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百家訪問 Ⅴ
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帰りのタクシーの中で、早乙女から電話が来た。
「石神!」
「よう! どうした?」
「出掛けていると聞いたんだが、すまん! 子どもが生まれたんだ!」
「そうか! おめでとう!」
「ありがとう! もう、嬉しくて嬉しくて」
早乙女は半泣きだった。
少しだけ、予定日から遅れているが、無事に生まれたようだ。
落ち着かせるために、体重や様子を質問した。
興味が無いので、一つも覚えない。
「それでな」
「おう」
「前に頼んだ子どもの名前なんだが」
「なんだよ、断っただろう」
「でも、お前に最初の子どもは」
「ダメだ! お前らの子どもなんだから、自分たちでちゃんと考えろ!」
「じゃあ、「怜花(れいか)」でいいかな?」
「なに!」
驚いた。
俺があの時に咄嗟に浮かんだ名前だった。
「お前……」
「済まない。亜紀ちゃんに聞いたんだ。あの後でお前の部屋を掃除してたら、机の上にそう書いてある紙を見つけたって」
「あのな」
「石神が、どういうつもりで書いたものかは知らない! でも、俺も雪野さんも、その名前を聞いてそれしかないって思ってるんだ!」
「弱ったな」
「な、いいだろ?」
「近所のネコに付けようかと思ってたんだけどな」
「え? だって、漢字だぞ?」
「別にネコの名前が漢字でもいいだろう!」
「ま、まあな」
「まあ、俺が帰ってからにしてくれ。今は忙しい」
「ああ、悪かった!」
「それとな」
「なんだ!」
「亜紀ちゃんに、帰ったら佐藤家三周だと言っておいてくれ」
「え? あ、ああ、分かった、伝える」
俺は電話を切った。
「お子さんがお生まれになったんですか?」
「ええ。友人の夫婦でして。予定日よりも少し遅かったんですが、無事に生まれたと」
「そうですか! 良かったですね」
「ええ」
まあ、良かった。
全然心配はしていなかったが。
早乙女と雪野さんの幸せそうな顔が浮かぶ。
「石神様も嬉しそうですね」
「いや、俺は別に」
「でも、幸せそうに笑ってらっしゃいますよ?」
「まあ、大好きな二人ですからね。本当に良かった」
緑さんも嬉しそうに笑った。
百家に戻ると、響子が目を覚ましていた。
自分で顔を洗い、着替えていた。
「おかえりー!」
「おう。起きてたか」
「うん。どこに行ってたの?」
「ああ、ちょっと運動する所にな」
「へぇー」
まあ、こいつに興味はない。
「緑さんに土産のことを聞いたんだけどさ」
「じゃあ、買いに行こうよ!」
「ああ。じゃあ、ちょっと出掛けるって言ってくるな」
「うん!」
俺が言いに行くと緑さんが一緒に付いて来ると言った。
俺は響子と二人でデートなのだと言うと、笑って「分かりました」と言った。
俺は別途ルーに電話し、出雲市の空手道場にレッドダイヤモンドの10キロくらいのものを送るように言った。
「どうしたの?」
「ちょっと御神体を割っちゃってな」
「何やってんの!」
「アハハハハハ!」
俺は響子と出掛けた。
響子は昨日と同じ白いパンツに、厚手のセーターを着ている。
俺は念のためにその上に、アクアスキュータムの白のトレンチコートを羽織らせた。
俺はシルク混の白のパンツに白のシャツにドミニクフランスの人魚柄のタイを締めた。
黒のダンヒルの革のジャケットを羽織っている。
市街地に入り、ハマーを駐車場に停め、響子と歩いた。
響子は身長が173センチになり、もう俺と腕を組んでも様になるようになった。
顔はまだ幼いが、後ろ姿は一人前だ。
俺に楽しそうにくっついてくる。
二人で教わった和菓子の店に行き、「若草」を味見した。
店内でお茶と一緒に味わう。
「美味いな!」
「いいね!」
俺は子どもたちや部下たちの分も含めて20箱頼んだ。
あちこち見て回り、響子が六花用に「縁結び箸」を買った。
「おい、もう必要ねぇじゃん」
「いいじゃん、カワイイよ?」
「そう?」
俺も買えというので、ウサギのトートバッグを買った。
それを見て響子も欲しがったので買ってやった。
百家に戻って、響子と部屋でソファに座ってまったりした。
緑さんが紅茶を持って来てくれた。
響子が俺に甘えているのを見て嬉しそうに笑った。
「本当に仲が宜しいんですね」
「まあ、ヨメですからね」
「うん!」
「すいません、折角来て頂いたのに、何のおもてなしも出来なくて」
「とんでもない! 楽しんでますよ!」
「うん!」
「そうですか」
「さっきも夢を見たよ!」
「へぇ、どんなだ?」
「蝶柄で、えと、なんて花だっけ?」
「石楠花か!」
「そう! 先っちょがちょっとピンクのやつ!」
緑さんが驚いていた。
俺は緑さんに改めて、以前に一緒に同じ夢を見たのだと言った。
「あの女の人がね、「よく来てくれたね」って言ってた!」
「!」
緑さんが泣き出した。
「響ちゃんです! 一番好きな着物で!」
そうだろうとは思っていた。
「あとね、「朧影」と「黒笛」だって」
「!」
俺が持って来た銘の分からない二振だろうと思った。
一つは刀身が淡い霧に覆われたような波紋で、もう一つは黒い刀身だった。
「俺が持って来た刀の銘だと思います」
「すぐに調べてみますね」
緑さんはそう言って出て行った。
「響子よー、「タカトラー」もいいんだけど、そういうことも話してくれよ」
「うん、忘れちゃってた」
「お前、すぐに忘れちゃうよなー」
「エヘヘヘヘ」
「ちょっとオシリのマッサージをしとくか」
「やー」
「記憶力が上がるぞ?」
「やー」
やらせてくれなかった。
夕飯前に、風呂を頂いた。
響子が眠くなっても、すぐに寝かせられるようにだ。
夕飯は炊き込みご飯だった。
非常に出汁が効いていて美味い。
響子には目玉焼きを乗せた小さなハンバーグ。
俺とみなさんは天ぷらだ。
また響子は一杯食べた。
夕飯の後で、また酒が出た。
響子はウーロン茶だ。
今日は俺が話す番だ。
俺はノートパソコンを見せながら、話し始めた。
「石神!」
「よう! どうした?」
「出掛けていると聞いたんだが、すまん! 子どもが生まれたんだ!」
「そうか! おめでとう!」
「ありがとう! もう、嬉しくて嬉しくて」
早乙女は半泣きだった。
少しだけ、予定日から遅れているが、無事に生まれたようだ。
落ち着かせるために、体重や様子を質問した。
興味が無いので、一つも覚えない。
「それでな」
「おう」
「前に頼んだ子どもの名前なんだが」
「なんだよ、断っただろう」
「でも、お前に最初の子どもは」
「ダメだ! お前らの子どもなんだから、自分たちでちゃんと考えろ!」
「じゃあ、「怜花(れいか)」でいいかな?」
「なに!」
驚いた。
俺があの時に咄嗟に浮かんだ名前だった。
「お前……」
「済まない。亜紀ちゃんに聞いたんだ。あの後でお前の部屋を掃除してたら、机の上にそう書いてある紙を見つけたって」
「あのな」
「石神が、どういうつもりで書いたものかは知らない! でも、俺も雪野さんも、その名前を聞いてそれしかないって思ってるんだ!」
「弱ったな」
「な、いいだろ?」
「近所のネコに付けようかと思ってたんだけどな」
「え? だって、漢字だぞ?」
「別にネコの名前が漢字でもいいだろう!」
「ま、まあな」
「まあ、俺が帰ってからにしてくれ。今は忙しい」
「ああ、悪かった!」
「それとな」
「なんだ!」
「亜紀ちゃんに、帰ったら佐藤家三周だと言っておいてくれ」
「え? あ、ああ、分かった、伝える」
俺は電話を切った。
「お子さんがお生まれになったんですか?」
「ええ。友人の夫婦でして。予定日よりも少し遅かったんですが、無事に生まれたと」
「そうですか! 良かったですね」
「ええ」
まあ、良かった。
全然心配はしていなかったが。
早乙女と雪野さんの幸せそうな顔が浮かぶ。
「石神様も嬉しそうですね」
「いや、俺は別に」
「でも、幸せそうに笑ってらっしゃいますよ?」
「まあ、大好きな二人ですからね。本当に良かった」
緑さんも嬉しそうに笑った。
百家に戻ると、響子が目を覚ましていた。
自分で顔を洗い、着替えていた。
「おかえりー!」
「おう。起きてたか」
「うん。どこに行ってたの?」
「ああ、ちょっと運動する所にな」
「へぇー」
まあ、こいつに興味はない。
「緑さんに土産のことを聞いたんだけどさ」
「じゃあ、買いに行こうよ!」
「ああ。じゃあ、ちょっと出掛けるって言ってくるな」
「うん!」
俺が言いに行くと緑さんが一緒に付いて来ると言った。
俺は響子と二人でデートなのだと言うと、笑って「分かりました」と言った。
俺は別途ルーに電話し、出雲市の空手道場にレッドダイヤモンドの10キロくらいのものを送るように言った。
「どうしたの?」
「ちょっと御神体を割っちゃってな」
「何やってんの!」
「アハハハハハ!」
俺は響子と出掛けた。
響子は昨日と同じ白いパンツに、厚手のセーターを着ている。
俺は念のためにその上に、アクアスキュータムの白のトレンチコートを羽織らせた。
俺はシルク混の白のパンツに白のシャツにドミニクフランスの人魚柄のタイを締めた。
黒のダンヒルの革のジャケットを羽織っている。
市街地に入り、ハマーを駐車場に停め、響子と歩いた。
響子は身長が173センチになり、もう俺と腕を組んでも様になるようになった。
顔はまだ幼いが、後ろ姿は一人前だ。
俺に楽しそうにくっついてくる。
二人で教わった和菓子の店に行き、「若草」を味見した。
店内でお茶と一緒に味わう。
「美味いな!」
「いいね!」
俺は子どもたちや部下たちの分も含めて20箱頼んだ。
あちこち見て回り、響子が六花用に「縁結び箸」を買った。
「おい、もう必要ねぇじゃん」
「いいじゃん、カワイイよ?」
「そう?」
俺も買えというので、ウサギのトートバッグを買った。
それを見て響子も欲しがったので買ってやった。
百家に戻って、響子と部屋でソファに座ってまったりした。
緑さんが紅茶を持って来てくれた。
響子が俺に甘えているのを見て嬉しそうに笑った。
「本当に仲が宜しいんですね」
「まあ、ヨメですからね」
「うん!」
「すいません、折角来て頂いたのに、何のおもてなしも出来なくて」
「とんでもない! 楽しんでますよ!」
「うん!」
「そうですか」
「さっきも夢を見たよ!」
「へぇ、どんなだ?」
「蝶柄で、えと、なんて花だっけ?」
「石楠花か!」
「そう! 先っちょがちょっとピンクのやつ!」
緑さんが驚いていた。
俺は緑さんに改めて、以前に一緒に同じ夢を見たのだと言った。
「あの女の人がね、「よく来てくれたね」って言ってた!」
「!」
緑さんが泣き出した。
「響ちゃんです! 一番好きな着物で!」
そうだろうとは思っていた。
「あとね、「朧影」と「黒笛」だって」
「!」
俺が持って来た銘の分からない二振だろうと思った。
一つは刀身が淡い霧に覆われたような波紋で、もう一つは黒い刀身だった。
「俺が持って来た刀の銘だと思います」
「すぐに調べてみますね」
緑さんはそう言って出て行った。
「響子よー、「タカトラー」もいいんだけど、そういうことも話してくれよ」
「うん、忘れちゃってた」
「お前、すぐに忘れちゃうよなー」
「エヘヘヘヘ」
「ちょっとオシリのマッサージをしとくか」
「やー」
「記憶力が上がるぞ?」
「やー」
やらせてくれなかった。
夕飯前に、風呂を頂いた。
響子が眠くなっても、すぐに寝かせられるようにだ。
夕飯は炊き込みご飯だった。
非常に出汁が効いていて美味い。
響子には目玉焼きを乗せた小さなハンバーグ。
俺とみなさんは天ぷらだ。
また響子は一杯食べた。
夕飯の後で、また酒が出た。
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