富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

文字の大きさ
3,105 / 3,215

神剣 大お披露目会 Ⅲ

しおりを挟む
 高虎さんが夜にいらっしゃり、私の寝所でお話を伺った。
 私は寝間着を着替えようとしたが、高虎さんからそのままで良いと言われた。
 その時に道間家での虎白さんたちの暴走を高虎さんから聞き、大いに反省した。
 うかつに青月たちに話してしまい、その青月たちから虎白さんが聞いたらしい。
 子どもたちに罪は無い。
 私が考え無しだったのだ。
 麗星さんに本当に申し訳ないことをしたし、高虎さんにもそうだ。
 高虎さんは重要な作戦を構築され、多くの機密を持っている方だ。
 もちろん私も軽々しく機密を話してはいけないことは分かっていた。
 でも私的なことだからと私は考えてしまった。
 青月たちにも喜んで欲しかったのだ。
 高虎さんから、虎白さんたちには話すなと言われてていたのに。
 まさか青月たちの口から伝わってしまうとは考えなかった私の責任だ。
 謝る私に、高虎さんは優しく笑って言った。

 「虎蘭も基本的に石神家の思考だからなぁ」
 「本当に申し訳ありません」
 「まあ、今後は注意してくれよな。子どもっていうのは無邪気なんだ。大好きな人間を喜ばせようと思えば善悪はねぇ。だから大人が考えてやらねばいかん」
 「はい、その通りです。私の不明でした」

 しょんぼりしている私の肩を抱いて、高虎さんが笑って言った。

 「もういいよ。まあ、あの人らの気持ちも分からんでもねぇしな」
 「虎白さんたちですか」
 「あの人らは剣のことならまっしぐらだ。別に悪いことじゃねぇしな。道間家を困らせるつもりもなかったようだし、まあいつもの暴走だ」
 「はい……」

 私も虎白さんたちの気持ちが分かるので、本当に申し訳ない。
 高虎さんが私の浴衣を脱がせ始めた。
 このような時にと思ったが、嬉しいのでそのまま大人しくしていた。
 しかしあの人たちを暴走させたのはまだ気になる。
 でも高虎さんが意外なことを言った。

 「まあだからよ、この際、虎白さんたちにも神剣を見せてやろうかと思ってな」
 「え?」
 「道間家のものも見せてやろうじゃねぇか」
 「でも、麗星さんが……」

 麗星さんにも本当に申し訳ない。
 襲撃では無かったにせよ、急に押し掛けて「神剣を見せろ」と迫ったのだ。
 恐れはしなかったにせよ、さぞお困りだっただろう。
 私としては虎白さんたちは大好きで、出来れば神剣を見せてあげたいとは思うが、麗星さんのお気持ちを考えると心苦しい。
 私は下着も脱がされ、完全に裸になった。

 「俺が話すよ。麗星も別に虎白さんたちが嫌いなわけじゃねぇ。麗星だって危ない所を何度も救ってもらったこともあるしな」
 「はぁ」

 まあ、そういうことは知っている。
 それに麗星さんは今の当主として、先代の宇羅が高虎さんの父親にやったことを今も悔やんでいる。
 自分が石神家の方に殺されても文句は言えないのだと前に話していた。
 高虎さんがベッドに座り、私を膝の上に乗せた。
 いつものように、優しく愛撫されていく。

 「虎蘭、他の神剣のことは分かるか?」
 「いいえ、道間家のものは何となく。麗星さんと親しかったからでしょうか」
 「まあ、そうかもな。でも他にもあることは分かっているな?」
 「はい」
 「俺が知る限り、百家にもある。まあ、あそこの人間も気付いていないがな」

 私は思わず驚いて腰を浮かせた。
 指が私から抜け、高虎さんが「座れ」と言った。
 
 「そうなのですか!」
 「それから三輪山、妙見山、それに大雪山だ」
 「高虎さん、どうしてそれを!」
 「「虎王」の感知能力かな」
 「「虎王」が神剣の最高峰だからですか?」

 高虎さんが笑っておっしゃった。

 「それは分からんよ。ただ、「虎王」は神宮寺家が打ったことになってはいるが、俺はそれだけではないと考えている」
 
 私はまた驚いた。

 「え、それはどういうことですか!」
 「だから分からんよ。でも人間だけの力では、あのような神剣にはならない。そう思っているだけだ」
 「それは何とも……」

 高虎さんの言わんとすることは私にも分かった。
 「虎王」はあまりにも超絶過ぎるのだ。
 それは私が「常世渡理」を使っているからこそ分かる。
 神剣の凄まじさは果てしがない。
 それこそ「目一つ神(まひとつのかみ)」が打ったものだとか、「流星剣」などは遠い時代に刀剣を極めた遠い星の民族の技術の粋を集めたものだと分かった。
 人間が如何に技を高めようと、おいそれと到達出来るものではない。
 ならば、「虎王」には一体どのような謂れがあるのだろうか。
 もちろん他の神剣も恐ろしく奥深い。
 だからこそ、日々の鍛錬を怠れないのだ。
 自分を高めて、神剣を操れるように近付いていく必要がある。

 それでも、「虎王」は次元が違い過ぎる。
 高虎さんが振るうと、更にとんでもない力がある。
 あれほど神剣の力を引き出すのは、相当なことだ。
 「虎王」が凄まじいことは間違いないが、それを扱う高虎さんが素晴らしい。
 高虎さんの指で、意識が遠ざかりつつある。
 高虎さんは本当に上手い。

 「さて、ここいらで神剣のお披露目でもしてみるかぁ」
 「あの、他の神剣も集めるのですか?」
 「ああ、クロピョンに頼めば山の中のものは何とかなるだろう」
 「それでは百家も」
 「あそことは親しくしているからな。頼めば何とかなるだろう」
 「そうですか……」

 私には俄かには理解出来ないが、高虎さんの言うことだ。
 きっとそのようになるのだろう。
 私はもう自分が保てずに高虎さんに抱き着いた。




 翌朝、高虎さんは百家に向かわれた。
 響子さんも一緒だ。
 そして麗星さんとの約束の日、本当に神剣が揃った。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

付喪神狩

やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。 容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。 自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

Lucia(ルシア)変容者たち

おまつり
恋愛
 人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。  それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。  カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。  二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。  誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。  愛が深まるほど、境界は曖昧になる。  身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。  一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。  彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。  これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、 それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。 ※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

処理中です...