富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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《デスレース》 IN PARIS Ⅳ

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 俺がパリに着くと、結構な犠牲者が出ていた。
 幸いにも死者はなく、重傷者は12名だが命に別状はない。
 主に銃撃による犠牲者だが、町に配備されたソルジャーやデュールゲリエたちが迅速に対応した結果だ。
 もう通常戦力などは俺たちの相手ではない。
 それに街中に監視カメラが設置されているので、武器を持った人間も把握しているのだ。
 それらを量子AIが監視・解析しているので、武装した人間はすぐに制圧される。
 だから短時間で制圧出来た。
 犠牲者は、それでも運悪く襲われた方たちだった。
 襲撃者たちを調べると、全員脳をいじられていたようだ。
 昔、蓮華がやっていた脳改造か。
 「業」は新たな戦略を始めた。
 「改造人間」による銃撃だ。
 一般市民を虐殺するためだけの襲撃部隊。
 妖魔因子を使わないことで、俺たちに察知されずに潜入する連中だ。
 今回は230名の襲撃部隊だった。
 だが結果は俺たちの圧勝だ。
 
 そして栞の運転の犠牲者……
 こちらも幸いにも死者は出なかったが、重傷者が132名もいる。
 軽傷者や物損などは甚大だった。

 俺は栞にたっぷり説教し、犠牲者の方々に謝りに行かせた。
 もちろん保障と賠償は十分に行なった。
 桜花たちはその賠償の手配などに奔走し、大変だった。
 栞を止められなかったことを俺に謝りに来たが、もちろん叱ることは無かった。
 悪いのは栞だけだ。
 スクールバスの子どもたちにも謝りに行かせた。

 『ギャァァァァァァァ-----!!!!!』
 「……ゴメンナサイ」

 子どもたちはトラウマでバスに乗れなくなり、俺は特別にウサギ型の移動車をプレゼントした。
 ウサギの形をした外形で、内部ではフカフカのシートで子どもたちを包み込む。
 運転手はウサギ顔のデュールゲリエで、いつもニコニコして子どもたちに笑い掛ける。
 なんとか子どもたちも通学するようになった。
 
 また栞を行かせた。

 『ギャァァァァァァァァーーーーーーーー!!!!」
 「みんな、大丈夫ピョン! ボクが護るピョン! エイ!」

 ペチン

 「まいったぁぁぁーー!」

 「ザマァ、悪魔女ぁ!」
 「オッパイ悪魔めぇ!」
 「ウンコカス!」
 「オッパイ、見せろ!」
 『ギャハハハハハハハハハ!』

 「ウワーーーーン」

 栞が叫んで逃げる。
 子どもたちが大喜びだ。

 「……」
 「あと20回やって、子どもたちの心の傷を癒すぞ」
 「……」
 「返事は!」
 「は、はい! ゴメンナサイ!」

 一応栞の行動は「緊急避難」行為として認められ、罪には問われなかった、
 まあ、「虎」の軍だからだが。


 

 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 パリは新たに襲撃され、母さんが落ち込んでいた。
 防衛指揮官として責任を感じているのだろうか。
 逸早くソルジャーやデュールゲリエたちが対応して、被害はそれほどでもないようなのだが。
 銃火器を持っていた敵で、ほとんどを使わせる前に制圧したらしい。
 でも母さんは時々出掛けて、しょんぼりして帰って来る。
 今回は俺たちの盲点を衝いた巧妙な作戦なのだから仕方がないと思うのだが。
 特にお父さんが来てからの落ち込みが激しい。
 お父さんは母さんの責任を責めたのだろうか。
 俺には何ともし難い。
 千歌も心配しているし、契も落ち込んだ母さんに戸惑っている。
 母さんは怒るとコワイが、普段は明るく優しい人だからだ。
 桜花たちはちょっと疲れている。
 前回の《ニルヴァーナ》の事件よりも被害は少ないはずなのだが、やはり復興や犠牲者の方々への対応は忙しいようだった。
 そのせいなのか、母さんの落ち込みにはちょっと無関心だ。
 いつも母さんを手助けし、尽くしている桜花たちには珍しいことだが。

 母さんを元気付けるために、ソフィ、マリー、ルキアを家に呼んだ。

 「母さん、俺たちと一緒にゲームをしようぜ!」
 「え、やらない」
 「ほら、この前ソフィに『デスレース/フロム・ヘル』を教えてくれたじゃないか」
 「あれは本当に楽しかったです!」
 「マリーとルキアにも頼むよ」
 「え、でも……」
 「ほら!」

 母さんを無理矢理立たせ、遊戯室へ行った。
 マリーとルキアをマシンに座らせ、ソフィが二人にアドバイスする。
 最初は黙っていた母さんも、途中で加わって来た。

 「そこは違うよ! ハンドガンは最初はリボルバーで!」
 「え、オートマチックの方がよくないですか?」
 「だから違うの! リボルバーはマグナムがあるから、破壊力が高いのよ!」
 「あ、そうか! 私も44口径でしたもんね!」
 「そうそう! 9ミリじゃ貫通力が弱いのね」
 「なるほど! お母様、勉強になります!」

 ソフィが上手く母さんをノセてくれた。
 マリーとルキアがゲームを始め、ルキアが優勝し、次のゲームでマリーが優勝した。
 今度は4人で楽しみ、母さんが笑っていた。

 「母さんも一緒にやろうぜ!」
 「うん!」

 母さんが参戦したが、武器を選ばずにポイントをスピードに全振りした。
 あれ?

 「このゲームの奥深さを教えてあげる!」
 
 母さんは見事なドライビングテクニックでプレイヤーを破壊して行った。
 スピードを生かした、相手のミスを誘う戦法だ。
 車体を巧妙に当てて相手を事故らせる高等テクニックも見せた。
 自分の車体にはダメージがない、実に高度なテクニックだった。
 燃料の消費の速さは、あちこちに隠された給油タンクを拾って補っていく。

 「なんだよ、そんなものがあんのかよ!」
 「士王、そういうのを見つけるのもゲームなのよ」
 「ちっくしょう!」

 母さんは楽しそうだ。
 俺たちも母さんに破壊された。
 母さんは単独でゴールした。

 「ほら見て! この仕様で単独ゴールすると、スーパーチャージャーがゲット出来るの!」
 「そうなんだ!」
 「お母様、凄いです!」
 「流石ですね!」
 「お見事です!」
 「ワハハハハハハハハハ!」

 ソフィたちも母さんのノセ方が分かっている。
 母さんは誇らしげに笑い、俺たちはしばらくゲームに付き合った。
 毎回全滅した。

 「シオウ、あれ……」
 「ん?」

 ソフィが優勝の母さんのハンドルネームを示した。

 《デスクイーン》

 「「……」」

 観なかったことにした。
 母さん……
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