富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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御堂 Ⅳ

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 響子と六花を病院に送り、栞は俺の家から帰った。
 ロボにみやげの刺身をやる。
 あまりの美味さに唸りながら食べた。
 今度大将にネコも唸ったと教えてやろう。
 俺たちは風呂に入り、地下へ集合した。

 俺はShow-Yaの『限界Lovers』をギターで弾き、熱唱した。
 子どもたちは乗って来る。
 続いて『戒厳令の街』『私は嵐』で盛り上げる。
 双子がノリノリで踊った。
 亜紀ちゃんの『飾りじゃないのよ涙は』を伴奏し、歌わせる。
 
 「こういう楽しみもあるんだね、この家は」
 御堂が楽しそうに言った。

 「完全防音の部屋だからな。どんなに騒いでもご近所に迷惑はかけない」
 まあ、たまに銃撃戦とかあるが。
 亜紀ちゃんのリクエストで『アルハンブラの思い出』を弾いて解散した。




 リヴィングで御堂と亜紀ちゃんとで酒を飲む。
 腹いっぱい食べたので、あっさりとしたつまみを作る。
 亜紀ちゃんがカプレーゼを作るが、チーズが厚いと俺に怒られる。
 俺はシソ巻き豆腐を用意した。
 一口サイズに切り揃える。
 ロボにミルクを少し温めて出した。

 バランタインを出した。
 御堂が好きな酒だ。
 亜紀ちゃんがロックで飲む。

 「随分飲めるんだね」
 「エヘヘヘ」
 「エヘヘじゃねぇ! こいつこないだ二日酔いするまで飲みやがって」
 「アハハハハ!」

 「だけど、山中の夢が一つ叶ったね」
 「そうだよな」
 「え? 何のお話ですか?」

 「山中が言っていたんだ。夢があるんだってな」
 「なんですか! 教えて下さい!」




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 俺と御堂と山中で飲んでいた。
 久しぶりに御堂が東京に来たので、三人で集まった。
 山中夫婦に双子が生まれて間もなくだった。

 「なんだよ山中。ちょっと気持ち悪いぞ」
 山中がずっとニヤニヤしている。

 「いや、石神には分かんないよ」
 「なんだよ、それは」
 「御堂なら分かるかな」
 「おい、だからなんだって」

 「俺さー、夢があるんだよ」
 「あ? 研究で発見とか?」
 「そんなものじゃないよ」
 「そんなものって、お前」
 御堂はニコニコして俺たちを見ていた。

 「俺の夢はさ、亜紀、皇紀、それと瑠璃と玻璃。みんなが大きくなったら一緒に酒を飲むんだ」
 「ああ」
 「なるほどね」
 「な、御堂は分かるよな!」
 「うん。僕も同じだな。子どもたちと一緒に酒を飲みたいかな」

 「おい、俺だって分かるぞ!」

 「石神は無理だよ。だって子どもがいないじゃないか」
 「それは!」
 「子どもっていいぞー! どんどん大きくなってな。それでな」
 山中がますますニヤニヤする。

 「な、御堂!」
 「うん、そうだよね」
 「そういう毎日を一緒に過ごして。そしていつか一緒に酒を飲むんだ」
 「へー」
 俺は面白くなかった。

 「石神、お前も結婚しろよ。いいもんだぞ」
 「お前らを見れば分かるけどな」
 「エヘヘヘ、最初は亜紀ちゃんかー!」
 山中のコップに唐揚げを突っ込んでやった。

 「あ、何すんだよ!」
 「うるせぇ、気持ち悪いんだよ、お前は!」
 御堂が大笑いした。

 「亜紀ちゃんの「オトシャン」は俺だからな。俺が最初に飲むよ」
 「絶対に許さん!」
 山中が立ち上がった。
 御堂がなだめて座らせる。

 「石神は羨ましいんだよ」
 「そうか! やっとお前の前に立てたな! ガッハッハ!」
 「このやろう」
 俺は冷酒のお代わりを注文した。

 「最初は亜紀ちゃんと何を飲むんだ?」
 「まあビールかな。でも大丈夫かな?」
 「あ? ビールなんかで酔う奴はいないだろう」
 「それはお前だけだ! 亜紀ちゃんは俺の娘なんだから繊細なんだぞ」
 山中は唐揚げの入ったままのグラスを飲み干した。
 そのまま唐揚げを食べる。

 「随分と繊細だな!」
 「ああ!」
 御堂が笑った。

 「僕は柳か。確かに楽しみだね」
 「柳も亜紀ちゃんも俺にべったりじゃねぇか」
 「なんだ、石神。やっぱり羨ましいのか?」
 「このやろう」
 俺も笑った。
 確かにちょっと羨ましい。

 「そうだな。羨ましいな」
 「認めたかぁー!」

 三人で笑った。




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 「まあ、山中じゃなくてゴメンな」
 俺が言うと、亜紀ちゃんが抱き着いて来る。

 「あの山中の夢って聞いてなければな。女子高生に酒なんか飲ませなかったんだが」
 「タカさーん!」
 「亜紀ちゃんは甘えん坊だな」
 俺たちは笑った。

 「御堂、ちょっと肉を焼いてやってくれ」
 「いりませんよ!」
 「アハハハハ!」
 俺はカプレーゼを亜紀ちゃんに食べさせた。
 亜紀ちゃんはチーズを薄くして良かったと言った。

 「お前たちは、何よりも元気に育ってくれてるからな。それだけで満足だ」
 「はい」

 「御堂、こないだクロピョンにやられて死に掛けたじゃない」
 「ああ、驚いたよ」
 「あの時、亜紀ちゃんが俺の面倒を見てくれたんだけどな」
 「そうか」
 「優しい子なんで一生懸命だったんだ。一晩中起きてて俺の体温を測っててなぁ」
 「そうか」
 亜紀ちゃんは照れている。

 「でもな。こいつら病気しないじゃない。だから病人食も知らないし、看病ってことも分かってねぇ」
 「アハハハ!」
 「やめてください、タカさん」
 「だけど、本当に一生懸命でなぁ。それがありがたかったんだ」
 「良かったね」

 「まったくな。俺もこいつら、そういえば風邪一つひいたことがなかったって。あの時に初めて気付いたんだよ」
 「アハハハハ!」
 「昨日紹介した鷹な。あいつに来てもらって、やっと喰えるものを作ってもらった」
 「タカさーん!」
 「なんだ、お肉か?」
 「もーう!」

 栞の怒りの登場やその後の芝居などを話し、御堂を爆笑させた。

 「大変だったよなー!」
 「はい! うちがどこまで壊されちゃうかって」
 「アハハハハ!」
 「タカさんがとにかく凄かったんですよ。怒りマックスの栞さんが、涙流して帰ってったんですから!」
 「そうなのかい?」
 「騙してるって知ってる私でさえ泣いちゃいました」
 「アハハハハ!」

 「亜紀ちゃん」
 「なんですか?」
 「俺は御堂の娘の柳をもらう」
 「はい!」
 
 「だから御堂、亜紀ちゃんを自由にしていいぞ?」
 「やめてください!」
 「アハハハハ!」
 
 


 俺たちは遅くまで楽しく話した。
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