37 / 50
第37話:近くて遠い距離と“届けられなかった言葉”
しおりを挟む
翌朝。
(……異動まで、あと4日。)
オフィスに着くと、すでに空気が張りつめていた。
広報BRIDGEでは、来週に控える“新ブランド合同発表”の準備で全員がバタバタしている。
「藤原さん、この数値レポートチェックお願いします!」
「藤原、素材データこっちに来てるから確認して!」
「藤原ちゃん、例の記者から追加質問来てるわ!」
「は、はい! 順番で対応します!」
(……うぅ……なんか今日、特に忙しい……!
誠さんが異動したら、たぶん毎日これになるんだよね……
ちゃんとやらなきゃ……!)
デスクに座り直すと、社用チャットに通知が届いた。
《柊:今日の昼、10分だけ時間くれないか》
(え――)
すぐに返事を打つ。
《藤原:大丈夫です!》
でも送信直後に、別の通知が重なる。
《柊:すまない。会議がひとつ増えた。
……また連絡する》
(……そっか……統括室の準備、もう始まってるんだ……)
胸が少しだけ締めつけられる。
「藤原、顔色悪いぞ?」
成田が横からのぞきこんだ。
「だ、大丈夫です! 仕事詰まってるのはいつものことです!」
「そっちじゃなくて、“課長ロス”の方な」
「な、なんですかそれ!」
「だってお前……柊さんからメッセ来るときだけ、声のトーン変わってるし」
「変わってません!」
(……変わってるのかな……)
美咲も近づいてきて肩をすくめる。
「まあ、あれだけの人が異動するんだからね。
真由ちゃんが不安になるのも当たり前よ」
「美咲さん……」
「でも、仕事で忙しい時ほど、彼は必ず“隙間時間”に支えてくれるタイプよ」
「……支えて……くれる?」
美咲は自信満々に言った。
「だってアイツ、恋も仕事も器用に見えて不器用なんだから。
“時間を作る”っていう努力、それしかできないのよ」
(……そう、なのかな)
⸻
午前中は怒涛のスケジュール。
修正、確認、差し戻し、また修正。
そして昼。
(誠さん……連絡、来てない……
会議が長引いてるのかな……)
すると、机の端でスマホが震えた。
《柊:今からなら、5分だけ話せる。ロビー前に》
(っ……!)
慌てて席を立とうとした瞬間、
「藤原さん!! 今すぐ資料の訂正お願いします!
記者から“掲載内容の差し替え”の連絡来ました!!」
「えぇっ!? ま、待って……っ、すぐやります!」
(……行けない……!)
急いで机に戻り、資料を開く。
(誠さん……ごめんなさい……
“5分でもいい”って言ってくれたのに……
行けなくて……)
胸にひりつく痛みが残った。
⸻
午後も激務が続いた。
「藤原、例の案件のプレゼン案、今日中に形にしたい。いけるか?」
「……やります!」
(誠さんの異動で、人が少なくなる前に……
私が動けるようにならないと……!)
必死でキーボードを叩き、視線を行き来させる。
数時間後。
ようやくひと段落したころ、またスマホが震えた。
《柊:昼は来れなかったな。……忙しかったのか?》
(……ちゃんと気づいてる……
“来なかったこと”にも……
理由まで……)
真由は深呼吸をして、返事を書いた。
《藤原:すみません……行きたかったんですけど、
急ぎの案件で離れられませんでした……》
すぐに返信が来た。
《柊:謝るな》
《柊:……無理に時間作るな。俺は大丈夫だ》
(……“大丈夫”って、なんでそんなに言えるんだろう……
私が会えなくて寂しいのに……
私が“行けなかった”ことで胸が痛んでるのに……)
《藤原:……でも、行きたかったです》
数秒、返信が止まる。
(……あれ、これ……まずかったかな……
重いって思われたらどうしよう……)
2分後。
《柊:……俺もだ》
ただその一文で、息が軽くなる。
(……もう……ずるい……)
⸻
しかし、その“温度”を感じた直後。
社内で妙な噂が流れ始めた。
「ねぇ聞いた? 柊さん、異動先で女性メンバーと組むらしいよ」
「しかもその人、美人でめちゃ仕事できるらしい」
「“統括室の顔”になるって噂」
(……っ)
急に心臓が冷たくなった。
「藤原、大丈夫か?」
成田が声をかけてくれた。
「だ、大丈夫です……!」
「まぁ噂なんて噂だから。
でもさ、もし気になるなら、柊さんに聞けばいいんじゃね?」
聞けるわけがない。
自分が子どもみたいに見えるのが怖くて。
でも気になる。
でも聞けない。
そのジレンマが胸の奥をぎゅっと締めつける。
⸻
定時後。
珍しく、誠さんから電話ではなく“会議室への呼び出しメッセージ”が届いた。
《柊:会議室C、来られるか?》
(……さっきの噂……本当なんだろうか……)
不安のまま会議室に向かった。
扉を開ける。
「藤原」
誠さんは資料をまとめながら、私の方に視線を向けた。
「今日……昼来れなかったな」
「……すみません」
「違う。“来れなかった理由”を知りたいんじゃない」
「……え?」
誠さんは、少し迷ったように言葉を探した。
「……居場所を作れていないのは、俺の方だと思った」
「……っ」
「部署が離れる今、
君が俺のところに“来づらい空気”を作ってしまっているんじゃないかと……」
(……そんなわけない……そんなわけないよ……!)
「そ、そんなことないです!」
思わず声が上ずる。
「むしろ……私が勝手に……
“離れていく準備されてる”みたいに思って……
不安になってただけで……!」
「準備……?」
誠さんが驚いたように目を細める。
「……噂、聞こえたんです。
異動先で、同じチームになる女性の方がいるって……」
沈黙。
誠さんは数秒の間だけ表情を動かさず、
そのあと――少しだけ苦笑した。
「……なるほどな。噂は早い」
「本当……なんですか?」
真由の声が震えた。
誠さんはゆっくり、まっすぐ言う。
「“女性がいる”のは事実だ。
ただし――」
そして静かに続けた。
「俺の“隣に並べる”のは、君だけだ」
(……)
「どれだけ忙しくても、離れても、部署が変わっても。
そこだけは変わらない」
胸の奥で、何かが溶けていく。
「……誠さん」
「ん?」
「今日……行きたかったです。
でも仕事があって……
また“すれ違った”みたいで……」
誠さんは一歩近づいた。
「すれ違ったんなら、
こうして“会いに行けばいい”だけだ」
顔が熱くなる。
(……ほんとに……ずるい……)
「藤原」
呼ばれる。
名前だけで、こんなに心が揺れるなんて。
「来週からはもっと忙しくなる。
それでも……」
手が伸びる。
指先がそっと触れた。
「君が寂しくならないように、
“会いに行く努力”はやめない」
「……はい」
「だから――」
触れた指が、そっと絡む。
「今日の“5分”、また今度くれ」
(……うん……そんなの……言われたら……)
「……いくらでも……渡します」
⸻
夜。帰り道。
《@WORK_LIFE_BALANCE》
「“距離”は壁じゃない。
越えるたびに、絆が強くなる。」
《@mayu_worklife》
「じゃあ、私も越えてみます。
何度でも。」
スマホの光が、夜風の中で静かに揺れた。
そして――
二人の“一週間前”が、本当の意味で始まろうとしていた。
(……異動まで、あと4日。)
オフィスに着くと、すでに空気が張りつめていた。
広報BRIDGEでは、来週に控える“新ブランド合同発表”の準備で全員がバタバタしている。
「藤原さん、この数値レポートチェックお願いします!」
「藤原、素材データこっちに来てるから確認して!」
「藤原ちゃん、例の記者から追加質問来てるわ!」
「は、はい! 順番で対応します!」
(……うぅ……なんか今日、特に忙しい……!
誠さんが異動したら、たぶん毎日これになるんだよね……
ちゃんとやらなきゃ……!)
デスクに座り直すと、社用チャットに通知が届いた。
《柊:今日の昼、10分だけ時間くれないか》
(え――)
すぐに返事を打つ。
《藤原:大丈夫です!》
でも送信直後に、別の通知が重なる。
《柊:すまない。会議がひとつ増えた。
……また連絡する》
(……そっか……統括室の準備、もう始まってるんだ……)
胸が少しだけ締めつけられる。
「藤原、顔色悪いぞ?」
成田が横からのぞきこんだ。
「だ、大丈夫です! 仕事詰まってるのはいつものことです!」
「そっちじゃなくて、“課長ロス”の方な」
「な、なんですかそれ!」
「だってお前……柊さんからメッセ来るときだけ、声のトーン変わってるし」
「変わってません!」
(……変わってるのかな……)
美咲も近づいてきて肩をすくめる。
「まあ、あれだけの人が異動するんだからね。
真由ちゃんが不安になるのも当たり前よ」
「美咲さん……」
「でも、仕事で忙しい時ほど、彼は必ず“隙間時間”に支えてくれるタイプよ」
「……支えて……くれる?」
美咲は自信満々に言った。
「だってアイツ、恋も仕事も器用に見えて不器用なんだから。
“時間を作る”っていう努力、それしかできないのよ」
(……そう、なのかな)
⸻
午前中は怒涛のスケジュール。
修正、確認、差し戻し、また修正。
そして昼。
(誠さん……連絡、来てない……
会議が長引いてるのかな……)
すると、机の端でスマホが震えた。
《柊:今からなら、5分だけ話せる。ロビー前に》
(っ……!)
慌てて席を立とうとした瞬間、
「藤原さん!! 今すぐ資料の訂正お願いします!
記者から“掲載内容の差し替え”の連絡来ました!!」
「えぇっ!? ま、待って……っ、すぐやります!」
(……行けない……!)
急いで机に戻り、資料を開く。
(誠さん……ごめんなさい……
“5分でもいい”って言ってくれたのに……
行けなくて……)
胸にひりつく痛みが残った。
⸻
午後も激務が続いた。
「藤原、例の案件のプレゼン案、今日中に形にしたい。いけるか?」
「……やります!」
(誠さんの異動で、人が少なくなる前に……
私が動けるようにならないと……!)
必死でキーボードを叩き、視線を行き来させる。
数時間後。
ようやくひと段落したころ、またスマホが震えた。
《柊:昼は来れなかったな。……忙しかったのか?》
(……ちゃんと気づいてる……
“来なかったこと”にも……
理由まで……)
真由は深呼吸をして、返事を書いた。
《藤原:すみません……行きたかったんですけど、
急ぎの案件で離れられませんでした……》
すぐに返信が来た。
《柊:謝るな》
《柊:……無理に時間作るな。俺は大丈夫だ》
(……“大丈夫”って、なんでそんなに言えるんだろう……
私が会えなくて寂しいのに……
私が“行けなかった”ことで胸が痛んでるのに……)
《藤原:……でも、行きたかったです》
数秒、返信が止まる。
(……あれ、これ……まずかったかな……
重いって思われたらどうしよう……)
2分後。
《柊:……俺もだ》
ただその一文で、息が軽くなる。
(……もう……ずるい……)
⸻
しかし、その“温度”を感じた直後。
社内で妙な噂が流れ始めた。
「ねぇ聞いた? 柊さん、異動先で女性メンバーと組むらしいよ」
「しかもその人、美人でめちゃ仕事できるらしい」
「“統括室の顔”になるって噂」
(……っ)
急に心臓が冷たくなった。
「藤原、大丈夫か?」
成田が声をかけてくれた。
「だ、大丈夫です……!」
「まぁ噂なんて噂だから。
でもさ、もし気になるなら、柊さんに聞けばいいんじゃね?」
聞けるわけがない。
自分が子どもみたいに見えるのが怖くて。
でも気になる。
でも聞けない。
そのジレンマが胸の奥をぎゅっと締めつける。
⸻
定時後。
珍しく、誠さんから電話ではなく“会議室への呼び出しメッセージ”が届いた。
《柊:会議室C、来られるか?》
(……さっきの噂……本当なんだろうか……)
不安のまま会議室に向かった。
扉を開ける。
「藤原」
誠さんは資料をまとめながら、私の方に視線を向けた。
「今日……昼来れなかったな」
「……すみません」
「違う。“来れなかった理由”を知りたいんじゃない」
「……え?」
誠さんは、少し迷ったように言葉を探した。
「……居場所を作れていないのは、俺の方だと思った」
「……っ」
「部署が離れる今、
君が俺のところに“来づらい空気”を作ってしまっているんじゃないかと……」
(……そんなわけない……そんなわけないよ……!)
「そ、そんなことないです!」
思わず声が上ずる。
「むしろ……私が勝手に……
“離れていく準備されてる”みたいに思って……
不安になってただけで……!」
「準備……?」
誠さんが驚いたように目を細める。
「……噂、聞こえたんです。
異動先で、同じチームになる女性の方がいるって……」
沈黙。
誠さんは数秒の間だけ表情を動かさず、
そのあと――少しだけ苦笑した。
「……なるほどな。噂は早い」
「本当……なんですか?」
真由の声が震えた。
誠さんはゆっくり、まっすぐ言う。
「“女性がいる”のは事実だ。
ただし――」
そして静かに続けた。
「俺の“隣に並べる”のは、君だけだ」
(……)
「どれだけ忙しくても、離れても、部署が変わっても。
そこだけは変わらない」
胸の奥で、何かが溶けていく。
「……誠さん」
「ん?」
「今日……行きたかったです。
でも仕事があって……
また“すれ違った”みたいで……」
誠さんは一歩近づいた。
「すれ違ったんなら、
こうして“会いに行けばいい”だけだ」
顔が熱くなる。
(……ほんとに……ずるい……)
「藤原」
呼ばれる。
名前だけで、こんなに心が揺れるなんて。
「来週からはもっと忙しくなる。
それでも……」
手が伸びる。
指先がそっと触れた。
「君が寂しくならないように、
“会いに行く努力”はやめない」
「……はい」
「だから――」
触れた指が、そっと絡む。
「今日の“5分”、また今度くれ」
(……うん……そんなの……言われたら……)
「……いくらでも……渡します」
⸻
夜。帰り道。
《@WORK_LIFE_BALANCE》
「“距離”は壁じゃない。
越えるたびに、絆が強くなる。」
《@mayu_worklife》
「じゃあ、私も越えてみます。
何度でも。」
スマホの光が、夜風の中で静かに揺れた。
そして――
二人の“一週間前”が、本当の意味で始まろうとしていた。
20
あなたにおすすめの小説
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
可愛い女性の作られ方
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
風邪をひいて倒れた日。
起きたらなぜか、七つ年下の部下が家に。
なんだかわからないまま看病され。
「優里。
おやすみなさい」
額に落ちた唇。
いったいどういうコトデスカー!?
篠崎優里
32歳
独身
3人編成の小さな班の班長さん
周囲から中身がおっさん、といわれる人
自分も女を捨てている
×
加久田貴尋
25歳
篠崎さんの部下
有能
仕事、できる
もしかして、ハンター……?
7つも年下のハンターに狙われ、どうなる!?
******
2014年に書いた作品を都合により、ほとんど手をつけずにアップしたものになります。
いろいろあれな部分も多いですが、目をつぶっていただけると嬉しいです。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-
プリオネ
恋愛
せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。
ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。
恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる