3,095 / 3,215
《デスレース》 IN PARIS Ⅳ
しおりを挟む
俺がパリに着くと、結構な犠牲者が出ていた。
幸いにも死者はなく、重傷者は12名だが命に別状はない。
主に銃撃による犠牲者だが、町に配備されたソルジャーやデュールゲリエたちが迅速に対応した結果だ。
もう通常戦力などは俺たちの相手ではない。
それに街中に監視カメラが設置されているので、武器を持った人間も把握しているのだ。
それらを量子AIが監視・解析しているので、武装した人間はすぐに制圧される。
だから短時間で制圧出来た。
犠牲者は、それでも運悪く襲われた方たちだった。
襲撃者たちを調べると、全員脳をいじられていたようだ。
昔、蓮華がやっていた脳改造か。
「業」は新たな戦略を始めた。
「改造人間」による銃撃だ。
一般市民を虐殺するためだけの襲撃部隊。
妖魔因子を使わないことで、俺たちに察知されずに潜入する連中だ。
今回は230名の襲撃部隊だった。
だが結果は俺たちの圧勝だ。
そして栞の運転の犠牲者……
こちらも幸いにも死者は出なかったが、重傷者が132名もいる。
軽傷者や物損などは甚大だった。
俺は栞にたっぷり説教し、犠牲者の方々に謝りに行かせた。
もちろん保障と賠償は十分に行なった。
桜花たちはその賠償の手配などに奔走し、大変だった。
栞を止められなかったことを俺に謝りに来たが、もちろん叱ることは無かった。
悪いのは栞だけだ。
スクールバスの子どもたちにも謝りに行かせた。
『ギャァァァァァァァ-----!!!!!』
「……ゴメンナサイ」
子どもたちはトラウマでバスに乗れなくなり、俺は特別にウサギ型の移動車をプレゼントした。
ウサギの形をした外形で、内部ではフカフカのシートで子どもたちを包み込む。
運転手はウサギ顔のデュールゲリエで、いつもニコニコして子どもたちに笑い掛ける。
なんとか子どもたちも通学するようになった。
また栞を行かせた。
『ギャァァァァァァァァーーーーーーーー!!!!」
「みんな、大丈夫ピョン! ボクが護るピョン! エイ!」
ペチン
「まいったぁぁぁーー!」
「ザマァ、悪魔女ぁ!」
「オッパイ悪魔めぇ!」
「ウンコカス!」
「オッパイ、見せろ!」
『ギャハハハハハハハハハ!』
「ウワーーーーン」
栞が叫んで逃げる。
子どもたちが大喜びだ。
「……」
「あと20回やって、子どもたちの心の傷を癒すぞ」
「……」
「返事は!」
「は、はい! ゴメンナサイ!」
一応栞の行動は「緊急避難」行為として認められ、罪には問われなかった、
まあ、「虎」の軍だからだが。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
パリは新たに襲撃され、母さんが落ち込んでいた。
防衛指揮官として責任を感じているのだろうか。
逸早くソルジャーやデュールゲリエたちが対応して、被害はそれほどでもないようなのだが。
銃火器を持っていた敵で、ほとんどを使わせる前に制圧したらしい。
でも母さんは時々出掛けて、しょんぼりして帰って来る。
今回は俺たちの盲点を衝いた巧妙な作戦なのだから仕方がないと思うのだが。
特にお父さんが来てからの落ち込みが激しい。
お父さんは母さんの責任を責めたのだろうか。
俺には何ともし難い。
千歌も心配しているし、契も落ち込んだ母さんに戸惑っている。
母さんは怒るとコワイが、普段は明るく優しい人だからだ。
桜花たちはちょっと疲れている。
前回の《ニルヴァーナ》の事件よりも被害は少ないはずなのだが、やはり復興や犠牲者の方々への対応は忙しいようだった。
そのせいなのか、母さんの落ち込みにはちょっと無関心だ。
いつも母さんを手助けし、尽くしている桜花たちには珍しいことだが。
母さんを元気付けるために、ソフィ、マリー、ルキアを家に呼んだ。
「母さん、俺たちと一緒にゲームをしようぜ!」
「え、やらない」
「ほら、この前ソフィに『デスレース/フロム・ヘル』を教えてくれたじゃないか」
「あれは本当に楽しかったです!」
「マリーとルキアにも頼むよ」
「え、でも……」
「ほら!」
母さんを無理矢理立たせ、遊戯室へ行った。
マリーとルキアをマシンに座らせ、ソフィが二人にアドバイスする。
最初は黙っていた母さんも、途中で加わって来た。
「そこは違うよ! ハンドガンは最初はリボルバーで!」
「え、オートマチックの方がよくないですか?」
「だから違うの! リボルバーはマグナムがあるから、破壊力が高いのよ!」
「あ、そうか! 私も44口径でしたもんね!」
「そうそう! 9ミリじゃ貫通力が弱いのね」
「なるほど! お母様、勉強になります!」
ソフィが上手く母さんをノセてくれた。
マリーとルキアがゲームを始め、ルキアが優勝し、次のゲームでマリーが優勝した。
今度は4人で楽しみ、母さんが笑っていた。
「母さんも一緒にやろうぜ!」
「うん!」
母さんが参戦したが、武器を選ばずにポイントをスピードに全振りした。
あれ?
「このゲームの奥深さを教えてあげる!」
母さんは見事なドライビングテクニックでプレイヤーを破壊して行った。
スピードを生かした、相手のミスを誘う戦法だ。
車体を巧妙に当てて相手を事故らせる高等テクニックも見せた。
自分の車体にはダメージがない、実に高度なテクニックだった。
燃料の消費の速さは、あちこちに隠された給油タンクを拾って補っていく。
「なんだよ、そんなものがあんのかよ!」
「士王、そういうのを見つけるのもゲームなのよ」
「ちっくしょう!」
母さんは楽しそうだ。
俺たちも母さんに破壊された。
母さんは単独でゴールした。
「ほら見て! この仕様で単独ゴールすると、スーパーチャージャーがゲット出来るの!」
「そうなんだ!」
「お母様、凄いです!」
「流石ですね!」
「お見事です!」
「ワハハハハハハハハハ!」
ソフィたちも母さんのノセ方が分かっている。
母さんは誇らしげに笑い、俺たちはしばらくゲームに付き合った。
毎回全滅した。
「シオウ、あれ……」
「ん?」
ソフィが優勝の母さんのハンドルネームを示した。
《デスクイーン》
「「……」」
観なかったことにした。
母さん……
幸いにも死者はなく、重傷者は12名だが命に別状はない。
主に銃撃による犠牲者だが、町に配備されたソルジャーやデュールゲリエたちが迅速に対応した結果だ。
もう通常戦力などは俺たちの相手ではない。
それに街中に監視カメラが設置されているので、武器を持った人間も把握しているのだ。
それらを量子AIが監視・解析しているので、武装した人間はすぐに制圧される。
だから短時間で制圧出来た。
犠牲者は、それでも運悪く襲われた方たちだった。
襲撃者たちを調べると、全員脳をいじられていたようだ。
昔、蓮華がやっていた脳改造か。
「業」は新たな戦略を始めた。
「改造人間」による銃撃だ。
一般市民を虐殺するためだけの襲撃部隊。
妖魔因子を使わないことで、俺たちに察知されずに潜入する連中だ。
今回は230名の襲撃部隊だった。
だが結果は俺たちの圧勝だ。
そして栞の運転の犠牲者……
こちらも幸いにも死者は出なかったが、重傷者が132名もいる。
軽傷者や物損などは甚大だった。
俺は栞にたっぷり説教し、犠牲者の方々に謝りに行かせた。
もちろん保障と賠償は十分に行なった。
桜花たちはその賠償の手配などに奔走し、大変だった。
栞を止められなかったことを俺に謝りに来たが、もちろん叱ることは無かった。
悪いのは栞だけだ。
スクールバスの子どもたちにも謝りに行かせた。
『ギャァァァァァァァ-----!!!!!』
「……ゴメンナサイ」
子どもたちはトラウマでバスに乗れなくなり、俺は特別にウサギ型の移動車をプレゼントした。
ウサギの形をした外形で、内部ではフカフカのシートで子どもたちを包み込む。
運転手はウサギ顔のデュールゲリエで、いつもニコニコして子どもたちに笑い掛ける。
なんとか子どもたちも通学するようになった。
また栞を行かせた。
『ギャァァァァァァァァーーーーーーーー!!!!」
「みんな、大丈夫ピョン! ボクが護るピョン! エイ!」
ペチン
「まいったぁぁぁーー!」
「ザマァ、悪魔女ぁ!」
「オッパイ悪魔めぇ!」
「ウンコカス!」
「オッパイ、見せろ!」
『ギャハハハハハハハハハ!』
「ウワーーーーン」
栞が叫んで逃げる。
子どもたちが大喜びだ。
「……」
「あと20回やって、子どもたちの心の傷を癒すぞ」
「……」
「返事は!」
「は、はい! ゴメンナサイ!」
一応栞の行動は「緊急避難」行為として認められ、罪には問われなかった、
まあ、「虎」の軍だからだが。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
パリは新たに襲撃され、母さんが落ち込んでいた。
防衛指揮官として責任を感じているのだろうか。
逸早くソルジャーやデュールゲリエたちが対応して、被害はそれほどでもないようなのだが。
銃火器を持っていた敵で、ほとんどを使わせる前に制圧したらしい。
でも母さんは時々出掛けて、しょんぼりして帰って来る。
今回は俺たちの盲点を衝いた巧妙な作戦なのだから仕方がないと思うのだが。
特にお父さんが来てからの落ち込みが激しい。
お父さんは母さんの責任を責めたのだろうか。
俺には何ともし難い。
千歌も心配しているし、契も落ち込んだ母さんに戸惑っている。
母さんは怒るとコワイが、普段は明るく優しい人だからだ。
桜花たちはちょっと疲れている。
前回の《ニルヴァーナ》の事件よりも被害は少ないはずなのだが、やはり復興や犠牲者の方々への対応は忙しいようだった。
そのせいなのか、母さんの落ち込みにはちょっと無関心だ。
いつも母さんを手助けし、尽くしている桜花たちには珍しいことだが。
母さんを元気付けるために、ソフィ、マリー、ルキアを家に呼んだ。
「母さん、俺たちと一緒にゲームをしようぜ!」
「え、やらない」
「ほら、この前ソフィに『デスレース/フロム・ヘル』を教えてくれたじゃないか」
「あれは本当に楽しかったです!」
「マリーとルキアにも頼むよ」
「え、でも……」
「ほら!」
母さんを無理矢理立たせ、遊戯室へ行った。
マリーとルキアをマシンに座らせ、ソフィが二人にアドバイスする。
最初は黙っていた母さんも、途中で加わって来た。
「そこは違うよ! ハンドガンは最初はリボルバーで!」
「え、オートマチックの方がよくないですか?」
「だから違うの! リボルバーはマグナムがあるから、破壊力が高いのよ!」
「あ、そうか! 私も44口径でしたもんね!」
「そうそう! 9ミリじゃ貫通力が弱いのね」
「なるほど! お母様、勉強になります!」
ソフィが上手く母さんをノセてくれた。
マリーとルキアがゲームを始め、ルキアが優勝し、次のゲームでマリーが優勝した。
今度は4人で楽しみ、母さんが笑っていた。
「母さんも一緒にやろうぜ!」
「うん!」
母さんが参戦したが、武器を選ばずにポイントをスピードに全振りした。
あれ?
「このゲームの奥深さを教えてあげる!」
母さんは見事なドライビングテクニックでプレイヤーを破壊して行った。
スピードを生かした、相手のミスを誘う戦法だ。
車体を巧妙に当てて相手を事故らせる高等テクニックも見せた。
自分の車体にはダメージがない、実に高度なテクニックだった。
燃料の消費の速さは、あちこちに隠された給油タンクを拾って補っていく。
「なんだよ、そんなものがあんのかよ!」
「士王、そういうのを見つけるのもゲームなのよ」
「ちっくしょう!」
母さんは楽しそうだ。
俺たちも母さんに破壊された。
母さんは単独でゴールした。
「ほら見て! この仕様で単独ゴールすると、スーパーチャージャーがゲット出来るの!」
「そうなんだ!」
「お母様、凄いです!」
「流石ですね!」
「お見事です!」
「ワハハハハハハハハハ!」
ソフィたちも母さんのノセ方が分かっている。
母さんは誇らしげに笑い、俺たちはしばらくゲームに付き合った。
毎回全滅した。
「シオウ、あれ……」
「ん?」
ソフィが優勝の母さんのハンドルネームを示した。
《デスクイーン》
「「……」」
観なかったことにした。
母さん……
2
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる