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《オペレーション・ゴルディアス》 XⅢ : 《位相反射》 3
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ヘッジホッグからの緊急招集で、とんでもない事態を知った。
すでに参謀本部は大混乱で、遅れて出向いた私たちも説明を聞いて驚愕した。
デュールゲリエたちから映像を見せられた。
私たちは集中するために急いで私たちの部屋に戻った。
ヘッジホッグでは、「業」の大攻勢を警戒して各地の防衛強化の手配や、ロシアに行っているタカさんたちへの救援などの手配をして行く。
私たちはそれを任せて、「業」の新たな能力への対策を検討することにした。
ここならばどんな情報でも即座に入手できる。
「ハー! タカさんたちが大変だよ!」
「うん! 「業」がとんでもない技を出して来た!」
《位相反射》とタカさんは言っていたけど、本当に恐ろしい技だった。
こちらの攻撃を回避したり受け流すだけではなく、相手にそのまま返すのだ。
しかも、レジーナ様の「異界魔導」がそれで返された。
レジーナ様は心臓を潰される重傷だ。
何とか自力で再生したらしいけど、他の人間にはそんなことは出来ない。
それにレジーナ様は今もまだ動けないでいるようだ。
「ハー、妖魔の王を使う?」
「待って、そっちもダメかもしんないじゃん」
「解析が先ってこと?」
「そうだよ。一旦タカさんを呼び戻そう!」
それがいいのだろうが。
「でも、誰にも勝てないとして、もしも「業」がアラスカに乗り込んで来たら……」
「そ、そうだけど……」
アラスカの「虎の穴」は世界最高の攻撃力・防御力の高い基地だけど、果たして今の「業」の攻撃を防げるのだろうか。
「異界魔導」ですら反射する「業」に、ヘッジホッグの超兵器すら通じない可能性は高い。
私とハーは高速思考で考える。
「連続して攻撃したら……」
「広範囲を破壊する攻撃……」
「むしろ最大火力で……」
「毒ガスや化学兵器……」
二人で様々に検討し、《ウラノス》や《アイオーン》、《ロータス》などの超量子コンピューターも交えて検討したが、確実な戦略が出ない。
時間が無いことが、激しい焦りを生むのを必死で耐えた。
一通りの検討をしたが、打開出来ない!
私たちは一旦切り口を変えようと話し合った。
「「業」はいつ、あんな力を手にしたんだろうね」
「元々次元を繋げることはやってたよね。「ゲート」って結構量子力学的に則っている能力だったよ」
「そうだよね。タカさんも《位相反射》をその延長線上にあるって考えてるみたい」
「「ゲート」は量子もつれの投影だったもんね」
「多分、「業」は現象の干渉と再構築を覚えたんだ」
「恐ろしいね……」
「《ニルヴァーナ》もあり得ない方法で妖魔の因子をウイルスと融合させてたね」
「キリールの能力があったせいかも」
「存在の高度な変容と融合……」
「それを「業」が更に進化させた……」
タカさんはそこまでのことを一瞬で悟っていた。
だから《位相反射》のことも理解したんだ。
流石はタカさん!
私たちが絶対に反撃法を見つけて見せる!
私とハーはもう一度最初から考え直した。
「業」の生い立ちから見直して、何か解決法が無いかを探った。
二人の高速思考と超量子コンピューター群とを交えての検討。
私たちの会話を《ウラノス》たちも同時に聞いて、それぞれに解析と検討を重ねて行く。
3時間で、「業」の最近のことまで辿ることとなった。
まだ「業」は姿を現わさない。
《オペレーション・ラストソング》の作戦開始から、作戦上の出来事を詳細に詰めて行った。
「最後に「タイニー・タイド」さんと遭遇したね!」
「ついにこちらへは来なかった……」
「最後まで「業」の傍にいなきゃならない理由があったんだってタカさんが言ってた」
「ねえ、それって重要なことじゃない!」
「そうだぁ!」
二人でもう一度「タイニー・タイド」さんのことを検討した。
特に、直接邂逅した《オペレーション・ラストソング》でのこと。
「あの後で「タイニー・タイド」さんの屋敷を調査したよね!」
「そうだ! 確か何にもない家で、一つだけオーデンの詩集があったって」
「「タイニー・タイド」さんはどうして最後まで「業」の所へ残ったのかな?」
「予言で誘導するため……いや、この「業」の能力と何か関連が……」
何かが閃いた!
「ハー、オーデンの詩集は今どこに?」
ハーがすぐに検索する。
「タカさんが柏木さんに預けた。「タイニー・タイド」さんのために祈って欲しいって」
「見に行こう!」
「うん!」
すぐに「虎の穴」の部屋を飛び出して、柏木さんに連絡しながら向かった。
柏木さんは《アヴァロン》の自宅にいた。
飛行で向かったので1分で着いた。
「お二人とも、こちらです」
説明することは出来なかったが、柏木さんは何かを感じていたのか、挨拶もそこそこにすぐに案内してくれた。
家の中に備えた祭壇に、ボロボロになったオーデンの詩集が乗っていた。
表紙は汚れ、印刷の文字も薄れている。
篝糸(かがりいと)も切れて、ページが外れそうになっている箇所もある。
本当に何百回も読んでいたのだ。
それが柔らかな白い布に乗って祭壇に置かれていた。
柏木さんは多分、毎日祈ってくれていたのだろう。
ハーがすぐに詩集を開いた。
見返しから、一枚ずつページを丁寧にめくっていく。
その間に私が柏木さんに事態をかいつまんで説明した。
具体的な事態は話せなかったが、「業」を斃すためにこの詩集に何かが残されているかもしれないことを。
「その詩集が重要なんですね?」
「分からないんです。でも、「タイニー・タイド」さんが残したものだから、何かヒントがあるかもって」
「私も一応読んでみました。相当読み込んでいたようで、何カ所にも涙の痕が」
「そうですか」
ハーが一生懸命に探っているのを二人で観ていた。
「そういえば、ラインを引いた詩がありましたね」
「え!」
「『Leap before you look』という詩でした。余程好きだったのか」
「ハー!」
ハーはすぐにその詩のページを見つけた。
『Leap before you look(見る前に跳べ)』
The sense of danger must not disappear:
The way is certainly both short and steep,
However gradual it looks from here;
Look if you like, but you will have to leap.
危険の感覚を忘れる莫れ
道は狭く、かつ短く険しい
ここから見ればただの折れ坂だが
眺めるのも良いが ただし汝は跳ばねばならぬ。
W.H.オーデンの数多の詩の中でも有名なものだろう。
だから「タイニー・タイド」さんが好きだったのはうなずける。
でも、それだけか?
詩集全体を何百回も読み直したのは確かにそうだ。
それは霊感のある柏木さんも分かって、一層悲しんでいた。
でも、それだけ愛着のある詩集を何故「タイニー・タイド」さんは残して去った?
脇に抱えて逃げても良かったじゃないか?
どうして……
私はハーと詩の解釈を考えていた。
詩の全体は、様々なことを考える我々に、「跳ぶ」ということを命じている。
「見る前に」というのは、要はどんな状況であっても、ということだ。
恐れることなく、考えることなく、「跳ぶ」。
見えてから跳ぶのではない。
その前に跳べ、と。
「ルー、これは意識外のことじゃないの!」
「え? あ!」
〈見る前に跳べ〉
そうだ! 「業」は認識するから《位相反射》を使えるんだ!
「すぐにタカさんに!」
「うん!」
これは通信では送れない。
どこで漏洩するか、また邪魔されるか分からない。
「虎」の軍の暗号化システムは桁違いに強固だけど、万一にも敵に知られてはならない。
私たちは「飛行」で向かった。
待ってて、タカさん!
すでに参謀本部は大混乱で、遅れて出向いた私たちも説明を聞いて驚愕した。
デュールゲリエたちから映像を見せられた。
私たちは集中するために急いで私たちの部屋に戻った。
ヘッジホッグでは、「業」の大攻勢を警戒して各地の防衛強化の手配や、ロシアに行っているタカさんたちへの救援などの手配をして行く。
私たちはそれを任せて、「業」の新たな能力への対策を検討することにした。
ここならばどんな情報でも即座に入手できる。
「ハー! タカさんたちが大変だよ!」
「うん! 「業」がとんでもない技を出して来た!」
《位相反射》とタカさんは言っていたけど、本当に恐ろしい技だった。
こちらの攻撃を回避したり受け流すだけではなく、相手にそのまま返すのだ。
しかも、レジーナ様の「異界魔導」がそれで返された。
レジーナ様は心臓を潰される重傷だ。
何とか自力で再生したらしいけど、他の人間にはそんなことは出来ない。
それにレジーナ様は今もまだ動けないでいるようだ。
「ハー、妖魔の王を使う?」
「待って、そっちもダメかもしんないじゃん」
「解析が先ってこと?」
「そうだよ。一旦タカさんを呼び戻そう!」
それがいいのだろうが。
「でも、誰にも勝てないとして、もしも「業」がアラスカに乗り込んで来たら……」
「そ、そうだけど……」
アラスカの「虎の穴」は世界最高の攻撃力・防御力の高い基地だけど、果たして今の「業」の攻撃を防げるのだろうか。
「異界魔導」ですら反射する「業」に、ヘッジホッグの超兵器すら通じない可能性は高い。
私とハーは高速思考で考える。
「連続して攻撃したら……」
「広範囲を破壊する攻撃……」
「むしろ最大火力で……」
「毒ガスや化学兵器……」
二人で様々に検討し、《ウラノス》や《アイオーン》、《ロータス》などの超量子コンピューターも交えて検討したが、確実な戦略が出ない。
時間が無いことが、激しい焦りを生むのを必死で耐えた。
一通りの検討をしたが、打開出来ない!
私たちは一旦切り口を変えようと話し合った。
「「業」はいつ、あんな力を手にしたんだろうね」
「元々次元を繋げることはやってたよね。「ゲート」って結構量子力学的に則っている能力だったよ」
「そうだよね。タカさんも《位相反射》をその延長線上にあるって考えてるみたい」
「「ゲート」は量子もつれの投影だったもんね」
「多分、「業」は現象の干渉と再構築を覚えたんだ」
「恐ろしいね……」
「《ニルヴァーナ》もあり得ない方法で妖魔の因子をウイルスと融合させてたね」
「キリールの能力があったせいかも」
「存在の高度な変容と融合……」
「それを「業」が更に進化させた……」
タカさんはそこまでのことを一瞬で悟っていた。
だから《位相反射》のことも理解したんだ。
流石はタカさん!
私たちが絶対に反撃法を見つけて見せる!
私とハーはもう一度最初から考え直した。
「業」の生い立ちから見直して、何か解決法が無いかを探った。
二人の高速思考と超量子コンピューター群とを交えての検討。
私たちの会話を《ウラノス》たちも同時に聞いて、それぞれに解析と検討を重ねて行く。
3時間で、「業」の最近のことまで辿ることとなった。
まだ「業」は姿を現わさない。
《オペレーション・ラストソング》の作戦開始から、作戦上の出来事を詳細に詰めて行った。
「最後に「タイニー・タイド」さんと遭遇したね!」
「ついにこちらへは来なかった……」
「最後まで「業」の傍にいなきゃならない理由があったんだってタカさんが言ってた」
「ねえ、それって重要なことじゃない!」
「そうだぁ!」
二人でもう一度「タイニー・タイド」さんのことを検討した。
特に、直接邂逅した《オペレーション・ラストソング》でのこと。
「あの後で「タイニー・タイド」さんの屋敷を調査したよね!」
「そうだ! 確か何にもない家で、一つだけオーデンの詩集があったって」
「「タイニー・タイド」さんはどうして最後まで「業」の所へ残ったのかな?」
「予言で誘導するため……いや、この「業」の能力と何か関連が……」
何かが閃いた!
「ハー、オーデンの詩集は今どこに?」
ハーがすぐに検索する。
「タカさんが柏木さんに預けた。「タイニー・タイド」さんのために祈って欲しいって」
「見に行こう!」
「うん!」
すぐに「虎の穴」の部屋を飛び出して、柏木さんに連絡しながら向かった。
柏木さんは《アヴァロン》の自宅にいた。
飛行で向かったので1分で着いた。
「お二人とも、こちらです」
説明することは出来なかったが、柏木さんは何かを感じていたのか、挨拶もそこそこにすぐに案内してくれた。
家の中に備えた祭壇に、ボロボロになったオーデンの詩集が乗っていた。
表紙は汚れ、印刷の文字も薄れている。
篝糸(かがりいと)も切れて、ページが外れそうになっている箇所もある。
本当に何百回も読んでいたのだ。
それが柔らかな白い布に乗って祭壇に置かれていた。
柏木さんは多分、毎日祈ってくれていたのだろう。
ハーがすぐに詩集を開いた。
見返しから、一枚ずつページを丁寧にめくっていく。
その間に私が柏木さんに事態をかいつまんで説明した。
具体的な事態は話せなかったが、「業」を斃すためにこの詩集に何かが残されているかもしれないことを。
「その詩集が重要なんですね?」
「分からないんです。でも、「タイニー・タイド」さんが残したものだから、何かヒントがあるかもって」
「私も一応読んでみました。相当読み込んでいたようで、何カ所にも涙の痕が」
「そうですか」
ハーが一生懸命に探っているのを二人で観ていた。
「そういえば、ラインを引いた詩がありましたね」
「え!」
「『Leap before you look』という詩でした。余程好きだったのか」
「ハー!」
ハーはすぐにその詩のページを見つけた。
『Leap before you look(見る前に跳べ)』
The sense of danger must not disappear:
The way is certainly both short and steep,
However gradual it looks from here;
Look if you like, but you will have to leap.
危険の感覚を忘れる莫れ
道は狭く、かつ短く険しい
ここから見ればただの折れ坂だが
眺めるのも良いが ただし汝は跳ばねばならぬ。
W.H.オーデンの数多の詩の中でも有名なものだろう。
だから「タイニー・タイド」さんが好きだったのはうなずける。
でも、それだけか?
詩集全体を何百回も読み直したのは確かにそうだ。
それは霊感のある柏木さんも分かって、一層悲しんでいた。
でも、それだけ愛着のある詩集を何故「タイニー・タイド」さんは残して去った?
脇に抱えて逃げても良かったじゃないか?
どうして……
私はハーと詩の解釈を考えていた。
詩の全体は、様々なことを考える我々に、「跳ぶ」ということを命じている。
「見る前に」というのは、要はどんな状況であっても、ということだ。
恐れることなく、考えることなく、「跳ぶ」。
見えてから跳ぶのではない。
その前に跳べ、と。
「ルー、これは意識外のことじゃないの!」
「え? あ!」
〈見る前に跳べ〉
そうだ! 「業」は認識するから《位相反射》を使えるんだ!
「すぐにタカさんに!」
「うん!」
これは通信では送れない。
どこで漏洩するか、また邪魔されるか分からない。
「虎」の軍の暗号化システムは桁違いに強固だけど、万一にも敵に知られてはならない。
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