1,165 / 3,215
磯良の帰宅
しおりを挟む
東京で同時多発した「太陽界」のテロ。
早乙女さんから呼ばれ、現場を幾つか回った。
自分にとって、脅威的な敵はまったくいなかった。
早乙女さんが自分をずっと気遣ってくれたが、その必要も無かった。
午後の八時には家に戻った。
まだ終息していない現場はあったが、早乙女さんの他の仲間が対応すると言われた。
「こんなに遅くまで引っ張り回して申し訳ない」
早乙女さんは、帰りに車の中で、何度もそう言った。
「いいえ、全然。まだどこでも行きますよ?」
「いや、これ以上はもういいよ。磯良が余りにも強いんで、つい頼り過ぎてしまった」
「そんな」
「もう今日はゆっくり休んでくれ」
「はい、分かりました」
早乙女さんは優しい。
俺のような化け物と一緒にいても、何も怖がったり構えたりしない。
俺のことを普通の小学生のように思ってくれている。
そのことが一番有難かった。
「磯良、おかえりー!」
胡蝶が出迎えてくれた。
「夕飯は?」
「ああ、自分で適当に作るよ」
「ダメよ! 帰蝶ちゃんに作ってもらうから」
「いいよ」
「ダメ! 呼んで来るから食堂に行って」
「ああ、分かった」
胡蝶は同い年で、この道間家で最も気安く話せる相手だ。
帰蝶さんや堂前家のご両親も俺に優しいが、やはり世話になっているという気持ちが強い。
胡蝶とは、それを抜きにして話せる。
まあ、胡蝶の明るさがそうさせてくれるのは分かっているが。
食堂に入ってしばらくすると、胡蝶と帰蝶さんと堂前さんが入って来た。
「磯良、疲れただろう」
「いえ、別に」
帰蝶さんがすぐに食事を作ってくれた。
「ごめんね、すぐに作るからね」
「すいません」
胡蝶がお茶を淹れてくれる。
「東京は大変なことになったな」
「はい。俺も幾つかの現場しか行ってませんが、大勢の人が死んだようです」
「さっき、テレビで500人以上の死者だと言っていた」
「堂前さんの関係では?」
「幸い、今の所は報告も無いな。無事だと思うよ」
「そうですか、良かった」
俺がそう言うと、堂前さんが笑った。
「うちはヤクザだよ。世間様は、うちらはどんどん死んで欲しいと思ってる」
「そんなことは。少なくとも、俺は堂前さんたちには死んで欲しくありません」
堂前さんはまた笑った。
「でも、この世界も大きく変わりそうだ」
「石神高虎ですね」
「そうだ。突然、北関東の千万組が石神の下に付いた。その後で、あの稲城会の崩壊だ」
「はい。随分と急なことでしたよね」
俺も詳しくは知らないが、胡蝶から多少のことは聞いている。
「何故千万組がと思ったんだけどな。あそこの千両弥太は昔からの侠客だ。相当気に入った男なんだろう」
「でも、組ごと下に付くなんて」
「そうだな。これはちょっと不気味な話なんだけど」
「なんですか?」
「千両の刀なんだ。「虎王」と呼ばれる古い刀なんだが、それに関連しているらしい」
「え?」
「実はな。「虎王」というのは、君の先祖が打っていた刀なんだよ」
「……」
「知らなかったか?」
「いえ、少しは父から聞いていました」
「そうか。それで、どうもな。「虎王」は他の「虎王」と呼び合うと言われている」
「え!」
「俺は磯良のお父さんの刀を一振り譲ってもらったが、もちろんそれは「虎王」ではない。でも、ここに君がいることと、俺がお父さんの刀を持っていることがな。どうも気になるんだよ」
「そうですか」
「いずれ、磯良は石神高虎と出会うのかもしれない。石神高虎も「虎王」を持っているらしい」
「そうなんですか!」
「それも、若打ちのものではなく、真「虎王」と呼ばれる完成形だ」
「……」
「磯良も聞いているかもしれないが、「虎王」は伝説の刀だ。大きな運命を持つ者しか所有出来ない。確かに石神高虎が現われて、ヤクザの世界は一新した。神戸山王会も石神の下に付いたらしい。吉住連合も、石神に逆らう気はない」
「そうですか」
「今回のことも、石神高虎に関わっているのかもしれない」
「え?」
「これは俺の勘だよ。日本が大きく変わろうとしている。俺はそんな気がしてならない。その中心にあの男がいる」
「ちょっと怖いですね」
「まあ、俺がやることは変わりがないよ。うちも一応は吉住連合の軒下にはいるけどな。でも、もうヤクザの時代じゃない。だから真面目に商売をやってる」
「そうですね」
「昔、吉原龍子に言われたんだ。身を清くしておけとな。そうすれば磯良の父親にも紹介してやると」
「そうだったんですね」
「そして、思いもよらない大きな運命をくれてやる、とな」
初めて聞いた。
「不思議な人だった。若い俺は、すぐに信じたんだ。だから他人様に恥ずかしくない商売を心掛けた。もちろん清廉潔白とは言わないけどな。これでも、自分じゃ真面目にやって来たつもりだ」
「はい」
食事が出来た。
スープパスタにほうれん草とベーコンのバター炒めだ。
「ありがとうございます。美味しそうです」
「ウフフフ」
三人に囲まれて一人だけ食事をするのは恥ずかしかった。
急いで食べた。
「早乙女さんはどうだ?」
堂前さんが聞いて来た。
「優しい人ですね。ずっと俺の心配ばかりで」
「そうか。まあ、一目で分かったよ。優しい人だってな。だから磯良を任せた。でも、物凄く優秀な人らしい。元々キャリア組だったが、最近特に評価されているようだ」
「そうなんですか」
「俺も警察には伝手もあるが、公安の人だからな。なかなか情報は出ない。でも相当出世して、奥さんも警察のトップの人間の姪らしいよ」
「へぇー」
「そういう優秀な評価の高い人間が、この化け物退治の中心にいるんだ。日本もいよいよ本格的にヤバイな」
「そうですね。これまで人外の連中は表に出なかったですからね」
俺が食べ終わると、また胡蝶がお茶を淹れてくれる。
「帰蝶さん、ご馳走様でした。美味しかったです」
「ありがとう」
俺は茶を啜った。
「磯良、君のお陰で、最もヤバイものの動向もよく分かる。本当に助かるよ」
「いいえ。これも龍子さんの導きですから」
「そうだな」
「堂前さんたちに育ててもらって。俺は龍子さんと堂前さんたちに、その恩返しがしたいだけです」
「宜しく頼むな」
堂前さんは、そういうと部屋を出て行った。
「ねえ、磯良。どんな奴らだったの?」
「ええと、あんまり話せないんだ」
「えー!」
「困ったな。多分、テレビでいろいろ報道されるから、そっちを見てよ」
「うん、見た見た! 本当に化け物だよね! 3メートルもあるような怪物が映ってた!」
「そうなんだ」
やはり、報道されていた。
遠巻きだったが、現場には結構マスコミのカメラが立っていた。
「でも、磯良なら簡単でしょ?」
「そんなことはないよ」
帰蝶さんが立ち上がって俺を抱き締めた。
胸が頭に当たる。
「磯良ちゃん、気を付けてね」
「は、はい」
「あー! わたしもー!」
胡蝶が反対側から抱き締めて来る。
胡蝶も胸が大きくなってきた。
「あの、ちょっと恥ずかしいんで」
二人は笑って離れてくれた。
「もうお風呂をいただいて、寝ますね」
「あー! 私と一緒に寝ようか!」
「胡蝶!」
俺は笑って断った。
堂前さんも、帰蝶さんも胡蝶も、俺のことを心配して来てくれた。
風呂に入りながら、もう一人、早乙女さんが散々心配してくれたことを思い出していた。
龍子さんの縁の人は、みんな優しい。
俺はもう一人、まだ会ってはいない、石神高虎という人のことを思った。
「きっと、その人も優しいんだろう」
勝手にそう思った。
5年後、俺は石神高虎と出会うことをまだ知らなかった。
本当に優しい人だった。
そして強い人だった。
早乙女さんから呼ばれ、現場を幾つか回った。
自分にとって、脅威的な敵はまったくいなかった。
早乙女さんが自分をずっと気遣ってくれたが、その必要も無かった。
午後の八時には家に戻った。
まだ終息していない現場はあったが、早乙女さんの他の仲間が対応すると言われた。
「こんなに遅くまで引っ張り回して申し訳ない」
早乙女さんは、帰りに車の中で、何度もそう言った。
「いいえ、全然。まだどこでも行きますよ?」
「いや、これ以上はもういいよ。磯良が余りにも強いんで、つい頼り過ぎてしまった」
「そんな」
「もう今日はゆっくり休んでくれ」
「はい、分かりました」
早乙女さんは優しい。
俺のような化け物と一緒にいても、何も怖がったり構えたりしない。
俺のことを普通の小学生のように思ってくれている。
