2,376 / 3,215
退魔師 XⅥ
しおりを挟む
一度一階に降りて、諸見の虎の鏝絵を見て頂いた。
「これは見事なものですね!」
「いいでしょう? 諸見という男がやってくれたんです」
「石神先生への愛情が強く残っています」
「そうですか」
「それに、美しい方々がこれに触れていますね」
「!」
やはり分かるのか。
この鏝絵の前で以前写真を撮った時に、様々な奇跡が写った。
俺は中庭の通路を通って、裏の建物へ案内した。
階段を上がって、廊下の突き当りの封印の部屋の前まで来た。
「何か感じますか?」
「少し。でもここの封印が並外れて強力なので、まだそれほどは感じません」
「道間家の当主がやってくれたんですよ」
「道間家の!」
「道間麗星という女で。実は俺の妻の一人です」
「道間家の当主がですか!」
「アハハハハハハ!」
まあ、そこはおいおいに。
俺は壁のテンキーを叩いてロックを解除した。
鋼鉄製のドアを開け、その向こうの扉の鍵も外した。
ドアを開くと、柏木さんが緊張した。
「これは途轍もないですね」
「気分が悪くなられたら言って下さい。無理にお見せするものでもありませんので」
「分かりました」
霊能者にとっては、既に気分の良いものではないだろう。
霊感の無い俺にも、重苦しい感覚はある。
部屋の電灯を点け、柏木さんに入っていただいた。
「強力な呪物ばかりですね」
「そうですか。一度「鬼猿」のものがうちの人間に憑りつきまして」
「それは危なかったですね」
「はい。麗星に来て貰ったのも、その後です。そういうことがあるまでは、俺も気楽に考えていました」
「ここにあるものは、とんでもないものばかりです。流石は吉原さんが集めたものです。あの方の封印もあるようですが、一部は外れてしまったのでしょう」
「そうですか」
柏木さんは緊張はしているが恐れる様子もなく、一つ一つの品を検分していく。
「この香炉には、強大な鬼の王が封印されていますね。石神先生が解放されれば、きっと強い味方になるかと」
「!」
「この紐は……」
「この懐紙の中には……」
「この小刀には……」
柏木さんが霊視し、全ては分からないようだが、幾つかのものを俺に示してくれた。
中には超兵器と呼んでも差し支えないものもあった。
俺は礼を述べて部屋を出た。
柏木さんは大分疲弊したようだ。
「申し訳ありません。ちょっと見て頂くだけのつもりだったのですが」
「いいえ。これだけのもの、普通は一生観る機会もないでしょう。大層なものを拝見させていただきました」
俺たちはリヴィングへ戻った。
柏木さんにソファに座ってもらった。
「あの、道間家から特別な酒を貰っているのですが」
「そうなのですか?」
「はい。霊的に影響を受けた時に飲むと良いと聞いています」
「そういうものが!」
「ちょっと召し上がりませんか?」
「宜しければ。少々やられたようです」
「はい」
俺は自分の部屋の金庫を開け、「霊破」を取り出してリヴィングへ戻った。
ぐい呑みに少し注いで柏木さんに飲んで頂いた。
「!」
「どうですか?」
「これは凄い! 先ほどまでのだるさが一気に抜けました!」
「そうですか。もう一杯どうぞ」
柏木さんが恐縮しながら、また飲み干した。
「ああ、もう大丈夫です! 身体が透き通る!」
「それは良かった!」
俺は酒に栓をして、また金庫に仕舞いに行った。
亜紀ちゃんたちに見つかると厄介だ。
戻ると柏木さんがニコニコしている。
「素晴らしいものを頂きました」
「いえ、貰い物ですが」
「アハハハハハハ!」
本当に調子が良さそうで良かった。
また俺の浅慮で、柏木さんに辛い思いをさせてしまった。
「良ければお帰りの時にお持ちください。柏木さんには役立つものでしょう」
「いいえ、あのようなものは。道間家の貴重なお酒なのでしょう」
「うちではあまり使う用事も無くて。ああ、娘たちが前にこっそり飲みやがって」
「そうなのですか?」
「あれは霊障などが無い人間が飲むと、厄介なことになるんですよ」
「え?」
俺は亜紀ちゃんと柳が甘えネコになったのだと話した。
「一晩中撫でて「カワイイよー」って言わないといけないんですって! 朝方まで撫でさせられてまいりましたよ!」
「ワハハハハハハハハ!」
柏木さんが爆笑した。
「さっきはちょっと、柏木さんが甘えネコになったらどうしようかと思いました」
「ワハハハハハハハハ!」
「千鶴に任せようと思ってました」
「ワハハハハハハハハ!」
子どもたちが「虎温泉」から戻って来た。
みんなキッチンでつまみを作り始め、千鶴と御坂がこっちへ来た。
「石神さん! 素晴らしい温泉でした!」
「温泉の元を入れているだけだけどな」
「いいえ! あのお湯は特殊なものですよね!」
「まあな。特殊な金属が影響しているようだよ」
「スゴイですよね! 聞きましたよ、温泉を掘ろうとしてって」
「ああ、とんでもねぇんだよ。小判やら金の鉱脈やらよ!」
「レッドダイヤモンド!」
「そうそう! これまたとんでもねぇ発掘バカがいてよ!」
「真夜はいい子ですよ!」
「うるせぇ! あいつのせいでどれだけ苦労したか!」
俺が真夜が庭でレッドダイヤモンドや他のダイヤモンドを掘り起こした話をした。
柏木さんたちが驚く。
「こないだなんてよ! ヒヒイロカネだぞ!」
「!」
「「?」」
柏木さんは分かったようだが、千鶴と御坂は理解出来ていない。
「でかい円柱でよ! 百家の人が来てぶったまげてた!」
「「「アハハハハハハハハ!」」」
意味は分からずとも、千鶴と御坂も笑った。
百家の人間のことは知っているのだろう。
千鶴と御坂がキッチンへ手伝いに行こうとしたが、生憎手を借りるまでもない。
子どもたちが合理的にこなしているので、かえって邪魔になることが分かり引き返して来た。
もう7時半になっていたので、俺たちは先に地下へ降りることにした。
間もなく料理や飲み物も運ばれてくる。
地下の音響ルームへ入ると、また柏木さんたちが驚いた。
まあ、家の大きさで驚かれるのは気恥ずかしいのだが、この音響ルームで驚いてもらうのは嬉しい。
俺の自慢のものだからだ。
「どうですか、いいでしょう!」
ここばかりは自慢してしまう。
自分でもまだまだ成っていないと反省もするのだが。
柏木さんは贅沢に興味が無い方なので、一段落すると落ち着かれた。
若い千鶴と御坂は興奮しながら、異様なスピーカーなどを見て回る。
「石神さん! 何か音楽を掛けていただけませんか?」
御坂が言うので、俺は喜んでコルトレーンの『My One And Only Love』を流した。
サックスの美しく優しいメロディがアヴァンギャルドから零れ落ちるように流れて来る。
「素敵……」
御坂が呟いた。
柏木さんは静かに目を閉じ、千鶴は目を輝かせていた。
本当は照明も落としたいのだが、すぐに料理を子どもたちが運んで来る。
子どもたちがニコニコしながら料理を運び、椅子やテーブルを準備していく。
俺はレコードを止め、好きな飲み物を聞きながら準備して言った。
「またこんなに食べるんですか!」
「そうだよなー」
もう恥ずかしいです。
でも美味しいんです。
食べて下さい。
7時50分になり、亜紀ちゃんがテレビ前の敷物に座った。
「もうすぐだぞぉー!」
手を挙げて叫ぶ。
みんなで笑った。
「これは見事なものですね!」
「いいでしょう? 諸見という男がやってくれたんです」
「石神先生への愛情が強く残っています」
「そうですか」
「それに、美しい方々がこれに触れていますね」
「!」
やはり分かるのか。
この鏝絵の前で以前写真を撮った時に、様々な奇跡が写った。
俺は中庭の通路を通って、裏の建物へ案内した。
階段を上がって、廊下の突き当りの封印の部屋の前まで来た。
「何か感じますか?」
「少し。でもここの封印が並外れて強力なので、まだそれほどは感じません」
「道間家の当主がやってくれたんですよ」
「道間家の!」
「道間麗星という女で。実は俺の妻の一人です」
「道間家の当主がですか!」
「アハハハハハハ!」
まあ、そこはおいおいに。
俺は壁のテンキーを叩いてロックを解除した。
鋼鉄製のドアを開け、その向こうの扉の鍵も外した。
ドアを開くと、柏木さんが緊張した。
「これは途轍もないですね」
「気分が悪くなられたら言って下さい。無理にお見せするものでもありませんので」
「分かりました」
霊能者にとっては、既に気分の良いものではないだろう。
霊感の無い俺にも、重苦しい感覚はある。
部屋の電灯を点け、柏木さんに入っていただいた。
「強力な呪物ばかりですね」
「そうですか。一度「鬼猿」のものがうちの人間に憑りつきまして」
「それは危なかったですね」
「はい。麗星に来て貰ったのも、その後です。そういうことがあるまでは、俺も気楽に考えていました」
「ここにあるものは、とんでもないものばかりです。流石は吉原さんが集めたものです。あの方の封印もあるようですが、一部は外れてしまったのでしょう」
「そうですか」
柏木さんは緊張はしているが恐れる様子もなく、一つ一つの品を検分していく。
「この香炉には、強大な鬼の王が封印されていますね。石神先生が解放されれば、きっと強い味方になるかと」
「!」
「この紐は……」
「この懐紙の中には……」
「この小刀には……」
柏木さんが霊視し、全ては分からないようだが、幾つかのものを俺に示してくれた。
中には超兵器と呼んでも差し支えないものもあった。
俺は礼を述べて部屋を出た。
柏木さんは大分疲弊したようだ。
「申し訳ありません。ちょっと見て頂くだけのつもりだったのですが」
「いいえ。これだけのもの、普通は一生観る機会もないでしょう。大層なものを拝見させていただきました」
俺たちはリヴィングへ戻った。
柏木さんにソファに座ってもらった。
「あの、道間家から特別な酒を貰っているのですが」
「そうなのですか?」
「はい。霊的に影響を受けた時に飲むと良いと聞いています」
「そういうものが!」
「ちょっと召し上がりませんか?」
「宜しければ。少々やられたようです」
「はい」
俺は自分の部屋の金庫を開け、「霊破」を取り出してリヴィングへ戻った。
ぐい呑みに少し注いで柏木さんに飲んで頂いた。
「!」
「どうですか?」
「これは凄い! 先ほどまでのだるさが一気に抜けました!」
「そうですか。もう一杯どうぞ」
柏木さんが恐縮しながら、また飲み干した。
「ああ、もう大丈夫です! 身体が透き通る!」
「それは良かった!」
俺は酒に栓をして、また金庫に仕舞いに行った。
亜紀ちゃんたちに見つかると厄介だ。
戻ると柏木さんがニコニコしている。
「素晴らしいものを頂きました」
「いえ、貰い物ですが」
「アハハハハハハ!」
本当に調子が良さそうで良かった。
また俺の浅慮で、柏木さんに辛い思いをさせてしまった。
「良ければお帰りの時にお持ちください。柏木さんには役立つものでしょう」
「いいえ、あのようなものは。道間家の貴重なお酒なのでしょう」
「うちではあまり使う用事も無くて。ああ、娘たちが前にこっそり飲みやがって」
「そうなのですか?」
「あれは霊障などが無い人間が飲むと、厄介なことになるんですよ」
「え?」
俺は亜紀ちゃんと柳が甘えネコになったのだと話した。
「一晩中撫でて「カワイイよー」って言わないといけないんですって! 朝方まで撫でさせられてまいりましたよ!」
「ワハハハハハハハハ!」
柏木さんが爆笑した。
「さっきはちょっと、柏木さんが甘えネコになったらどうしようかと思いました」
「ワハハハハハハハハ!」
「千鶴に任せようと思ってました」
「ワハハハハハハハハ!」
子どもたちが「虎温泉」から戻って来た。
みんなキッチンでつまみを作り始め、千鶴と御坂がこっちへ来た。
「石神さん! 素晴らしい温泉でした!」
「温泉の元を入れているだけだけどな」
「いいえ! あのお湯は特殊なものですよね!」
「まあな。特殊な金属が影響しているようだよ」
「スゴイですよね! 聞きましたよ、温泉を掘ろうとしてって」
「ああ、とんでもねぇんだよ。小判やら金の鉱脈やらよ!」
「レッドダイヤモンド!」
「そうそう! これまたとんでもねぇ発掘バカがいてよ!」
「真夜はいい子ですよ!」
「うるせぇ! あいつのせいでどれだけ苦労したか!」
俺が真夜が庭でレッドダイヤモンドや他のダイヤモンドを掘り起こした話をした。
柏木さんたちが驚く。
「こないだなんてよ! ヒヒイロカネだぞ!」
「!」
「「?」」
柏木さんは分かったようだが、千鶴と御坂は理解出来ていない。
「でかい円柱でよ! 百家の人が来てぶったまげてた!」
「「「アハハハハハハハハ!」」」
意味は分からずとも、千鶴と御坂も笑った。
百家の人間のことは知っているのだろう。
千鶴と御坂がキッチンへ手伝いに行こうとしたが、生憎手を借りるまでもない。
子どもたちが合理的にこなしているので、かえって邪魔になることが分かり引き返して来た。
もう7時半になっていたので、俺たちは先に地下へ降りることにした。
間もなく料理や飲み物も運ばれてくる。
地下の音響ルームへ入ると、また柏木さんたちが驚いた。
まあ、家の大きさで驚かれるのは気恥ずかしいのだが、この音響ルームで驚いてもらうのは嬉しい。
俺の自慢のものだからだ。
「どうですか、いいでしょう!」
ここばかりは自慢してしまう。
自分でもまだまだ成っていないと反省もするのだが。
柏木さんは贅沢に興味が無い方なので、一段落すると落ち着かれた。
若い千鶴と御坂は興奮しながら、異様なスピーカーなどを見て回る。
「石神さん! 何か音楽を掛けていただけませんか?」
御坂が言うので、俺は喜んでコルトレーンの『My One And Only Love』を流した。
サックスの美しく優しいメロディがアヴァンギャルドから零れ落ちるように流れて来る。
「素敵……」
御坂が呟いた。
柏木さんは静かに目を閉じ、千鶴は目を輝かせていた。
本当は照明も落としたいのだが、すぐに料理を子どもたちが運んで来る。
子どもたちがニコニコしながら料理を運び、椅子やテーブルを準備していく。
俺はレコードを止め、好きな飲み物を聞きながら準備して言った。
「またこんなに食べるんですか!」
「そうだよなー」
もう恥ずかしいです。
でも美味しいんです。
食べて下さい。
7時50分になり、亜紀ちゃんがテレビ前の敷物に座った。
「もうすぐだぞぉー!」
手を挙げて叫ぶ。
みんなで笑った。
1
あなたにおすすめの小説
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜
南 鈴紀
キャラ文芸
妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。
しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。
掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。
五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。
妖×家族の心温まる和風ファンタジー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
Lucia(ルシア)変容者たち
おまつり
恋愛
人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。
それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。
カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。
二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。
誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。
愛が深まるほど、境界は曖昧になる。
身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。
一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。
彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。
これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、
それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。
※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる