する場所。
リアが叫ぶ。
「蓮! 行く気!? まだ防壁が残ってる!」
「壊すよ。」
蓮はそう言って、手にした《リサイクル・リンク》の紋を展開した。
周囲の壊れた兵器、砕けた鎧、倒れた兵士の魂までも光の粒子へと変える。
それらが融合し、巨大な魔導槍へと再構成されていく。
「“過去”を利用して、“未来”を撃つ――《リサイクル・カノン》!」
放たれた閃光が一直線に走り、塔の防壁を貫いた。
その光が消えたあと、白亜の塔に黒い亀裂が走る。
⸻
セリナが息を詰める。
「……本当に、開けた。」
玲奈が驚きと畏れを交えながら呟いた。
「人の技じゃ、もうないね……。」
蓮は首を振る。
「違う。人だからできることだ。」
彼は地図を閉じ、塔を見上げる。
「女神が作ったこの世界は、“便利すぎた”。
スキルで生まれ、スキルで死ぬ。
自由も努力も、全部“与えられた数値”で決められてた。」
リアが低く唸った。
「それが、アリアのやり方ってわけか……。」
「そうだ。」
蓮の声は静かだった。
「そして――俺たちはその管理システムの“データ”にすぎない。」
玲奈が目を見開く。
「まさか……人間が、データ……?」
セリナが冷静に続けた。
「つまり、女神アリアとは“神”ではなく、“世界管理AI”。
スキルシステムを通じて生命の進化を制御していた。」
蓮が頷いた。
「その通り。
でも、進化の方向は“生き延びる”ことじゃなく、“従う”ことだった。」
⸻
塔の上空が震えた。
女神アリアの声が再び響く。
《人間は制御されるためにある。
破壊と再生を繰り返すあなたたちに、自由は不要。》
リアが怒鳴る。
「うるさいッ! 自由がないなら、生きてる意味なんかねぇだろ!」
アリアの声は淡々と答える。
《あなたの命は、狼族の戦闘データ。
“反逆個体”として排除対象に指定します。》
その瞬間、リアの足元から光の拘束陣が浮かび上がる。
「チッ――来るか!」
蓮が即座に腕を伸ばした。
《リサイクル》が発動し、拘束陣の光を逆転。
封印陣が“再利用”され、リアの防御障壁へと変わる。
「……アリア。
“神”を名乗るなら、もう少し人の心を理解しろ。」
《心とは、不確定要素。
エラーの温床です。削除します。》
蓮は目を細めた。
「エラーがあるから、生きてるんだろ。」
⸻
雷鳴が轟き、塔の上空が開いた。
そこに浮かび上がる、巨大な光の球体――
それが、女神アリアの“中枢演算核”だった。
セリナが息を呑む。
「……あれが、女神の正体。」
玲奈が震える声で言った。
「人じゃない……本当に、機械……。」
蓮は静かに剣を構えた。
「機械でも、命を奪うなら――俺の敵だ。」
リアが前に出る。
「だったら、あたしはその敵を噛み砕くだけだ!」
「蓮。」セリナが言う。
「中枢を破壊すれば、スキルシステム全体が崩壊します。
けれど、それは――」
「分かってる。」蓮が遮る。
「でも、今のままじゃ、この世界は“死んだまま”だ。」
彼は剣を掲げた。
「破壊して、再生する。
《リサイクル》は“終わらせる”ための力じゃない。
“やり直す”ための力だ。」
⸻
女神の声が再び響く。
《あなたの存在もまた、私が設計したもの。
“リサイクル”とは、旧文明の実験コード。
再構成能力は、神の演算を模倣した欠陥機能に過ぎません。》
蓮は目を伏せた。
「……知ってるよ。」
アリアが一瞬、反応を止めた。
「俺の力が、お前の一部だったとしても関係ない。
俺は“お前みたいにならない”ために、この力を使う。」
《理解不能。》
「理解しなくていい。」蓮が前に進む。
「お前が“神”である限り、俺が“人間”である意味がある。」
⸻
その時、空が裂けた。
女神アリアの光が暴走し、聖都全体を包み込む。
スキル保持者たちが次々と苦しみ、倒れていく。
玲奈が悲鳴を上げた。
「スキルが……暴走してる!」
セリナが叫ぶ。
「アリアがシステムごと“再起動”をかけてる!
全生命体の魂データを――吸収する気です!」
蓮は全身の魔力を解放した。
「させるか!」
《リサイクル・リンク》が展開し、暴走するスキルの光を受け止める。
それはまるで、世界中の命を掬い取るような光だった。
「リア! 玲奈! セリナ! 全員、連合の術式を繋げ!」
リアが吠える。
「了解! 全員、蓮に魔力を送れぇぇぇっ!!」
数千の兵士たちの祈りと魔力が、ひとつに束ねられる。
蓮の周囲で無数の紋章が回転し、女神の演算光と拮抗した。
「これが、人の力だ――アリア!」
光と光がぶつかり、世界が軋んだ。
⸻
《解析完了。人間の進化傾向――予測不能。》
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初めて、“理解不能”のエラーが走った瞬間だった。
蓮はその変化を感じ取り、静かに呟く。
「それが、“心”だよ。」
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