そのことが一番有難かった。
「磯良、おかえりー!」
胡蝶が出迎えてくれた。
「夕飯は?」
「ああ、自分で適当に作るよ」
「ダメよ! 帰蝶ちゃんに作ってもらうから」
「いいよ」
「ダメ! 呼んで来るから食堂に行って」
「ああ、分かった」
胡蝶は同い年で、この道間家で最も気安く話せる相手だ。
帰蝶さんや堂前家のご両親も俺に優しいが、やはり世話になっているという気持ちが強い。
胡蝶とは、それを抜きにして話せる。
まあ、胡蝶の明るさがそうさせてくれるのは分かっているが。
食堂に入ってしばらくすると、胡蝶と帰蝶さんと堂前さんが入って来た。
「磯良、疲れただろう」
「いえ、別に」
帰蝶さんがすぐに食事を作ってくれた。
「ごめんね、すぐに作るからね」
「すいません」
胡蝶がお茶を淹れてくれる。
「東京は大変なことになったな」
「はい。俺も幾つかの現場しか行ってませんが、大勢の人が死んだようです」
「さっき、テレビで500人以上の死者だと言っていた」
「堂前さんの関係では?」
「幸い、今の所は報告も無いな。無事だと思うよ」
「そうですか、良かった」
俺がそう言うと、堂前さんが笑った。
「うちはヤクザだよ。世間様は、うちらはどんどん死んで欲しいと思ってる」
「そんなことは。少なくとも、俺は堂前さんたちには死んで欲しくありません」
堂前さんはまた笑った。
「でも、この世界も大きく変わりそうだ」
「石神高虎ですね」
「そうだ。突然、北関東の千万組が石神の下に付いた。その後で、あの稲城会の崩壊だ」
「はい。随分と急なことでしたよね」
俺も詳しくは知らないが、胡蝶から多少のことは聞いている。
「何故千万組がと思ったんだけどな。あそこの千両弥太は昔からの侠客だ。相当気に入った男なんだろう」
「でも、組ごと下に付くなんて」
「そうだな。これはちょっと不気味な話なんだけど」
「なんですか?」
「千両の刀なんだ。「虎王」と呼ばれる古い刀なんだが、それに関連しているらしい」
「え?」
「実はな。「虎王」というのは、君の先祖が打っていた刀なんだよ」
「……」
「知らなかったか?」
「いえ、少しは父から聞いていました」
「そうか。それで、どうもな。「虎王」は他の「虎王」と呼び合うと言われている」
「え!」
「俺は磯良のお父さんの刀を一振り譲ってもらったが、もちろんそれは「虎王」ではない。でも、ここに君がいることと、俺がお父さんの刀を持っていることがな。どうも気になるんだよ」
「そうですか」
「いずれ、磯良は石神高虎と出会うのかもしれない。石神高虎も「虎王」を持っているらしい」
「そうなんですか!」
「それも、若打ちのものではなく、真「虎王」と呼ばれる完成形だ」
「……」
「磯良も聞いているかもしれないが、「虎王」は伝説の刀だ。大きな運命を持つ者しか所有出来ない。確かに石神高虎が現われて、ヤクザの世界は一新した。神戸山王会も石神の下に付いたらしい。吉住連合も、石神に逆らう気はない」
「そうですか」
「今回のことも、石神高虎に関わっているのかもしれない」
「え?」
「これは俺の勘だよ。日本が大きく変わろうとしている。俺はそんな気がしてならない。その中心にあの男がいる」
「ちょっと怖いですね」
「まあ、俺がやることは変わりがないよ。うちも一応は吉住連合の軒下にはいるけどな。でも、もうヤクザの時代じゃない。だから真面目に商売をやってる」
「そうですね」
「昔、吉原龍子に言われたんだ。身を清くしておけとな。そうすれば磯良の父親にも紹介してやると」
「そうだったんですね」
「そして、思いもよらない大きな運命をくれてやる、とな」
初めて聞いた。
「不思議な人だった。若い俺は、すぐに信じたんだ。だから他人様に恥ずかしくない商売を心掛けた。もちろん清廉潔白とは言わないけどな。これでも、自分じゃ真面目にやって来たつもりだ」
「はい」
食事が出来た。
スープパスタにほうれん草とベーコンのバター炒めだ。
「ありがとうございます。美味しそうです」
「ウフフフ」
三人に囲まれて一人だけ食事をするのは恥ずかしかった。
急いで食べた。
「早乙女さんはどうだ?」
堂前さんが聞いて来た。
「優しい人ですね。ずっと俺の心配ばかりで」
「そうか。まあ、一目で分かったよ。優しい人だってな。だから磯良を任せた。でも、物凄く優秀な人らしい。元々キャリア組だったが、最近特に評価されているようだ」
「そうなんですか」
「俺も警察には伝手もあるが、公安の人だからな。なかなか情報は出ない。でも相当出世して、奥さんも警察のトップの人間の姪らしいよ」
「へぇー」
「そういう優秀な評価の高い人間が、この化け物退治の中心にいるんだ。日本もいよいよ本格的にヤバイな」
「そうですね。これまで人外の連中は表に出なかったですからね」
俺が食べ終わると、また胡蝶がお茶を淹れてくれる。
「帰蝶さん、ご馳走様でした。美味しかったです」
「ありがとう」
俺は茶を啜った。
「磯良、君のお陰で、最もヤバイものの動向もよく分かる。本当に助かるよ」
「いいえ。これも龍子さんの導きですから」
「そうだな」
「堂前さんたちに育ててもらって。俺は龍子さんと堂前さんたちに、その恩返しがしたいだけです」
「宜しく頼むな」
堂前さんは、そういうと部屋を出て行った。
「ねえ、磯良。どんな奴らだったの?」
「ええと、あんまり話せないんだ」
「えー!」
「困ったな。多分、テレビでいろいろ報道されるから、そっちを見てよ」
「うん、見た見た! 本当に化け物だよね! 3メートルもあるような怪物が映ってた!」
「そうなんだ」
やはり、報道されていた。
遠巻きだったが、現場には結構マスコミのカメラが立っていた。
「でも、磯良なら簡単でしょ?」
「そんなことはないよ」
帰蝶さんが立ち上がって俺を抱き締めた。
胸が頭に当たる。
「磯良ちゃん、気を付けてね」
「は、はい」
「あー! わたしもー!」
胡蝶が反対側から抱き締めて来る。
胡蝶も胸が大きくなってきた。
「あの、ちょっと恥ずかしいんで」
二人は笑って離れてくれた。
「もうお風呂をいただいて、寝ますね」
「あー! 私と一緒に寝ようか!」
「胡蝶!」
俺は笑って断った。
堂前さんも、帰蝶さんも胡蝶も、俺のことを心配して来てくれた。
風呂に入りながら、もう一人、早乙女さんが散々心配してくれたことを思い出していた。
龍子さんの縁の人は、みんな優しい。
俺はもう一人、まだ会ってはいない、石神高虎という人のことを思った。
「きっと、その人も優しいんだろう」
勝手にそう思った。
5年後、俺は石神高虎と出会うことをまだ知らなかった。
本当に優しい人だった。
そして強い人だった。
1
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
Lucia(ルシア)変容者たち
おまつり
恋愛
人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。
それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。
カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。
二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。
誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。
愛が深まるほど、境界は曖昧になる。
身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。
一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。
彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。
これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、
それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。
※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる