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御堂 Ⅱ
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家に帰ると、御堂の電話に柳から掛かって来た。
「お父さん! 石神さんの家で何やってるの?」
御堂は笑ってドライブから戻ったところだと言う。
俺は御堂に替われと言った。
「おい柳」
「石神さん!」
「おやすみ」
「待ってぇー!」
「なんだよ」
「お話ししましょう!」
「やだよ、これから御堂と話すんだから」
「じゃあ、また明日」
「明日は御堂と携帯ショップに行って番号を変える」
「なんでよ!」
「ストーカーがいるからだぁ!」
「私、娘ですけどー!」
御堂が笑って電話を受け取った。
「柳、帰ってからまた話すよ」
柳と少し話して御堂は電話を切った。
「まったくあいつは」
「アハハハハ」
子どもたちが「鈴屋」の栗を食べている。
「タカさん、これ御堂さんにもらったんです」
亜紀ちゃんが言った。
「こっちのものだけど、石神が好物だったよね」
「お前らー! それは全部俺のものだぁー!」
「だってタカさん! 御堂さんがみんなで食べてって」
「お前ら、全部吐け!」
「「「えぇー!」」」
「まあ、石神。お前の分もちゃんとあるよ」
高いものを、わざわざ二箱買って来てくれた。
「こ、こっちのは俺んだからな!」
「分かりましたよ!」
「そっちも、もう喰うな!」
「分かりましたって!」
御堂に風呂に入ってもらった。
オイストラフの動画を流す。
「柳に聞いていたけど、素晴らしいね」
「喜んでもらえて何よりだ」
御堂も疲れているだろうと、その晩は軽く飲んで寝ることにした。
亜紀ちゃんが当然のように一緒に飲んでいる。
御堂が見ると
「私は「超高校生」なので」
亜紀ちゃんが笑って言った。
御堂は笑って、何も言わなかった。
「石神」
「なんだ?」
「今日お会いした峰岸さん。ちょっと悩み事でもあるのかな」
「お前には分かったか。最近ちょっとな。「花岡」でもっと強くなりたいって思っているらしい」
「石神のためか」
「まあな。先日も話したんだけどな。まだ納得はしていないようだ」
「鷹さんですか?」
亜紀ちゃんが話に入って来る。
「ああ」
「私が訓練に付き合いましょうか?」
「いや。鷹の悩みは「飛行」だ。誰も付き合えないよ」
「そうですか。鷹さんだけですもんね、できるの」
俺たちは一杯だけで切り上げて寝た。
翌朝。
俺は朝食の準備をする。
子どもたちもやるが、御堂の食事は俺が作った。
だし巻き卵と大根おろし。
焼きたらこ。
刻んだザーサイと大根のサラダ。
塩鮭。
汁物はエビ真丈にした。
子どもたちは大根の味噌汁だ。
御堂が起きて来た。
「僕もみんなと一緒でいいのに」
「ダメだ、お前は挌が違う!」
「「「「……」」」」
「御堂さん、ウインナー食べる?」
ハーが言った。
「ダメだ、御堂! 狙いはエビ真丈だ。こいつら、食事のことになると、悪魔みたいに狡猾だぞ!」
「ごめんね、ハーちゃん。石神が作ってくれたものでお腹一杯だよ」
御堂が笑って言った。
ハーは鬼のような顔で俺を睨む。
食後に、俺は御堂を地下に誘った。
一緒に音楽を聴く。
「石神、すごいスピーカーだな!」
パラゴンやアヴァンギャルドなどに驚く。
「何か聴きたいものはあるか?」
昨日聴いたので、御堂はオイストラフがいいと言った。
俺はLPを取り出し、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をパラゴン「D44000WXA」で鳴らした。
迫力のある音が、身体を振動させる。
御堂は目を閉じて味わっていた。
続いてゴールドムンドの「Logos Anatta」でラフマニノフのコンチェルトを鳴らす。
御堂はその臨場感に圧倒された。
「まだあるぜ」
流石の御堂も興奮してきた。
俺はアヴァンギャルドの「TRIO XD+6BASSHORN XD」でイェペスの『禁じられた遊び』を流した。
御堂は涙を流しそうになった。
「これはぶっ飛ぶぞ!」
最後に、ウィルソン・オーディオの「CHRONOSONIC XVX」で『ベルガマスク組曲』を流した。
御堂が泣いた。
「石神、お前は凄いよ」
「良かったよ。全然この凄さを分かってくれる奴がいなくてなぁ。この家と同じくらい金を突っ込んでるのにな」
「これだけで、お前の家に来た甲斐があった」
「そうかよ!」
「もう、僕の家で音楽が聴けなくなるじゃないか」
「だったら、お前もうちに住めよ!」
「アハハハハハ!」
俺たちは階段を上がった。
「今度はバイクだ」
「そうか。楽しみは尽きないな」
「ちょっと着替えてくれ」
「分かった」
俺は御堂を俺の部屋へ連れて行った。
「ライダースーツが一着しかなくてな」
「そうなのか?」
「お前はこれな。おい、俺の思い出の服だから大事にしてくれな」
「ああ? 分かった」
身長は同じくらいなので問題ない。
御堂に、俺の「特攻服」を渡した。
「石神! これを着なきゃいけないのか?」
「そうだよ。バイクに乗る時はなぁ」
御堂は大人しく着た。
御堂を連れてリヴィングへ行った。
子どもたちは勉強している。
「御堂とドゥカティで出掛けるからな。昼食は外で食べるから」
「「「「はーい」」」」
返事した子どもたちが御堂を見て爆笑した。
「「「「ギャハハハハハ!」」」」
「おい、石神!」
「御堂、気合を入れろ! その服は気合で着るものなんだ」
「そんなこと言っても!」
「御堂さん、お似合いですよ!」
亜紀ちゃんが言う。
「カッコイイです」
皇紀も乗った。
「後で写真撮りますね」
「みんなで撮りましょう!」
双子が締めた。
「じゃあ、行ってくるな!」
「「「「行ってらっしゃーい!」」」」
俺はドゥカティに火を入れる。
御堂にヘルメットを渡し、病院へ向かった。
後ろで御堂は俺の腰に捕まる。
バイクに乗るのは初めてだろうが、大丈夫そうだ。
「響子!」
「タカトラ! あ、御堂さんも!」
「こんにちは」
響子が御堂の特攻服をペタペタと触っている。
「これ、タカトラの?」
「そうだよ。さっき借りたんだ」
「似合ってる!」
「そ、そう?」
三人で少しセグウェイで遊んだ。
御堂も喜んでいる。
優しい奴だ。
六花が来た。
「じゃあ、出掛けるか。響子、また後でな!」
「うん! いってらっしゃい」
俺たちはいつもの麻布のハンバーガー屋へ行った。
「御堂、しっかり捕まってろよ」
「なんだ?」
俺はウイリーをした。
そのまま50メートルほど走る。
「石神!」
「アハハハハ!」
六花もウイリーをする。
インカムに六花の笑い声が響いた。
「おい、勘弁してくれ」
「悪い。でも面白かったろ?」
「いや、やめて欲しい」
六花がニコニコして見ていた。
「お前はハンバーガーなんて食べないだろうけどな。今日は付き合ってくれ」
「ああ」
俺たちは店に入った。
連絡してあるので、店長がすぐに一番いい席に案内してくれる。
俺は入り口のレジの奥にあるポスターを指さした。
「なんだ、あれは!」
「俺たちは常連だからな」
客たちが俺たちを見る。
特に御堂の姿に驚いている。
「石神、みんなに見られてるよ」
「気にするな。いつものことだ」
御堂は俺たちと同じサルサバーガーを頼んだ。
六花は二つだ。
「今日はそれだけでいいのか?」
「はい。夜のために」
「そうか」
俺は笑った。
御堂はサルサバーガーにかぶりつき、美味しいと言った。
「石神といると、驚かされてばかりだな」
「柳も同じようなことを言ってたな」
御堂が声を上げて笑った。
「お前も俺も、世界はまだまだ狭いよ」
「そうだな」
別に知り尽くしたいとは思わない。
俺は御堂や仲間たちがいれば、それでいいのだ。
「お父さん! 石神さんの家で何やってるの?」
御堂は笑ってドライブから戻ったところだと言う。
俺は御堂に替われと言った。
「おい柳」
「石神さん!」
「おやすみ」
「待ってぇー!」
「なんだよ」
「お話ししましょう!」
「やだよ、これから御堂と話すんだから」
「じゃあ、また明日」
「明日は御堂と携帯ショップに行って番号を変える」
「なんでよ!」
「ストーカーがいるからだぁ!」
「私、娘ですけどー!」
御堂が笑って電話を受け取った。
「柳、帰ってからまた話すよ」
柳と少し話して御堂は電話を切った。
「まったくあいつは」
「アハハハハ」
子どもたちが「鈴屋」の栗を食べている。
「タカさん、これ御堂さんにもらったんです」
亜紀ちゃんが言った。
「こっちのものだけど、石神が好物だったよね」
「お前らー! それは全部俺のものだぁー!」
「だってタカさん! 御堂さんがみんなで食べてって」
「お前ら、全部吐け!」
「「「えぇー!」」」
「まあ、石神。お前の分もちゃんとあるよ」
高いものを、わざわざ二箱買って来てくれた。
「こ、こっちのは俺んだからな!」
「分かりましたよ!」
「そっちも、もう喰うな!」
「分かりましたって!」
御堂に風呂に入ってもらった。
オイストラフの動画を流す。
「柳に聞いていたけど、素晴らしいね」
「喜んでもらえて何よりだ」
御堂も疲れているだろうと、その晩は軽く飲んで寝ることにした。
亜紀ちゃんが当然のように一緒に飲んでいる。
御堂が見ると
「私は「超高校生」なので」
亜紀ちゃんが笑って言った。
御堂は笑って、何も言わなかった。
「石神」
「なんだ?」
「今日お会いした峰岸さん。ちょっと悩み事でもあるのかな」
「お前には分かったか。最近ちょっとな。「花岡」でもっと強くなりたいって思っているらしい」
「石神のためか」
「まあな。先日も話したんだけどな。まだ納得はしていないようだ」
「鷹さんですか?」
亜紀ちゃんが話に入って来る。
「ああ」
「私が訓練に付き合いましょうか?」
「いや。鷹の悩みは「飛行」だ。誰も付き合えないよ」
「そうですか。鷹さんだけですもんね、できるの」
俺たちは一杯だけで切り上げて寝た。
翌朝。
俺は朝食の準備をする。
子どもたちもやるが、御堂の食事は俺が作った。
だし巻き卵と大根おろし。
焼きたらこ。
刻んだザーサイと大根のサラダ。
塩鮭。
汁物はエビ真丈にした。
子どもたちは大根の味噌汁だ。
御堂が起きて来た。
「僕もみんなと一緒でいいのに」
「ダメだ、お前は挌が違う!」
「「「「……」」」」
「御堂さん、ウインナー食べる?」
ハーが言った。
「ダメだ、御堂! 狙いはエビ真丈だ。こいつら、食事のことになると、悪魔みたいに狡猾だぞ!」
「ごめんね、ハーちゃん。石神が作ってくれたものでお腹一杯だよ」
御堂が笑って言った。
ハーは鬼のような顔で俺を睨む。
食後に、俺は御堂を地下に誘った。
一緒に音楽を聴く。
「石神、すごいスピーカーだな!」
パラゴンやアヴァンギャルドなどに驚く。
「何か聴きたいものはあるか?」
昨日聴いたので、御堂はオイストラフがいいと言った。
俺はLPを取り出し、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をパラゴン「D44000WXA」で鳴らした。
迫力のある音が、身体を振動させる。
御堂は目を閉じて味わっていた。
続いてゴールドムンドの「Logos Anatta」でラフマニノフのコンチェルトを鳴らす。
御堂はその臨場感に圧倒された。
「まだあるぜ」
流石の御堂も興奮してきた。
俺はアヴァンギャルドの「TRIO XD+6BASSHORN XD」でイェペスの『禁じられた遊び』を流した。
御堂は涙を流しそうになった。
「これはぶっ飛ぶぞ!」
最後に、ウィルソン・オーディオの「CHRONOSONIC XVX」で『ベルガマスク組曲』を流した。
御堂が泣いた。
「石神、お前は凄いよ」
「良かったよ。全然この凄さを分かってくれる奴がいなくてなぁ。この家と同じくらい金を突っ込んでるのにな」
「これだけで、お前の家に来た甲斐があった」
「そうかよ!」
「もう、僕の家で音楽が聴けなくなるじゃないか」
「だったら、お前もうちに住めよ!」
「アハハハハハ!」
俺たちは階段を上がった。
「今度はバイクだ」
「そうか。楽しみは尽きないな」
「ちょっと着替えてくれ」
「分かった」
俺は御堂を俺の部屋へ連れて行った。
「ライダースーツが一着しかなくてな」
「そうなのか?」
「お前はこれな。おい、俺の思い出の服だから大事にしてくれな」
「ああ? 分かった」
身長は同じくらいなので問題ない。
御堂に、俺の「特攻服」を渡した。
「石神! これを着なきゃいけないのか?」
「そうだよ。バイクに乗る時はなぁ」
御堂は大人しく着た。
御堂を連れてリヴィングへ行った。
子どもたちは勉強している。
「御堂とドゥカティで出掛けるからな。昼食は外で食べるから」
「「「「はーい」」」」
返事した子どもたちが御堂を見て爆笑した。
「「「「ギャハハハハハ!」」」」
「おい、石神!」
「御堂、気合を入れろ! その服は気合で着るものなんだ」
「そんなこと言っても!」
「御堂さん、お似合いですよ!」
亜紀ちゃんが言う。
「カッコイイです」
皇紀も乗った。
「後で写真撮りますね」
「みんなで撮りましょう!」
双子が締めた。
「じゃあ、行ってくるな!」
「「「「行ってらっしゃーい!」」」」
俺はドゥカティに火を入れる。
御堂にヘルメットを渡し、病院へ向かった。
後ろで御堂は俺の腰に捕まる。
バイクに乗るのは初めてだろうが、大丈夫そうだ。
「響子!」
「タカトラ! あ、御堂さんも!」
「こんにちは」
響子が御堂の特攻服をペタペタと触っている。
「これ、タカトラの?」
「そうだよ。さっき借りたんだ」
「似合ってる!」
「そ、そう?」
三人で少しセグウェイで遊んだ。
御堂も喜んでいる。
優しい奴だ。
六花が来た。
「じゃあ、出掛けるか。響子、また後でな!」
「うん! いってらっしゃい」
俺たちはいつもの麻布のハンバーガー屋へ行った。
「御堂、しっかり捕まってろよ」
「なんだ?」
俺はウイリーをした。
そのまま50メートルほど走る。
「石神!」
「アハハハハ!」
六花もウイリーをする。
インカムに六花の笑い声が響いた。
「おい、勘弁してくれ」
「悪い。でも面白かったろ?」
「いや、やめて欲しい」
六花がニコニコして見ていた。
「お前はハンバーガーなんて食べないだろうけどな。今日は付き合ってくれ」
「ああ」
俺たちは店に入った。
連絡してあるので、店長がすぐに一番いい席に案内してくれる。
俺は入り口のレジの奥にあるポスターを指さした。
「なんだ、あれは!」
「俺たちは常連だからな」
客たちが俺たちを見る。
特に御堂の姿に驚いている。
「石神、みんなに見られてるよ」
「気にするな。いつものことだ」
御堂は俺たちと同じサルサバーガーを頼んだ。
六花は二つだ。
「今日はそれだけでいいのか?」
「はい。夜のために」
「そうか」
俺は笑った。
御堂はサルサバーガーにかぶりつき、美味しいと言った。
「石神といると、驚かされてばかりだな」
「柳も同じようなことを言ってたな」
御堂が声を上げて笑った。
「お前も俺も、世界はまだまだ狭いよ」
「そうだな」
別に知り尽くしたいとは思わない。
俺は御堂や仲間たちがいれば、それでいいのだ。
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