2,276 / 3,215
《デモノイド》戦 X 磯良
しおりを挟む
俺の相手になったのは、コースチャという最も体格の大きな男だった。
身長は185センチほどだが、体重は150キロを超えているだろう。
太っているのではない。
物凄い筋肉の塊だ。
胸部は成人男性3人分くらいあり、肩から上腕は普通の人間の腰回りくらいはある。
首も太く、腹部は引き締まっており、そこから伸びる太ももはまた大きく膨らんでいる。
過剰に筋肉をデフォルメしたマンガのような肉体だ。
グリースとパチンコ玉を撒いた地面で《デモノイド》の5人が滑った所で、俺たちは一気に襲い掛かった。
5人を散開させ、ハンターが一人ずつ相手をするように誘導した。
早霧さんと葛葉さんは正面で。
鏑木さんは裏手で。
俺は西側で、愛鈴さんは東側だ。
コースチャは俺の攻撃を受けながら、すぐにメタモルフォーゼを遂げた。
俺の「無影刀」は相変わらず効かない。
体表に特殊な波動があるようだ。
俺の技はぶつかっても霧散する。
それがよく「分かった」。
激しい水蒸気の霧が立ち込め、完全体にメタモルフォーゼしたコースチャが立っていた。
インカムに成瀬さんから連絡が来た。
「鏑木がミーラを撃破したわ!」
随分と早い。
鏑木さんは射撃が専門で近接戦闘が苦手なはずだったが、やはり凄い人だ。
これで鏑木さんの射撃支援が期待できる。
みんな、戦闘が随分と楽になるだろう。
俺はそういうことを考えながらコースチャに「無影刀」を浴びせ続けた。
ダメージはないが、「無影刀」が身体の反応を促す。
そのために、コースチャは自分の意志で動けないでいる。
何が起きているのか分かっていないだろう。
戦闘の未熟だ。
自分が与えられた強大な能力に依存して、それを磨き上げる努力を怠っていた。
本当の能力を使いこなすことすら出来ていないだろうことが分かった。
また成瀬さんからインカムに来た。
「磯良、そいつは他の奴とタイプが違う!」
「どういうことですか?」
「鏑木、早霧、葛葉が相手した3人は「ワイヤータイプ」だった! でもコースチャはまるで蟹のような外見よ! これまで観測されたことがない未知のタイプだから気を付けて!」
「分かりました」
確かに未知の外見だ。
顔面が横に広がり、甲殻類の蟹のように見える。
首はリングが重なったような頑丈な可動構造。
その下は人体をなぞってはいるが、甲殻類のような外骨格が多い、関節部分は西洋の甲冑のような構造だ。
体表には小さな棘のようなものも多い。
恐らくスピードよりも防御力とパワー重視のタイプと思える。
シングルショットの連射が聴こえる。
方向的に、鏑木さんが早霧さんか葛葉さんの支援射撃をしているのだ。
無駄に弾を撃つ人ではないので、俺と同じことをしているのだろう。
初動を射撃で止めている。
本当に凄い人だ。
格闘技でそれをやるのも達人だが、まさか射撃で出来る人間がいるとは思わなかった。
通常は弾丸を撃ち込めば終わるわけなので、どうやって習得したのだろうか。
鏑木さんは紛れもない射撃の天才だ。
コースチャが高速で回転を始めた。
俺に「機」を見せない戦法を考えたのだろう。
豪速で回転しながら俺に近づいて来る。
本人は咄嗟に上手い手を取ったと思っているのだろうが、こんなもの離れればいいだけだ。
まあ、俺に邪魔されずに動いているとは思っているだろうが。
この間にまた成瀬さんから早霧さんと葛葉さんがセリョーガとスラヴァを撃破したと連絡があった。
「だけど二人とも奥儀を使って、しばらく動けそうもないわ」
みんな、しっかり自分の役目を果たしている。
俺もそろそろ決めなければ。
コースチャが回転を止めた。
「セリョーガもスラヴァもミーラも死んだか」
「……」
何らかの方法で知ったらしい。
「セリョーガの奴、いつも威張って俺に指示していた癖に。他愛なく死んだものよ」
「お前よりも強いからリーダーだったんじゃないのか?」
「フン! 俺の方がずっと強い。あいつは多少頭の回転が良かっただけだ。実力は俺の方が上だ」
「その割にはお前、随分と弱いな」
「何を言う。お前の攻撃は何も効かない。このまま俺に押し潰されればいい」
俺は「無影刀」でコースチャを斬った。
斬れない。
「無駄だ。もうお前の攻撃は何も感じない。行くぞ」
コースチャが俺に踏み出す。
もう初動を押さえられ、身動き取れないことはないと考えているのだろう。
俺は「無影刀」を撃ち込んだ。
「!」
コースチャの肩が切れた。
外骨格が斬り裂かれて拡がる。
俺はまた「無影刀」で斬る。
コースチャの右腕が、黒い液体を撒き散らしながら吹き飛ぶ。
「なんだ!」
コースチャは驚くと共に、苦痛で顔を歪めている。
「お前たちは勘違いしている。愛鈴さんを襲った連中をすべて集めて殺すために、お前たちを生かしておいただけだ」
俺の中学校を襲った時の話だ。
「なんだと!」
「お前などすぐに殺せた。でも、あの時に殺していれば、他の連中が逃げる可能性があった。一度に殺すために、あの時に殺さなかったのだ」
「バカな!」
コースチャが左腕で頭部を庇いながら俺に突っ込んでくる。
俺はコースチャの両足を斬った。
避けた俺の横を巨体が吹っ飛んでいく。
地面のグリース塗りのパチンコ玉の上を滑って行く。
コースチャは転がりながら俺を見た。
右腕と両足の付け根からどす黒い血が流れ出る。
「待て! 取引をしよう!」
「必要ない」
「俺は役に立つ! 情報もある!」
「いらない。俺が見たいのは、お前が苦しんで悔しんで終わる死にザマだけだ」
「お前!」
俺はコースチャの両肩から下へ斬り裂いた。
コースチャの胴から内臓が零れ落ちて地面に拡がった。
言葉にならない悲鳴を上げている。
その悲鳴が細くなり、何も言わなくなった。
コースチャの身体が崩壊し始める。
「愛鈴さん。こちらは終わりました」
「磯良! 怪我はない?」
「はい、大丈夫ですよ」
「じゃあ、こっちもそろそろだね」
「これから向かいます」
「うん。でも先に片づけちゃうから」
通信を切った。
愛鈴さんも大丈夫だろう。
だから俺は最期の敵に備えた。
でも、それもあの二人なら対処するんだろう。
「アドヴェロス」の仲間が頼もしい。
俺は早霧さんと葛葉さんの所へ向かった。
一緒に愛鈴さんの所へ行こう。
身長は185センチほどだが、体重は150キロを超えているだろう。
太っているのではない。
物凄い筋肉の塊だ。
胸部は成人男性3人分くらいあり、肩から上腕は普通の人間の腰回りくらいはある。
首も太く、腹部は引き締まっており、そこから伸びる太ももはまた大きく膨らんでいる。
過剰に筋肉をデフォルメしたマンガのような肉体だ。
グリースとパチンコ玉を撒いた地面で《デモノイド》の5人が滑った所で、俺たちは一気に襲い掛かった。
5人を散開させ、ハンターが一人ずつ相手をするように誘導した。
早霧さんと葛葉さんは正面で。
鏑木さんは裏手で。
俺は西側で、愛鈴さんは東側だ。
コースチャは俺の攻撃を受けながら、すぐにメタモルフォーゼを遂げた。
俺の「無影刀」は相変わらず効かない。
体表に特殊な波動があるようだ。
俺の技はぶつかっても霧散する。
それがよく「分かった」。
激しい水蒸気の霧が立ち込め、完全体にメタモルフォーゼしたコースチャが立っていた。
インカムに成瀬さんから連絡が来た。
「鏑木がミーラを撃破したわ!」
随分と早い。
鏑木さんは射撃が専門で近接戦闘が苦手なはずだったが、やはり凄い人だ。
これで鏑木さんの射撃支援が期待できる。
みんな、戦闘が随分と楽になるだろう。
俺はそういうことを考えながらコースチャに「無影刀」を浴びせ続けた。
ダメージはないが、「無影刀」が身体の反応を促す。
そのために、コースチャは自分の意志で動けないでいる。
何が起きているのか分かっていないだろう。
戦闘の未熟だ。
自分が与えられた強大な能力に依存して、それを磨き上げる努力を怠っていた。
本当の能力を使いこなすことすら出来ていないだろうことが分かった。
また成瀬さんからインカムに来た。
「磯良、そいつは他の奴とタイプが違う!」
「どういうことですか?」
「鏑木、早霧、葛葉が相手した3人は「ワイヤータイプ」だった! でもコースチャはまるで蟹のような外見よ! これまで観測されたことがない未知のタイプだから気を付けて!」
「分かりました」
確かに未知の外見だ。
顔面が横に広がり、甲殻類の蟹のように見える。
首はリングが重なったような頑丈な可動構造。
その下は人体をなぞってはいるが、甲殻類のような外骨格が多い、関節部分は西洋の甲冑のような構造だ。
体表には小さな棘のようなものも多い。
恐らくスピードよりも防御力とパワー重視のタイプと思える。
シングルショットの連射が聴こえる。
方向的に、鏑木さんが早霧さんか葛葉さんの支援射撃をしているのだ。
無駄に弾を撃つ人ではないので、俺と同じことをしているのだろう。
初動を射撃で止めている。
本当に凄い人だ。
格闘技でそれをやるのも達人だが、まさか射撃で出来る人間がいるとは思わなかった。
通常は弾丸を撃ち込めば終わるわけなので、どうやって習得したのだろうか。
鏑木さんは紛れもない射撃の天才だ。
コースチャが高速で回転を始めた。
俺に「機」を見せない戦法を考えたのだろう。
豪速で回転しながら俺に近づいて来る。
本人は咄嗟に上手い手を取ったと思っているのだろうが、こんなもの離れればいいだけだ。
まあ、俺に邪魔されずに動いているとは思っているだろうが。
この間にまた成瀬さんから早霧さんと葛葉さんがセリョーガとスラヴァを撃破したと連絡があった。
「だけど二人とも奥儀を使って、しばらく動けそうもないわ」
みんな、しっかり自分の役目を果たしている。
俺もそろそろ決めなければ。
コースチャが回転を止めた。
「セリョーガもスラヴァもミーラも死んだか」
「……」
何らかの方法で知ったらしい。
「セリョーガの奴、いつも威張って俺に指示していた癖に。他愛なく死んだものよ」
「お前よりも強いからリーダーだったんじゃないのか?」
「フン! 俺の方がずっと強い。あいつは多少頭の回転が良かっただけだ。実力は俺の方が上だ」
「その割にはお前、随分と弱いな」
「何を言う。お前の攻撃は何も効かない。このまま俺に押し潰されればいい」
俺は「無影刀」でコースチャを斬った。
斬れない。
「無駄だ。もうお前の攻撃は何も感じない。行くぞ」
コースチャが俺に踏み出す。
もう初動を押さえられ、身動き取れないことはないと考えているのだろう。
俺は「無影刀」を撃ち込んだ。
「!」
コースチャの肩が切れた。
外骨格が斬り裂かれて拡がる。
俺はまた「無影刀」で斬る。
コースチャの右腕が、黒い液体を撒き散らしながら吹き飛ぶ。
「なんだ!」
コースチャは驚くと共に、苦痛で顔を歪めている。
「お前たちは勘違いしている。愛鈴さんを襲った連中をすべて集めて殺すために、お前たちを生かしておいただけだ」
俺の中学校を襲った時の話だ。
「なんだと!」
「お前などすぐに殺せた。でも、あの時に殺していれば、他の連中が逃げる可能性があった。一度に殺すために、あの時に殺さなかったのだ」
「バカな!」
コースチャが左腕で頭部を庇いながら俺に突っ込んでくる。
俺はコースチャの両足を斬った。
避けた俺の横を巨体が吹っ飛んでいく。
地面のグリース塗りのパチンコ玉の上を滑って行く。
コースチャは転がりながら俺を見た。
右腕と両足の付け根からどす黒い血が流れ出る。
「待て! 取引をしよう!」
「必要ない」
「俺は役に立つ! 情報もある!」
「いらない。俺が見たいのは、お前が苦しんで悔しんで終わる死にザマだけだ」
「お前!」
俺はコースチャの両肩から下へ斬り裂いた。
コースチャの胴から内臓が零れ落ちて地面に拡がった。
言葉にならない悲鳴を上げている。
その悲鳴が細くなり、何も言わなくなった。
コースチャの身体が崩壊し始める。
「愛鈴さん。こちらは終わりました」
「磯良! 怪我はない?」
「はい、大丈夫ですよ」
「じゃあ、こっちもそろそろだね」
「これから向かいます」
「うん。でも先に片づけちゃうから」
通信を切った。
愛鈴さんも大丈夫だろう。
だから俺は最期の敵に備えた。
でも、それもあの二人なら対処するんだろう。
「アドヴェロス」の仲間が頼もしい。
俺は早霧さんと葛葉さんの所へ向かった。
一緒に愛鈴さんの所へ行こう。
1
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる